線維筋痛症(FMS)初の保険適用薬―リリカ(プレガバリン)がもたらす3つの変化


はてなブックマーク - 薬食審・第一部会 新薬など5成分を審議 初の線維筋痛症適応の承認了承 | 国内ニュース | ニュース | ミクスOnlineる6月1日、初の線維筋痛症(FMS)治療薬として、プレガバリン(リリカ)という薬が認可されました。このことは、線維筋痛症の治療現場において、重要な意味を持っています。さらに、線維筋痛症と深い関わりを持つ慢性疲労症候群(CFS)の患者にとっても、これは歓迎すべき進展です。なぜそういえるのでしょうか。

※この記事は慢性の痛み対策 医学生、医師、医療職の為の動画コンテンツ ドクターアカデミー DA -Doctor Academy--の動画を参考にして覚え書きとして書きました。

薬食審・第一部会 新薬など5成分を審議 初の線維筋痛症適応の承認了承 | 国内ニュース | ニュース | ミクスOnline

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線維筋痛症(FMS)とはどんな病気か

まず、線維筋痛症について簡単にご説明しましょう。線維筋痛症(FMS)は、非常に複雑な疾患です。全身にさまざまな異常が生じることで知られており、慢性疲労症候群(CFS)と近縁、あるいは同じ病気でないかとも言われています。両方を発症していたり、境界が曖昧だったりする患者も多くおられます。

現在、慢性疲労症候群(CFS)と線維筋痛症(FMS)を分ける最も大きな特徴は、その痛みだと言われています。線維筋痛症には、耐え難い痛みが伴い、進行すると、ちょっとした風や音、触れられたことによる刺激、食事によってさえ、激痛が生じます。その信じがたいまでの辛さは、患者でないと決してわかりません。

線維筋痛症(FMS)は、中枢の機能異常です。中枢神経が感作(興奮状態)にあり、脳からの痛みの信号を制御するブレーキが利かなくなっていると考えられています。

プレガバリン(リリカ)とはどんな薬か?

これまで、痛みを抑える薬は、おもに、筋肉の炎症精神的ストレスによる痛みにしか効果がありませんでした。そうした種類の痛みは、おおもとの病気や傷が治ると消え去ります。

ところが手術による神経の損傷や、三叉神経痛、帯状疱疹後の神経痛などの、神経が損傷して生じる痛みは、いつまでも消えることがなく、しかも有効な薬がありません。これまで、そうした痛みには、「神経ブロック」や「高周波熱凝固法」といった飲み薬以外の方法で対処するしかありませんでした。こうした方法は、体力的にも金銭的にも、たいへん負担です。

そこへ登場したのがリリカ、製品名プレガバリンです。プレガバリンは、神経が傷ついたときに、中枢神経に痛みを伝える物質を抑える役割を果たします。プレガバリンは、痛みの治療において里程標となる特別な薬として現れたのです。

リリカが線維筋痛症に保険適用されると何が変わるか

まず保険適用までの経過を見てみましょう。

線維筋痛症 保険収載までの流れ

2009年1月
プレガバリン(リリカ)による治験開始

2009年10月
線維筋痛症学会発足

2011年7月
二重盲検による治験の結果、効果を確認

2012年6月
プレガバリンが、線維筋痛症初の保険適応薬に。
これにより、線維筋痛症が保険収載される運びに。

このように、治験開始から2年以上の歳月を経て、ついに線維筋痛症初の保険適用薬が登場することになりました。

しかしながら、プレガバリンは決して新しい薬ではありません。登場した当初から、線維筋痛症の臨床現場では使われていました。それでも、今回線維筋痛症を対象として保険収載されたことに大きな意義があります。3つの理由を考えましょう。

線維筋痛症を対象に保険収載されると変わる3つのこと

◆1.堂々と保険診療できるようになる
線維筋痛症(FMS)の治療薬は、抗けいれん薬ガバペンチンや、痛みのブレーキ「セロトニン」を正常にする、抗うつ薬(SSRI)などがすでに使われています。かなり複雑な病態なので、使われる薬も人によって様々です。

ところが、さまざまな薬を用いていても、これまで、「線維筋痛症」を対象として処方できる薬がなかったのです。どれも、「頭痛」「不眠」「うつ」「慢性疼痛」など随伴してくる症状の名目で保険適用の処方がなされていました。そして適用外処方の場合は当然費用が割高でした。

ですから、このたび、プレガバリンが線維筋痛症の保険適応薬になったことには大きな意義があります。それにより、線維筋痛症を堂々と保険適用で治療できるようになったのです。

◆2.線維筋痛症の第一選択薬になる
今後、線維筋痛症が疑われる患者には、保険収載されているプレガバリンが、第一選択薬としてまず処方されるようになるでしょう。これは大きな意味を持っています。なぜなら、プレガバリンは、早い時期から使い出すと、かなり効果的であるとされているからです。

最近、アメリカリウマチ学会から予備診断基準という、診断のための優れた助けが出されました。これにより、線維筋痛症を診断しやすくなったと言われています。そこへ、早期治療に効果的なプレガバリンが加わりました。つまり新しい診断基準と、唯一の保険収載薬リリカとの組み合わせにより、線維筋痛症を初期に快復させられる可能性が高まったのです。

◆3.社会の認知が深まる
もちろんプレガバリンも万能ではありません。わたしの友人もそうなのですが、発症から長年経過している場合には、十分な効果がないこともあります。

それでも、このたび線維筋痛症が保険収載されたことは、線維筋痛症を研究していない医師の間でも、線維筋痛症が正式に病気として認められたことの証です。医師や研究者の間で認知が深まれば、さらに研究が進み、第二、第三のプレガバリンが登場する可能性が高くなります。薬剤のバリエーションが増えれば、根深い痛みを改善する方法も出てくるかもしれません。

一昔前、リウマチは詐病のように見られていて、その辛さを分かっているのは、一部の医師と全国の患者だけでした。しかし、保険適用の薬が登場し、医者の間で認知が深まり、今やごく一般的な病気と認められています。治療法も進歩し、サイトカインをコントロールすることで、早期に発見、緩解させることが可能になりました。線維筋痛症も、そのような喜ばしい進展の第一歩を踏み出したといえるでしょう。

慢性疲労症候群(CFS)はどうか

慢性疲労症候群(CFS)もあとに続くことができるでしょうか。可能性はあります。還元型コエンザイムQ10の治験が行われているからです。

まだ最終的な結果は出ていませんが、すでに、うつ状態、睡眠、計算能力の面で改善が見られたと報告されています。線維筋痛症の例にならえば、数年後には、慢性疲労症候群初の保険収載薬が登場するかもしれません。

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