「NLP」(神経言語プログラミング)から学ぶオバマ大統領の演説の11のテクニック


バマ大統領は、就任当時、その魅力的なプレゼンテーションとあふれる熱意で、全米を席巻し、世界を震撼させました。

なぜバラク・オバマは、人を引き付ける話ができるのか。なぜわたしたちは人種を超えて、バラク・オバマの約束に期待を寄せてしまうのか、それを解説したのが本書、聞き手を熱狂させる!戦略的話術~オバマに学ぶNLPプレゼンテーション~です。

コミュニケーションを改善する方法の一つは、周りの人にとって分かりやすく話し、心をつかむことです。わたしたちがオバマ大統領に見倣えるどんなテクニックがあるでしょうか。

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これはどんな本?

オバマ大統領の勝利宣言や就任演説は、世界史に残るものと言われ高い評価を受けています。この本は、その演説をNLP(Neuro Lingyistic Programming)の観点から、徹底的に分析しています。

そのテクニックは、スピーチからふだんの生活に至るまで、さまざまな場面で応用することができます。コミュニケーションに悩んでいる人にとっては、とても興味深い一冊でしょう。

なぜこの本を手にとったか?

わたしは立場上、人前で話をすることがよくあります。即興で話すのはあまり得意ではないので、筋書きを練って、あらかじめ話し方を練習しておきます。

少ない体力で効果的に意思を伝えるには、分かりやすい話を展開することが不可欠です。分かりやすい話は、スピーチをするわたし自身にもメリットがあります。自分が何を話しているか理解しやすいので、生き生きと話すことができるのです。

それで、この本を通して、分かりやすいスピーチについて、また相手の心をつかむコミュニケーションについて学びたいと思いました。

NLP(Neuro Lingyistic Programming)とは?

それにしてもNLPとはなんなのでしょうか。それがわからないことには、本書の内容を紹介することができません。

NLPはこのブログでも時折取り上げていますが、“Neuro Lingyistic Programming”、日本語に訳せば、「神経言語プログラミング」の略語です。神経言語プログラミングは、「神経」「言語」「プログラミング」という3つのアプローチで、人間の行動を分析する学問です。

それぞれ…
◆神経:五感を通じて感じる知覚
◆言語:言葉によってやり取りされる印象
◆プログラミング:考え方のクセ

を表します。わかりやすくするために例えで考えてみましょう。

あなたにとって苦手な人を思い浮かべてみてください。その人のそばにいると、そわそわして落ち着かない気分になるのはなぜでしょうか。

まず、(1)神経:その人が目に入り、近づいてくると五感を通して圧迫感を感じます。(2)言語:その人の態度やぞんざいな言葉に心を乱されます。(3)プログラミング:その人といると、また嫌な思いをするんじゃないか、という思考パターンに苦しめられます。

このように、わたしたちは、ふだん、この3つの要素によって、周りの物事を認知しています。裏を返せば、この3つの要素を意識的にコントロールできれば、認知を思いのままに変化させられるといえます。苦手な人への見方を変えることもできるのです。

オバマ大統領が用いた11のNLPテクニック

ここで引用している演説は、2004年民主党基調演説、2008年大統領選挙勝利宣言、および2009年大統領就任演説です。

1.相手の関心に合わせる p31

夜、子どもたちをベッドに入れるときに、その子どもたちが十分な食事と衣服を与えられ、危険なことから守られていることが確認できるということです。

聞き手の関心は、自分がふだんの生活の中で感じていることにあります。オバマ大統領の演説では、聴衆が日常生活で感じている不安や悩みが具体的に取り上げられています。

2.共通の立場に立つ p48

この国の私たちは、ひとつの国として、ひとつの国民として、共に栄え、共に苦しむのです。

オバマ大統領は、相手と共通の立場に立ち、心理的な距離を縮めました。聴衆に話しかける際にも、You(あなた方)ではなく、We(わたしたち)と呼びかけています。

3.惜しみなく感謝する p42

ありがとう。

冒頭、中ほど、結びで、繰り返し、具体的に聴衆や支えてくれた人に感謝しています。

4.すべての優位感覚に訴える p62

いてつく川辺で消えてしまいそうな焚き火を囲んで、いくばくかの愛国兵たちが身を寄せ合っていた時のことです。首都は見捨てられ、敵軍は前進していた。雪は血で染まっていました。独立戦争の行方がもっとも疑わしかったその瞬間に、この国の建国の父は、兵士たちにこの言葉を読み聞かせるよう指示したのです。

NLPによると、わたしたちは、色や情景を思い描くのが得意な視覚優位の人、言葉や音に敏感な聴覚優位の人、手で触れた感触や温かみを大切にする体感覚優位の人の3タイプに分けられます。それぞれのタイプのに訴える言葉遣いをまんべんなく含んでいることが大切です。

5.短いたとえを織り込む p78

アメリカでは過去221年間、いつも必ず同じようにやってきた。ささくれたタコだらけの手で、ブロックを一枚一枚積み上げ、レンガを一枚一枚積み上げてきたのです。

短いたとえは話にいろどりを添え、あらゆる感覚を刺激します。さらに、聞き手に「これはどういう意味だろう」と考えさせ、脳を活性化させます。

6.ストーリーを語る p92

私が今夜なによりも思い出すのは、アトランタで投票したひとりの女性の物語です。彼女はほかの何百万という人たちと同様に、この選挙に自分の声を反映させようと行列に並びました。ただ1つだけ、ほかの人と違うことがあります。アン・ニクソン・クーパーさんは106歳なのです。

物語は自然と心に染み入ります。「~しなさい」と言うより、抵抗なく心を動かすことができます。特に、苦難を乗り越えるストーリーは聞き手の共感を誘います。

7.対比する p102

ここに集まったのは、恐怖よりも希望を選び、対立と不和よりも、目的を一つにして団結することを選んだからです。

闇を知って初めて光に気づくように、対照させることでより意味が際立ちます。

8.前提を用いる p123

みなさんがこの選挙に参加したのは、ただ勝つためではないと分かっています。ただ私のために参加したわけでもないことも、分かっています。…今夜ここにこうして立つ今も、私たちは知っています。

「~だ」と述べるよりも「~だと知っています」「~だと気づいています」という前提を置く表現のほうが柔らかく、受け入れやすい印象になります。聴衆と共通の土台を据える役割もあります。

9.ネストループで期待させる p156

アメリカは、あらゆることが可能な国です。それを未だに疑う人がいるなら、今夜がその人たちへの答えです。…疑う人がいるなら、今晩こそがその人たちへの答えです。

…そうやって並んだ人たちが今夜、疑り深い人たちに答えを示したのです。老いも若きも、金持ちも貧乏人も、そろって答えました。アメリカ人はみんなして、答えを出しました。アメリカは今夜、世界中にメッセージを発したのです。

私たちはただ単に個人がバラバラに集まっている国だったこともなければ、単なる赤い州と青い州の寄せ集めだったこともないと。私たちは今も、そしてこれから先もずっと、すべての州が一致団結したアメリカ合衆国(United States of America)なのです。

脳は不足した情報を埋めようと活性化します。オバマ大統領は「~が答えです」というフレーズを繰り返し、「答え」が何を意味するのかをあえてすぐに述べませんでした。

このような話の構造をネストループと言います。結論をじらすことで「この先にまだ何か知らない空白がある」と思わせ、聴衆の興味をひきつけます。

10.アンカリングで印象づけるp172

Yes we can。私たちにはできるのです。

アンカリングとは条件反射的な反応を植え付けることです。特定の印象的なフレーズを繰り返すことで、インパクトを与え、記憶に焼き付けます。あとでそのフレーズを聞くと、そのときの感情が呼び覚ますことができます。

11.未来ペーシングで盛り上げるp214

子供たちの子供たちが語り継いでくれるように。試練に遭って私たちは、この旅路の中断を受け入れなかったと。後戻りもしなかったし、ふらつきもしなかったと。そして地平線をしっかり見据え、神の恩寵を身に受けて、自由という偉大な賜物を携えて前に進み、それを未来の世代に無事に伝えていったのだと。

現在のポジションから未来を想像させるテクニックはよく使われます。しかし未来ペーシングはそのさらに上をいく技術です。

未来ペーシングは、未来のポジションに立ち、現在を過去のように振り返らせます。オバマ大統領のスピーチで、現在のできごとが「~しなかった」「~していった」と過去形で表現されていることに注目してください。

目標を達成した状態から、現在を振り返るなら、今感じている苦労がとても小さく思えます。時を超えた壮大なイメージをふくらませ、強い意欲を湧きたたせるのです。

NLPを意識して会話する

ここまで取り上げた11のテクニックは、一見高度すぎて、わたしたちの日常からはかけ離れて感じるかもしれません。

しかし、共通の立場に立つことや、感謝の言葉を述べることは、ご存じのように、そう難しいことではありません。たとえば、だれから気遣ってもらったら気遣い返す、心からのお礼を伝える、というだけでも、オバマ大統領のテクニックに倣っていることになるのです。

また、たとえストーリー、対比表現を考えながら話すなら、語彙が広がり、互いにとって分かりやすいコミュニケーションができるようになるでしょう。ですから、これらのテクニックは、日常会話にも十分役立つと言えます。

これら11のテクニックを、ちょっとしたスパイスとして言葉の端々に利かせてみるのはいかがでしょうか。そうすれば、いつしか自分の話し方が、人を引きつけるものへと変化していることに気づくかもしれません。

 

NLPでは、成功した著名人をお手本にして、この3つの要素を自在にコントロールする方法を、だれもが使えるテクニックに落とし込んでいます。NLPそのものを学ぶには以下の書籍が最も分かりやすいと思います。

 

 

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