【クローズアップ現代 まとめ】「不登校12万人のかげで ~広がる子どもの睡眠障害~」

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2015/01/08に放送されたNHKクローズアップ現代「不登校12万人のかげで ~広がる子どもの睡眠障害~」の内容をまとめました。

扱われたのは、子どもの概日リズム睡眠障害に関する、兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センター小児睡眠外来の取り組みです。

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できるだけ正確にまとめるつもりですが、細かい表現などは放送された通りではない場合もあります。

 

宿題や部活で、早く寝たくても、寝られない子どもたち。睡眠はとりわけ子どもの脳の発達に重要だ。

国際的な基準によると、小学生に必要とされる睡眠時間は最低10時間、中学生、高校生は8時間30分だが、日本では実際の睡眠時間は、小学校中学校の子どもたちで1時間以上、高校生に至っては2時間近く短くなっている。

たかが1-2時間と想うかもしれないが、睡眠不足で心身に変調を来たし、学校にも通えなくなる子どもたちが少なくない。不登校の小中学生は全国に12万人。去年発表された文部科学省の実態調査では、不登校になった最初のきっかけは、3人に1人が、生活リズムの乱れを挙げている。朝起きられないことが不登校のきっかけになっている。

親たちを戸惑わせるのは、勉強や部活、塾など、何事にも一生懸命に取り組んでいた児童がある日突然起きられなくなるという現実。

睡眠リズムの乱れを示す兆候のひとつは、最も頭が冴えているはずの午前中の眠気。全国の学生を対象にした調査では、児童生徒のじつに6割が、午前中眠くて仕方がないことがあると答えていて、睡眠の問題で不登校になる生徒が今後増える可能性があることがわかった。

(詳しくは続きからどうぞ)

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睡眠障害に苦しむ子どもの実態

睡眠障害に苦しむ中学1年生のアイさん。この日も九時間近く寝ているが起きることができない。母親が10分おきに起こそうとするが、アイさんは体に力が入らず、声を出すこともできない。

母親「娘は『わたしは起きたいけど起きられへん』と常日頃言うから、ほんとうに辛い」

アイさんは幼い頃から活発な女の子。小学校のころはバスケットボールチームのキャプテン。学校に行くことが何よりの楽しみだった。

しかし半年前、めまいや胃の痛みを感じるようになり、ある日突然朝起きられなくなった。

アイさん「お母さんが『アイ、起きなさい』と言っているのはすごい聞こえるけど、ほんとに体が動かない」

この日は9時に起き、二時間目の途中から登校。度々遅刻するので、周囲から冷たい目で見られる。

アイさん「『絶対あいつ朝来ないから』と言われたり、『怠けてんじゃねえの』みたいな傷ついたりはする」

なぜ朝起きられないのか、いくつもの病院を回った末、子どもの睡眠を専門にする病院にたどり着いた。

▼子どもの睡眠と発達医療センターとは

日本全国でも珍しい、子どもの睡眠を専門とした病院です。入院治療も行われています。

ホームページはこちら。

子どもの睡眠と発達医療センター|兵庫県立リハビリテーション中央病院

この日診察にあたった医師はセンター長の小西行郎さん。アイさんがこれまでどのように睡眠をとってきたのか詳しく聴きとった。

アイさんは小学校高学年のときは夜11時に寝て、朝7時過ぎに起きていた。中学に入ると、塾通いがはじまり、寝るのは12時に。起床は部活の朝練のため、6時に早まった。

小学生のころから、慢性的に睡眠が不足気味だったアイさん、中学に入り、さらに、一日2時間、睡眠を削ってしまったことが起きられなくなった原因だと伝えられた。

医師「これは気持ちじゃなくて、あなたの体が言うことを聞かなくなっている証拠」

本来夜になると、脳のなかで、眠りを促すホルモンが出て眠くなり、朝になると覚醒ホルモンが出て目覚める。

しかしアイさんの場合、睡眠不足がきっかけで分泌されるリズムが乱れ、夜眠れなくなり、朝起きられなくなっていた。概日リズム睡眠障害と診断された。

医師「今の生活を変えないと、ちょっと持たなくなる。学校へは行けなくなる可能性が高い」

母親「成長期の自律神経のバランスの乱れから、こういうのも仕方ないのかなと思っていたが、きちんと先生からお話をいただいたので、治していこうと思う」

睡眠に問題を抱え、この病院に駆け込む子どもたちの数は年々増加し、今では年間のべ3700人。その多くは不登校を経験している。

入院患者100人を対象に、睡眠障害になった背景を調べたところ、多くが、部活動や塾が要因となっていた。年々部活動や塾が深夜早朝にまでおよび、まじめに打ち込む子どもほど、睡眠障害に陥る環境が加速している。

医師「真面目な子が睡眠障害に陥るというのは確かにそうですよね。サボったりとか適当にできない。大人が負荷をかけて子どもたちが頑張れば良い子に育つというのはちょっと限度があります」

この病院では二ヶ月の入院により、正しい睡眠リズムを取り戻させる。そのひとつ、朝強い光を浴びる光治療。目覚めのホルモンの分泌を促す。さらに規則正しい運動や食事で一日の生活リズムを取り戻していく。不登校になった仲間同士で語り合うことも大切な治療のひとつ。こうした入院生活により、症状が改善し、再び学校に通えるようになる。

入院した子ども「今はスッキリした状態で、朝はテキパキ動ける感じになって、入院前と比べたらまったくよくなっている」

しかし退院後、再び睡眠障害に陥る子どもも少なくない。

入退院を繰り返してきたタロウさん。治療で一時的に症状が改善しても、しばらくすると再び朝起きられなくなる。睡眠障害になったことで、自律神経のリズムまで乱れてしまい、眠っても、脳や体の疲労が取れなくなっていた。

「良くなったと思って家に帰って、しばらくいい状態が続いたとしても、そのあと急に崩れることもある。いつよくなるのかまったく見えない。ゴールが来たと思ったら、じつはゴールじゃなかったりする」

最新の研究では、睡眠リズムの乱れは深刻な病気につながる可能性もあることがわかってきた。この病院で睡眠障害の子どもの血糖値の変化を調べたところ、4人に1人が糖尿病のリスクが高いことがわかった。

医師「睡眠を見ていると、体全体の問題だと思う。やっぱり一般の方の子どもの睡眠障害に対する考え方は非常に軽い」

脳の過労状態

国立精神神経センターの客員研究員、白川修一郎さんはこう説明する。

■一種の過労状態

睡眠は、脳の疲労の回復に役に立ってる。この子は睡眠不足がずっと続いて、睡眠障害をもつようになってしまって、そして脳の一種の過労状態になってしまった。だから、起きたくても起きられない。

一方で睡眠中には成長ホルモンも分泌されるが、それもうまくいっていない。あと自律神経の乱れもかなり生じてくる。自律神経失調が起こっている。そうなると、血圧が瞬時に下がらないとか、体温がしっかり下がらないとか、そういうことがあって、睡眠が長い時間とっても、疲労の回復がうまくいかない。

子どもの睡眠は、疲労の回復とか自律神経系の再調整に非常に大切

■脳の発達に関係

睡眠が一番最初に影響しやすいのは、前頭葉。前頭葉というのは、ものを判断したり、意欲に関連していたり、記憶に関係して記憶を引き出す役割があったりする。記憶に関係して、特に海馬の発達にも関係している

糖尿病については、インシュリンに対する抵抗性が上がるという報告がある。なるリスクが高くなる

■いい睡眠とは

睡眠というのは、量と質とリズムが関係。朝登校の時間から逆算して、必要な睡眠時間を計算し、寝る時間と起きる時間を規則正しく安定させる。そうすると質もよくなる。

子どもというのは、夜しっかり寝ていれば、昼間は眠くならない。夜もなかなか寝れないというのはひとつの(睡眠障害の)目安。

もう一つは登校日と休日の起床時刻の差が2時間以上あると、睡眠が不足し、リズムはかなり乱れてきているという証拠

■睡眠を削るべきか

睡眠は知識の固定や、学習に深く関係している。睡眠をとっていたことのほうが成績はいいことがすでにわかっている

眠育の取り組み

福井県西部の美浜町。この地域では、すべての小中学校で、睡眠の大切さを教える眠育が行われている。子どもたちは夜寝た時間と朝起きた時間を睡眠表に記録。

子ども「生活リズムがわかって、悪いところがあったら直そうと思える」

この取組をはじめたのは小学校の元校長前田勉さん。睡眠リズムが乱れがちな子どもをいち早く見つけて、不登校を未然に防ぐのが狙い。

前田さん「睡眠表をつけてみると、自分の睡眠の特徴がでてくる。夜更かしの習慣とか。おうちの人も子ども自身も気づける」

前田さんが眠育をはじめたきっかけは教え子たちが、中学に進学したあと、急に不登校になるケースが相次いだことだった。

不登校に詳しい三池輝久医師に相談すると、睡眠との関係を指摘された。実際に調査したところ、その結果に驚いた

前田さん「不登校の多い学校と、不登校のいない学校の違いというのが、明らかに睡眠によって違う。先生が言っていることが全く間違いないという確信をわたし自身が持てた」

前田さんが力を入れてきたのは、教師や親など大人への指導。子どもが記録した睡眠表で気になる兆候を見つけたら、学校に出向き、個別面談を行う。

前田さんは桶野さんの子どもが、習い事のため、夜寝る時間が遅く、睡眠が不足していると伝えた。

前田さん「こんだけ毎週3日間もいって、遅寝をする状態はこの子にとってマイナス。この時期は、十分しっかり睡眠をとってやってあげないと」

その上で、睡眠リズムが乱れると体にどんな影響が出るか具体的に伝え、理解を求めていく

母親「元気にいるということで安心していたが、もっと早く寝かさないといけないということをしみじみと想っている」

桶野さんの長女、小学校四年生の想乃さんは、週3回の水泳教室に通っているため、帰宅時間は9時過ぎ。以前は水泳のあとに宿題をしていたため、10時過ぎまで起きていた。今は水泳の前に宿題を済ませ、帰宅後はすぐ寝るようにした。

想乃さん「睡眠がないと、覚えれないとか体力が消耗してしまう」

今は30分以上早く寝られるようになった。

「娘は自分のペースを崩されるほうがまだ正直いやという感じなんですが、そこをぐっとこらえて、いいリズムのほうに持っていきたい」

子どもの睡眠を守る取組は地域にも広がり始めている。美浜町のスポーツクラブ。親からの要望で、教育委員会が動き、クラブの終わる時間を早める方針を打ち出した。夜9時まで練習していたこのスポーツクラブも、8時半に切り上げるようになった。

コーチ「しっかり大人の方が時間を決めないとと思う」

 

眠育はまだはじまったばかり

引き続き白川修一郎さんの話

■眠育によって不登校が0になった

とにかく知識が大切。親に伝えて納得してもらっている。親も子どもと一緒に話しながら、子どもも納得している。

もうひとつ重要なのは、子どもの睡眠を可視化している。本当は親も可視化してほしい。子どもにうまく伝えられやすい状態を作っている

■夜の塾やクラブ活動は弊害

逆に睡眠を削ることにより、バーンアウトにつながる。頑張っている子どもほど危険。塾の先生とか、クラブ活動の指導者など社会で睡眠の知識を共有することが重要

■眠育の取り組み

まだはじまったばかり。富山県は前傾的にはじめている。学校の先生の研修に睡眠のプログラムを入れるなど。長野でも学校によっては、朝練をセーブするとか、休日に休みをとるとかやっている。

国も眠育をはじめようとしている。厚生労働省の睡眠の健康推進機構を立ち上げて、睡眠の日を制定したりしている。でもやっとはじまったばかり

■先進国の平均睡眠時間のグラフ。韓国に次いで短い。

大人の感覚で子どもの睡眠を見ている可能性が高い。わたしはこんだけ寝ているから、子どもも十分だ、と考える。知識がないので、そういうことが起こっている。大人が作った、子どもの睡眠障害である可能性が高い。

子どもの睡眠は大人の睡眠とは別なんだ、と、子どもというのは睡眠をしっかりとっていないと、将来を担うパワーを持てないのだ、ということが睡眠障害として出てきている。大人がまず自分の睡眠を知って、知識をもって、睡眠を取ることが大切

▼概日リズム睡眠障害とは

概日リズム睡眠障害についてはこちらの記事をご覧ください。

夜眠れず朝起きられない「睡眠相後退症候群(DSPS)」にどう対処するか(1)DSPSとは| いつも空が見えるから

▼より詳しく知りたいなら

子どもの睡眠と発達医療センターの三池輝久医師の著書が発売されています。

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