脚以外もむずむずする「レストレスレッグス症候群」とは?(下)検査法と薬物治療、痛みや疲労との関係

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をはじめ、全身のさまざまな部分に、むずむずするような耐えがたく、形容しがたい不快感を感じることがありますか? それはレストレスレッグス症候群(RLS)かもしれません。(※米国では名称がウィリス・エクボム病へ変更されつつあります)

はてなブックマーク - II: 睡眠時随伴症|子どもの睡眠と発達医療センター|兵庫県立リハビリテーション中央病院前半のエントリでは、レストレスレッグス症候群(RLS)の症状と原因を取り上げました。レストレスレッグス症候群は、単に脚がむずむずするという病気ではなく、形容しがたい不快感を伴い、生活の質(QOL)が大きく低下します。そして脚以外にも症状が表れます

後半となるこのエントリでは、おもに脚がむずむずしたら読む本―眠れない…イライラする…むずむず脚のカラクリ-ウィリス・エクボム病の登場に基づいて、レストレスレッグス症候群の検査法と治療法、そして、慢性疲労や慢性疼痛との関係について取り上げたいと思います。

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レストレスレッグス症候群の検査

むずむず脚症候群は、なかなか周りの人に理解してもらいにくい病気ですが、適切な検査をすれば異常が確認できます。検査には以下のような方法が用いられます。(P62-67)

下肢指示不動検査(SIT)

下肢指示不動検査(SIT:Suggested immobilization test)はカナダの研究者により開発された検査です。夜間の60分間、目ざめている状態で、座椅子に座って安静にし、5分間隔で不快感の評価を行ないます。

終夜睡眠ポリグラフ(PSG:polysomnography)

終夜睡眠ポリグラフ(PSG:polysomnography)は睡眠中の脳波、眼球や筋肉の動きなどから、周期性四肢運動障害の有無を調べる検査です。一泊入院が必要です。

アクティグラフ

アクティグラフとは、腕時計型の加速度計のことです。慢性疲労症候群(CFS)の検査などにも使われます。脚に装着して、運動の程度を調べるので、家庭でもできるという利点があります。

血液検査

鉄分を貯めておくタンパク質である血清フェリチンの値を調べ、鉄分が欠乏しているかどうかを判断します。もし欠乏しているようなら、鉄の運搬機能に問題が生じていることになります。

遺伝的な要素の調査

若年発症の場合は遺伝が大きな要素を占めるので、家族に発症者がいるか調べます。

薬を試す

他の病気と紛らわしい場合は、治療薬であるドパミンアゴニストが効くかどうかで判断できます。むずむず脚症候群であれば、多くの場合、比較的少量ですぐに症状が消失します。ただし、一部には薬剤抵抗性のむずむず脚症候群もあります。

鑑別する

以下のような病気ではないことを確かめます。(P68-69)(p144-151)

アカシジア:向精神薬の副作用で起こるむずむず感。日内変動がない。
夜間下肢痙攣:こむら返りが生じる
痛む脚と動く足趾症候群:起きている間も足が動いて痛む
抹消神経障害や血管障害:動いていても痛みや不快感がある
体位性不快症状:横になったときだけしびれや不快感が出る
皮膚炎:脚の内側ではなく、表面に不快感がある
静脈瘤:一般に静脈瘤と診断されている脚の不快感は、じつはむずむず脚の治療で治ることがある

レストレスレッグス症候群の治療法

治療には薬物療法と非薬物療法があります。(P78-109)

薬物療法

ドーパミン系:
治療の主体としては、ドパミンアゴニスト(プラミペキソールなど)やLドーパなど、パーキンソン病に用いられるドーパミン系の薬剤をおもに使います。

Lドーパは即効性がありますが、治療開始後数ヶ月で症状が重くなる症状促進現象(オーグメンテーション)、症状が出るのが夜ではなく朝型にずれ込む反跳現象という副作用があります。ただし頓服的使用であれば問題ありません。

ドーパミンアゴニストは、効き始めるまでの時間に個人差があり、就寝の何時間前に飲むとよいか見極め、タイマーをかけておくなどします。Lドーパほどではないものの、長期使用により、時折オーグメンテーションが生じて逆に悪化するので注意が必要です。

痛みが強い場合:
後述する線維筋痛症のような、痛みが強い症例の場合は、抗てんかん薬(ガバペンチンなど)、オピオイド鎮痛薬(トラマドールなど)も使われます。

鉄欠乏か明らかな場合:
妊娠による鉄欠乏などが原因の場合は、鉄剤、エリスロポエチンなどが使用されます。

最近レストレスレッグスへの保険適用が承認された3種類の薬、プラミペキソール(ビ・シフロール)、ガバペンチン・エナカルビル(レグナイト)、ロチゴチン(ニュープロパッチ)については以下のエントリをご覧ください。

貼り薬ニュープロパッチでは、長期使用による症状悪化(オーグメンテーション)がほとんど起こらないといわれています。

small【12/21 日経】むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の新しい薬

レストレスレッグスはしばしばうつ病や不眠と誤診されますが、抗うつ剤、抗精神病薬、睡眠薬、抗ヒスタミン剤を服用するとかえって悪化するそうです。

非薬物療法

次のような工夫が効果的です。

◆カフェインを含むコーヒー、紅茶などの刺激物、アルコール、たばこを避ける
◆激しい運動や、極端な安静をしない
◆マッサージなど理学療法を試みる
◆鉄分の不足しない食生活を試みる
◆可能なら寝る時間をずらす
◆足を温めたり冷やしたりする

これらの薬物・非薬物治療により、症状の重さ、期間にかかわらず、90%以上の患者に改善が見られるそうです。またRLSと診断された人の半数以上は二年以内に症状がなくなるといいます。ただし、完治は困難とされています。

慢性疲労・慢性疼痛との関係「中枢性過敏症候群」

最後に、慢性疲労症候群(CFS)との関係性について考えてみたいと思います。

慢性疲労症候群(CFS)について書かれた幾つかの文献において、レストレスレッグス症候群は、症状のひとつや関連疾患として挙げられています。

たとえば10年以上前の本、疲れる理由―現代人のための処方せんの中では、不穏下肢症候群という名前で紹介されています。

小児慢性疲労症候群(CCFS)を診ている兵庫県立リハビリテーション中央病院の小児睡眠外来でも、レストレスレッグス症候群の検査や治療が行われています。

II: 睡眠時随伴症|子どもの睡眠と発達医療センター|兵庫県立リハビリテーション中央病院

  また慢性疲労症候群(CFS)と非常に関わりが深い病気である慢性疼痛を特徴とする病気、線維筋痛症(FMS)の場合も、しばしば関係性が指摘されています。線維筋痛症がわかる本―原因不明の痛み、治らない痛みに悩んでいるあなたへのp157にはこうあります。

「線維筋痛症の患者さんの31%はむずむず脚症候群を合併するという報告や、女性の線維筋痛症の患者さんの64%近くはむずむず脚症候群を合併するという報告があります」

線維筋痛症診療ガイドライン〈2011〉にも同様の記述があり、「むずむず脚症候群の治療薬の線維筋痛症への有効性の報告もあり,ドーパミンとの関係を検討することも必要であると示唆される」と書かれています。

特に線維筋痛症の場合、症状が脚だけでなく全身に広がることが多いとされています。ですから、もしかすると、CFSやFMSの患者がうったえる不快感とレストレスレッグス症候群は関係があるかもしれません。

前述のメカニズムの項で、レストレスレッグス症候群は、軽微な刺激をシャットアウトする脳の領域が働いていないのではないか、という説を紹介しました。慢性疲労症候群や線維筋痛症、化学物質過敏症も同様に、本来認識しないはずの軽い刺激で、疲労や激痛やアレルギー反応を感じてしまうと言われています。

線維筋痛症がわかる本の著者、戸田克広先生は、海外にはレストレスレッグス症候群を含むこれらの病気をひとくくりにした中枢性過敏症候群(CSS)という概念があることを書いておられます。一定の閾値(反応を引き起こす最低の限界値)に達しない刺激に反応してしまうほど、中枢神経が過敏になっている状態のことをいうようです。

いずれの病気にしても、まだ研究途上なのではっきりしたことは言えませんが、根底の部分で、似通ったところがあるのかもしれません。

▼レストレスレッグス症候群(RLS)についてさらに知りたいなら

今回、レストレスレッグス症候群(RLS)についてまとめたこのエントリの大部分は以下の2つの書籍に基づいて書きました。

一つ目の脚がむずむずしたら読む本―眠れない…イライラする…は医学的な知識がなくても読みやすい優れた本です。 病気について説明する本はかくあるべきだと思わせる魅力的な構成とレイアウトが光ります。

著者である神経研究所附属睡眠学センター長の井上雄一先生のサイトはこちら
むずむず脚解消ナビ - 脚の不快感で眠れないことはありませんか? 
むずむず脚症候群・お役立ち情報サイト|Muzmuz.jp

2つめのむずむず脚のカラクリ-ウィリス・エクボム病の登場は、むずむず脚症候群の海外の研究の歴史などをまとめた久米クリニックの久米明人先生の本です。むずむず脚症候群を取り巻く話題や、研究に貢献してきた人たちなどがまとめられています。原因や治療法なども一通りわかる興味深い読み物です。

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