マインドマップ。このブログにもときどき登場している、このすばらしいノート術をみなさんはご存じでしょうか。マインドマップを生活に取り入れれば、以下のような場合にとても役立ちます。
◆いくら考えてもよいアイデアが湧かない
◆テレビや講演のメモをとっていると、すぐに話に置いていかれた
◆チェックリストを作ったのにいつも見落としがある
◆新しいことを勉強したいのに頭に入らない
◆人前で話すときに考えがまとめられない
そもそもマインドマップとは何でしょうか。どのように役に立つのでしょうか。このエントリでは、マインドマップのメリットやかき方ついて説明します。
目次 ( 各項目までジャンプできます)
マインドマップとは何か
マインドマップとは、右図のような、独特なノート術です。端から端に書いていくふつうのノート術とは違い、一枚の紙の中心から放射状に書き始めます。上図のように絵を描き入れて色とりどりにかくこともあれば、下図のように、ひとつの色ですばやくメモ書きすることもあります。
このノート術、マインドマップを考えだしたのは、イギリスの教育家トニー・ブザン氏です。ブザン氏は、幼いころから「記憶」の不思議に興味をそそられていました。そしてダ・ヴィンチ、エジソン、アインシュタイン、ピカソら、過去の天才とされる人たちのノートを45年かけて調査し、それらに共通点があることを見出しました。その総まとめとして誕生したのが、マインドマップなのです。
最も歴史がある記憶術のひとつは、「記憶の宮殿」と呼ばれる場所法です。場所法では、覚えたいことをイメージ化して、頭の中の建物の各場所に配置します。マインドマップはこの「記憶の宮殿」のペーパー版として作られました。
このようにマインドマップは、当初記憶術として生み出されましたが、脳の様々な機能を働かせる汎用性のあるノート術として、創造・計画・思考・学習・コミュニケーションなど、さまざまな分野で使われるようになっています。
たとえば、マイクロソフトを立ち上げたビル・ゲイツや、「不都合な真実」で有名な米国元副大統領アル・ゴアなど、多くの知識人がマインドマップを活用しています。ディズニーやナイキでは、社内教育の一環にもなっています。
では、この革新的なノート術「マインドマップ」にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
マインドマップの5つのメリット
マインドマップが役立つ5つの場面を最初に挙げました。
◆いくら考えてもよいアイデアが湧かない
◆テレビや講演のメモをとっていると、すぐに話に置いていかれた
◆チェックリストを作ったのにいつも見落としがある
◆新しいことを勉強したいのに頭に入らない
◆人前で話すときに考えがまとめられない
この5つの場面に対応させて、5つのメリットを説明しましょう。
リラックスして発想できる
一般的なノート術:直線的かつ機械的なので、書いている間も脳はストレスに感じます。勉強好きの人でも、ノートを取るのが好きな人はそう多くありません。
マインドマップ:脳は直線的な思考ではなく、次々に新しいことを連想する蜘蛛の巣のような放射的な思考をしています。その思考パターンをそのまま写しとるかのように、放射状に考えを発展させるので、脳は自由に発想でき、かいているだけで楽しくなります。
すばやくノートをとれる
一般的なノート術:「てにをは」など、文章のつなぎ言葉をたくさん用います。要点は埋もれ、読み返すのは大変です。トニー・ブザンは一般的なノートの90%は無駄だと主張しています。
マインドマップ:単語のみで書くので、時間を取られません。速記術を学ばなくても、すばやくメモすることができます。
全体をもれなく俯瞰できる
一般的なノート術:ページをまたいで順番に書かれるので、見返すときは最初から最後までもう一度読まなければなりません。せっかくチェックリストを作っても、項目が多くなればなるほど、見落としも多くなります。
マインドマップ:一枚の紙にまとめられ、単語で書かれているので内容も簡潔です。一目見ただけで全体をもれなく俯瞰できます。
脳全体を使うので記憶力が高まる
一般的なノート術:文章や箇条書きを用います。しかしこれでは、左脳(論理・順序)しか用いません。
マインドマップ:右脳的な能力(イメージ・連想・色・リズム)をフル活用します。fMRIで記憶の達人を調べたところ、脳の視覚的記憶や空間記憶に関係する部分が活性化していたそうです。前述のように、マインドマップは、記憶術の場所法にもとづいて、知識をマップとして配置しています。通常とは異なる情報処理を行い、記憶を刺激するのです。
考えをまとめられる
一般的なノート術:つなぎ言葉によってキーワードが分断され、どこが要点なのか分かりにくくなります。
マインドマップ:キーワード同士がつながり、しかも階層(クラスター)化によって分類されています。一目見ただけで、要点を把握することができます。
このように、マインドマップは、多くの面において、これまでのノート術より優れています。試験勉強、講演ノート、日記、買い物リスト、アイデア出し、考えの整理など、さまざまな場で役立ちます。
マインドマップのかき方
では、マインドマップはどのようにしてかくのでしょうか。
7つのステップに分けて、ご紹介したいと思います。
1.紙を用意する
罫線のない大きめの紙を横向けに置きます
2.テーマを中心にかく
これから考えるテーマを中心に描きます。はじめは文字でも構いませんが、もっとも効果的なのは、カラフルな絵です。これを「セントラル・イメージ」といいます。
3.枝を伸ばす
「セントラル・イメージ」から枝を伸ばします。この中心から伸ばした曲線の枝を「メイン・ブランチ(主要な枝)」といいます。
◆ブランチは直線ではなく、有機的な曲線にするのがポイントです。自然なうねりがある方が、脳は柔軟に発想しやすいのです。
4.キーワードを書き込む
メイン・ブランチの上に、大事なキーワードを書きます。ふつうのノートでいうと、副見出しに当たる言葉です。
◆キーワードは文字ではなく、絵で描いても構いません。
◆キーワードは文章ではなく、極力単語で書きます。はじめは抵抗があると思いますが、単語で書くほうが理解しやすく、発想も湧きやすいので、がんばってください。
◆メイン・ブランチのキーワードは太く、大きく書きます。
◆キーワードは、ブランチのうねりに沿うように書きます。
5.さらに枝を伸ばす
メイン・ブランチの先からさらにブランチ(枝)を伸ばし、関連するキーワードを書き込んでいきます。思いついたものは何でも書いていって構いません。
◆先にブランチを伸ばし、それからキーワードを書くと、キーワードを思いつきやすくなります。なぜなら、脳には空白を見ると埋めたくなるという特性があるからです。
◆中心に近い文字ほど大きく書き、中心から遠ざかるほど、文字は小さくします。そうするなら、中心に近いキーワードほど重要度が高いことが視覚的に分かります。もし、中心から遠いところに書いたキーワードが大事だと感じたら、「7.まとめる」 のステップで目立たせます。
◆中心に近いブランチほど太く描き、中心から遠ざかるほど細くしていきます。そうするなら、ちょうど木の枝のように自然に見えるようになります。
6.別のメイン・ブランチを伸ばす
文章の副見出しは一つではありません。同じように、マインドマップのメイン・ブランチも、いくつも伸ばすことができます。新しいキーワードを書き込み、さらにそこから発想を広げいきましょう。
◆新しいメイン・ブランチの色は別の色に変えると効果的です。あとあと見返すときに、区別しやすくなるからです。
◆先にたくさんメイン・ブランチを伸ばし、好きなところから書いていっても構いません。順番はないのです。
◆メイン・ブランチのキーワードが思いつかない場合は、空白にしておいて、先をどんどんかき進めていっても構いません。かいているうちに、ふさわしいキーワードが必ず思い浮かびます。
7.まとめる
かきたいだけかいたら、重要だと思ったキーワードを蛍光ペンで塗って目立たせたり、関連するキーワードと矢印でつないだりします。場合によっては、気づいたことのまとめを簡単な文章で書き入れておくのも効果的です。
どんな場面で使えるか
「マインドマップのかき方はなんとなく分かった。でも、いつ使えば良いのか分からない」。そうおっしゃる方もおられるでしょう。
実のところを言えば、マインドマップは、あらゆる場面で使えます。ペンで文字を書く機会すべてに活用できるのです。最後に、マインドマップを活用できるいくつかの場面を提案したいと思います。
マインドマップを今すぐ使える3つの場面
マインドマップはいつでもどこでも使えますが、とくに身近な3つの使い道を考えてみました。
今日の日記に
日記をつけたい。けれどもなかなか続かない、という方にぜひオススメしたいのが、マインドマップで日記をとる方法です。マインドマップ活用の手始めに、今日の日記をかいてみるのはいかがでしょうか。下のようなテンプレートを活用することができます。
テレビや話のメモに
テレビ番組のレシピや、学校の講義をメモするときにも、マインドマップはおすすめです。話し手のスピードに十分ついていきながら、ストレス無くメモを取ることができるからです。下に掲載したのは、わたしがNHK「きょうの健康」を見ながらとったマインドマップです。巻き戻しも一時停止もすることなく、すべてリアルタイムでとりました。
備忘録に
旅行に必要なもののリストや、買い物リストも、マインドマップでかくことができます。以下はわたしが以前、外出時に使っていた忘れ物チェックリストです。今は最新版に書き換えています。個人情報のため、ところどころ消していますが、雰囲気は伝わるでしょう。
これから始めるあなたへ
このように、マインドマップは、さまざまな場面で、今すぐ活用することができます。マインドマップに興味があるなら、まずやるべきことは何でしょうか。それは、実際に書いてみることです。そう、心配するより手を動かすことです。かき始めれば、すぐにその魅力に気づかせてくれる、それこそがマインドマップの力なのです。
それに加えて、マインドマップを実践する強力な助けがあります。それは以下の三冊の本です。どれもとてもカラフルかつ読みやすい本で、パラパラとめくるだけでも、マインドマップをかきたくて仕方なくなるでしょう。
しかし、こう考える人もいるかもしれません。
なるほどマインドマップがすばらしいというのはわかった。しかしわたしは字が汚いし、絵も描けない。パソコンで書くのでなければ到底ムリだ。
何を隠そう、わたしがそうでした。マインドマップの発想力や整理力は魅力的に思いましたが、手書きのカラフルな、悪く言えばゴチャゴチャしたマインドマップをかく気にはどうしてもなれませんでした。
そのような方には、わたしが歩んだ道をたどるようおすすめします。わたしはまず、パソコンでマインドマップを書こうと、パソコンで広がる思考の翼 iMindMapではじめるマインドマップ(CD-ROM付)を購入しました。
そして、パソコンで美しいマインドマップがかけるソフトiMindmapの評価版(体験版)をインストールしました。わたしは手書きではなく、パソコン書きのマインドマップから、このすばらしいノート術の世界に足を踏み入れたのです。
ThinkBuzan - Official Mind Mapping software by Tony Buzan
もし、手書きのマインドマップにどうしても抵抗がある方は、マインドマップを諦めるのではなく、わたしと同じアプローチで、とにかくマインドマップを始めてみてください。
いや、今すぐ手書きで始めることができる! という方は、ぜひとも、紙を広げてかき始めてください。
どのように始めようとも、あなたはすぐにマインドマップに秘められた数々の魅力に気づくことができるでしょう。このブログでも、引き続きマインドマップについて取りあげていきたいと思います。