病気のもとで災害をくぐりぬけるために

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害が襲った時に助かるのはどんな人でしょうか。善人でしょうか。悪人でしょうか。

そのどちらでもありません。警告に注意を払い、準備していた人です。

多発性硬化症の方が、東日本大震災の経験とその後について話す記事が掲載されました。難病患者が災害のとき、どのような困難を経験するかがありありと書かれています。

このニュース記事や他のニュース記事を通して、病気を抱える人が災害に備えるということについて考えたいと思います。

難病カルテ:患者たちのいま 被災地/1 宮城・多発性硬化症 /佐賀- 毎日jp(毎日新聞)はてなブックマーク - 難病カルテ:患者たちのいま 被災地/1 宮城・多発性硬化症 /佐賀- 毎日jp(毎日新聞) NYC Wedding, New York Corporate Event, Documentary Photographer - Ayano Hisa | 第一回:”震災と難病” — Part 1: "The earthquake and Intractable Disease"はてなブックマーク - NYC Wedding, New York Corporate Event, Documentary Photographer - Ayano Hisa | 第一回:”震災と難病” — Part 1:

 

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みんな大変な時なのに」

記事によると、この方は多発性硬化症で視力をほぼ失い、視界も9割欠損しています。多発性硬化症は慢性疲労症候群と比較されることもあるので、そのほかの部分にもさまざまな症状があると思います。

【12/23】多発性硬化症(MS)―外見では分からない【12/23】多発性硬化症(MS)―外見では分からないはてなブックマーク - 【12/23】多発性硬化症(MS)―外見では分からない

日常生活さえ苦しい難病患者が、非日常の災害に巻き込まれる場合、心身へのダメージは計り知れないものがあります。災害時には、健康な人たちも余裕がなくなるので、病気の人は冷たくあしらわれがちです。たとえばこう書かれています。

避難者で水くみや掃除の当番を決める、という提案が出たことがあったが、1人で作業することに不安があり、参加できなかった。

病気を説明しても「年寄りでも仕事をするのに何もしないのか」「みんな大変な時なのに」となじられた。

難病指定されている多発性硬化症でこのありさまなら、慢性疲労症候群(CFS)や起立性調節障害(OD)といった、あまり大変そうに聞こえない病名で診断されている若い人はどのような扱いを受けるのだろうと不安になります。

このブログでは取り上げませんでしたが、災害時の難病患者の苦労は、昨年のニュース記事でも説明されていました。こちらはパーキンソン病や線維筋痛症について書かれています。

つなごう医療 中日メディカルサイト | 災害時に孤立しがちな難病患者 「手帳」で情報伝えよう

神経伝達の異常で手足の震えや歩行困難になるパーキンソン病の40代の双子の男性が、同県郡山市の駐車場に止めた軽ワゴン車内で約1カ月間も孤立していた。

震災直後に避難所に身を寄せたが、周囲から「気持ち悪い」「死ねばいい」と言われ、行政職員や医師に何度も個別対応を求めた。

だが、聞き入れてもらえず不信に陥り、車の中で人目を避け続けるようになった。

見た目でわかる病気であれ、分からない病気であれ、災害時に受ける心理的苦痛は深刻なようです。それに加え、各患者会がすでに取り組んでいますが、病気によっては、薬の確保や人工呼吸器の電力供給などの問題もあります。

あらかじめ備える

上記のニュース記事では、事前にできる対策が2つ挙げられています。

インターネットによる対策:
日本希少難病患者災害支援対策機構(JDRD)はインターネットを介した「災害手帳登録システム」を設けています。インターネットを介して病名や薬歴、緊急連絡先、介護の留意点などを保存するので、情報を紛失する恐れがなく、必要なときに参照しやすいのが強みです。

日本希少難病患者災害支援対策機構

マイ災害手帳による対策:
愛知線維筋痛症患者・家族会エスペランサは、情報を書いた携帯用「マイ災害手帳」もつくるよう勧めています。こちらは携帯用なので、災害や事故に遭っても、適切な医療や支援につながりやすくなるといいます。

「My災害手帳」を携帯しよう - 中山圭子の難病ブログ - Yahoo!ブログはてなブックマーク - 「My災害手帳」を携帯しよう - 中山圭子の難病ブログ - Yahoo!ブログ

その他の対策:
ニュース記事の経験談を見ると、被災時には適切な医療を求めるだけでなく、病気を理解してくれる身近な人と連絡をとる必要があることも分かります。

個人としてできることとして、必要な情報や連絡先リストをクラウドサービスで管理することや、SNS(TwitterやFacebook)を通して、自分の状況を発信することは役立つかもしれません。また、普段から、地域社会に友人を持って、孤立しないようにしておくことも大事です。

もちろん、一般に推奨されている対策として
◆家族や友人と話し合って、落ち合う場所を決めておく
◆災害伝言ダイヤル171の体験利用で練習しておく
◆非常時持ち出し袋を用意しておく
◆食料や水を道理にかなった範囲で備蓄しておく
◆家具の転倒防止(突っ張り棒ではなく金具)
などの点にも留意しておくことは欠かせません。

非常時の持ち出し品・備蓄品チェックリスト - 日本赤十字社 東京都支部はてなブックマーク - 非常時の持ち出し品・備蓄品チェックリスト - 日本赤十字社 東京都支部 災害用伝言ダイヤル(171)|災害に対する取り組み|NTT西日本はてなブックマーク - 災害用伝言ダイヤル(171)|災害に対する取り組み|NTT西日本

わたし自身も、対策を心がけていますが、ここに挙げた対策であれ、個人でできるその他の対策であれ、災害に備えておくことは生き延びるための最重要事項です。

生き延びることには意味がある

災害時には、一般に、人々の絆や助け合いについて報道されます。しかし実際に災害に直面すると、そのような美談ではすまされない過酷な状況に直面します。健康な人の場合は助け合いで乗りきれるとしても、わたしたちの場合は事情が異なります。

災害は健康な人にとってさえ過酷ですから、難病の患者にとっては、どれだけ準備しても十分とはいえません。人一倍苦しい経験をすることは避けられないでしょう。

しかし、病気を抱えていても、首尾よく災害を乗り切ることには意義があります。最初に取り上げた多発性硬化症の方は、こう述べていました。

月2、3回、仙台市の宮城県難病相談支援センターで同病患者らの電話相談に応じるボランティア活動にやりがいを感じている。

「私と話すことで、少しでも安らぎを感じてくれる人がいる。震災があって多くを失った生活で、生きていることを感じられる場所がある。必要とされているって」

災害のとき、病気の人の気持ちを分かってあげられるのは、同じ病気の人しかいません。健康な人には健康な人の居場所があるように、病気の人には病気の人の役割が必ずあります。

自分のためにも、大切な友人のためにも、わたしたちは普段から災害に備えておくことが大切です。災害を生き延びるために、今準備することには大きな価値があるのです。

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