どうすれば わかりやすい文章を書けるのか? 意味不明になる5つの原因とその解決策

かりやすく読みやすい文章を書く。

それは、もの書きにとって永遠の課題です。わたし自身、そのことでいつも悩んでいますし、まだまだ努力不足だと感じています。

特に、わたしたちは誰でも、扱う話題が専門的になるにつれ、意味がわからない文章を書いてしまいがちな傾向を持っています。

行動経済学者ダン・アリエリーの本、アリエリー教授の人生相談室──行動経済学で解決する100の不合理では、読者から寄せられたこんな質問が紹介されています。

親愛なるダンへ

この間ある有名な学者の講義を聞いたんですが、彼が専門分野のごく基本的な概念さえうまく伝えられないことに驚き、不思議に思いました。

あんなに高名な専門家が、あそこまで下手な説明しかできなくていいんですか?

それが学者の条件とでもいうんでしょうか?

レイチェルより

きっとだれでも、この女性と同じような経験をしたことがあるでしょう。

わたしはよく、心理学や精神医学関係のウェブサイトや本を読みますが、とても深い知識があることはわかるのに、正直いって意味が全然頭に入ってこない文章をしばしば見かけます。

そのたびに感じるのは、わたしが書いている文章も、読者にそのように思われているのだろうか、という危機感です。実際、読んだ人から、「わかりにくい」という感想を、じかに聞くことも時々あります。

わたしの場合もそうですが、できるかぎり わかりやすく書きたいと思っているものの、自分では わかりにくさに気づかない。それが、もの書きにとって最大の問題なのです。

この記事では、そうした自分への自戒の気持ちも込めて、わかりやすい文章を書くにはどうすればいいかを考えてみたいと思います。

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原因不明で診断がつかない難病を特定できる遺伝子解析プロジェクト「未診断疾患イニシアチブ」(IRUD)とは?

ても辛い多彩な症状に苦しめられるのに、従来の医学的検査で診断がつかず、「気のせい」「心の問題」「原因不明」などと言われてしまう。

このブログで扱っている慢性疲労症候群(CFS)などの病気の患者は、そうした理不尽な経験をしやすいものです。

しかし、そうした従来の医学検査では異常が見つからず、診断がつかない患者の病気を、網羅的な遺伝子解析によって特定しようとする試みが、慶応義塾大学医学部 臨床遺伝学センターによって、昨年開始されたそうです。

そのプロジェクトの名前は「未診断疾患イニシアチブ」IRUD(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases)と呼ばれています。 IRUDは「アイラッド」と読むようです。

わたしも、これまでこの取り組みの存在を知らなかったのですが、今日の毎日新聞のニュースで、驚くべき成果が報道されていたので関心を持ちました。

それによると、幼いころから発達の遅れや低血糖、便秘など多くの症状に苦しめられてきた男性が、IRUDにより、デサント−シナウイ症候群という、世界で8人しか見つかっていない希少疾患だと特定できたとのことでした。

クローズアップ2016:原因不明の病、特定に道筋 - 毎日新聞 はてなブックマーク - クローズアップ2016:原因不明の病、特定に道筋 - 毎日新聞 

診断つかない疾患 原因遺伝子特定へ16機関タッグ  :日本経済新聞

診断つかない病気の専門外来を新設 慶應大病院│NHKニュース (インターネット・アーカイブによる履歴)

病名判明、「安心」の声、拠点の慶応大病院 子どもの原因不明の病気で遺伝子解析│朝日新聞 (インターネット・・アーカイブによる履歴)

IRUDとは具体的にいって、どのような取り組みで、どのような成果を挙げているのでしょうか。過去の関連ニュースの内容をまとめてみました。

また、このブログの視点として、しばしば原因不明の症状を持つ患者が行きつく、慢性疲労症候群(CFS)という診断名の役割と問題点を指摘したいと思います。

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PTSDと解離の10の違い―実は脳科学的には正反対のトラウマ反応だった

21世紀に入って大規模なテロ行為や、自然災害が増えるにつれ、ニュースなどでよく見聞きするようになった言葉のひとつに、PTSD、すなわち心的外傷後ストレス障害という病名があります。

PTSDは、突然恐ろしい出来事や犯罪行為に巻き込まれた後、神経が高ぶって敏感になり、繰り返すトラウマ記憶のフラッシュバックに悩まされる脳の機能障害です。

一方で、近年、PTSDほどではないものの、比較的よく知られるようになった病気として、解離性障害というものがあります。解離性障害は、現実感がなくなったり、記憶が失われたり、ときには別の人格が現れたりする病気です。

解離性障害は、PTSDをもたらす災害などのトラウマとは別に、子ども虐待に伴いやすいものとして、知られるようになりました。しかし近年では、一見それほどトラウマ経験がないような環境で育った人にも発症することもわかってきました。

PTSDと解離性障害は、どちらも、トラウマの後遺症として生じやすい病気ですが、なぜ、ある人はPTSDとしてフラッシュバックに苦しめられ、別の人は解離性障害として現実感の薄れる感覚に苦しめられるのでしょうか

解離新時代―脳科学,愛着,精神分析との融合には、そのヒントとなる次のような説明があります。

ところで解離において右脳で起きていることを知るためには、心的外傷後ストレス障害(以下PTSDと記載する)の右脳で起きていることを理解する必要がある。

解離とPTSDは、ともに心的なトラウマに対する心ないしは脳の反応といえるが、そこではおおむね逆のことが起きているものとして説明し、理解するのが最近の傾向である。(p19)

PTSDと解離は、ストレスに対する、脳の反応としては「おおむね逆のこと」だったのです。

この記事では、幾つかの本に基づいて、PTSDと解離が、どんな正反対の特徴を持っているか考えます。

そして、それぞれが、これまで別の分野の問題と思われていたADHDや愛着障害と、どのように密接に結びついているかを考察して、近年増えてきたとされるこれらの問題の全体像を明らかにしたいと思います。

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イマジナリーフレンド(IF)「私の中の他人」をめぐる更なる4つの考察

たしの中にいる他人。心の中に別の人がいる。存在を感じるだけでなく、完全に第三者的な思考を持っていて、友人のように会話することもできる。

そのような感覚を感じることがありますか?

ある人たちは、そのような話を聞くと、何か病的な印象を受けるかもしれません。おそらく、頭の中に声が聞こえるという統合失調症や、心が多くの別人に分かれる多重人格、すなわち解離性同一性障害(DID)を思い浮かべるのでしょう。

しかし、「豹変する心」の現象学―精神科臨床の現場からという本で、そうした病気を専門とする大饗(おおあえ)広之先生ははっきりと、次のように述べています。

たとえば「頭のなかにもう一人の自分がいる」と訴える人がいても、もはやわれわれは彼をすぐさま病的と決めつけるわけにはいかない。

彼らに統合失調症や多重人格などという診断は当てはまらないし、それどころか、その訴えをすぐに「症状」とみなすことさえできない。

信じられないかもしれないが、そういった軽微な人格の複数化が潜在的にはかなりの勢いで拡がっているのである。(p3)

ここでは、そうした現象は、必ずしも「病的」ではなく統合失調症や多重人格の診断は当てはまらず、むしろ意外なほど多くの人が経験しているかもしれない、と書かれています。

この現象は医学的にはイマジナリーコンパニオン(IC:想像上の仲間)、より日常的にはイマジナリーフレンド(IF:空想の友だち)と呼ばれる現象で、いまだ多くの謎に包まれています。

このブログでは、1年半前に、IFについての詳しい考察を書きました。当時は、わたしの知識の及ぶ範囲としては、書けることはすべて網羅したと考えていました。

しかしそれ以降読んだ多くの本、たとえば先ほど挙げた大饗広之先生の「豹変する心」の現象学―精神科臨床の現場からや、岡野憲一郎先生の解離新時代―脳科学,愛着,精神分析との融合、アリソン・ゴプニック先生の哲学する赤ちゃん (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)などを通して、より理解が深まったので、改めて考察をまとめることにしました。

こうした軽微な人格の多重化の原因は何なのでしょぅか。本当に病的でないとみなしても大丈夫なのでしょうか。解離性障害や発達障害との関わりはあるのでしょうか。4つの観点から考えてみたいと思います。

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光の感受性障害「アーレンシンドローム」とはーまぶしさ過敏,眼精疲労,読み書き困難の隠れた原因

■いつも光がまぶしすぎる
■まばたきが多く、疲れ目になりやすい
■外出したり、蛍光灯の下で作業したりすると、疲れや頭痛が生じる
■本を読むのが苦手で、文を飛ばしたり、文字が見分けにくかったりする
■距離感をつかむのが苦手で不器用
■音や匂いなどの感覚過敏もある

なたは、こうした問題に悩まされることがありますか?

ここに挙げた、まぶしさや読み書き困難、不器用さなどの症状は、これまで、眼精疲労やディスレクシア(読み書き困難)など、別々の分野の問題とみなされてきました。

しかし、近年の発見によると、ある一つの共通の原因が関係しているかもしれません。

それは、「アーレンシンドローム」と呼ばれる光の感受性障害(Scotopic Sensitivity Syndrome:SSS)、つまり、特定の波長の光をうまく処理できない脳の認知システムの問題です。

「アーレンシンドローム」を持つ人たちは、普通の明るさのもとでもまぶしさを感じたり、文字を読むのに人一倍の集中力が求められたり、距離感をつかむのが難しかったりして、生活のさまざまな場面でストレスや困難を抱えやすくなります。

このような光の感受性障害に悩む人は、発達障害や学習障害の子どもをはじめ、一見、読み書きが得意なように思われる成績優秀な学生、さらには、偏頭痛やむち打ち、慢性疲労症候群、線維筋痛症の患者など、実にさまざまです。

興味深いことに、これらすべてのケースにおいて、色つきフィルターを用いた「アーレン法」と呼ばれる治療によって、症状を軽減できる可能性があるといいます。

「アーレンシンドローム」とはいったい何なのでしょうか。どのような特徴があり、いかにして治療できるのでしょうか。

発見者また第一人者であるヘレン・アーレンの本の待望の邦訳、アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応 から考えてみたいと思います。

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