なぜわたしの概日リズム睡眠障害にはあらゆる睡眠薬が効かなかったのか

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たしは学生のころ、慢性疲労症候群を発症したと同時に概日リズム睡眠障害も発症しました。若年性の慢性疲労症候群は、たいていの場合、概日リズム睡眠障害とセットになっているようです。

わたしの場合、この概日リズム睡眠障害が特殊で、試したすべての睡眠薬が効きませんでした。しかし数年前に、唯一効果のある薬、カタプレス(クロニジン)に出会いました。これは降圧薬として知られる古い薬ですが、一部の医師は睡眠薬としての効果に注目しているようです。

概日リズム睡眠障害とはどんな病気なのでしょうか。どのような日常生活の問題があるのでしょうか。そして一般的に睡眠薬として知られる薬に効果がなく、降圧薬だけに効果があったというのは、どういうことなのでしょうか。

あくまでわたし個人の場合として、わかっていることまとめておきますが、同じような症状の人がいれば役立てていただけたらと思います。

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わたしの概日リズム睡眠障害

概日リズム睡眠障害(睡眠・覚醒スケジュール障害)には6つのタイプがあるといわれています。わたしは専門家でないのではっきりとは分かりませんが、調べた限りでは以下の6つのようです。複数の名称がある場合には、並べて記述しておきます。

■睡眠相後退型(DSPT)、睡眠相後退症候群(DSPS)
極端な宵っ張りの朝寝坊。夜型の生活習慣や、スマートフォンなどの電子機器の使用により発症するタイプも多い。

■睡眠相前進型(ASPT)、睡眠相前進症候群(ASPS)
高齢者に多く、家族性のものもある。

■自由継続型、フリーラン型、非24時間型睡眠・覚醒症候群(Non-24)
寝起きする時間が、毎日少しずつずれていく。ずれる幅は人によって違う。最近遺伝子の関与が疑われている。目の見えない人にも多い。

■不規則睡眠・覚醒型、不規則型睡眠・覚醒症候群
寝起きする時間がまったくばらばら。脳の障害や、乳幼児のころからの睡眠の問題が関係する。

■交代勤務型、シフトワーク型
シフトワーク勤務による睡眠障害。

■時差型、時差症候群
渡航による時差ボケ。

なぜこのように複数の名称があるのかはよく分かりませんが、「~症候群」という名称は古い文献で使われていて、最近のものでは「~型」とされているように感じます。

これら6つのうち、わたしに関係しているのは、非24時間型(Non-24)です。わたしのある時期の睡眠表を二枚ほど貼っておきます。

睡眠表2睡眠表1

両端が夜中の0時なので、一枚目は、最初は夜中に規則正しく寝ています。しかし除々にずれてきて、昼間に寝ていることがわかります。

二枚目は、完全に昼間に寝ています。これはもちろん、昼間に寝たくて寝ているわけではなく、その時間しかどうしても寝られないので、そうしているにすぎません。

ときどき変な時間に起きたり寝たりしているのは、予定に合わせるべく、無理をして徹夜している場合です。このとき一時的にグラフが乱れますが、基本的には非24時間型として推移しています。

非24時間型の中には、一ヶ月で一週する人もいますが、わたしの場合は約2ヶ月周期のようです。しかし、まったく不規則型のようになるときもあれば、睡眠相後退型のように遅めで安定するときもあるので、はっきりと予測を立てることはできません。

専門家の意見でも、睡眠相後退型、非24時間型、不規則型は、互いに移行しあう病気とされています。

概日リズム睡眠障害の日常

わたしはよく、同じ慢性疲労症候群(CFS)の人と会いますが、睡眠相後退症候群(DSPS)や非24時間型睡眠・覚醒症候群(Non-24)を併発している人とそうでない人とでは、ずいぶん症状が違うと思うときがあります。

DSPSやNon-24は、主に若年発症のCFSに見られやすいようですが、年配のCFS患者でも同じ症状の人を知っているので、人によるのかもしれません。

わたしの印象では、概日リズム睡眠障害を抱えていないCFSの人は、どちらかというと疲労のほうを問題にしていることが多いように思います。

もちろん、その人たちも多かれ少なかれ睡眠障害に悩まされているのですが、寝ても疲れが取れないとか、うまく眠れない、といった悩みです。昼間の生活がうまくいかないのは「疲れ」のためなので、それが主訴になります。

わたしの知り合いは、夜寝つけないことが問題ですが、朝は普通に起きれるということでした。毎日規則正しく寝起きしていますから、概日リズム睡眠障害とは何の関係もありません。

それに対し、概日リズム睡眠障害があるCFSの人は、そもそも昼間に起きていることができません。真夜中から真夜中に渡り歩いていたり、毎日起きる時間が違っていたりします。

昼間の生活がうまくいかないのは「疲れ」のためであるとともに単純に「起きられない」ためでもあるのです。ですから、睡眠障害の占める位置が大きくなります。

わたしが睡眠相後退型で昼夜逆転しているときは、朝の4-6時頃に寝ついて、次の日の16時ごろに起きるという生活でした。ですから、起きたらもう夕暮れです。何をするにしても真夜中に行わざるを得なくなります。

そうなると、家族や友人と同じ時間を過ごすことはとても困難です。真夜中を孤独にさすらい続け、社会から取り残されていきます。真夜中にたったひとりで散歩にいくようなこともありました。

いっぽうで、Non-24になっているときは、毎日起きる時間が違うので、身体的にかなりの負荷がかかります。生まれつきNon-24の人はそのリズムで生活すると楽なのだそうですが、わたしの場合は後天的なNon-24で、CFS発症と同時になっているので、そのリズムはしんどいです。もちろん社会のリズムとはまったく合いません。

わたしにとって概日リズム睡眠障害は、CFSそのものよりしんどいと思えることもあります。これはなってみないと分かりません。概日リズム睡眠障害は独特な問題であり、たとえ同じCFS患者でも、この病気を併発していないなら、なかなか分かり合えないものです。

意志の弱さではない

概日リズム睡眠障害を抱えていると、いろいろな予定に合わせられなくなります。

たとえぱ非24時間型だと、毎日眠る時間と起きる時間が変わってしまうので、毎週の決まった予定などに合わせることができなくなります。

そうすると、大切な予定と寝ている時間帯とが重なってししまうこともしばしばです。この前も友だちに、「午後電話で話そう」と言われて、「無事起きれたら連絡するね」という始末でした。

大切な予定なので、なんとか起きていたいと思いますが、眠すぎて寝てしまいます。あるいは無理やり起きようと思っていても起きることができません。

眠ってしまう、あるいは起きられない自分の意思の弱さをとても悔しく残念に思います。心の中ではなんとか起きて予定に合わせたいと強く願っているのに、体のほうは言うことを聞かず、結局寝続けてしまうのです。

中には、無理やり朝早く起きたり、頑張って夜まで起きていたりして、力技で睡眠リズムを修正すればいい、という人もいるかもしれません。しかし、そう簡単な話ではありません。無理に睡眠リズムを変えようとすると、その反動で余計に混乱することが多いからです。ダイエットのリバウンドのようなものです。

おそらくは脳内の化学物質のバランスが関係しているので、薬以外にこれといった対処法はないのです。

うまく予定に合わせられないと、もしあのとき頑張って起きていれば、友だちと楽しい時間を過ごせたかもしれない、自分の意思の弱さにはがっかりだと感じてしまうことがあります。

しかし、友人が言ってくれたことですが、それは意思の弱さではなく、生理的に不可能なことです。言ってみれば、真夜中に叩き起こされて、仕事に行けと言われているようなものだからです。

健康な人でも、そうするのは非常に負担を感じることでしょう。ではわたしのように、概日リズム睡眠障害と慢性疲労症候群(CFS)を併発している人にとっては(実際に診断名はその2つを書かれます)不可能に近いことです。

概日リズム睡眠障害は、意志の弱さと誤解されることがあります。特に、周りの人がそう非難するだけでなく、本人がそのように感じて、自分を責めてしまうことがあります。

しかし、わたしのような非24時間型(Non-24)はもちろんのこと、極端な夜更かし朝寝坊となる睡眠相後退症候群(DSPS)も、決して怠けや意志の弱さではありません。

わたしの概日リズム睡眠障害の治療

幸いなことに、わたしの概日リズム睡眠障害は、治療薬が見つかり、今のところ軽い睡眠相後退型の症状で安定しています。夜の0-2時くらいに寝ついて、昼の12時に起きるという生活です。

注意してほしいのは、ここに挙げる薬が、同じような症状の人すべてに効くわけではないということです。あくまで、わたしの場合について述べるにすぎません。

わたしは、慢性疲労症候群と診断される前、睡眠障害のため、最初に精神科で薬をもらっていました。最初に出されたのは、アモバン、マイスリーなどの非ベンゾジアゼピン系の薬でした。それらは何の効果もありませんでした。

次に出されたのはロヒプノール、ハルシオンなどのベンゾジアゼピン系の薬でした。これらの薬は作用も強く、依存性が問題となっています。幸か不幸か、わたしには何の効果もありませんでした。ベンゾジアゼピン系の薬が概日リズム睡眠障害に効果が薄いことは、睡眠障害の対応と治療ガイドラインにも書かれています。

次いで出されたのは、三環系などの眠気を誘う抗鬱剤ですが、それらも何の効果もありませんでした。

さらに、ベゲタミンA、ベゲタミンBといった特殊な薬を処方されました。ネットで調べてみると、これらは、抗精神病薬ですが、他の睡眠薬が効かない場合の切り札として使われることがあるそうです。わたしの場合、何の効果もなかったので、2錠飲んでみたところ、(当然ですが)危険なことをするなと医者に怒られました。それでも何も変わらなかったのですが。

その後、入院しているときに、統合失調症の薬であるMARTAのジプレキサを最大量、1-2週間ほど処方されました。

普通の人であれば、これだけ飲めば眠くて起きていられないそうなのですが、何の問題もなく、いつもとかわったところは1つもありませんでした。

また、CFSと診断されてから、メラトニンとビタミンB12(メチコバール・メコバラミン)を飲んでいましたが、効果はあまり分かりませんでした。

最近出たメラトニン受容体作動薬ロゼレムと、オレキシン受容体拮抗薬のベルソムラは試したことがありません。

このように、わたしはさまざまな種類の睡眠薬を試してきました。そのどれも、効果はなく、眠りたいときに眠ることができませんでした。

しかし、その後、慢性疲労症候群(CFS)の主治医から、カタプレス(クロニジン)と呼ばれる降圧薬と、ほんの少量のリスパダール(リスペリドン)と呼ばれる抗精神病薬を処方されました。その結果は以下のように現れました。

 

睡眠表3 睡眠表4

一枚目と二枚目は続きなのですが、完全に昼夜逆転しているところ(一枚目)へ、まずカタプレスを追加したところ、夜寝たい時間に寝つけるようになりました(二枚目の冒頭)。

しかし中途覚醒などがひどかったので、リスパダールを追加したところ、睡眠が安定しました(二枚目の半ば以降)。

これだけでは、カタプレスとリスパダールのどちらが効いているのかよくわからなかったので、最近、リスパダール単独にしてみたところ、以下のようになりました。

睡眠表5

見事に前半と後半で別人のようになっていますが…。前半がリスパダール単独にしてみた場合の結果で、後半がカタプレスを戻した結果です。

これまでのデータから推測するに、わたしの概日リズム睡眠障害には、主にカタプレスが効いていて、それを安定化させるのにリスパダールが少し効果がある、ということが分かります。

カタプレスは飲んですぐに眠くなるわけではないのですが、数時間後には寝つけるというゆるやかな効き具合です。飲んでも眠くならない場合もときどきあり、その場合は頓服で追加服用しています。

主治医によると、少量のリスパダールやエビリファイは、非24時間型のフリーランを止めるのに効果がある場合があるそうです。わたしの場合、リスパダールはその役割なのかもしれません。エビリファイのほうはアカシジアが出てだめでした。

なぜカタプレスが効いたのか

ここまで読んでくださった方は不思議に思うかもしれませんが、なぜあらゆる睡眠薬が効かず、単なる降圧薬であるカタプレスが効いたのでしょうか。

わたしは専門家でないので、まったくわからないのですが、主治医がヒントとなるような話を教えてくれました。

まず、最大容量のジプレキサとか、ベゲタミンで眠くならないのは非常に珍しいと言われました。

そして、それらの薬が効かなくて、カタプレスだけが効くという例は、珍しいとはいえ、ほかにも経験しているそうです。カタプレスしか効かない人は、脳が異常に興奮しているタイプだと思うと話してくださいました。

細かいことはわかりませんが、一般の睡眠薬は脳の表層に作用するそうです。ジプレキサとかベゲタミンは、それより深いところに作用します。

しかし、カタプレスは、脳の一番深く、脳幹部のα2受容体に選択的に作用し、交感神経の緊張を抑制します。

つまり、作用する部分が違うのです。今までは、見当違いの部分を治療していたため、まったく効果がなかったということになります。

脳幹は生命活動の根幹を司る部分らしく、そこが興奮していると、交感神経が過緊張状態になります。そういえば、わたしは精神症状はほとんどないので、大脳辺縁系などの異常ではないように思います。

また、疲労度計の結果を思い出すと、交感神経の過緊張だったので、それを下げることで寝つきやすくなっているのかもしれません。

それにしてもなぜ、交感神経が過緊張状態に陥っているのでしょうか。ここから後は、わたしの推測に過ぎないのですが、わたしの慢性疲労症候群が何物なのかを明らかにするものかもしれません。

カタプレス(クロニジン)が特に効果があり、他の薬ではあまり効果がないという事例は、ほかにもあります。それは、虐待された子どもの研究です。

いやされない傷―児童虐待と傷ついていく脳には、脳の興奮を取る薬として、抗アドレナリン作動薬のカタプレスが有効だと書かれていました。

子ども虐待としての第四の発達障害にも、虐待の結果としての愛着障害には、ADHDの一般的な薬は効かず、カタプレスが効果があると書かれていました。

虐待された子どもの場合は、常に戦場にいるような状況に置かれ、生きるか死ぬかに近い状況にあり、ひとときも気を抜くことができないために、交感神経の過緊張状態がふつうになってしまうのだろうと思います。

虐待された子どもは、脳の成長期に過酷な状態に置かれることで、脳がその異常な環境に適応してしまうと書かれていました。

わたしは虐待されたわけではないのですが、それなりに過酷な環境で育ちました。学生のころも、ストレスのため、食事もまともにとれず、飲み物だけで生きながらえていて、身体的にも精神的にも、ひどい負荷のもとにありました。

そのような極限状態がしばらくつづいた結果、生命活動を司る脳幹部分が過緊張状態になり、それが普通になってしまった、ということは十分に考えられます。常に緊張状態を求められる環境に、脳が適応してしまったということです。

疲れていても、宿題や予習に追われて寝ることを許さない夜が続いたので、無理やり寝なかった結果、夜、脳が簡単には寝つかなくなったのかもしれません。

そのような生活を続け、休息を担う副交感神経の活動を無理やり抑制していたために、体が回復させる必要性を感じなくなり、常に疲労感を感じるようになったのかもしれません。

そのようにして考えれば、わたしの慢性疲労症候群は、膠原病的なものや、ウイルスによると思われるものとは全く異なり、虐待の後遺症に近いものにも思えます。

脳が環境に適応して、交感神経の過緊張状態が当たり前になった結果、二次的に生じている疲労ともいえるかもしれません。

子どもの慢性疲労症候群を研究している三池先生は、一部の子どもは、「学校過労死」と呼ぶにふさわしい状態にあり、虐待にも近いものだと述べていました。

わたしの慢性疲労症候群と概日リズム睡眠障害は、まさにそのようなものだった可能性があります。

この仮説について主治医に話してみたところ、十分可能性はあると言われました。そして、もしかするとEMDRのような脳の脱感作が効くのかもしれないという話でした。

子どもの慢性疲労症候群と概日リズム睡眠障害

この記事では、わたしの場合について書いてきましたが、これが特殊な話なのか、それともありふれた話なのかはよく分かりません。

概日リズム睡眠障害も人によって原因はさまざまなので、この記事で書いたことはわたしの場合にすぎません。しかし、日常生活でどんな苦労があるか、という部分については共通しているのではないかと思います。

不思議に思っていることですが、概日リズム睡眠障害に関する文献やインターネットの情報は意外なほど少ないと思います。取り上げているサイトは多いかもしれませんが、どれもテンプレート的な解説のもので、役に立つ情報はほとんどありません。 たぶんCFSの情報より少ないと思います。

いわゆる、健康な人が、夏休みなどで睡眠リズムを乱した場合の一過性、外因性の睡眠相後退型についての記述は多いのですが、非24時間型や不規則型についての記述はほとんど見ません。

このブログでは、子どもの慢性疲労症候群と概日リズム睡眠障害について、さまざまな情報をまとめています。より詳しいことは、そちらの情報もご覧いただければ幸いです。

子どもの慢性疲労症候群(CCFS)とは (1)どんな病気か?| いつも空が見えるから

夜眠れず朝起きられない「睡眠相後退症候群(DSPS)」にどう対処するか(1)DSPSとは| いつも空が見えるから

 
 

慢性疲労につながる「非24時間型睡眠覚醒症候群(non-24)」にどう対処するか (1)non-24とは| いつも空が見えるから

 

小児CFSの本「学校過労死―不登校状態の子供の身体には何が起こっているか」(上)| いつも空が見えるから

 
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