放射線被曝による全身倦怠感は慢性疲労症候群(CFS)と似ている? ミトコンドリア異常の可能性も

LINEで送る
Pocket

曝経験者の方が語る、原爆とは無関係とは思えない病気の中に、慢性疲労症候群(CFS)が挙げられています。

80e00698d6d0a2fa54be486ff13dac24控訴審へ・被爆体験者の声:/3 病と原爆無関係「絶対うそ」 水田美智子さん /長崎- 毎日jp(毎日新聞)(リンク切れ)

 

 

 

個人的に、被曝と慢性疲労症候群の関係は、とても気になっていることです。なぜなら、わたしが慢性疲労症候群に対処するうえでお手本にしてきた方は、被爆経験者だったからです。

このエントリでは放射線被曝と慢性疲労症候群(CFS)に関するインターネット上の最近の資料を参考に、両者の関係を紐解いていきたいと思います。

スポンサーリンク

放射線被曝と慢性疲労症候群(CFS)

原子爆弾による被曝と慢性疲労症候群(CFS)との関係は、昨年3.11の東日本大震災による福島第一原発事故に伴って、ときどきクローズアップされているので、ご存じの方も多いかもしれません。

この機会にいくつかのサイトから引用してみましょう。まず、一般財団法人 ベンチャーエンタープライズセンター VECの連載から、多摩大学の那野比古名誉教授の言葉に注目したいと思います。

第63回「内部被曝① 放射線のミトコンドリア攻撃が原因か 慢性疲労症候群」|一般財団法人 ベンチャーエンタープライズセンター VEC

 

まず2011/8/26付の第60回では『「慢性疲労」と「慢性疲労症候群(CFS)」とは根本的に異なる。前者は強度の疲れにすぎないが、後者は病気である点だ』 と慢性疲労症候群(CFS)を正確に紹介した上で、被曝との関係を以下のように説明しておられます。

 実は、広島・長崎の原爆事件、あるいはチェルノブイリ原発事故のあと、強烈・異常な疲れを訴える人が急増した。4、5分立っているだけでも横になりたくなるほどの疲労感があり、仕事も十分できず社会生活を阻害する。怠け者と誤解され巷間では“原爆ブラブラ病”と呼んだ。

…細胞核では攻撃により遺伝子の損傷という問題が発生するが、細胞質内では、第55回で述べたヒドロキシラジカルなどによって、ミトコンドリアなどが損傷を受ける。

エネルギー生成装置がやられれば、力が出なくなるのは当然の帰結だ。

最近の研究で、慢性疲労症候群(CFS)の原因の一端がミトコンドリアの機能障害にあると明らかにされたこともよく把握されていて、慢性疲労症候群(CFS)も“原爆ぶらぶら病”も、同じメカニズムによるのではないかと指摘しておられます。

それを踏まえた上で、2011/12/22付の第80回では、ミトコンドリアの機能について詳しく説明され、ここでも慢性疲労症候群(CFS)との関係が疑われています。

第80回「内部被曝⑭ 「ミトコンドリア・イブ」もびっくり‐語られない細胞内小器官の損傷と慢性障害」|一般財団法人 ベンチャーエンタープライズセンター VEC

いずれの器官も、その損傷が直ちに生命を脅かすものではないが、正常な生命の維持が阻害される可能性がある。エネルギー生産が十分でないと、第63回でみたような慢性疲労症候群に陥ったり、ミトコンドリアがもつ独自のDNAに異変が生じるとさまざまなミトコンドリア病を発症するリスクがある

すなわち、かたや放射線被ばくによってミトコンドリアが損傷して“原爆ぶらぶら病”になり、かたやさまざまな身体的・精神的ストレス因子(ウイルスや化学物質・過労など)によって慢性疲労症候群(CFS)が発症するのではないか、というわけです。

   2011/12/16には、フリーライターの守田敏也さん(@toshikyoto)さんがご自身のブログに、広島・長崎での放射線被曝と慢性疲労症候群(CFS)の関係について、また福島原発事故による慢性疲労症候群(CFS)が発症する可能性について書いておられました。

明日に向けて(365)これらかの医療に問われること(放射線防護を視座にして)・・・その1 - 明日に向けて

とくに憂慮されるのは、広島・長崎で「原爆ぶらぶら病」と呼ばれた、どうしようもない倦怠感に襲われ、活動力・行動力を奪われてしまう病の発生です。広島・長崎では、この症状に襲われて通院しても、どこの病院でも「身体に異常はない」と「診断」されてしまい、被爆者の苦しみの大本の一つともなりました。

…ようやくにして似た一群の症状に「慢性疲労症候群」という呼び名がつき、同じような症例で苦しんでき方たちに、一条の光がさしてはいますが、それとても認知度が高いわけではない。また慢性疲労症候群のすべてが放射線が起因ともいえず、「原爆ぶらぶら病」はまだまだあまりに解明が進んでいない領域です。

被曝により、全身倦怠感(“原爆ぶらぶら病”という名前はできるだけ使いたくないのです)を発症した方が、わたしたち慢性疲労症候群(CFS)の患者と同じような誤解・や偏見にさらされてきたことが分かります。

放射線被曝と慢性疲労症候群(CFS)の関係について書いておられる方の多くは、慢性疲労症候群(CFS)の辛さをよく理解しておられ、その研究にもよく通じておられるように思います。

  次いで2012/2/10には福島第一原発事故の情報を発信しておられる木下黄太さん(@KinositaKouta)という方が、慢性疲労症候群(CFS)と放射線の関係については、次のようなデータを掲載しておられました。

チェルノブイリにおける神経系統の障害について②。本日は熊本で山本太郎さんとジョイントイベント。 - 木下黄太のブログ  「福島第一原発を考えます」

 「Terry yabumoto氏による、ニューヨーク科学アカデミーのチェルノブイリ報告の翻訳です。この前出した、神経系統の翻訳の続きです。ウクライナにおける報告です」と前置きされ、その14番目にこう書かれています。

14.ランダムに選択された100人のリクイデータのうち、26人が、慢性疲労症候群(CFS)の診断基準を満たしていた。慢性疲労症候群は、リクイデータたちにとって、事故の結果として最も広範囲に及ぶ症状のひとつであるかもしれない。(Loganovsky, 2000b, 2003)

さらに、CFSの発生率が有意に(p<0.001)低下したにもかかわらず(1990年-1995年 65.5%から、1996年-2001年 10.5%)メタボリック症候群X(MSX-心臓疾患の危険因子のグループ)は同じ期間に有意に(p<0.001)増加したのである(15%から 48.2%へ)。

CFSとMSXは、その他の病変へとつながる最初のステージであると考えられ、CFSは、神経変成、認知障害、精神神経系障害へ変化していく可能性がある。(Kovalenko and Loganovsky, 2001; Volovik et al., 2005)

慢性疲労症候群(CFS)が未病のように扱われている点には疑問を感じますが、放射線被曝と関連があるケースが存在することは間違いないようです。

最後に2012/11/29付の今回のニユース記事に書かれていた被曝経験者の方の体験談を掲載しておきたいと思います。引用のつもりがほぼ転載の分量になり、心苦しいのですが、残しておきたい記事なので、大部分を載せておきます。

甲状腺機能亢進(こうしん)症、慢性疲労症候群、変形性頸椎(けいつい)症、胃潰瘍……。養護学校の教諭だった99年、上司に提出した文書(コピー)には、多くの病名が記されている。

爆心の南西約10キロの旧香焼村(現長崎市)で原爆に遭った時、2歳8カ月。鮮明な記憶はない。

…中学の時、貧血がひどく、学校の集会などでたびたび倒れた。20代で自律神経失調症と診断された。50歳の時、「汗がひどくて、心臓がバクバクした」。甲状腺機能亢進症と診断された。その後もさまざまな病気に苦しみ、休職を余儀なくされた。

…水田さんは「病気と原爆が関係ないっていうのは絶対にうそだ」。怒りをあらわにした。

わたしの敬愛する友人について

冒頭に述べたように、わたしが慢性疲労症候群(CFS)と放射線被曝の関係に興味をもつのは、わたしの敬愛する友人が、まさにそのような背景をお持ちだったからです。

友人というにはおこがましいほど年齢が離れていたのですが、親しく手紙をやりとりし、がんばって描いた絵を見せ合い、いろいろなお話を聞かせてもらい、闘病を支え合ったので、そう言い表すのが適切だと思うのです。

年齢を超えた友情の礎となったのは、原爆症に苦しまれたその方の体調と、わたしが慢性疲労症候群(CFS)として苦しんできた体調が、非常に似通っていたことでした。その方が工夫を凝らして原爆症に対処してきたその生き方は、わたしにとって他のどんな書物より参考になった生きた手本だったのです。

わたしが敬愛するこの友人については…少なくともこのエントリについでのように書くのはふさわしくないので、機会があれば、そして気持ちの整理がつくようなら、別のエントリに書きたいと思います。

今回のエントリで言える結論は、慢性疲労症候群(CFS)と放射線被曝による全身倦怠感は、原因は違うかもしれませんが、メカニズムとしては非常に似通っている可能性があるということです。

昨年の福島原発事故によって、慢性疲労症候群(CFS)を発症された方がいないことを願うばかりですが、これらのデータや専門家の意見を鑑みるに避けられないことかもしれません。もしそのような方がいらっしゃるなら、微力ながらこのブログが役立てば幸いに思います。

スポンサーリンク
LINEで送る
Pocket

▼こちらの記事もおすすめです


スポンサーリンク