かびんのつま(1)感想 化学物質過敏症(CS)の妻と漫画家の愛に満ちた闘病記

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おりさん、頼りになる優しいご主人さんとめぐりあえてよかったな~…

それが読後の最初の感想でした笑

もちろん化学物質過敏症や電磁波過敏症の壮絶さにも胸を締め付けられる思いがしました。

しかし、その大変な闘病の間、献身的に支えてくださるご主人さんがいて、こうして闘病記も描いてくださるというのはすばらしいことだと思いました。あまり知られていない化学物質過敏症(CS)の家族の現状をありのままに描く、とてもいい漫画でした。

実体験を元にした、化学物質過敏症 闘病マンガかびんのつま 1 (ビッグコミックススペシャル) の感想を書きたいと思います。

ある程度あらすじを書きますので、ネタバレを気にされる方は閲覧をご遠慮ください。

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これはどんなコミック?

この本は漫画家あきやまひできさん(@batesu)が化学物質過敏症(CS)の妻かおりさんとの闘病記録を作品化されたものです。

出版社の説明を引用します。

妻は化学物質過敏症。愛と闘病の実録漫画。

実際に奥様が化学物質過敏症になってしまった漫画家・あきやまひでき氏による、化学物質過敏症を題材にした日本で初めての本格エッセイ漫画。

あきやま氏はネットアイドルのかおりちゃんと結婚。だが、その頃からかおりちゃんには奇々怪々な拒絶反応が表れ始めたのだった…

かおりちゃんが受けつけられないモノ…太陽光、ローソクの火、電子レンジ、パソコン、電話機、シャンプー、洗剤、ケーキ、排気ガスetc. 果たしてこれは“化学物質過敏症”?この後、一体どうなってしまうのか!

実にその通りな内容でした。

それに加えて、巻末には、北里大学名誉教授 石川哲(いしかわさとし)先生へのインタビューも掲載されてます。化学物質過敏症がどんな病気なのか、マンガと文章の両方でわかりやすく読めるようになっています。

化学物質過敏症(CS)の人でも手にとって読めるよう、植物油インクで印刷されている配慮点もアピールポイントの一つです。

この第一巻は【前兆編】と名づけられています。続く第二巻は【重症化編】だそうです。

宇宙人のようなかおりさん

話は、当時ネットアイドルだったかおりさんと、作者あきやまひできさんの出会いから始まります。

かおりさんの主食はカロリーメイト、冷蔵庫はからっぽでした。

もともと大手食品会社で研究員をしていて、甘味料や漂白剤、防カビ剤、着色料、香料、柔軟剤まみれの食生活を送っていたといいます。

食生活も食べ方も金銭感覚も人とのコミュニケーションの仕方もかなり不思議なかおりさん、世の中から浮いている彼女は、あきやまさんの手料理にほれて、ふたりは結婚することになります。

次々と襲いかかる過敏症

かおりさんは自分の中にさまざまな化学物質がたまっていることを自覚していました。夫のあきやまさんにもそのことを話します。あきやまさんはこうつづっています。

かおりちゃんの体に溜まったそれはどこに行くのだろう? もし、ずっとずっとそこに溜まり続けていくなら―

それがあふれた時どんなことになるか―

この頃の僕らは知る由もなかった。 (p41)

まずやってきたのは、光過敏症でした。日光に当たると、目が痛み、顔も痛むようになったのです。それで遮光カーテンを買いました。

日光には当たれないので、外にでるときは、家庭用消防帽子をかぶることになりました。サングラスどころでは歯が立ちません。異様な外見です。この家庭用消防帽子はこの第一巻のできごとの象徴のようなものなのか、裏表紙にも描かれています。

次にろうそくの火やホットプレートの熱にも反応するようになりました。熱過敏症です。料理をはじめると火で顔が腫れました。

さらに新しい過敏症が襲います。電子レンジを使っていると、顔が痛くなってしまいました。あきやまさんはネットで調べ、それが電磁波過敏症であることを突き止めました。

ネットアイドルだった彼女ですが、テレビやパソコンの画面を見ているだけで目が痛むようになりました。ノートパソコンのキーボードに触れると手が痛むようにもなりました。電話で顔が腫れるようにもなりました。

「コレで私…光過敏症、熱過敏症…電磁波過敏症…三つ目だ!」

どんどん壊れていく妻… 妻の過敏症を食い止める方法が一体どこにあるのか、その手がかりさえも全くつかめなかった…   (p81)

そんなころ、シャンプーの匂いが毒ガスのようだ、と感じる事件が起こります。それは4つ目の過敏症の存在を示唆していました。化学物質過敏症(CS)の前兆だったのです。

実録ならではのリアルな描写

このマンガは実体験を元にしているからこそ、さまざまなリアルな描写が含まれています。

妻かおりさんの家庭環境に関する描写はそのひとつかもしれません。かおりさんの家庭環境は重くのしかかるストレスでした。過敏症を発症してからも、ひどい扱いをされ続けました。こうした病気には家族からの無理解がつきものです。

化学物質過敏症は精神的問題ではないですが、このブログで取り上げてきた情報からすると、子供の頃の家庭環境も発症に複雑に関わっているような気がします。

『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』を読んで| いつも空が見えるから『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』を読んで| いつも空が見えるから

さまざまな過敏症が出てきたときの、あきやまさんやかおりさんの戸惑いも、とても印象的です。自分に何が起こっているのか、次に何が起こるのかわからず、恐怖を覚える様子は当事者ならではの心境でしょう。

有機栽培の食事に変えたら、「輸入にかかる税金を食べている気分…」になったという率直な感想や、反応するとわかっていても外食でケーキを食べる誘惑に負けてしまう姿など、とても現実味があります。

わたしは、化学物質過敏症(CS)の友人がいますが、実際に隣でいっしょに生活しているわけではありません。ですから、実生活の中で感じる苦労については、よく知らない部分がたくさんありました。

それらが、文章ではなくマンガという絵で表現されていることに、強烈なインパクトを感じました。

このマンガの冒頭には、太陽フレアで音と痛みが生じるという、おそらく二巻以降で触れられるシーンのダイジェストが載っています。

その最後のコマ、満天の星空の下、涙ぐむかおりさんを背負って外へ(前にブログで読んだことからすると山の中のせせらぎへ?)出て行くふたりの絵はとても印象的でした。このマンガのテーマを物語る、悲しいけれど、美しい絵に思えます。

石川哲先生の解説

巻末の石川哲先生の解説では、化学物質過敏症(CS)に関するよくある疑問についていろいろ書かれています。

◆理解しない医師が多いけれど、2009年に病名登録されたれっきとした健康保険の効く病気であること。

◆日本では関心が薄いけれど、化学物質過敏症、電磁波過敏症ともに、外国ではしっかりと認知され、研究もされている病気であるということ。

◆いまだに精神的問題、うつ病、ヒステリーなどという医者もいるが、しっかりした検査方法もある病気であり、むしろ化学物質過敏症によって精神症状が生じているということ。

◆今の世界には、化学物質や電磁波など、副作用があるものでも、たいした悪影響はなければ便利で大丈夫、として覆い隠す風潮があること。

そんなことが書かれています。

化学物質過敏症の症状として、初期に多いという「へんなにおいで気持ちがよくない」とか「瞬きが多い」、「香水、たばこの臭い、アルコールの臭い」を気にするといったものはわたしにもあります。CFSからCSに移行しないよう気をつけておく必要があるのかもしれません。

わたしはCSではないので、当事者の感想はまた違うかもしれませんが、化学物質過敏症(CS)のことをだれかに説明したい場合、これからはこのマンガを渡して読んでもらうのが一番かもしれないと思いました。

続きもぜひ買って読みたいと思います。このブログを読んでくださった方も、決してこんな文章だけの解説で満足せず、かびんのつま 1 (ビッグコミックススペシャル) を実際に手にとってお読みください。

あきやまさんと奥さんの闘病を、ブログで書かれていたときから家族で拝見していた身としては、お二人の状況が少しでも良くなるよう祈らずにはいられません。

さまざまな過敏症の症状が少しでもよくなり、ハッピーエンドで結ばれるよう心より願っています。

▼追記:

脳脊髄液減少症のマンガ「怠け病といわれて」もよろしくお願いします。

コミックス「なまけ病」と言われて―脳脊髄液減少症―を読んで| いつも空が見えるからコミックス「なまけ病」と言われて―脳脊髄液減少症―を読んで| いつも空が見えるから
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