賢い患者になるためのライフハック―「現代の養生訓」

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はてなブックマーク - ホーム|ねむログ気の数は、この世界にいったいどれだけあると思われますか?

昔の人は「四百四病」と表現しました。それだけでも十分多い数です。

しかし病気の数が “わずか” 400程度でないことは、今やだれでも知っています。では、どれだけあるのでしょうか。 4000でしょうか。10000でしょうか。

いいえ、300000以上です。これほど病気が多ければ、医師がすべてを知らないのも当然です。病気を治すには、ただ医者だけに任せているわけにはいかない時代になりつつあるのです。

病気と闘うには、わたしたち一人一人が工夫し、賢い患者とならなければなりません。書籍現代の養生訓―未病を治すから賢い患者となるための3つのポイントを紹介したいと思います。

▼シリーズ記事「小児CFSの本」

小児CFSの本では、子どもの慢性疲労症候群に直接言及している本を紹介しています。

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これはどんな本?

徳川家光の統治下にあった1713年、戦国時代が終わって平和が訪れ、人々はどうすれば健康に長生きできるかを考え始めました。

そこへ登場したのが貝原益軒(かいばら えきけん)という83歳の医師によって書かれた養生訓。全8巻からなるこの本は、まさに民衆のニーズと合致していたので、人口に膾炙し、ロング・セラーとなって読み継がれました。

この養生訓は、単なる健康書ではありませんでした。価値観や人生観を盛り込み、楽しく長生きするためのさまざまな工夫が記されていました。生活習慣やメンタルヘルスにも踏み込んだ、現在で言うライフハック書籍だったのです。

今回紹介する現代の養生訓―未病を治すは、その貝原益軒の養生訓にあやかり、現代に役立つ生活上のアドバイスをまとめようとして書かれた書籍です。30人以上の専門家が、さまざまな分野の健康についてまとめています。

編著者の橋本信也先生は日本疲労学会で第一回総会会長を務めた方です。その関係か、渡辺恭良先生が疲労の科学について(p84-93)、友田明美先生が小児慢性疲労症候群について書いておられる(p202-211)ので、慢性疲労症候群患者にとっては、それなりに価値のある本だと思います。

賢い患者となるための3つの方法

第8章(p235-273)には、日頃の健康管理として、わたしたちが賢い患者となるためのアドバイスが書かれています。特に、西山悦子教授が書いている医療と賢く付き合うための3つのポイントを紹介したいと思います。

1.自分で情報を集める

病気について診察室での医師からの説明を待つだけでなく、事前に病気について調べておくことが必要です。 (p269)

わたしの知り合いの冬季うつ病だという人がいるのですが、「症状がそれらしくないから、もしかしたら違う病気ではないか」と尋ねたことがあります。すると、「医者にすべて任せてあるし、医者がそう言っているのだから、その病気で間違いない」と反論されました。

このような医者にすべておまかせ、という考え方はパターナリズム・モデル(家長的権威主義)というそうです。戦後の日本では、感染症が蔓延したため、医師は適切な抗生物質で治療するスーパーマンでした。「医師にお任せ」という医師-患者関係が一般的でした。

しかし、今や感染症ではなく生活習慣病がメインの時代になりました。「医者にお任せ」の態度ではなく、医師と患者が協力して治療することが求められるようになりました。これをパートナーシップ・モデルというそうです。

現在の医療の主流はインフォームド・コンセント、つまり「患者が主役の医療」です。治ることを前提として「無条件に医師にお任せ」でなく、メリットもデメリットも納得した上で医療を選ぶのです。(p247)

有名な医療誌の編集長フランツ・インゲルフィンガーは「病気の11%は医療によってよくなり、9%は悪くなり、残りの80%は変わらない」と述べました。「医師にお任せ」では11%しか治りません。

いつまでたってもパターナリズム・モデルから抜け出せない古い医師に自分を委ねるのではなく、病気についてよく調べ、優秀な医師を探すのは患者の責任です。

わたし自身「医者におまかせ」だったら、今ごろ薬漬けの引きこもりになっていたでしょう。関連書籍やインターネットの情報を積極的に調査し、自分で知識を得るのは、治るために欠かせません。

2.自分の病歴を記録する

医師に伝えるためのものは、用紙で1-2枚に簡潔にまとめます。病歴と現在の治療経過の流れを数行程度の箇条書きにします。

…医療について自分が希望することも書いておくと良いでしょう。 (p269-270)

一億総病人時代と言われる今日、診察時間はわずかです。CFS患者には会話が難しい人も多くいます。少しでも医師から実りある情報を引き出すために、自分の状況をしっかりまとめておくと、とても役立ちます。

わたしの友人のCFS患者は、診察までに、ここ2、3ヶ月の体調の変化や感じたこと、できごとなどを読みやすいレポートにしてまとめていました。

わたしの場合はそこまでする根気はありませんが、発症前後のようすや、CFSになってからの経過を年ごとに箇条書きにしてまとめています。前回からの経過や、質問も箇条書きにしていて、担当医に読んでもらっています。

書かなくてもわかっている、と考えるのは禁物です。思いついたことはしっかりメモしておかないと忘れますし、一人でいるときは覚えていても、会話するときには思い出せないかもしれません。

何より書きだしたメモを読んでもらうほうが口頭で話すより多くの情報を伝えられます。結果的に短い診察時間を目いっぱい有効活用できるのです。メモを読んでくれない医者もいますが、あまりよい医者とは言えないのではないかと思います。

▼睡眠記録表と成長曲線

日々の睡眠記録表と、幼少時からの成長曲線をつけておくことも役立つかもしれません。この2つは小児慢性疲労症候群の診察の前に必ずつけておくことになっています。

わたしの場合、初めのころ睡眠相後退症候群(DSPS)と診断されていたのが、長い期間つけた睡眠記録表によって、じつは非24時間型睡眠覚醒症候群(non-24)だとわかりました。また成長曲線によって、思ってもみない時期に発症の素因があったこともわかりました。

睡眠記録表と成長曲線をWEB上でつけるには、以下のサイトがお勧めです。

ホーム|ねむログはてなブックマーク - ホーム|ねむログ 成長曲線自動作成プログラムはてなブックマーク - 成長曲線自動作成プログラム

3.政策への関心と意思決定への参加

安定した持続性のある医療制度となるためには、今後、幾多の修正が必要となると思いますが、その舵取りには私たち一人ひとりの「声」や「監視」も、大変重要な役割を果たしていくと思います。(p271)

最近、CFS患者やFM患者に関わる国の難病対策についてまとめられた以下のようなニュースがありました。筋痛性脳脊髄炎と呼ばれる重症患者の方たちや、線維筋痛症の竹下薫さんの声が書かれています。

患者本位の制度に改善を/難病対策│Web東奥・社説20130228はてなブックマーク - Web東奥・社説20130228

難病患者「対象拡充を」、障害者総合支援法4月施行 : 最新ニュース特集 : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)はてなブックマーク - 難病患者「対象拡充を」、障害者総合支援法4月施行 : 最新ニュース特集 : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

利用可能な社会福祉制度について知っておくことは、とても大切です。このブログでも、過去に何度か、社会福祉制度とどう向き合うか、といった内容のエントリを書いてきました。

このブログは特に政治的な見解を持ちませんが、慢性疲労症候群や線維筋痛症、脳脊髄液減少症の患者の中には、この点で積極的に活動しておられる方が多くいらっしゃいます。

必要な社会福祉制度を用いるのは患者の権利なので、わたしも最新の情報に精通しておくようにしたいと思っています。

治療方法を決めるのはあなたです

ここまで、賢い患者となるための3つのポイント、自分で情報を集める、自分の病歴を記録する、.政策への関心と意思決定への参加、ということについて書いてきました。

これらに加え、医師にかかるときの必要な心構えとして、ささえあい医療人権センターCOMLが発行している冊子「新・医者にかかる10箇条」というものがあるそうです。(p253)

新・医者にかかる10箇条 | NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML (コムル)はてなブックマーク - 新・医者にかかる10箇条 | NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML (コムル)

1.伝えたいことはメモして準備
2.対話の始まりはあいさつから
3.よりよい関係づくりはあなたにも責任が
4.自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
5.これからの見通しを聞きましょう
6.その後の変化も伝える努力を
7.大事なことはメモを取って確認
8.納得できないことは何度でも質問を
9.医療にも不確実なことや限界がある
10.治療方法を決めるのはあなたです

みなさんは、この10箇条のうち、いくつできているでしょうか。

自分の健康は自分で守る時代になった今、健康関連のさまざまなライフハック記事が、インターネット上で日々更新されています。

ライフハックの基本は、生活を楽しくし、効率をよくする工夫です。現代の養生訓―未病を治すは万人におすすめできる本ではありませんが、役立つさまざまなアドバイスが収められた書籍です。

今回取り上げた3つのポイントを意識しつつ、医者にかかるにも、病気と闘うにも、賢い患者として、回復を目指したいものです。なんといっても治療法を決めるのは、ほかならぬあなたなのです。

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