自分でも気づいていない睡眠不足が抑うつと不安を強めるという研究―子どもの不登校は本当に心の問題?

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立精神・神経センターの三島和夫部長が、睡眠不足の影響について語る記事が掲載されました。

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先日のエントリで取り上げた、5日間の睡眠不足がうつ状態をもたらすという研究や、16時間以上起きていると、酒気帯び運転のアルコール濃度に等しいほど判断力が低下するといった事例が挙げられています。

このエントリでは、三島部長の言葉をヒントにして、特に、子どもの睡眠不足が慢性疲労症候群(CFS)につながるのはなぜか、どうして不登校、心の問題とみなされてしまうのか、といった点を考えます。

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子どもの睡眠不足は何をもたらすか

このブログでは、慢性的な睡眠不足症候群(BIISS)が一因となって発症する子どもの慢性疲労症候群(CFS)について書いていますが、以下の三島部長の指摘は一考に値します。

睡眠不足を5日間続ける実験で、不安や抑うつが強まる脳神経の仕組みを解明した。

ネガティブな感情を引き起こすものに対し、脳の左扁桃体という部分の活動が増大、正常ならこれを抑制する別の部分がうまく連動せず、効果的に調節できないことが分かった。

…実験のような寝不足が続く場合、ポジティブは抑制でき、ネガティブだけが抑えられないという。

「社会人の場合、睡眠不足になるということは、仕事のストレスなどネガティブな感情の刺激を他にも同時に受けていると考えられるので、より注意が必要」と指摘する。

睡眠不足が続くと、さまざまな心身のストレスへの抵抗力が弱くなる、ということがわかります。ここでは社会人について書かれていますが、学校社会に生きる子どもの場合も無関係とはいえません。

慢性疲労症候群(CFS)は、さまざまなストレス(ウイルスや化学物質も含む)が重なりあって、脳機能が破綻する病気とされています。慢性的な睡眠不足があれば、心身のストレスから受ける脳のダメージが拡大し、閾値を超えやすくなるのではないかと思います。

ちなみに子どもの慢性疲労症候群(CFS)は過眠になるのに対し、うつ病は不眠になるそうです。うつ病の場合は、深睡眠を少なくすることで、自己治癒を試みているという説があり、断眠療法が効果を発揮することがあります。他方、子どもの慢性疲労症候群では断眠は禁忌です。

睡眠不足が気づかれない理由

さらに三島部長はこう述べています。

実は「眠気が強いはずでも自分では分からない人が一定数いる」。子どもや高齢者に多く、睡眠障害の患者でも非常に多いという。

おそらくわたしがそうだったと思いますが、連日忙しすぎてひどく睡眠が不足していても、ちょっとうつらうつらすると目を覚ますことができるので、睡眠不足とは感じていませんでした。

つまり、子どもの場合、慢性的な睡眠不足症候群(BIISS)に気づかない→知らず知らずのうちに、普通以上のストレスに暴露する→ある日突然、あるいは徐々に脳機能が破綻する というパターンで、慢性疲労症候群(CFS)を発症することがあるのではないでしょうか。

このような子どもは、たとえ慢性疲労症候群(CFS)を発症して不登校になったとしても、睡眠不足の生活を続けた自覚がないので、睡眠に原因があったとは考えないでしょう。

そのため、本人は、なぜ体調が悪くなったのか理解できず、家族や学校は単なる「不登校」と見なすしかなくなります。

わたしの例のように、家族がもともと子どもの睡眠不足に気づいて心配しているケースもあるでしょうが、成長期の睡眠不足が、脳にダメージをもたらすことはあまり知られていません。たとえ睡眠不足に気づいていても、慢性疲労症候群(CFS)と結びつけて考えることはほとんどないでしょう。

日本の社会は、睡眠は大切だが、忙しければ削っても差し支えない、休みの日にゆっくり寝ればいい、という程度にしか考えていません。

その結果、子どもの慢性疲労症候群(CFS)という深刻な病気が、不登校という“心の問題”の海に溺れ、深刻な問題と受け止められないまま、月日が過ぎていきます。

カウンセリングを繰り返しても、まったく効果がない…、大半の不登校児が社会復帰を果たすころになっても、うちの子は引きこもっている、何かがおかしい…、と思うころには、子どもの心身の傷は深すぎて取り返しがつかなくなっているのです。

心の問題、原因不明、仮病とみなされるのは、大人と子どもの別なく、すべてのCFS患者に共通する悲劇的な問題です。CFS、あるいはME、CFIDS、そして他のどんな病名が用いられるにしても、この病気は、もっと人々に知られなければならないと思います。

▼国立精神・神経センターの研究成果

国立精神・神経センターの三島和夫部長の睡眠の研究については以下も参照してください。

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