慢性的な病気と闘う30のテクニック(上)

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121211調べる性疲労症候群(CFS)をはじめ、化学物質過敏症や起立性調節障害などは、治療が難しい慢性的な病気です。

適切な医師にかかり、自分に合った薬やサプリメントを見つけることはもちろん大切ですが、あとは手をこまねいて、効き目が現れるのを待っているしかないのでしょうか。

そのようなことはありません。このブログでは、これまで、疲労と闘うさまざまな対策を取り上げてきました。それらは、一つ一つの効果は小さいとはいえ、組み合わせることでQOL(生活の質)を向上させることができます。

この前後編のエントリでは、慢性疲労症候群(CFS)・起立性調節障害(OD)・化学物質過敏症(CS)という、互いに関わりのある三種類の病気についての書籍から、慢性的な病気と闘う30のテクニックを紹介したいと思います。

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慢性的な病気と闘う30のテクニック 1-12

これから取り上げる30のテクニックは、別々の書籍からの引用のため、互いに重複もありますが、学べることが数多くあります。その多くは、特定の病気だけでなく、慢性的な病気すべてに応用できるテクニックです。

薬やサプリメントのように即効性はないので、ハードルが高いように、あるいは地味なように感じるかもしれませんが、慢性的な病気の場合「急がば回れ」との言葉は真実です。地道な対策の積み重ねが、生活の質(QOL)を向上させるのです。

これらのテクニックはスーパーでの買い物に似ています。すべてを買い物カゴに入れる必要はありません。自分に合っている、試してみたい、というものをぜひ、実践してみてください。

慢性疲労に対する有効な対処法

まず取り上げるのは、慢性疲労症候群(CFS)の治療に認知行動療法(CBT)を導入されたことで知られる、大阪大学 精神医学教室の岩瀬真生先生らによる疲労対策リストです。

その研究に基づき東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 精神神経科山寺亘先生らが、「慢性疲労に対する有効な対処法」としてまとめられました。

簡潔な言葉遣いで記されていますが、このブログで取り上げている対策の多くを含む、重要なリストとなっています。副見出しのみが引用部分です。

1.オーバーワークを予防する

最近、サンフレッチェ広島の優勝に貢献された森崎浩司選手は、慢性疲労症候群(CFS)と似たオーバートレーニング症候群を発症していました。慢性的な病気の人には疲れをマスクして、限界を超えて働いてきた人もいるので、オーバーワークを予防することは欠かせません。

具体的には、以下のエントリに引用している「できるできないリスト」を作るのがいいかもしれません。量や時間の要素を考慮に入れて、あらかじめ自分の限界を分析しておくのです。

これは、トラックの積載量を知ることに似ています。トラックは一台一台積載量が異なります。わたしたち慢性的な病気を抱える患者も同じです。自分の場合であれば、どれくらいの“荷”を担えるか、吟味しておきましょう。そうすれば、できることにはYesと、できないことにはNoとはっきり言うことができます。

慢性疲労症候群(CFS)と障害年金・障害者手帳についての解説

2.一日の仕事量の上限を決め、成果に基づいた自己評価をやめる

上記がオーバーワークに対する物理的な対策であるのに対し、これは心理的な対策です。慢性的な病気の患者は、一日でできることが少ないので、「きょうもぜんぜん何もできなかった」と感じてしまうかもしれません。

しかし本当に何もできていないのでしょうか。それは“できた量”に基づくゆがんだ見方ではないでしょうか。日常に見られる良かったことを探してみましょう。ぜひ以下のエントリを参考に「3 good things」の取り組みを試してみてください。

毎日ひとつ、小さな幸せを見つけて

3.仕事をいくつかの段階に分けて、中断・再開をしやすくする

To doリストを小さく細切れにすることはタスク管理の基本です。タスクが大きいままだと、上記のように「きょうもやることを一つも達成できなかった」という気持ちになります。しかし、タスクを小さく分けていると、それらを完了するごとに達成感を味わえます。

このブログで取り上げたポモドーロ・テクニックはタスクを25分ごとに分けるシンプルな手段です。達成感が増し加わるだけでなく、計画的な休息を取るのにも役立ちます。

ポモドーロ・テクニックーあなたを自由にする時間管理術(上)その4つのメリット

4.段階的な活動量の増加を図り、一過性の疲労増加にあわてない

これはいわゆる段階的運動療法(GET)の考え方です。慢性疲労症候群の人は,運動しすぎると症状が悪化する、と考えて運動を控えがちですが、必要なのはバランスです。限界をわきまえて、注意深く運動を行うなら、幸福感、作業能力、血圧などが改善するそうです。

休息と運動、慢性疲労症候群と闘う二本の柱(4)適度な運動を行う3つの方法

5.記憶の補助法を活用する

慢性疲労症候群(CFS)で困るのは、記憶力や思考力のはなはだしい低下です。だれかに自己紹介されても、その人の名前を覚えることは簡単ではありません。今しがた医者から聞いたアドバイスもすぐに忘れてしまいます。

しかし「脳機能が低下しているからわたしは何も覚えられない」とあきらめないでください。普通でない記憶力の低下には、特別なテクニックで対処すればいいのです。

まず、もっとも基本的なのは、いつもメモを持ち歩き、聞いたことをすぐに書き留める習慣を作ることです。このブログでたびたび取り上げているマインドマップも記憶や思考の整理に役立ちます。

ストレスフリーのノート術「マインドマップ」(上)―その5つのメリット

また「頭がよくなる本(日本語第4版)」の書評で少し触れましたが、世の中にはさまざまな記憶のためのテクニックがあります。少し専門的になりますが「場所法」「ペグ法」「リンク法」などで調べてみてください。

6.計画的な休息、規則正しい睡眠スケジュールの確立

慢性的な病気の人の多くは、睡眠障害も併発しています。しかし休息や睡眠は、少ない体力を回復させるのに欠かせません。睡眠リズムが乱れている場合は睡眠相後退症候群(DSPS)についての知識が役立つと思います。

夜眠れず朝起きられない「睡眠相後退症候群(DSPS)」にどう対処するか(4)診断と治療

7.特別な努力を要さない余暇活動を楽しむ

気分転換やストレス解消、リラックスのための時間を持とう、というのはお決まりのアドバイスです。しかし、症状が重い患者の場合、疲れないレクリエーションを見つけるのはかなり大変です。体力を使うこと、頭を使うこと、目を使うことはあまり好ましくありません。

ではどんなレクリエーションが良いのでしょうか。

慢性疲労症候群とよく似た症状が現れる腱膜性眼瞼下垂症についての本まぶたで健康革命―下がりまぶたを治すと体の不調が良くなる!?には、伏し目がちに行う作業が副交感神経を活性化させることが書かれています。

それにはたとえば、編み物や茶道・華道・書道、簡単な読書や料理が含まれます。

8.リラクゼーション法の習得

以下のエントリで取り上げたように、自律訓練法漸進的筋弛緩法などの特別なリラクゼーション法を学ぶのは効果的です。祈りや瞑想の習慣も心身をリラックスさせるのに役立つかもしれません。

休息と運動、慢性疲労症候群と闘う二本の柱(2)休息をとる3つの方法

ウィスコンシン州立大学のfMRIを用いた研究では、8人の仏教僧が瞑想を始めると、脳の幸福に関する部分が、否定的な感情に関する部分の活動をかき消し、知覚と情報の統一に関わるガンマ波が増幅したそうです。

9.身体症状への過剰なこだわりは予後を悪化させる

慢性疲労症候群(CFS)の場合、「身体的要因に原因を求める患者のほうが症状の数が多く…予後が悪い」そうです。心身は切り離せないものであることを認め、認知行動療法(CBT)など精神医学的な助けも受け入れたほうがよいでしょう。

慢性疲労症候群の治療に抗うつ薬は使うべきか

追記:疲れる理由―現代人のための処方せんのp91に載せられているロンドンの研究によると、病気の原因をどう考えるかは予後に影響しないとも言われています。

10.ストレスと身体症状との関連を自覚する

医学は“心身相関”といって、精神的なストレスが器質的な疾患を引き起こし、その逆も生じうることを明らかにしています。現代病全体の半分以上には心身症的な原因がある、と述べる医者もいます。

例えば、脳と疲労 ―慢性疲労とそのメカニズムp43によると、極度のストレスにより、前頭葉が萎縮したり、認知行動療法(CBT)によって萎縮が回復したりするそうです。

また積極的な考え方によって薬の効果が高まるプラセボ効果や、それとは逆の現象として、消極的な感情によって薬の効果が弱まるノセボ効果はよく知られています、

身体症状すべてがストレスによって引き起こされているということはないですが、心の状態を安定させれば、多少なりとも症状は和らぐはずです。

11.怒り・落胆・自責感などの感情に建設的な考えで対処する

この建設的な考えとは、「まぁ、いいか」と考えをそらすことではありません、むしろ、確かな根拠に基いて自分を説得し、納得させることです。

そのためには物事を見る角度を変えてみるリフレーミングが役立ちます。これは認知行動療法(CBT)の基本的なテクニックです。

ポジティブ・シンキングではなくリフレーミングをしよう

12.医療関係者・家族・友人などに対して、適切な自己主張や病気の説明をする

この最後の点は慢性疲労症候群(CFS)の患者にとってきわめて大切です。わたしたちが首尾よく闘病するには、医療関係者・家族・友人など、周囲の人たちの協力を得ることが欠かせないからです。

慢性疲労症候群(CFS)で思考力が低下している中、適切な自己主張や病気の説明をするのは簡単ではありませんが、役立つ点をCFS患者の会話の助けのカテゴリにまとめています。近日中に具体的な記事を追加するつもりです。

ひとつひとつ積み重ねる

まずは慢性疲労症候群(CFS)の観点から12の点を考えました。どれもシンプルなアドバイスですが、じっくり考えて実践するだけの価値があります。

土のうは一つ積んだだけでは、それほど効果がないかもしれません。しかしいくつも積み上げるなら、台風や大雨による浸水から家を守ってくれます。

こうした疲労対策テクニックも、それと似ています。病気という嵐そのものを過ぎ去らせることはできませんが、多く積み重ねるなら、自分の生活への破壊的な影響を食い止めることができます。生活の質(QOL)を守ることができるのです。

後半では、起立性調節障害(OD)についての書籍起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブックと、化学物質過敏症(CS)についての書籍あらかい健康キャンプ村―日本初、化学物質・電磁波過敏症避難施設の誕生から、さらに18の点を取り上げたいと思います。

 

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