若いのに席を譲れない―見た目で分からない病気への対策

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た目は健康そのものだけれど、病気ゆえに席を譲れない。事情を説明すると、「何言うてんねん。若いんやから元気や」と非難される。

若くして病気になった人の多くが直面する典型的な悩みについて、起立性調節障害の高校生の方が相談している記事が年初ごろに掲載されていました。わたしも経験したことなので、記事にしておこうと思います

朝日新聞デジタル:〈悩みのるつぼ〉席を譲ることができない私

 

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若いんやから元気や」

この記事に出ている16歳の高校生の方は起立性調節障害(OD)を抱えています。起立性調節障害(OD)は以下の記事を見ていただければわかりますが、無理を強いて立っているとひどい苦痛を感じ、気を失ってしまう場合さえある病気です。

はてなブックマーク - 朝日新聞デジタル:〈悩みのるつぼ〉席を譲ることができない私朝起きられないもう一つの病気「起立性調節障害(OD)」にどう対処するか(上)

 しかしとても困ったことに、外見からはまったく病気に見えません。記事の中で、このような悩みが語られています。

でもバスや電車で一緒になった人たちにとって私は、どこにでもいる10代の若い子。

…お年寄りに申し訳ないと思いつつ、座席に腰掛けている私に「あんた、若いのに何座っとんねん。席ゆずりなさい」とおじちゃん、おばちゃんは言います。

貧血で突然倒れるかもしれない、しんどいので座らせてもらってるんですと、勇気を出して言ってみたら「何言うてんねん。若いんやから元気や」と余計怒られてしまいます。

世の中には私みたいな人や心臓などが悪い人、様々な理由で立ちっぱなしの状態を避けなければいけない若者もいるはずです。

これと似た状況が、産んでくれてありがとう―笑顔で生きる2歳児から高校生までの難病の子どもたちにも出てきます。その場合も、席を譲るよう非難されて、自分の病気を説明していました。

詳しく思い出せませんが、ほかの本でも読んだ覚えがありますし、身の回りでもそうした悩みを聞きます。若くして見た目には分からない病気を患うと、ほぼ間違いなく直面する悩みではないでしょうか。

この記事のように直接非難されない場合でも、周囲の目が気になって、電車やバスがストレスになる、ということもあると思います。

このブログでも、過去の記事でわたしの経験を取り上げました。

small見た目は元気そうだから。慢性疲労症候群(CFS)独特な問題(上)

 

説明するだけで十分?

朝日新聞の記事では、経済学者の方が、 井上ひさしの『父と暮らせば』という戯曲を引き合いに出して、「他人から見えない病気が原因で自分の気持ちが切り裂かれる」ことに理解を示しています。

そしてこうアドバイスしています。

「なぜ譲らないか」と言う人に「貧血で……」という以上に、「私は起立性調節障害がある」とはっきり説明する方法もあります。

…一般的に自分から見ず知らずの人に病名を言うのは非常に勇気がいる行為ですね。もちろん苦痛に無理に耐える必要はなく、あなたには座る権利があります。

確かにそれはひとつの方法だと思います。

このブログでは、シリーズ記事CFS患者の会話の助けとして、自分の病気について上手に説明する方法を書いてきました。しかし、それは聞く耳を持つ人に対するものです。

面識もない若者に席を譲るよう求め、しかも公の場で非難するような相手の場合、はっきり説明したところで、聞く耳を持つとは限りません。障害者手帳などを持っていれば別ですが、ここで問題にしている起立性調節障害や慢性疲労症候群ではそうした手段は使えません。

それに病名を告げる勇気を持ったところで、だれかから非難されるかもしれない、というストレスそのものが避けられるわけではありません。

何より慢性疲労症候群の場合は、とても誤解されやすい病名です。病名を告げることは大切ですが、相手は慎重に選ぶように、というのがわたしの意見です。公然と非難するような相手はまず病名を告げるべきでない相手です。

その点は以下の一連の記事で書きました。

smallだれに対して慢性疲労症候群(CFS)をカミングアウトすべきか(上)

 

 起立性調節障害と慢性疲労症候群の事情が同じとはいえません。たいてい起立性調節障害は成長期を過ぎればなくなっていくので、軽い症状の場合はこの経済学者の方のアドバイスで十分なのかもしれません。

しかしわたしとしては物足りなく思います。勇気をもって病名を告げる、堂々と席に座っていればいい、という意見は正論ですが、実際に悩んでいる人は、それくらいのことはすでに考えているものです。気持ちの持ちようでどうにかなる問題ではありません。

視覚に訴える対策をする

どんな対策を講じるかは人それぞれですが、わたしの過去の記事では、「視覚に訴える」対策を提案しました。ただの健康な若者だと誤解されないよう、目に見える手段を講じるわけです。

たとえば、マスクをつけるだけでも、少し印象が変わるかもしれません。慢性疲労症候群(CFS)の場合は、免疫力が下がっていますし、化学物質過敏症の傾向があったりするので、マスクをつけることは体調管理にも役立ちます。

さらに、学生の場合は難しいかもしれませんが、わたしの場合は、学校に行けなくなってから、を使うことにしました。

若くして杖をつくことにはもちろん抵抗がありました。それでも、元気そうに見られるのがよいか、病気を持っていると意識してもらえるのがよいか天秤にかけたときに、実際に病気なのだから、病気を分かってもらえるほうが良い、と結論しました。

それに、いつも席に座れるとは限りません。座れなかった場合に、体力的な問題を乗り切るために杖が必要でした。

さすがに、年配者が持っているようなステッキは似合わないので、登山に使うような、トレッキングポールを使うことにしました。わたしが杖を使い始めたのを機に、周りのCFSやFMの友人たちも杖を使うようになり、体力面はもちろん、心理面で楽になったと言っています。

杖のせいで足腰が悪いのか、と思われることが多くなりましたが、ただの健康な若者と見られるよりよほどましです。足腰ではなく全身に問題があるという点は、CFS患者の会話の助け ~こう言われたら~に書いたような方法で説明できるからです。

また自分の病気について書かれた簡単な資料を携帯しておき、説明するときに見せれば、説得力が高まる場合もあるかもしれません。

最後に、ひとつ付け加えるなら、病名を告げて、しっかり説明しておくべきなのは、非難してくる相手というより、身近にいる友だちのほうではないかと思います。

なかなか言い出しにくいのは確かですが、事情を知っている周りの人たちは、問題が生じたときに力になってくれるものです、

対策はどうしても必要

もちろん、病気の種類や症状の度合いによって、対策の立て方は人それぞれだと思います。しんどいのは確かだけれど、だれにも病気のことを知られないようにしたい、と考える人もいます。わたしの若年性パーキンソン病の友人はそうでした。

どのような方法が良いとは一概に言えませんが、若くして見た目には分からない病気にかかった人が、独特の問題に直面するのは確実です。決して避けて通ることはできません。

闘病の苦痛に加えて、心理的ストレスを抱え込まないために、上手に説明することであれ、視覚に訴えることであれ、あらかじめ何らかの対策を講じておくのは、どうしても必要なことではないかと思います。

▼起立性調節障害と慢性疲労症候群

両者の関係や違いについては以下のエントリをご覧ください。以前の内容をわかりやすく訂正しました。

小児慢性疲労症候群(CCFS)と起立性調節障害(OD)ー何が違うか(上)

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