慢性疲労症候群(CFS)と障害者手帳・障害年金


日、慢性疲労症候群(CFS)の社会福祉に関するニュースが報道されました。この機会に、慢性疲労症候群における障害年金の受給と障害者手帳の交付について考えておきたいと思います。

わたしは調べたことを書いているだけですので、詳しくは専門家に尋ねることをおすすめします。

慢性疲労症候群:診療体制整備を 患者の石川さん、県へ要望 あす講演会で体験語る /青森- 毎日jp(毎日新聞)(リンク切れ)

「慢性疲労症候群に理解を」 診療体制の整備要望 : 青森 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(リンク切れ)

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慢性疲労症候群(CFS)と障害年金・障害者手帳

まず知っておく必要があるのは、障害年金と障害者手帳はまったく別の制度だということです。ですから、障害年金をもらっていても、障害者手帳は受給されていない、という場合は少なくありません。

◆障害者手帳
慢性疲労症候群(CFS)との場合は、交付されにくいものと思います。冒頭のニュース記事にはこうありました。

認知度が低く、専門医が少ない一方、患者の多くは障害者手帳が支給されず、公的な福祉サービスが受けられない。

それで、このニュース記事で取り上げられている患者の石川真紀さんは、次のような要望書を提出しています。

要望書は県内にも4000人の患者がいると推測されるとして〈1〉CFSについて医療関係者や県民への周知〈2〉専門医と連携し、県内の診療体制の整備〈3〉県主催で専門医の講演会を開催〈4〉障害者手帳のない患者に介護・福祉サービスが利用できる体制の確立――などを訴えている。

思考に靄がかかったような状態で、しかもほぼ寝たきりであるのに、患者の権利のために奮闘しておられることには頭が下がります。同時に、同じ患者として、自分も仲間の患者のために、また社会のために貢献できるようがんばろう、と励まされます。

しかし、患者の側にこのような苦労を強いている状況からして、慢性疲労症候群(CFS)における障害者手帳の交付は、まだ好ましいレベルにありません。

もし申請する場合は同じCFS患者のうららさんが動画で解説してくださっています。

CFSで身体障害者手帳を申請するとき(1)|CFSって何?~謎の病気、慢性疲労症候群~

◆障害年金
一方で、障害年金に関しては、障害者手帳よりは良い事情にあります。最近、社会保険労務士 山下律子さんによって次のようなブログが更新されていました。

慢性疲労症候群と障害年金 (その1) - 八重洲の街角   弁護士 稲垣隆一   社会保険労務士 山下律子

 このブログ記事の冒頭にはこう書かれています。

慢性疲労症候群でも障害年金を受給できる、このことを一人でも多くの患者さんに知ってほしい

実際、障害年金2級については、わたしの知り合いでも、かなりの方が受給されています。

障害年金を申請するには、自分から医師に相談し、手続きを行う必要があります。いきなり社会保険事務所に行くのは得策ではありません。上記のブログで書かれているように、「そのような病気は、該当しませんから!」と言われて追い返される可能性があります。

それで、まずはかかりつけの、あなたのことをよく理解してくれている医師に相談するのが良いでしょう。障害年金の受給は、一種の闘いのようなものですから、あらかじめ味方をつけておく必要があります。可能なら、病気に関する話し合いでトラブルが生じたり、質問を受けたりしたときに電話で対応してもらえるよう、頼んでおくこともできるでしょう。

また、非常に複雑な手続きが必要なので、社会保険労務士の方に依頼する、という選択肢もあります。依頼したとしてもいろいろ作業する必要がありますし、金銭面での負担もありますが、複雑で活力を奪う申請の過程が、幾らか楽になるでしょう。

気をつけること

障害年金申請の過程で注意する必要があるのは、次の2点です。

◆初診日
診断書に書く「初診日」とは、病気の症状が出て、それを主訴に何らかの病院を受診した最初の日のことです。その病院は、慢性疲労症候群(CFS)と診断してくれなかった病院でも構いません。発症直後の初診日を記載することで、障害年金をさかのぼって受給することができます。しかし、初診のときの医師に理解がなかったり、そもそも病院さえなくなっていたりする場合には難しくなります。

◆診断書の内容
障害年金の認定の基準は年金について - 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 | 日本年金機構に書かれていますが、その状態に当てはまることがしっかり記述されている必要があります。この点は社会保険労務士などの専門家が詳しそうです。

※その後紹介様式が変更されてPS値も重視されるようになったそうです。

雲行きは怪しい

残念ながら、障害年金受給の規準は厳しくなりつつあります。わたしの周辺では、今年に入って、幾人かの方が相次いで受給の取り下げに遭っています。いずれも、寝たきりではないものの、働くだけの体力は無い方たちです。

これは、慢性疲労症候群(CFS)が病気として認められなくなった、ということではなく、ふるい分け規準が厳しくなった、ということのようです。今年に入って、わたしの友人の中には、逆に障害年金の受給が決定した方もいるからです。その方は、社会保険労務士に依頼し、疲労検査では、交感神経・副交感神経ともにほぼ働いていないという非常に悪い結果が出ていました。その結果、障害年金1級の受給が通知されていました。

障害年金の受給は、ハードルが高く、申請の手間も患者にとってはかなり苦痛です。しかし適切な手順を踏めば、生活の助けになるので、考慮してみる価値はあります。

慢性疲労症候群(CFS)にともなう独特な問題

それにしても、なぜ、慢性疲労症候群(CFS)の社会保険制度はなかなか充実しないのでしょうか。ニュース記事にあったように、「原因も治療法も特定されていない」という点が大きいでしょう。しかし、それ以外にも理由があると思います。

エネルギーの障害

慢性疲労症候群(CFS)は、原因も治療法も確立されていませんが、メカニズムについてはかなり解明されています。昨年2/7付の神戸新聞の記事「慢性疲労症候群の診断法開発 神戸の理研など」にはこうありました。

糖を分解してエネルギー(アデノシン三リン酸)を作る能力が低下し、傷ついた細胞を修復できなくなることが一因とされる。

小児慢性疲労症候群(CCFS)の研究に携わっている三池輝久氏も、こう述べています。

エネルギー生産を担うミトコンドリア機能をいかに向上させるかも、またもうひとつの重要なポイントと考えられる。なぜなら、疲労研究班が示したサプリメントはすべてミトコンドリア機能に関わっているのである

ですから、慢性疲労症候群(CFS)には‘エネルギーの障害’という側面があるのです。これはなぜ特殊なのでしょうか。

頑張ればできる?

手や足に障害のある人のことを考えてみてください。それらの障害は目に見えますし、できること、できないことがはっきりしています。足に障害のある人が走れないことは、本人にとっても、周囲の人にとっても明らかです。

ところが、エネルギーの障害の場合はそういきません。まず、周りの人の目に見えません。そして、独特な点ですが、大抵の場合、ある特定の活動ができなくなる、ということはありません。慢性疲労症候群(CFS)の特徴は「易疲労感」と表現されます。大抵のことはなんでもできます。しかし、長時間続けたリ、継続したりすることはできないのです。

そのため、周りの人は、「できないだって? この前はできてたじゃないか。思ったより元気なんじゃないの?」と言うでしょう。CFSの患者の方自身は、「頑張ればできるのだから、できないと言ってしまうのは嘘ではないだろうか。できるはずなのにやれていない自分は、怠けているのではないだろうか」と思って、自分を責めるかもしれません。この独特の問題について、前述のブログ慢性疲労症候群と障害年金 (その7)にもこう綴られています。

階段の昇降だってがんばればできる。
炊事だってがんばればできる。
がんばれない自分は怠け者なのだろうか。
でも考えてみようよ。
がんばっちゃったあと、あなたはどうなるの?
倒れて寝込んでしまうのでしょ?
それは「できる」ということになる?

エネルギーの障害は、何かができなくなる、というものではありません。できることの総量が低下するのです。その部分を自分でもよく理解して、自分の限界がどこにあるかを分析しておくことは大切です。そうしないと、病気の影響を過小評価して、できないのは自分の努力が少ないせい、と考えてしまいかねません。

このブログで書かれている、「できるできないリスト」の作成はとても大切だと思います。このとき、量や時間の要素を考慮に入れて吟味するなら、より正確なリストを作れるでしょう。どういうことでしょうか。

たとえば、「他の人と会話すること」について考えるとします。このとき、単に難しい、難しくないを考えるのではなく、5分間会話することはできるか、30分間はどうか、1時間続けられるか、毎日できるか、といった観点から考えます。そうすれば、自分の限界が分かります。

さらに、前述の疲労検査によって、客観的な数値をとってもらうのもよいでしょう。自分が怠けているわけではなく、本当に体調が悪いのだ、ということが認識できます。

障害年金をもらうことになったら

障害年金をもらうことになった場合、嬉しく思う反面、本当に自分がいただいてよいのだろうか、と思う方もいるようです。前日の1級に認定された友人もそうでした。20年間も慢性疲労症候群(CFS)を抱えて生きてきたので、その体調が当たり前になってしまっていたのです。健康な人はもっと元気なのだということが想像できなくなっていました。たとえ疲労検査などで、自分の健康状態が確かに異常だとわかっても、戸惑いはなくならないかもしれません。

でも、障害年金を支給するにふさわしいと、嘘偽りなく認められたのなら、感謝して障害年金を受け取ることができます。そして、その感謝を行動で示すのはどうでしょうか。

もし治療する方法があるのなら、それに精一杯励みます。また社会の税金によって生かされているのですから、毎日少しでも、周りの人のためにできることをやってみるとよいかもしれません。多くのことはできないと思います。しかし、ちょっとした言葉で周りの人を元気づけたり、感謝のカードを書いたり、簡単なボランティアに携わったりできるかもしれません。

ヘレン・ケラーはこう言いました。

人生がもっとも面白くなるのは、他人のために生きている時です。

障害年金をもらうことになったら、そうした平衡の取れた見方が役立つと思います。そうすれば、病気に対処する上で、障害年金という手段を最大限に役立てることができるでしょう。

結びに

慢性疲労症候群の社会福祉政策は、まだ十分に整備されているというには、程遠い状態です。しかし、今回のニュースのような取り組みによって、日に日に前進していくことでしょう。

そして、わたしたち患者の側も、正しい見方を保ってこうした制度を利用していきたいと思います。目的は、その助けを借りて、より良く病気に対処し、社会や家族に貢献することです。そのような前向きな見方でいるなら、社会福祉制度は大いに助けになるに違いありません。

▼追記
その後、障害年金の照会様式に関して変更がありました。以下のエントリをご参照ください。

慢性疲労症候群(CFS)と関連疾患の障害年金についてー本日7/2から紹介様式が変更
慢性疲労症候群(CFS)、線維筋痛症(FMS)、化学物質過敏症(CS)、および脳脊髄液減少症(CSFH)について、障害年金を申請する場合に、診断書とあわせて医師に照会様式を書いても

cfs2009aomoriさんが青森県の青森県 社会保険労務士 夏堀志(なつぼり ゆき)事務所・あおもり行政書士共同事務所や障害年金受給の要件について書いておられます。こちらも参考になさってください。

頼れる年金マスター☆|摩訶不思議なCFSの世界 ~慢性疲労症候群~

類似疾患の脳脊髄液減少症の患者団体が、障害年金受給についてのDVDを発行しておられるようです。

DVD脳脊髄液減少症と障害年金 – YouTube

以下に認定の事例を挙げておきます。各サイトの信憑性について詳しいことはわかりません。ネット上の情報を鵜呑みにせず、信頼できる社会保険労務士に依頼なさるようお勧めします。

認定が困難な疾患の認定事例: 熊本の社労士 田平篤史のブログ

障害年金~CFSとFM 認定事例 - 障害年金専門の社労士 吉野千賀 ブログ

慢性疲労症候群CFS・線維筋痛症FMS・化学物質過敏症MCS・脳脊髄液減少症の障害認定~障害年金.com

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障害年金:審査請求成功事例です。│障害年金専門の社会保険労務士

長野県・山梨県 障害年金請求専門チーム: 化学物質過敏症での障害年金請求

慢性疲労症候群認定事例(障害年金請求サポートさんによる資料)

脳脊髄液減少症の社労士チームによる、障害年金を専門とした本が出版されました。その感想を書いています。

「障害年金というヒント」脳脊髄液減少症の社労士チームによる受給の手引き
脳脊髄液減少症の社会保険労務士チームによる本「誰も知らない最強の社会保障 障害年金というヒント」を紹介しています。障害年金を受給するとき、社労士に依頼するほうがよいのはなぜか書かれ

 

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