白川修一郎先生の新刊『脳も体もガラリと変わる!「睡眠力」を上げる方法』

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これは何でしょうか。睡眠不足による日本の年間経済損失額の概算てす。(p205)

少なくとも10人に1人が酩酊状態。

これは何でしょうか。二日間連続で5時間ほどしか寝ていない人が陥っている脳の状態です。実際には二日どころではないので、脳が酩酊状態にある人はもっと多いかもしれません。(p19)

日本の睡眠研究の第一人者であり、日本睡眠学会の理事でもあられる白川修一郎先生の新刊脳も体もガラリと変わる!「睡眠力」を上げる方法が発売されました。

世界で一番役立つ成功法則は「ちゃんと寝ること」といってはばからず、睡眠学の観点から、もっと効率よく勉強するにはどうすればいいか、スポーツで記録を出すにはどうすればいいかを解説しているこの本を、健康書ではなく、ライフハック本として紹介したいと思います。 (p26)

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これはどんな本?

この本は、睡眠学会理事の白川修一郎先生が、睡眠についてわかってきた最近の研究成果を噛み砕いて説明しておられる書籍です。

本屋に行くと、ショートスリーパーや4時間半睡眠法といった、いかにも役立ちそうな書籍が山積みです。それは江戸時代の医学書「養生訓」を書いた貝原益軒や、二宮尊徳、臥薪嘗胆の故事成語の時代から脈々と続く成功秘話だといわれています。

しかしこの本の主張はそうではありません。

私はそういった短眠メソッドは「百害あって一利なし」であり、かえって心身の健康が大きく損なわれる可能性が高いと思います。だまされてはいけません。(p30)

私は決して大げさではなく「睡眠を削ることは、命を削っているようなもの」と考えているのです。(p21)

「寝ていないこと」を誇らしげに語るのは、「自分は仕事ができない人間だ」ということをわざわざ他人に白状しているようなものなのです (p26)

睡眠不足は害であるとはっきり述べているこの本は、確かに睡眠の専門家が書いた、正統派の書籍だといえます。

睡眠不足は害であるという前提に立ったうえで、勉強するとき記憶を強めるにはどうすればいいか、スポーツで記録を上げるにはどうすればいいか、朝型の生活にシフトするにはどうすればいいか、そもそも夜型はダメなのか、といったことが丁寧に書かれています。

勉強 ―これで記憶がアップする!

してはいけないこと:四当五落

昔、受験生は四当五落、さらに厳しくは三当五落などと言われていました。5時間も眠るようでは合格できないというのです。しかし最新の研究では、2日間ほど5時間睡眠だっただけでも、脳は酔っぱらい同然の判断力になると分かっています。

本書にはこう書かれています

子供の勉強の成績と睡眠の因果関係についてはたいへん多くの研究がなされていて、「平日は睡眠時間が短くて、休日は遅くまで寝ていて睡眠時間が長い子供たちがもっとも成績が悪くなる」ということもわかっています。

しかもおもしろいことに、日本だけでなく、アメリカ、カナダ、香港など、世界中多くの地域でまったく同じ調査結果が出ているのです。

…私は近頃クローズアップされてきている「学力低下」「運動能力低下」「いじめ」「不登校」「学級崩壊」「キレやすい」といった問題にも、睡眠の不足が大きく影響していると考えています。

未来を背負っていく子供たちにとって、今もっとも足りていないものは何なのか―それは、「勉強」でも「やる気」でも「協調性」でも「心のやさしさ」でもありません。

そういう資質を伸ばすために必要不可欠である「睡眠」こそがいちばん不足しているのです。(p188-192)

不登校に関する医学的研究では、まさにその通りであることを示すデータが集まっています。不登校とは慢性的な睡眠不足の結果、脳機能が破綻した状態であり、慢性疲労症候群(CFS)と呼ぶにふさわしい病的状態であるとされています。

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するとよいこと:八当六落

睡眠は「記憶の剪定作業」であり、「記憶のインデックス」を作るのに不可欠です。知識などの頭で憶える記憶「陳述記憶」を定着させるのは入眠直後に多いノンレム睡眠です。(p154)

中学生、高校生の最低限の適性睡眠時間は8時間です。小学生なら10時間近くが必要です。ですから、少なくとも8時間眠ることが必要で6時間だと不十分だ、つまり「八当六落」だと書かれています。(p141,189)

このブログでは記憶術に関する記事もときどき扱ってきましたが、本書では面白い提案がなされています。それは、香りを使う記憶術です。(p156)

香りの刺激はダイレクトに脳に届き、記憶の中枢である海馬などに強い影響を及ぼすそうです。確かに生物としては、「場所」「色」「匂い」などを記憶することが生死を分けます。場所や色を使った記憶術はこのブログでも書いてきましたが、匂いは盲点でした。

具体的には、深部体温が最高点に達し、脳がもっともよく働く時間帯(就寝から19時間後。学生なら17-19時ごろ)に集中して勉強し、そのとき特定の香りを漂わせておくと良いそうです。もし疲れているなら15分の仮眠(パワーナップ)をはさみます。(p144,158)

そして夜は日付が変わる前に床につき、そのときも同じ香りをセットしておきます。すると、憶えた知識が入眠直後のノンレム睡眠中に香りと結びついて強固にインプットされるそうです。

スポーツ ―これで記録がアップする!

してはいけないこと:朝練

意外かもしれませんが、スポーツの練習にとって、朝練ほど有害なものはないそうです。こう書かれています。

とくに私がよくない習慣だと考えているのは、“朝練”と呼ばれる早朝練習です。

中学校や高校の運動部では、大会前などに“朝練”を取り入れている部活が多いですが、あれは技能の向上どころかパフォーマンスを低下させるためにやっているようなものと言っていいでしょう。(p162)

朝は運動をするのにもっとも向かない時間帯です。朝はまだ体温が十分に上がっていませんし、脳がまだ完全に目覚めていないため、筋肉や神経へうまく指令が伝わらず、体がスムーズに動かない状態になっています。

それに朝は血圧の状態が極めて不安定で、脳卒中や狭心症などをたいへん起こしやすいことをご存じでしょうか。…ジョギングの創始者も朝のジョギング中に亡くなっているのです。(p150-151)

不登校に関する研究でも、早朝の部活が睡眠時間を削る一因となり、心身の不調を引き起こしているというデータが出ています。

それは体罰の問題ではないー背後にある「壮大な人体実験」とは何かそれは体罰の問題ではないー背後にある「壮大な人体実験」とは何かはてなブックマーク - それは体罰の問題ではないー背後にある「壮大な人体実験」とは何か

するとよいこと:午後の運動

スポーツなどの体で覚える記憶「手続き記憶」を定着させるのはレム睡眠だそうです。レム睡眠は明け方に増加するので睡眠不足の人は記録が伸びません。

また、人間の身体パフォーマンスは夕方に最高点に達するそうです。厳密にいうと、「いつもの就寝時刻から19時間後」であり、その時間に深部体温がもっとも高くなります。

オリンピックや世界選手権の新記録も、多くはこの時間帯に記録されているため、最近の大会の決勝戦などはこの時間に合わせて開催されているといいます。握力を測ると朝より2割以上アップする人もいるそうです。(p98)

そういえば、大相撲の大関横綱戦は17時から18時ごろに組まれるように調整されています。昔からの伝統とテレビ放送などの兼ね合いだそうです。幕内後半になると力のこもった取り組みが増えるのは、力量だけでなく時間帯のおかげ、という側面もあるのかもしれません。

午後から夕方の時間帯は眠い、とも言われますが、それは前述のとおり、午後15分のパワーナップで解消することができます。むしろ「人間としての幸せをいちばん享受しやすい時間」だそうなので、これを有効活用しない手はありません。(p99)

「睡眠力」で自信をつける!

睡眠の大切さを学ぶことは、今の時代を生きるわたしたちにとって、この上ないチャンスだといえます。

なぜなら、周囲の大半の人々は、耳をくすぐるような話に惑わされて、いかに睡眠を削るか、という非科学的な成功論にとらわれているからです。今この時代に睡眠について学び、正しい成功論を実践するなら、睡眠を削っている人々より成功が身近なものとなるでしょう。

白川修一郎先生は最後にこう述べています。

私は常々思っているのですが、睡眠を大事にしている人は、自分を大事にしている人であり、自分の人生を大事にしている人なのではないでしょうか。

…自分の力、自分の人生に自信が持てて、自分で自分の道を拓いていけるのではないでしょうか。

私は、そういう力を「睡眠力」と名づけたいと思います。(p195)

このブログでもずっと書いてきたように、成功を引き寄せるにあたり睡眠ほど大事なものはないと思います。食事や運動も確かに大切ですが、それらの効果を脳と体に還元し、有害なものを取り除いてくれるのが睡眠なのです。

数あるライフハックのうちでも、睡眠を改善することはいちばんのライフハックであり、成功への近道です。なんといっても睡眠を改善すれば人生の1/3、85歳まで生きるとすれば25万時間分のライフハックになるのです。

この本はほかにも、睡眠についての多くの疑問に答えています。睡眠不足が常態化するとどうなるか、という恐ろしいデータや、30分ずらし睡眠術や就眠儀式、睡眠を応用した思考術など、さまざまなテクニックが載っています。

脳も体もガラリと変わる!「睡眠力」を上げる方法は現代のあらゆるライフハック本を読む前の基礎づくりとしておすすめしたい一冊です。

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