【7/2 あさイチ!】大人の発達障害(ASD、アスペルガー症候群)に対処する


達と遊ぼうとせず、一人でいる子供を見たことがありませんか? 大人でも、自分の興味のあることだけを一方的に話し続けたり、どうしても予定を変えないような一風変わった人が身近にいませんか?

近頃、子供だけでなく大人の発達障害が注目されるようになってきました。今朝のNHKのあさイチでは、大人の発達障害、特にASD(自閉症スペクトラム障害)について取り上げられました。わたしの身近にも、そのような障害を抱える人が何人かいます。

それでこの番組で取り上げられていた点、ASDとは何か、なぜ子供のころ見過ごされてしまうのか、ASDの人、周りの人は何ができるのか、ということについてまとめてみました。

子どもも大人も増加!発達障害 |NHK あさイチ

 ※追記:2013年放送の【3/13 クローズアップ現代】大人の発達障害” 個性を生かせる職場とは? まとめも参考にしてください。また子どものASDについては【3/3 ETV特集】人とうまくつきあえない ~いじめや虐待と自閉症スペクトラム~まとめをご覧ください。

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ASDとは何か

大人の発達障害を抱える人は、100万人にも上ると考えられています。その中でもASD(自閉症スペクトラム障害)は特に多く、これにはアスペルガー症候群も含まれます。

ASDには、大きく分けて2つの特徴があります。番組内では、夫婦ともにアスペルガー症候群を患う、村上由美さん、真雄さんご夫婦を例に、その特徴が説明されていました。

特徴1.こだわりが強い

ご夫婦の部屋は、とても綺麗に片付いていますが、よく見ると、あらゆるものにラベルが付けられています。これは、目に見えない部分を覚えたり、想像したりすることが苦手なアスペルガー症候群の症状を補うための工夫だそうです。しかしそれだけではありません。真雄さんはそのラベルを引き出しの底などあらゆるところに貼っています。由美さんは、持っている服すべてをカメラで撮影してファイリングしています。こだわりが強く、とことんやる、というアスペルガー症候群の特徴が表れているのです。

なお、ASDの方は、こだわりが強いことに伴い、しばしば非常に高いIQを持っています。持ち前の学力を活かして有名大学に合格している人も少なくありません。記憶力が抜群で、漢字や駅名、書籍を一度見ただけで記憶できる人もいます。

特徴2.他の人の気持ちが理解しにくい

村上さんご夫婦の場合、このことを示す典型的なエピソードがあります。ご主人さんの真雄さんが車を買うことを一人で勝手に進めてしまったとき、奥さんの由美さんは「好きにすれば!」と言い放ちました。すると真雄さんは、嬉々としてネットオークションで車を買い「好きにさせてくれてありがとう」と言いました。由美さんが「応援して言ったわけじゃなくて、勝手にすれば、という意味で言ったの」と言うと、真雄さんは心底驚いていたそうです。由美さんの言葉の裏にある感情に気づかなかったのです。

これはとても顕著な特徴なので、番組では、ASDの子供を見分ける手段として、イギリスで用いられている発達障害のテストが紹介されていました。アンとサリーという二人の子供の心情を絵から読み取るというものですが、ASDの子供は、絵が物語る登場人物の気持ちを推察することができません。

このような問題が起こるのは、大脳の何箇所かの遺伝的な障害によると考えられています。バラバラの箇所に問題が起こるというのは不自然なので、それらをつなぐ神経ネットワークが現在研究されています。また、後述する女性ホルモンの関係か、女性より男性のほうが発症しやすく、程度も重いことが知られています。

なぜ見過ごされるのか

37歳の田中義彦さんは、2年前にASDと診断されました。お母さんのさとみさんは、よく考えれば、子供の頃から兆候があったといいます。それではなぜ見逃してしまったのでしょうか。

まず、赤ちゃんのころには、話し始めるのが遅いことに気づきました。しかし医者には早生まれだから、という言葉で片づけられました。小学生のころは、集団行動が苦手でした。しかしあまりにいつものことなので、性格だから仕方がないと考えました。忘れ物が非常に多く、ノートを取ることさえ忘れていましたが、周囲からはしつけの問題で、お坊ちゃんのように甘やかしているからだ、と言われました。中学ではいじめに遭い、精神科に行きました。しかし医者には、原因はわからないと言われ、思春期ゆえの問題だと自分を納得させました。社会人になってからは、人間関係の少ない仕事につきましたが、ストレスを抱え込み、精神科に行きました。しかしうつ病と診断され、薬を飲んでも、一向に良くなりませんでした。

その後、さとみさんはASDについての本を本屋で見つけ、義彦さんをその著者の病院へと連れて行きました。そこで初めて、ASDとの診断が下りました。さとみさんは「わかっていれば、ぜんぜん違う生き方があった」と述べておられました。

こうして診断が遅れることは、引きこもりや不登校、いじめ、うつのリスクを何倍にも増大させることがわかっています。早期発見のためには、以下の5つの点に注意しなければなりません。

◆言葉を話し始めるのが遅い
2歳ごろまで喋らないが、記憶力は抜群で、話し始めると流暢なことも。

◆目を合わさない
家族、母親とも目を合わさない。合わせるよう言われても、なぜそうすべきかわからない。

◆一人で遊ぶのが好き

人付き合いに敏感な内気の子とは違い、そもそも人付き合いに関心がない。

◆親に甘えない
母親が違和感を感じるほど、心のコミュニケーションがない。

◆音を不安がる
音に敏感。また、雑音が多いところだと、特定の声に集中できない。

これらの点が当てはまるなら、アスペルガー症候群を疑う必要があります。ただ、ASDの人は、「よくいる変わった人」のレベルではなく、「社会生活が困難なほど普通ではない人」であり、その数は相当少ない、とも言われていました。

どのように対処するか

番組では、大人の発達障害の専門外来を4年前に開設した、昭和大学附属烏山病院院長の加藤進昌(のぶまさ)医師を招いて、対処法を聞いていました。

◆受診
できれば、児童精神科を受診するのが良いようですが、それがない場合は、各都道府県の精神保健福祉センター・発達障害者支援センターに相談すると良いそうです。

◆治療
信頼・共感に関わる女性ホルモン「オキシトシン」を用いた治療が研究されていますが、今のところ有効な薬物療法はありません。そのため、治療というよりは、本人とまわりの人が理解して対処することが大切になってきます。

前述の村上さんご夫婦は、意見の行き違いをなくすために、ノートに気持ちを文字や図で書き表すようにしました。アスペルガー症候群の人は、口で話すだけでは微妙な点が理解できません。目に見える形で書いてもらえるなら、持ち前の高い記憶力を活かすことができる上、安心感にもつながり、とても助かります。

また、東大農学部図書館に務める40歳の渡壁典弘さんは、大人のASD対象のデイケアサービスを利用しています。このサービスは、昭和大学附属烏山病院で行われています。渡壁さんは、非常に高い記憶力を持っていて、蔵書40万冊すべての位置を把握しています。しかし受付の簡単な会話がネックで「頭の中が混乱して、簡単にできるはずのことができず、どうやって進んでいいかわからなくなる」と述べていました。

大人のASD対象のデイケアでは、精神保健福祉士の指導のもと、同じような悩みを持つ人同士が意見を交換して、自分にできそうな会話の仕方を見つけていきます。各人の意見は理解できるようホワイトボードに書いて整理され、最後に実際の場面を想定して、実演練習します。そうした経験を繰り返すことで、コミュニケーションの方法を学び、自信がつくのです。

このデイケアのような場は残念ながらまだ一般的ではありません。診療報酬の関係で、人員を割けないからです。今は、発達障害者支援法などを通して、認知を広めている段階です。

能力を活かす

ASD患者の、人の気持ちが理解できない、という特徴は、裏を返せば妥協しない、ということです。また、こだわりが強い、という特徴は、粘り強いことを意味しています。人付き合いが苦手な場合も、コンピュータなど機械相手の仕事は得意な場合が少なくありません。

番組では、社員60人のうち5人がASDという横浜のIT企業や、65人中75%までがASDというデンマーク、コペンハーゲンのIT企業が紹介されていました。ASDの人の粘り強さを活かしてソフトウェアの欠陥をチェックしていて、ASDの人が働きやすい環境を作ることで、利益を生み出しています。

周りの人にできること

加藤医師は、ASDの患者を「心の目が見えない人」にたとえていました。「目」が見えないわけですから無理やり「分かりなさい!」と言っても患者は苦しむだけです。文字通りの目の見えない人にするように、こまやかなサポートをして、長所を活かせるように助けることが大切です。そのためには、ASDについてよく知り、理解することが不可欠です。

視聴者の声では、次のようなお便りが紹介されていました。

◆学校で子供が発達障害になったのは親の育て方のせいだと言われて深く傷ついた。

◆番組で紹介されるのは嬉しいが、病名だけがひとり歩きして、偏見が広がらないよう、注意深く扱ってほしい。

◆友人は発達障害をカミングアウトしたことで壮絶ないじめにあった。本人たちはとても苦しんでいる。

まだまだ社会の偏見は根深く、発達障害を抱える方たちにとって、決して暮らしやすい世の中とはいえません。身近な家族や友人が、発達障害のことを理解してサポートするのはとても大切です。発達障害の方が無理をすることなく能力を活かせるよう環境を整えたり、コミュニケーションの点で助けになったりすることができるでしょう。

わたしも、この番組を見て、ASDの方とその家族について知ることができ、嬉しく思いました。幾らか医者視点寄りであり、アスペルガー症候群の人の気持ちへの配慮が欠けていたようにも思いますが、わかり易い内容でした。

わたしは、自分自身も病気を抱えて、いっぱいいっぱいの生活です。それで、アスペルガー症候群など、発達障害を抱える知り合いに対して、障害のせいだとわかっていても、気持ちを深く考える余裕がなく、「変な人だ」と片づけて避けてしまっていたところがあります。ASDについて理解を深めたことで、辛抱強くあり、進んで配慮するよう努めたいと思いました。

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ASD(自閉スペクトラム症)