子どもの慢性疲労症候群(18歳以下発症のCCFS)はどこまで治るか

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般に子どもの慢性疲労症候群(18歳以下発症)は治りやすいと言われます。実際に、完全に回復して人生を謳歌している人も少なくないのだろうと思います。

しかし一方で、ある程度までは治ったものの、完全な回復には至らない位置にいる人たちもいます。わたしの友人には20年来、そのような体調を抱えている小児期発症の患者も何人かいます。

そして、中には、少数ながら、最終的に寝たきりになってしまっている人もいます。重症の患者です。

興味深いことに、小児CFSに関する三池輝久先生の研究では、どういった症状は治り、どのような症状は後遺症的に残りやすいか、不登校外来―眠育から不登校病態を理解するなどで説明されています。わたし自身の経験に照らしても、それらは事実だと思います。

この記事では、(1)小児CFSはかなり治る、(2)どんな症状が治りやすく、また残りやすいか、(3)治るための心構え について、書籍の説明を交えて書き残したいと思います。

 

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1.小児CFSはかなり治る

まず、小児CFS(18歳以下発症の慢性疲労症候群)は大人のCFSに比べてかなり治る、というデータを挙げておきたいと思います。

子どもの心身症ガイドブックによる、PS5以上の患者を対象とした日本の研究(5年以上経過観察)では、

70%:本来の生活に復帰したものの約半数に疲れやすさが残る
15%:日常生活に制約がある
15%:引きこもり状態。重症。

となっており、諸外国の研究でも似たようなパターンとなっています。本来の生活に復帰した人のうち、約半数は疲れやすさが残るということなので、完全に回復した人は上位35%くらいということになります。

それに対し、大人のCFSでは、大阪市立大学医学部附属病院の疲労クリニカルセンターの公式資料に、以下のように書いてありました。

これまでの予後調査では、漢方とピタミンによる治療で、ほぼ完治した患者の割合は、2年で10-15%、4年で約40%です。復職等、社会生活が可能な状態に回復した人を含めれば、治療開始後4年で全体の60%程度が回復しています。

疲労とともに、身体表現性障害や気分変調症を伴なう場合は10年以上経過しても寛解しない例もしばしばあります。

こちらは若年患者も含まれるとはいえ、たぶん年齢層の高い患者が多いと思います。このデータではあまり差がないような気がしますが、子どもの慢性疲労症候群のほうが、予後は良い、と聞くことがあります。

重症者は、成人型CFSでは1/4、25%と聞きますが、小児CFSは少なくとも15%以下なので、こちらもPSが違うので単純比較はできませんが、やはり良くなりやすいと言えそうです。三池先生の講演では、最終的に寝たきりになってしまったのは、診察した3000人のうち3人ほどとされていました。

わたしはというと、真ん中の15%あたりにいます。それなりに治ったものの、日常生活には制約がある状態です。

別の統計を挙げましょう。筋痛性脳脊髄炎の会によるチャールズ・ラップ先生の講演では、デビッド・ベル博士による15年経過観察について、小児CFSは、80%の患者が回復又は著しく改善し、20%は病気のまま、あるいは非常に重いままであったとされています。ただし80%のうち、約半数は軽度から中等度の症状の持続を認めていたそうです。

さらにまた、もう少し消極的なデータを挙げると、子どもの心身症ガイドブックに載せられている別の海外の5-10年経過観察によると、60%が社会復帰しましたが、その半分はハーフタイムでの仕事であり、残りの40%は自宅療養しているとのことです。

それぞれのデータはおおよその点では似通っています。だいたい60-80%は社会復帰できますが、その半数に後遺症が残っていることがわかります。

治りやすいかどうかは、年齢による影響が大きいようです。不登校外来―眠育から不登校病態を理解するには

年齢が大きくなるにつれて回復力が低下する傾向があり、さらに社会復帰のきっかけづくりが難しくなる。(p101)

と書かれています。(一方で、低年齢すぎる発症は背景に生体リズム形成不全などが見られ、長期化するそうです。p104)

長期化すると治りにくくなることは、5年経過観察のデータも、15年経過観察のデータも、治癒率がさほど変わっていないことからもわかります。5-10年経過観察のデータによると、回復した人は、平均5年以内に回復しているそうです。とはいえ、15年経過観察のデータが一番改善率は高いので、ゆっくり治る事例も少数ながらあるのかもしれません。

ほかには発達障害などがあると治りにくいという話も聞きますが、詳しい資料がないのでわかりません。

確かなのは、世の中には、わたしのように小児期発症のCFSが治りきらずあれこれとブログを綴っている患者より、それなりに治って社会生活に復帰している患者のほうが多いということです。

2.どんな症状は治りやすく、また残りやすいか

ここからは、書籍の内容に基づいて、どんな症状は治りやすく、どんな症状は後遺症的に残りやすいかを考えます。参考程度にわたしの経験もちょくちょく挙げておきます。

概日リズムは治療できるが、長時間睡眠は治りにくい

小児CFSの特徴として、さまざまな概日リズム睡眠障害を抱えるということがあります。大半は睡眠相後退症候群(DSPS)と呼ばれる宵っ張りの朝寝坊で、朝4時に寝て昼の14時に起きる、といったパターンを示します。次に多く見られるのは非24時間型で、毎日睡眠時間帯がずれていきます。そして少数ながら、全く予想できない不規則型もあります。

特徴的なのは、どの睡眠障害を抱えるにせよ、総睡眠時間が10時間以上、一番ひどい時期には15時間にもなるということです。これは、睡眠の質が非常に悪いため、長時間寝ることで補っているのではないかと言われていました。

そのようなわけで、小児CFSの睡眠障害には(1)概日リズムのずれ (2)総睡眠時間が10時間以上 という2つの問題が見られます。

この点について三池先生は学校を捨ててみようの中でこう書いておられます。

慢性疲労症候群は、簡単には改善・解決しない。10時間睡眠が定着し、学校社会生活を続けることは不可能となる。(p197)

睡眠障害のタイプを評価したあと、私たちは10時間睡眠をどの時間にとるのかを話し合う。(p199)

さて、後遺症的に睡眠時間の長さが残る。10時間眠らないと一日過ごすことができない。当然、朝から活動をはじめるふつうの学校社会生活は不可能となる。(p210)

不登校外来―眠育から不登校病態を理解するにもこうあります。

この生活リズム改善にはいろいろな取り組みがなされているが、過眠(10時間睡眠)の壁が立ちはだかる。(p34)

ここで、(1)概日リズムのずれ については、10時間睡眠をどの時間にとるか話し合うと言われているとおり、薬や高照度光療法で治療できるようです。ある程度治る見込みがあります。

しかし問題は(2)総睡眠時間が10時間以上 のほうであり、「後遺症」として定着してしまうことが書かれています。睡眠の質の悪さに起因する長時間睡眠は、そう簡単には治らないのです。

わたし自身の経験を挙げると、CFS発症と同時に概日リズム睡眠障害の非24時間型になって、毎日10-12時間以上寝る上に、睡眠時間が日々ずれていくという状態にありました。これがどれだけ苦しいかというと、他人の予定に合わせることが困難になり、ときには真夜中を悶々と生きなければならず、別の世界で生活しているかのようです。起きたら日が暮れていたり、疲れ果てているのに寝れなかったりして、何もできない日々を過ごすことになるのです。

その睡眠時間のずれの問題は、どんな睡眠薬でも治らなかったのが、小児CFSの治療に使われるいろいろな薬のおかげでなんとか止まっています。よって今では非24時間型ではありません。

これは治療を受けていて、ことさら恩恵を受けている部分であり、夜眠ろうとすれば眠れるというのは、なんとありがたいものなのだろうと感じます。疲れているのに眠れないことほど消耗させるものはありません。ここが解決したからこそ、今の生活が支えられています。

慢性疲労につながる「非24時間型睡眠覚醒症候群(non-24)」にどう対処するか (1)non-24とは| いつも空が見えるから

簡単に疲れる易疲労性は半数以上に残る

慢性疲労症候群の疲労というのは、普通の疲労の常識を超えるほど苦しいもので、単に運動をしたら疲れるというものではなく、生きることすべて、日常生活のすべてが疲れ果てるほどのものです。

具体的に言えば、本来エネルギーを回復する手段とされる食べることや寝ることにさえ疲れ果ててしまったり、後ほど取り上げますが、人との何気ない会話でさえ不可能だったりするのです。

「ひどい場合はトイレに行くのも苦労するほど」だと子どもの夜ふかし 脳への脅威 (集英社新書)に書かれています。(p121)

こうした極度の疲労感や易疲労性については、子どもの夜ふかし 脳への脅威 (集英社新書)には、こう書かれています。

2つ目は極度の疲労感や倦怠感です。一度フクロウ症候群[小児CFSの別名]に陥り、生体リズムが混乱して昼夜逆転の生活を経験した子どもの半分以上に、最終的に厄介な問題が残ります。

それはエネルギーを生産する能力が低下したまま、回復せず、疲れやすい状態が将来にわたって延々とつづく状態です。これを専門用語で「易疲労性」(いひろうせい)と言います。(p116)

まず積極的な面に目を向けましょう。小児慢性疲労症候群の一部(おそらく35%ほど)は易疲労性が治り、完全に社会復帰できます。

しかし一方で、残りの半分以上には、10時間睡眠と同じく、やはり後遺症のようにして、易疲労性も残ってしまうのです。

もちろん、多少易疲労性が残る人でも、程度が軽ければパートタイムの仕事はつけるでしょう。完全に治った半数と、易疲労性が軽い人たちを合わせると、先ほどの統計に出てきた、社会に戻れて、著しく改善した70%-80%の人たちになると思われます。

しかし中には易疲労性が重いままの人たちも20-30%おり、特にひどい人は、トイレに行くのも困難な極度の疲労が回復せず、寝たきりのままになってしまうかもしれません。

わたしはというと、発症当初は、ほぼずっと横になっていて、手を肩より上に上げるとおぞましい疲労感に襲われるので、歯を磨いたり頭を洗ったりするのが長期間できないこともありました。前にも書いたとおり、そのせいで、ようやく歯医者に行ったとき10本近く虫歯があり、一本は抜くはめになりました。

こうした極度の疲労感は、幸い今ではかなり改善しました。しかし人と比べて体力が極端になく、易疲労性は残っています。

極度の疲労はある程度回復するかもしれませんが、疲れやすい易疲労性は、前述の長時間睡眠に加えて、これもまた後遺症的なものとして延々と残りやすいのです。

発達障害や慢性疲労症候群と関わる「子どもの夜ふかし脳への脅威」| いつも空が見えるから

混乱状態は徐々に治る

小児CFSでは発症当時、混乱状態が見られます。自分自身の身に何が起こっているか理解できず、日常生活の記憶すらありません。そうなるのも当然です。突然得体の知れない病気を発症し、心身の疲労が頂点に達しているので、もはや思考がついていかないのです。

このような混乱状態はについては不登校外来―眠育から不登校病態を理解するにこう書かれています。

不登校状態に至ったごく初期には、強い疲労と混乱状態でほとんど日常の記憶がないほど消耗している。その後次第に落ち着きを取り戻すが、なぜ自分が学校から離れなければならなかったかという疑問には自分自身答えが見つからない。(p31)

まずこの混乱状態を解決した後にじっくりと話を聞くことが重要である。実際に混乱が整理されてくると彼らの[カウンセリングを必要とする]訴えが消え去ることもまれではない。(p84)

ゴロゴロと横になって過ごす日々が終わると次第に昼頃には起き上がりテレビ、ゲーム、音楽、マンガの生活に落ち着いていき、PS-5と評価される状態に落ち着く。

PS-5では日常生活はほとんど破綻し、学校や社会との接点が薄くなる。(p92)

こうした記述からわかるとおり、発症当初は、混乱しており、PS値も7以上の重症状態ですが、たいていの場合、PS5までは自然と回復するようです。ただしPS5というのは日常生活が破綻している状態です。

それ以上回復するかどうかは、先述のとおり、易疲労性や概日リズムの問題の回復によるでしょう。

失読症は治ることもある

わたしのブログでは本の書評をいろいろ挙げているので、わたしが本を読める人であることはよく知られていると思うのですが、同時に失読症の話題も挙げています。

文章の意味が分からない「後天性の失読症」にどう対処するか(上)| いつも空が見えるから

慢性疲労症候群では、文章が読めなくなる失読症になる人がかなりの程度いるような話を聞きます。

わたしもCFSを発症して数年の間は、読書どころか、文章を読むことすら困難でした。文字の形は分かるのですが、意味がまったくわからないのです。なんとかひとつの文を読むのに何分もかかってしまうことがよくありました。本を読もうとしても、ワーキングメモリーが作動していないのか、直前の文章さえ頭の中で真っ白で意味をなしませんでした。

不登校外来―眠育から不登校病態を理解するによると、小児CFSは前頭葉ワーキングメモリが低下しているという研究があります。文章を読みながら文字に注目すると、内容を理解できないという研究結果であり、失読症のメカニズムと関係していると思われます。 (p51)

こうした失読症がどうなるかについては、ちょっとした記述ですがこう書かれています。

回復速度は極めて緩やかで、睡眠パターンはほとんど改善されないため、起床は昼近くであることがほとんどで、日常生活は全うできず、できることは(1)テレビを見る、(2)ゲームをする、(3)音楽を聞く、(4)マンガを見る、の四つのみである。時には読書能力が残っている、あるいは回復することもあるので(1)~(4)+1となる。(p122)

ですから小児慢性疲労症候群では、読書能力は人によっては残っていたり、自然に回復したりする機能なのです。

人との会話が異常に疲れる

小児CFSに見られるほかのやっかいな問題は、人との関わりが非常に疲れるということです。特に、一対一ならまだしも、学校や職場などで、複数の人を相手にすることができないと言われます。

先に文章を読めない失読症について書きましたが、それと似たようなことが人との会話で起こっています。リアルタイムで会話を把握し、ついていくことができないのです。言葉が見つからないのは、ある点では失語症にも似ています。

この点については、不登校外来―眠育から不登校病態を理解するの中で、

人とのかかわりに障害が起こり、人と会うことに異常な疲労を覚える状態になっている。相手の表情や意図を感じ取り、相手の言葉を理解・解釈して自分の考えを伝える作業が困難となっている。

fMRI(functional MRI)などの研究でわかってきたことであるが、会話相手の話に集中し理解するため、正常では一部の脳機能で対応できるものが、不登校状態[小児CFS]では脳機能のバランスを欠くために脳全体の細胞群を総動員して興奮させなければならず、エネルギー消費が高度となり脳神経細胞に対する負担が大きくなる。

さらに興奮性が増加する悪循環となり、気分不良、寝つき不良につながり、生体時計がますます乱れ、脳機能もさらに乱れることになってしまう。

残念ながらこの脳機能の回復への直接的対応もまだ把握できていない。 (p85)

と書かれています。これはこの時点だけ見ると、発達障害に似ていますが、CFSのせいで二次的になっているものだそうです。

会話というのは高度な脳機能で、相手の表情の情報と、会話の情報を同時に分析しなければなりません。小児CFSでは注意配分機能が低下しているらしいので、こうしたコミュニケーションが難しいのかもしれません。(p34)

これは、他の後遺症的な問題とは異なり、CFSが治ってくれば自然に治るそうです。しかし三池先生が認める通り、回復させる直接的な方法はわかっていません。治らない場合は、発達障害の人が用いているいろいろな対策を借用するのがよさそうです。

できることとできないことがある

最後に、おまけ程度の扱いではありますが、脳機能のアンバランスさについても挙げておきたいと思います。

小児CFSでは、ある活動はできても、別の活動はできない、といった脳機能の偏りが見られます。

なぜ、ある認知的活動はこなせるのに、別の認知的活動はこなせないのでしょうか。おそらく考えられるのは、それらこなせない認知的活動は、注意配分機能を使ったり、特に弱っている脳機能(ワーキングメモリーなど)をより多く用いたりするものだということです。活動のタイプやそのときの体調によって、弱っている脳機能に干渉するために、できるかどうかが左右されている可能性があります。

不登校外来―眠育から不登校病態を理解するにはこうあります。

睡眠(休養)によるリフレッシュができないため辺縁系脳細胞疲労が生じ、結果として生命維持脳機能が低下し、ついには高次脳機能 機能低下が起こるために、統合的な脳機能を中心としたアンバランスが生じる。(p96)

とされているとおり、何かアンバランスなのでしょう。特に高次脳機能など、統合的な脳機能を使う活動は難しくなるかもしれません。

3.治るための心構え

ここまで考えたことをまとめましょう。

■概日リズムのずれは治療で治せる
■10時間以上の睡眠は後遺症的に残る
■易疲労性は半数以上に後遺症的に残る
■混乱状態は治り、PS5に落ち着く
■失読症は治る人もいる
■脳機能の偏りやアンバランスさは治ることもあるが治療法は不明

つまり、ほとんどの人に、発症当時より改善する部分が認められますが、後遺症的に残ってしまうものも多いということになります。少なくとも、適切な治療を受けたり、休養をとったりしていれば、程度の差こそあれ、いくらかは改善するというのは朗報です。

しかし、気をつけなければならないこともあります。

重症のCFSに悪化することもある

不登校外来―眠育から不登校病態を理解するにはこう警告されています。

 時期が満ちていないときのこのような頑張りが繰り返されると、重症のCFSが引き起こされ、“長期的引きこもり状態”につながっていく。(p103)

このような頑張りとは、朝起きられず、脳機能の偏りなどが改善されていない状態で、学校や社会に復帰しようと試みることです。

先ほど引用した文章では、無理やり頑張ると、「さらに興奮性が増加する悪循環となり、気分不良、寝つき不良につながり、生体時計がますます乱れ、脳機能もさらに乱れることになってしまう」と書かれていました。

学校を捨ててみようでは、三池先生が診察した最初の慢性疲労症候群がそのような事例だったことが書かれています。そのNさんは高校1年生のときに過労から慢性疲労症候群となりました。自分が情けなく感じ、無理やり早朝の新聞配達を始めたところ、倒れて重症状態になりました。

しかし、社会生活に戻る気力も生命力もNさんには残っていなかったのであろう。部屋を私が訪れたとき、机の下に顔を差し入れて毛布をかぶって寝ていた彼は、私の話に集中することはなく、不思議な笑みを浮かべていた。

風の便りに、そのあとしばらくしてある病院に入院されたとのことであったが、その後、七~八年経過したが、退院の話は聞いていない。(p72)

あきらめるのは間違い

不登校外来―眠育から不登校病態を理解するには、治りにくくなる要因として、「本人が自らの問題をよく理解していない」ことや、「自暴自棄になって自らの人生へのあきらめが強くなる」ことが挙げられています。(p104)

ですから、時間はかかろうと、あきらめず情報を集め、治療に専念するのは賢明なことだといえます。

確かに、小児CFSの改善例の大半は、数年以内に回復したものであり、5-15年経っても改善率がさほど変わらないのは厳然たる事実のようです。とはいえ、入手できる情報の中では15年経過報告が最も改善率が高いので、あきらめないことは大切です。

最近、興味深く思ったのは、ベストセラー、ケリー・ターナー博士のがんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのことです。現代医学では治らないと言われている末期がんが寛解したという、珍しい症例を集めて分析し、その人たちに共通していた9つの点をまとめた本です。Webインタビューにおいて、この方法で慢性疲労症候群が治った人もいることが触れられています。

意外に思えるのが、その9つの習慣のうち7つまでが心のあり方や主体的な意思決定に関わるものだったということです。特に最後の一つは、「どうしても生きたい理由」を持つことでした。最後は精神論なのか、と思えてしまいますが、何が何でも治ろう、生きようという強い意志は、免疫力や自己治癒力を高める要因のひとつとなるのです。

慢性疲労症候群という考えるのも疲れるような病気で、そのような強い意志力を持つのはなかなか困難かもしれません。しかし灯台の光を見失い、荒波にもまれるままに海を漂っては死を待つだけです。

学習性無力感という言葉があります。「長期にわたって、ストレス回避の困難な環境に置かれた人は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという見解」だと説明されています。

これは最も危険な状態です。今まで何をやっても治らなかったから、もう治るのは諦めようと思うのです。しかし幾らはずれのくじを引き続けたからといって、当たりくじが含まれていないとなぜ確信できるのでしょうか。確かに本当に含まれているかどうかはわかりません。それでも、トライし続けなければ、見つかるかもしれなかった当たりさえ取り逃がしてしまうのです。

そのようなわけで、治りきらなかった小児期発症のCFSは困難な道のりであることは事実ですが、まだあきらめるには早いのです。

▼関連情報

小児CFSの患者の発症パターンや一般的経過についてはこちらをご覧ください。

小児慢性疲労症候群(CCFS)とは (4)典型的な発症パターン| いつも空が見えるから

 

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