【7/5】「あなたの頭痛 大丈夫?原因不明は“髄液漏れ”か」まとめ


120805竹筒2012年7月5日に、FNNで報道されたニュース番組、「あなたの頭痛大丈夫?ー原因不明は“髄液漏れ”か」で、脳脊髄液減少症が特集されました。

脳脊髄液減少症とは何でしょうか、どんな原因によって生じますか。どのような治療法があるのでしょうか。どうぞ続きをお読みください。

スポンサーリンク

脳脊髄液減少症とは何か

頭蓋骨や背骨には空洞があり、脳脊髄液(脳漿)というリンパに似た無色透明の液体で満たされています。脳や脊髄は、その髄液の中に浮かんでいて、それによって適度な水分を保持し、形を保つことができます。

ところが、その髄液が何らかのきっかけにより漏れだすと、髄液が減少し、脳の位置が下がって、様々な異常が生じます。この状態を脳脊髄液減少症といいます。これは脳神経外科医である篠永正道医師らにより提唱された比較的新しい疾患概念です。当初は医師の間でも懐疑的な意見が多くありましたが、厚生労働省研究班が立ち上げられ、臨床データによる裏付けが増えるにつれ、現在では明確な病気として認められつつあります。

脳脊髄液減少症はどんな原因によって生じるか

番組では、円グラフを用いて、原因が明らかな症例は約2/3であることが紹介されていました。その原因の主なものは交通事故による鞭打ちです。しかし、髄液が漏れ出すきっかけは多彩で、番組内では、尻もちをついたことがきっかけで発症した方や、ボールが当たって発症した中学生の子供の経験が取り上げられていました。

この点は、慢性疲労症候群の発症過程といくらか似ています。慢性疲労症候群も、多彩なきっかけにより同じ病態を発症することで知られています。慢性疲労症候群を発症するきっかけには、たとえばウイルスによる感染症や、菌の感染、極度の疲労、心的外傷などがあります。化学物質への暴露や物理的な衝撃をきっかけに発症される方もいますが、その場合は症状が似ている化学物質過敏症(CS)や脳脊髄液減少症を十分に疑う必要があるでしょう。

さらに、慢性疲労症候群も脳脊髄液減少症も発症の原因がはっきりしないケースが数多くあります。ですから、交通事故などの外傷に覚えがないCFS患者でも、脳脊髄液減少症の可能性を疑ってみるなら、治療の手がかりが見つかる場合があるかもしれません。

脳脊髄液減少症はどんな症状

脳脊髄液減少症になると、どんな症状が現れるのでしょうか。3つに分けて考えましょう。

1.頭痛

番組ではまず、原因不明の頭痛に注目されていました。一般に頭痛というと、840万人の患者がいる偏頭痛、2200万人もの患者がいる緊張型頭痛が有名です。しかし大半の人は原因が思い当たらず、56%の人は市販薬で紛らわせているそうです。脳神経外科医の山口由太郎氏は、頭痛を専門医に診てもらうことの大切さを訴え、その上で、原因不明の頭痛は、脳脊髄液減少症の可能性があると指摘されました。

2,さまざまな不定愁訴

しかし、脳脊髄液減少症の症状として、頭痛だけをクローズアップするわけにはいきません。番組では3人の患者の体験が紹介されましたが、その症状は様々でした。まず33歳の深澤佑美さんは、天候の影響を感じたり、頭痛や吐き気などありとあらゆる症状があったといいます。30歳の男性患者は、めまいや首痛が長年に渡り続きました。13歳の内田和也くんは、声が出なくなったり、手が麻痺したり、朝起きられなくなったりして、昼過ぎまで起き上がれないこともありました。

3.起き上がると症状が増悪する

脳脊髄液減少症のもうひとつの特徴に、横になっていると楽なのに、起き上がると体調が悪化する、というものがあります。番組ではこれを「竹筒」のたとえを用いて、とてもわかりやすく説明していました。この番組のハイライトといっても良いでしょう。それはどのような例えですか。

どうぞ、この記事冒頭の挿絵をご覧ください。穴を空けた竹筒に水を満たします。これは髄液漏れが生じた患者の身体を表しています。竹筒を横に寝かしていれば水は漏れませんが竹筒を立てると水は勢い良くこぼれだします。同じように、脳脊髄液減少症の患者は、横になっていると髄液漏れが治まって体調が楽なのですが、起き上がると髄液が漏れだし、症状が悪化するのです。

この点は、慢性疲労症候群(CFS)、線維筋痛症(FMS)などの類似疾患と少々異なる点です。そのため、線維筋痛症診療ガイドライン〈2011〉では、「(脳脊髄液減少症)は線維筋痛症とは大きく異なる病態であるが,臨床徴候が線維筋痛症と多くの点で類似していることから,鑑別診断のひとつとして挙げられるべき病態である」と述べた上で、「脊椎損傷の既往(程度は軽くても考慮すべき)と臥位より坐位や立位で症状の明らかな悪化が観察される場合は,本症の疑いがある」とされています。

脳脊髄液減少症の治療法

番組では3つの治療法が取り上げられていました。

1.ブラッドパッチ療法

生理食塩水で薄めた自己血を、硬膜の外に注射し、凝固させることで髄液漏れを防ぎます。最も効果的とされていますが、一回の治療に30万円かかることがネックで、保険適用が待たれています。

2.点滴

髄液の量を増やして、症状を緩和します。点滴だけでかなり好転する患者もいるとのことでした。わたしの友人の中には、点滴で症状が好転することから、脳脊髄液減少症だと判明した方もおられます。

3.経口補水液

内田和也くんは、定期的に経口補水液を摂取することで髄液の減少を抑えていました。点滴やブラッドパッチ療法ほどの効果はありませんが、いつでも摂取できるため、回復期の患者には重宝されます。和也くんも、学校で授業の合間に摂取しているとのことでした。

脳脊髄液減少症の現状

深澤佑美さんは、20年間にわたりさまざまな病院を渡り歩きましたが、医師から、自律神経機能や仮病を疑われたり、周りの人たちから、怠け者と言われたりして、ひどい扱いを受けたといいます。脳脊髄液減少症は比較的新しい疾患概念なので、残念ながら、医療現場でも周知されていないようです。

しかしこのたび、2012年5月に、ブラッドパッチ療法が国から先進医療に認定されました。保険適用の時期は未定ですが、患者を取り巻く環境は少しずつ好転していると言えます。

脳脊髄液減少症の専門医はまだまだ少ないですが、医療機関や患者のブログをインターネットで参照できるようになった今、的確な治療は比較的受けやすくなったといえます。何より、こうしてメディアで取り上げられていることは、大きな前進だといえるでしょう。一昔前まで、ほとんど疾患として認められていなかったリウマチが、今や一般的な病気になり、治療法も充実してきたように、脳脊髄液減少症が広く認められ、患者たちの状況が好転することを、わたしも切に願っています。

また、以下のような書籍も、脳脊髄液減少症についてよく知るのに役立ちます。

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク
archives