「線維筋痛症がよくわかる本 」イラスト入りでわかりやすい良書!

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維筋痛症について、今年発売された本線維筋痛症がよくわかる本 全身を激しい痛みが襲う (健康ライブラリーイラスト版)を読み終わりました。わかりやすさに定評のある「健康ライブラリーイラスト版」ですが、予想以上に良くまとめられていて、とても勉強になる本でした。

線維筋痛症に関する本ですが、かねてから線維筋痛症と慢性疲労症候群は似ている、と言われている通り、慢性疲労症候群の患者にとっても役立つ部分が多いです。むしろ、慢性疲労症候群ではまだこうしたわかりやすい解説書が出ていないので、他の慢性疲労症候群の本を読むよりこちらを読んだほうがいいのでは?と思える部分さえあります。

この書評では、どんな内容が書かれているのか、簡単にまとめようと思います。また、読んでよかった部分についても書いていきたいと思います。

ただし、この本は、文字だけの書評を読むより、実際にイラスト入りの図解を見た方が何倍も魅力的です。ぜひ手にとってみることをおすすめします。

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これはどんな本?

線維筋痛症がよくわかる本 全身を激しい痛みが襲う (健康ライブラリーイラスト版)は、線維筋痛症の専門医、東京医科大学八王子医療センターの岡寛(おかひろし)先生と、代表的な患者会である、NPO法人 線維筋痛症友の会が協力して執筆した解説書です。

線維筋痛症の知識がイラスト入りでわかりやすく図説されています。活字だけの本は読む気力がないという人にとっても、内容が頭に入ってきやすいと思います。

目次を見ると、本書は5章仕立てでなっています。

1.その痛み、線維筋痛症かもしれない…線維筋痛症とはどんな病気かを簡潔に説明した章

2.なぜそんなに痛むのか…痛みのしくみや、発症のしかたについて書かれた章

3.薬で痛みを和らげよう…さまざまな薬物療法について説明した章

4.薬を使わない痛みの緩和法…認知行動療法や運動療法、リラクセーション法について書かれた章

5.よりよく暮らすためのヒント…気持ちの持ちようや考え方についてのアドバイスが書かれた章

各章の冒頭には、4人の方の経験談が書かれていて、章が進むとともに、それぞれの人のエピソードも進展していきます。4人とも病気との関わり方や社会での立場はさまざまなので、この人のこのエピソードはわたしに似ている、という部分がきっとあると思います。

線維筋痛症がよくわかる本のよかったところ

それぞれの章について、わたしが良かった部分を以下に書いていこうと思います。

1.その痛み、線維筋痛症かもしれない

●線維筋痛症は原因不明の痛みが全身に生じる病気
●全身疼痛の次に多い症状はドライアイ・ドライマウス。ついで関節痛、うつや不眠、過敏性腸症候群が続く(p13)
●痛みの範囲によって、慢性疼痛(35%)→慢性局所痛症(25%)→慢性広範痛症(8-10%)→線維筋痛症(2%)と分けられる(p14)
●50-60人に1人がなる病気(p8)
●線維筋痛症では明らかな炎症は起きない。リウマチとは痛みの出方が違う (p23)

全身疼痛の次に多い症状がドライマウス・ドライアイというのは知りませんでした。わたしもドライアイがありますし、ひどい場合にはシェーグレン症候群を合併する人もいるのでしょうが、多くの人にとって身近な症状なのだなあと思いました。

不思議に思ったのは、関連疾患で、慢性疲労症候群(CFS)が挙げられていないことです。というより、この本全体を通じて、慢性疲労症候群という単語が見当たりません。理由はわかりませんが、何か含められない事情があったのかな、と思います。かなり不自然に思いました。

対照的に、脳脊髄液減少症はきっちり記されているので、交通事故後になった人は、その可能性も疑うことができます。

線維筋痛症が50-60人に1人いるというのも、改めて驚きました。学校のクラスで例えれば、学年に1人以上は後々線維筋痛症になる人がいる計算になります。知り合いに線維筋痛症の人がいる可能性は思った以上に高いといえます。知っておいて損のない病気であることは間違いありません。

「日本で線維筋痛症の存在が注目され始めたのは二十一世紀に入ってからのこと」という表現も興味深く思いました。よく知られるようになって、まだ20年も経っていないのです。これから検査法や治療法が見つかることに期待したいと思います。(p12)

2.なぜそんなに痛むのか

●線維筋痛症の痛み度は飛び抜けて高い。ペインビジョンで測ると、リウマチの平均は300程度、線維筋痛症は700程度。骨折に相当する痛み度1000以上の人もいる。それどころか装置で測れないほど高い人さえいる。(p33)
●線維筋痛症の痛みの原因は脳の誤作動「中枢感作」。脳に刻まれた強い痛みの記憶が、わずかな刺激で再現されてしまう。幻肢痛と似ているメカニズム。(p35)
●痛み感覚のアクセル(興奮経路)が過剰に働いたり、ブレーキ(下行性疼痛抑制経路)が低下していたりする。(p36)
●原因は心身の強いストレスの積み重ね。それらが限界を突破したとき、発症する。交通事故や歯科治療など、きっかけが思い当たる場合でも、それが原因とは限らない。(p38)
●機能性MRI、自己抗体検査(抗電位依存性カリウムチャネル複合体)で異常が見つかることも。(p46)

この章に書かれているメカニズムは仮説なのでしょうが、とても勉強になりました。慢性疲労症候群(CFS)の場合でも、実際には体は疲れていないことが、唾液中ヘルペスウイルスの検査などで確証されているので、同様の脳の誤作動によって疲労を感じているのかもしれないと思いました。

発症の原因も、慢性疲労症候群(CFS)の場合に日本の研究機関が提唱していることと一致しています。この説が正しいとすると、感染症をきっかけに発病したCFSでも、何らかの特定のウイルスが原因なのではなく、過度のストレスですでに弱っているところを感染症がとどめをさして発症した、と考えることができるかもしれません。わたし個人の場合も、未知のウイルスではなく、そのようなメカニズムで発症したような気がします。

ペインビジョンで測れる痛みの程度については、読むたびに胸を締め付けられます。骨折よりも強い痛みがいつもあるというのは、健康な人には思い至るはずもないほどの苦痛です。「骨が砕かれている」「万力で締めあげられている」という表現が本書にも出てきますが、線維筋痛症がいかに重い難病であるかを示していると思います。(p91)

3.薬で痛みを和らげよう

●薬物療法の効果はペインビジョンなどで確かめられる。(p53)
●筋緊張亢進型、筋付着部炎型、うつ型、それらの重複型によって薬は変わる。(p56)
●認可されている唯一の薬プレガバリンをはじめとする抗けいれん薬は痛みのアクセルを弱める。(p58)
●点滴もあるノイロトロピンや抗うつ薬は痛みのブレーキを強める。(p60)
●それらの薬の効果がなければ、弱オピオイド系鎮痛薬、トラムセットやトラマドールが使われる。(p62)
●関節痛にはサラゾスルファピリジン
●ドライアイにはピロカルピン塩酸塩や、塩酸セビメリン
●むずむず脚症候群にはガバペンチンエナカルビル
●男性の過敏性腸症候群にはラモセトロン塩酸塩 (p63)
●筋肉のこわばりが強ければトリガーポイント注射。星状神経節への光線療法(スーパーライザー)を組み合わせると効果が強まる。(p65)

この章に書かれていることは、わたしにとっては身近ではないものばかりですが、線維筋痛症の治療の流れを知ることができ、役立ちました。中には、これらの薬が十分効かないという人もいるでしょうが、それでも、慢性疲労症候群(CFS)に比べて選択肢は多いと思います。

4.薬を使わない痛みの緩和法

●自分の考え方のクセを認知行動療法で変える。小さな目標を立てて活動的になる。(p72)
●動かなければ廃用性筋萎縮が生じて余計に動けなくなる。血流量が低下すると痛みに敏感になる。運動療法は大切。(p74)
●腹式呼吸やストレッチ、筋弛緩法、足湯などのリラクセーション法も効果的。(p78、83)
●鍼灸治療を受けている線維筋痛症の患者の6割は「有効」と考えている。(p80)

この章に書かれている治療法は慢性疲労症候群(CFS)とも共通しています。線維筋痛症や慢性疲労症候群に対する認知行動療法、段階的運動療法については、このブログでも過去に取り上げました。これらの習慣は、自分主体となって闘病するために大切だと思います。病気だからどうしようもない、自分は無力だ、と考えるのではなく、自分には病気でもできることがある、と思えるようになるからです。わたしも運動療法、嫌いですが、頑張りたいと思います。

慢性疲労症候群(CFS)と認知行動療法・段階的運動療法(1)| いつも空が見えるから

 

5.よりよく暮らすためのヒント

●なんでも自分で抱え込まず、任せ上手、頼み上手になる。(p89)
●病気のことを知らない人にはきちんと説明する。この本を読んでもらう。
●包帯、杖、サポーターを使って痛みを見える化する。
●家族に診察につきそってもらう。(p90)
●怒りに対処する方法を学ぶ。(p92)
●何をしていても痛いのであれば、好きなことをやってみる。(p94)
●痛み日記をつける。(p95)
●休業制度、失業保険、生活保護、年金、障害者手帳などを活用する。(p97)

とても良いことがたくさん書いてあるのですが、こうして箇条書きにまとめてしまうと味気なくなりますね。ぜひ実際にこの本を手にとって、読んでみてほしいと思います。症状を見える化することについてはこのブログでも何度も書いてきました。若い人の場合、杖をもつのは特におすすめです。見た目とのギャップが生まれて、配慮してもらいやすくなります。

若いのに席を譲れない―見た目で分からない病気への対策| いつも空が見えるから

 

最後のページには、線維筋痛症友の会代表の橋本裕子さんのメッセージが載せられています。今は希望が持てないとしても、必ず改善していくので、あきらめないように、と励ましてくれる内容です。橋本さんの自伝的な著書を以前このブログで紹介しましたが、今回、この本を準備するためにも、きっとかなりの労力を払われたことと思います。お疲れ様でした。

この本は、線維筋痛症に悩む人にとっても、その家族にとってもとても役立つ本だと思います。病名こそ違いますが、わたし自身、読んでみて元気づけられました。病気のことを知ってもらいたい、家族や友人に安心して見せられる本があるというのは本当に嬉しいことですね。イラスト入りなので、気軽に読んでもらうのに抵抗が少ないのは、素晴らしい点だと思います。手にとって損はない一冊です。

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