【3/30】起立性調節障害のよくある誤解

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NPO 起立性調節障害ピアネットAliceさんが、今年1月に行われた神戸大学医学部附属病院の北山真次准教授の講演をまとめてくださっていました。起立性調節障害(OD)を知るのにとてもわかりやすい内容で、参考になったので紹介しておきます。

Aliceトピックス│NPO 起立性調節障害ピアネットAliceはてなブックマーク - NPO 起立性調節障害ピアネットAlice

 

(2013/03/30の記事)

個人的に役立ったのは、心身症についての記述と、サブタイプについての説明、そして一人ひとり程度が異なるという点です。

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「心身症」は誤解を招きやすい

起立性調節障害(OD)が心身症であるというのは医学的な意味では正しいのですが、一般には、心身症=気のせいという誤った考えが浸透しているので、その誤解を正す必要があると書かれています。

心の状態がどの程度関わっているかは子どもによって違うので、診断には「心身症としてのODチェックリスト」が用いられています。

しかしそもそも、子どもの心身症の特徴は、大人とは違い、自律神経の揺らぎが大きい点や、宇宙飛行士が、重力のある地球に帰ってきた時には100%起立性調節障害になるという話から、決して気の持ちようでなんとかなる単純なものではないと説明されています。

▼機能性身体症候群(FSS)

ところで、慢性疲労症候群(CFS)や起立性調節障害(OD)が説明されるときには、しばしば機能性身体症候群(FSS)という概念が引き合いに出されます。 NPO 起立性調節障害ピアネットAliceさんのまとめにも起立性調節障害は「機能性身体疾患」だと書かれています。

以前にも九州大学大学院の岡孝和教授がこう表現していました。

起立性低血圧のような症状を呈しながら、起立時に血圧が下がらない時、体位性頻脈症候群の可能性がある。

そして体位性頻脈症候群は機能性身体症候群の一自律神経徴候のことがある

機能性身体症候群(FSS)とは検査で異常は認められないのに、身体症状を強く訴える種々の病気を一括りにした概念です。しかし、「心身症」と同様、誤解を招きやすい言葉であり、注意すべきだと思います。

疲れる理由―現代人のための処方せんには「機能性」という言葉についてこう書かれていました。

 

「機能性」という言葉は、現在の技術では見えないプロセスのこと、とも定義することができる。第二の定義は、そのプロセスは、情動的な、あるいは非器質的な原因によって引き起こされるということである。

…いくつかの機能的疾患(器質的でないと考えられているもの)が、明らかな病医学的変化を伴わないものの、実は器質的疾患であることが判明することがある。

てんかん以外でも、うつ病、精神分裂病、偏頭痛などがその例である。…このようにして示されてきたのは、どれも脳の病気だということである。 (p59)

「機能性」という言葉は、多くの場合、精神的なものである、という意味で利用されています。しかし、医学が進歩すれば、特に脳の疾患として再定義される場合が多いということが分かります。

事実、機能性身体症候群(FSS)と括られてきた病気のほとんどに、脳の機能異常が見られることはすでに判明しています。

似たような考え方に身体表現性障害というものもありますが、こちらも精神科医にとっては有用でも、患者にとっては害の大きい概念だと思います。

わたしとしては、一括りにするなら、戸田克広先生が詳しい中枢性過敏症候群(CSS)にほうが適切であり、患者にとっても益になる概念だと思っています。そのため、このブログでは機能性身体症候群や身体表現性障害についてはあまり触れていせん。

本文 - 戸田克広 | ブクログのパブー同一症状、同一患者が診療科により全く異なる診断、治療が行われている異常事 - 戸田克広 | ブクログのパブーはてなブックマーク - 本文 - 戸田克広 | ブクログのパブー

体位性頻脈(POTS)と疲労

またODのサブタイプについて体位性頻脈症候群(POTS)の解説が興味深いと思いました。POTSは立ち上がったときのめまいが少ないため、起立性調節障害=立ちくらみと考えている医師からは見過ごされやすいサブタイプです。

POTSは、交感神経系の過剰な興奮を背景としていて、疲れとして自覚されることもよくあります。そのため、慢性疲労症候群に合併しやすい型であり、わたしの場合も、現在残っているのはおもにPOTSです。

NPO 起立性調節障害ピアネットAliceさんのまとめにある「脈が速くなるので凄く疲れやすい。立っているだけでヘロヘロ。頭痛も起こりやすいが、立ちくらみは少ない」「一般の医院で知識がない場合には診断を受けられていない」という記述からも、慢性疲労症候群(CFS)と重なり合いやすいことが窺えます。

体位性頻脈そのものが慢性疲労症候群(CFS)の原因ではないかもしれませんが、もしその傾向があるなら、起立性調節障害に対処するための工夫を取り入れることで、いくらか疲労が和らぐかもしれません。

慢性疲労症候群(CFS)と起立性調節障害の関係についてはCo-Cure Japanさんが翻訳してくださっています。

起立性調節障害(アメリカCFIDS協会) - Co-Cureはてなブックマーク - CFS-FMS-Teitelbaum医師-1

日本の研究者では三羽邦久先生が、「起立不耐症と慢性疲労症候群の成因に関与する スモールハートと低心拍出量」において、両者にスモールハートとして循環器上の共通点が見られることを指摘しておられます。

一人ひとり程度は異なる

そのほか誤解されやすい点として一人ひとり程度はさまざまだと言う点があります。

◆ODがそれほど強くなくて頑張って学校に行っている子どもたちが一番辛いかもしれない
◆ODの重症度はさまざまであり、最も重いと日常生活さえ困難
◆楽しいことがあると血圧が上がるが、重症例では、楽しいことがあるくらいでは改善しない

以上から分かるとおり、ひとえに起立性調節障害(OD)とくくっても、その症状はさまざまです。体位性頻脈で症状が重ければ、慢性疲労症候群(CFS)と診断するほうが適切な場合さえあるでしょう。

慢性疲労症候群(CFS)では、起立性調節障害は診断基準上、除外する病気には含まれていません。むしろ症状のひとつであり、診断の手がかりとして含まれています。

重症の起立性調節障害(OD)と慢性疲労症候群(CFS)は互いに重なりあう概念であり、このブログでこれまで取り上げてきたとおりです。

small朝起きられないもう一つの病気「起立性調節障害(OD)」にどう対処するか(上)はてなブックマーク - 朝起きられないもう一つの病気「起立性調節障害(OD)」にどう対処するか(上)

起立性調節障害でも慢性疲労症候群でも、程度は人それぞれ異なるので、「誰々さんとこの子どもは一年で治ったよ」などと言って他の人と比較するのではなく、本人の話を真剣に受け止めて、ありのままの体調を受け入れてほしいと思います。

症状の程度を客観的に表現するにはパフォーマンス・ステータス(PS)表)に当てはめてみるのが役立ちます。

起立性調節障害も慢性疲労症候群も、誤解されやすい病気ですが、患者として正確な知識を知っておきたいと思いました。こうしてわかりやすい情報のまとめをWEB上で公開してくださることを患者会の方々に感謝いたします。

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