慢性的な病気と闘う30のテクニック(下)

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121211調べる2性的な病気のもとで、QOL(生活の質)を守るためにはどうすればいいのでしょうか。

このブログでは、これまで、疲労と闘うさまざまな対策を取り上げてきました。それらは、一つ一つの効果は小さいとはいえ、組み合わせることでQOL(生活の質)を向上させることができます。

前半では主に認知行動療法(CBT)に基づく、「慢性疲労に対する有効な対処法」の12のテクニックを紹介しました。後半では起立性調節障害(OD)と化学物質過敏症(CS)の書籍から、さらに18の点を紹介したいとおもいます。

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慢性的な病気と闘う30のテクニック 13~30

これから紹介する18の点は、起立性調節障害(OD)化学物質過敏症(CS)に関するものです。しかしこの二つの病気は慢性疲労症候群(CFS)を含め、相互に関連しています。詳しくは以下のエントリで解説しています。

【6/7 NHK】化学物質過敏症とのたたかい―「あさイチ」から

朝起きられないもう一つの病気「起立性調節障害(OD)」にどう対処するか(上)

日常キャパシティチェックリスト

まず起立性調節障害(OD)の研究の第一人者、田中英高先生の著書、起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブックのp112-113から「日常キャパシティ チェックリスト」を引用したいと思います。

先生はこの本の中で、人間の体を“レンタカー”にたとえています。日本車を借りたかったのに、アメ車を借りてしまったなら、アメ車を乗りこなさなければなりません。アメ車にはアメ車の特性がありますから、それを心得たうえで、故障しないように使わないといけません。

慢性的な病気を抱える人も、本来望んだ体ではないかもしれません。しかし体を乗り換えることはできないので、その体に合った生活を営むことが必要です。慢性的な病気を抱える人は、以下の項目について十分に知っているほど日常活動性を増やすことができます。

13.起床時間と就寝時間の関係性を知っている

夜11時に就寝すれば朝7時には起床できるが、夜12時に就寝すると、朝9時にしか起床できないなど、自分特有の起床時間と就寝時間の関係性を分析し、よく知っておくようにします。

14.食事による体調の変化を知っている

朝食をしっかり摂ったほうが体調はよいか、軽い朝食のほうがよいか。朝にどれほどの水分を摂ったら体調が回復するか、夕食の時刻は午後6時、または午後8時のいずれのほうが翌朝の体調がよいかといった点を知るようにします。

こうした食事の摂取量や食事の時刻による体調の変化は人によって異なるので、自分自身で記録をとってよく分析する必要があります。

CFSの場合、遅延性食物アレルギーや低血糖症の可能性があるので、こうした分析は欠かせません。

15.服薬時刻による体調の変化を知っている

医師からの服薬に関する指示には「朝起床時」「夕食後」などと記載がありますが、何時に服用するのが最も効き目がよいのか自分で知っているなら融通が利きます。

CFSの場合、還元型コエンザイムQ10が効く人は、服薬時刻を知っておくと良いようです。線維筋痛症(FMS)の人であれば、ここに書くまでもなく、この点に気を使っていると思います。

16.負担の少ない姿勢を知っている

通勤・通学電車では、どのような姿勢で立っていると負担が少ないかを知っている必要があります。また何か作業しているほうが通勤は楽になるかどうか、たとえば単語を記憶したり音楽を聞いたりしているほうが脳血流が増えて楽になる、といった点も知っておくと役立ちます。

CFSの場合、負担の少ない姿勢は横になる以外にないようにも思いますが、長距離移動のときはネックピローやウェストピロー、低反発クッション(おすすめはテンピュール)を携帯したりできるでしょう。普段の生活でも、椅子がしんどいなら、リクライニングできる座椅子が役立ちます。

17.休憩の取り方を知っている

仕事や授業1時間に対し、10分小休憩を取ると、無理なく継続できる、など、自分の限界をよく知っておくことは助けになります。

CFSの場合、横になれない時間が長いと非常にしんどいので、活動限界時間をよく知っておく必要があります。わたしの友人は、自分を冗談でウルトラマンに例えていました。“3分”経つと、もはや活動できないので、タイマーをかけたり、家族に時間を知らせてもらったりして休むようにしていたのです。

この“3分”は人によって違うので、記録をとっておくことが、活動限界時間を把握する助けになります。

18.体調不良のときの対処方法を知っている

急に気分が悪くなり、失神しそうになったら横になる、体調の悪いときには頭を下げて立ち上がる、急に立ち上がらないなど、体調の変化に合わせた対応を知っておくべきです。歯科治療のリクライニング台など、体を人為的に傾斜させられる場合は、あらかじめゆっくり操作してもらうようお願いしておきます。

19.体調が改善するアフターファイブの過ごし方を知っている

起立性調節障害(OD)では午後遅くになると、比較的体調が良くなります。その時間をどう使うか、例えばスポーツクラブに週2回通い、30分運動するのが自分にとって最適だ、といったことを知っておくなら時間を有効に使えます。

なお、慢性疲労症候群(CFS)などほかの病気の場合でも、この原則は役立ちます。体調が良いときこそ、注意深い行動が求められます。たとえば、CFSでは体調が良いときを積極的安静療法(ART)に充て、過活動を防ぐのがよいかもしれません。

20.自分に合ったアルコールの飲み方

アルコールを少々たしなむのは悪いことではありませんが、アルコールは血管を広げて血圧を下げます。適量、飲む時間帯、場所を知っておく必要があります。たとえば会社帰りに飲むと、帰宅途中で気分不良になる、飛行機に乗っているときは血圧が下がりやすく危険である、といった点です。

CFSでも、アルコールによって血圧が下がることへの注意が必要です。また眠るためにアルコールを飲むのは、睡眠の質を悪化させるため逆効果です。

21.どうしたら睡眠の質がよくなるかを知っている

就寝前1時間のタイムスケジュールを決めておきます。たとえば15分で明日の準備、15分間ストレッチ体操、5分間歯磨き、15分間読書、10分間の瞑想や祈りをする、というスケジュールに従うことができかるかもしれません。決まった手順を踏むなら、条件反射によって眠りやすくなります。

倉恒先生は、すべての用事を終え、寝る用意を整えてから入浴し、風呂を上がったらすぐに布団に入るよう勧めています。またある種の瞑想は痛みの軽減に役立つと言われています。

マインドフルネスストレス低減法

22.運動による寝つきやすさの変化を知っている

運動をした日としない日では、入眠にかかる時間が何分ぐらい違うかを知っているなら、運動不足や過剰な運動で、夜眠れなくなるのを防げます。CFSの場合も、軽いストレッチをすると眠りやすくなる人もいます。

ここに取り上げた10の点は地味に思えるかもしれませんが、知っているのと知っていないのとでは、日常生活がずいぶん変わるでしょう。つまり、これらを知っているなら、病気を乗りこなすことができますが、知らないなら病気に振り回されるということです。

七海さんの八つのCS対策

続いて紹介するのは、あらかい健康キャンプ村―日本初、化学物質・電磁波過敏症避難施設の誕生のp161-164に載せられている七海さんの8つの化学物質過敏症(CS)対策です。

七海さんは、2004年7月に化学物質過敏症を発症してから、回復までの体験をホームページ七海のCS回復記で公開しておられます。この最後の8つの対策は意外にもこれまでの22の対策とほとんど重複していません。

七海さんは回復のポイントとして、早期発見、早期対策、周りの協力、情報収集、自己努力を掲ておられ、以下の8つの対策にはそれが表れています。

23.自宅でサウナをする

熱めのお湯を20-30cmほど入れて、風呂のフタをぴったりと閉め、風呂の内部を温めます。風呂のフタはからだとフタの間に隙間ができないように、半月に切るなどして工夫します。

フタから腕が出る高さにイスを調節して座り、風呂の湯気が逃げないように大判のタオルを二枚重ねて肩からかけます。夏は15分以上、冬は30分以上のサウナで大量の汗とともに化学物質を排出させます。

慢性疲労症候群(CFS)でも低温サウナ療法(和温療法)が有効であることをcfs2009aomoriさんが取り上げておられました。

和温療法について|摩訶不思議なCFSの世界 ~慢性疲労症候群~

24.早朝にジョギングをする

街の人々が活動を始めると合成洗剤や化粧、整髪料、タバコ、排気ガスなどのニオイが蔓延します。そのため、まだ空気が汚染されていない早朝からジョギングを開始します。化学物質を排出するため、サウナスーツを着用します。

慢性疲労症候群(CFS)ではなかなかジョギングまではできないかもしれませんが、化学物質を避けるという考え方は、どの病気においても非常に重要です。例えばタバコの害については以下のエントリで詳しく取り上げました。

【10/6 10/11毎日】 受動喫煙に注意! 化学物質過敏症

25.筋肉トレーニングをする

筋肉をつけることで脂肪を燃やし、脂肪に溜まった化学物質を排出するため、腹筋・背筋・腕立てふせを毎日する。細く長く続けるため、毎日10セットにとどめる。

慢性疲労症候群(CFS)でも、下半身の筋肉を保つことは大切だと言われています。無理のない範囲で筋力トレーニングをしないと、廃用性症候群デコンディショニングにより症状が悪化します。

26.自律訓練法を行う

自然治癒力を高め、免疫力を強めるリラクゼーション法である自律訓練法を行います。これは1932年にドイツの精神医学者ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツによって確立された自己催眠法です。こうしたリラクゼーション法については前半でも取り上げました。

27.毎日野菜を食べる

ビタミン類をとるために、緑黄色野菜を欠かさず食べます。またビタミンCが取れそうな野菜と果物、解毒を促してくれそうな香辛料などをジュースにして毎日飲みます。たとえば青汁やグリーンスムージーがよいかもしれません。

甲田療法で用いる飲料ー青汁と柿の葉茶について

28.化学物質過敏症日記を書く

まず化学物質過敏症になった原因を見つけるために、過去の化学物質との接点を書き出します。そして、発症してからの体調の変化とそれに関係するだろう出来事を、時間軸にそって書いていきます。「書く」ことで気持ちの整理ができ、前向きに病気に向かう気力が湧いてくるといいます。

日記をつけることは、わたしも、闘病の根幹だと考えています。有名なタスク管理の技術であるGTDを考えたデビッド・アレンはひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編 のp102でこう述べています。

「日記や日誌は、…調子のいい状態が損なわれたときに元に戻る最初のステップとして使える典型的な方法である」

29.回復対策表を作る

回復に関する対策情報を探して得たら、将来に備え、それらを「どのような内容」か「いつ」「何から得たか」がわかるように一覧表にしておきます。

わたしは、日記やWebで得た情報、これまで手に入れた紙資料をすべてEvernoteにまとめています。このブログもBlogtrottrを用いてEvernoteに保存しています。

  Evernoteは、すべての情報を一箇所にまとめられ、検索で探し出せるので、とても便利です。しかし電磁波過敏症などでPCの使用が難しいなら、ノートにまとめるほうが良いでしょう。

30.コウ・カウンセリングをする

コウ・カウンセリング(再評価カウンセリング)とはお互いに辛さや悩みを聞き合い、人生を再評価するカウンセリング方法です。時間を平等に分けて、まず自分がカウンセラーとして相手の話を聞き、次に自分がクライアントとなって話を聞いてもらいます。家族や周りの人との関係を壊すことなく協力を得るのに役立つといいます。

慢性的な病気を抱える患者同士はピア(=仲間)・カウンセリングによって支えあっていますが、さらに一歩進んで再評価カウンセリングを導入するのもよいかもしれません。

またピア・カウンセリングが同じ背景の仲間同士で行うのに対し、再評価カウンセリングは仲間に限定されません。同じ病気・障害の者同士で話していると慰められる反面、見方が狭まることもあるので、自分を広くするためにも再評価カウンセリングはよいかもしれません。

▼あらかい健康キャンプ村

書籍あらかい健康キャンプ村―日本初、化学物質・電磁波過敏症避難施設の誕生について詳しくは以下のエントリをご覧ください。

「あらかい健康キャンプ村」に見る慢性疲労症候群(CFS)治療のヒント

使うことによって役に立つ

ここま慢性的な病気と闘う30のテクニックを引用してきました。3箇所から集めたため少々まとまりに欠けますが、それぞれの病気を抱える人たちがさまざまな工夫を凝らして対処してきたことがうかがい知れます。

ただし、これらはあくまで道具にすぎません。30色セットの色鉛筆を買ったところで、絵を描かなければ絵がうまくなることは決してありません。同様に、これらのテクニックも、実践してはじめて、慢性的な病気と首尾よく闘えるようになります。

30ものテクニックがあるので、一日にひとつ当てはめて、自分に合ったものを見つけるのもよいかもしれません。慢性疲労症候群をはじめ、化学物質過敏症や起立性調節障害は対処が難しい病気ですが、わたしもこれらのテクニックを当てはめて、生活の質(QOL)を向上させていきたいと思います。

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