学校では学べない「頭の使い方」トニー・ブザンが教える記憶術・読書術・ノート術


120801【書籍】頭が良くなる本練を受けたパラリンピックの選手と、何の訓練も受けていない健康な一般人とでは、どちらが早く走れ、また泳げるでしょうか。

当然ながら、パラリンピックの選手です。たとえハンディを抱えていても、正しい鍛え方をすれば、ハンディのない人よりも多くのことを成し遂げられることがよくわかります。

これと同じことが、思考力の用い方についても言えます。病気や障害によって、残念ながら、脳の働きが損なわれてしまう場合があります。集中できない、うまく物事が考えられない…そんなとき自信を喪失してしまいがちです。

しかし、正しい訓練をすれば、パラリンピックの選手と同様、ハンディをものともしない力を発揮することができるのです。そのための力強い味方となるのがこの本トニー・ブザン 頭がよくなる本 日本語第4版です。

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これはどんな本?

この本は、脳の「取扱説明書」だと紹介されています。(p11)

著者のトニー・ブザンは、英国の有名な教育者です。マインドマップを開発したことで世界的に知られていますが、彼の専門は脳の用い方全般です。

トニー・ブザンは、成績が落ち込んだ大学時代、図書館に行き、必死の思いで「脳の使い方についての本を探しているのですが…」と尋ねました。

ところが、返ってきた答えは「あら、そんな本はありませんよ」というものでした。

そこでトニー・ブザンは、自分で脳について研究し、この最も大切な機器の取扱説明書を書くことにしました。それがこの本、原題Use Your Headです。

この本は、ウォーターストーンズ書店・英国エクスプレス紙グーループにより、西暦1001~2000年期で最も優れた書物1000冊のひとつに選ばれました。また英国BBCが作った脳の使い方についての百科事典The Mind Setに含まれています。

この本の内容は、マインドマップ超入門マインドマップ読書術マインドマップ記憶術の3つの本をまとめた内容といえるでしょう。本書でも、これら3つは本書の「子どもたち」と紹介されています。

なぜこの本を手にとったか?

わたしは、持病をもっていますかが、病気のせいでできない、というのは好きではありません。その機能障害に対処し、最大限のパフォーマンスを発揮したいと思いました。

知恵を凝らして、何かしらの工夫をすれば、山のような障害にも対処できる、それがわたしのポリシーです。考えてみてください、ALSを患うスティーヴン・ホーキング博士でさえ宇宙へ行こうとしているのです。

実際に書籍「アスペルガーですが、 妻で母で社長です。」の著者アズ直子さんのように、マインドマップを通して、障害を克服している方もいらっしゃいます。マインドマップがある種の障害に効果的だということは以前のエントリにも書きました。

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切羽詰まって図書館に駆け込んだトニー・ブザンのように、わたしも当面の問題のために脳の用い方を知りたいと思ったわけですが、当時と違って「脳の使い方についての本」がちゃんと備えられているのは嬉しい限りです。

学校のシステムに問題あり p36

この書籍に書かれている「脳の使い方」は、既存の教育の枠内ではしばしば見落とされがちな内容です。

トニー・ブザンは、自身の小学生の頃の友だち、バリーについてのエピソードをつづっています。

バリーは、昆虫や動物など、自然についてとても良く知っていて、飛び抜けて豊かな想像力を持つ友だちでした。トニーは、彼を尊敬していました。ところが、バリーは勉強が得意ではなく、テストは苦手でした。

トニーはあるとき、自然界についてのテストで高得点をマークします。はじめて最高得点者の席に座ったとき、彼は戸惑い、ショックを受けました。本来そこに座るべきはバリーだと知っていたからです。しかし当のバリーはテストの結果「物分りの悪い」生徒とみなされました。

トニーは、そのとき以後、学校の教育システムには重大な欠陥があることに気づきます。学校はテストでただ高得点をマークする子どもを育てる場ではないはずです。しかし本当に大切な「脳の使い方」については教えられていないのです。

学校で決して教わらない10のこと p45

トニー・ブザンは、本来教育で学ぶべきなのは、平たい知識ではなく、「脳の使い方」、つまり、自分で学び、楽しみ、応用できるテクニックであると悟りました。

わたしたちのほとんどは、自分の能力、記憶力や創造力に自信を持っていませんが、トニー・ブザンに言わせると、それは至極当然です。脳を最大限に働かせる方法を一度も教えられて来なかったからです。それで本書の中でこう問いかけています。

1.学校で脳について教わりましたか? また脳の働きを知ることが学習・記憶・思考などにどのように役立つかを教わりましたか。

2.記憶の働きと仕組みについて教わりましたか。

3.特別な高度な記憶技術について教わりましたか。

4.学習している時、目がどのように機能するか、また目の機能をどうしたらうまく利用できるかを教わりましたか。

5.さまざまな学習技術についてなにか教わりましたか。またそれを他の分野に応用する方法を教わりましたか。

6.注意を集中させるとはどういうことか、また必要なときに集中力を持続させるにはどうしたらよいかを教わりましたか。

7.動機づけについて教わりましたか。動機づけによって能力を伸ばす方法や、動機づけの利用法を教わったことがありますか。

8.キーワードやキー概念について教わりましたか。またそれらとノートのとり方や想像力との関係について教わりましたか。

9.思考についてなにか教わりましたか。

10.創造性についてなにか教わりましたか。

この書籍では、上に挙げた10の質問の答えが網羅されています。それは、おもに、記憶術、読書術、ノート術、という3つのテーマにまとめられています。

記憶術によって広がる思考の翼

新しいことを学んでも片っぱしから忘れてしまうので、勉強する気が起きない、自分には能力がないと思っている人は、子供や大人を問わず大勢います。

しかし、記憶のテクニックを知っていれば、だれでも自信をもって、新しいことを学び、知識の探求を楽しむことができるのです。

この本では、記憶するためのテクニックが非常に多く紹介されていますが、そのうち2つを紹介します

初頭効果と親近効果 p62

学習のはじめと終わりに学んだものは記憶に残りやすい、という傾向があります。これらの効果を最大限に活用したいなら、どうすればよいでしょうか。

答えは簡単、短い休憩を何度もはさめば良いのです。

一度も休憩を取らなければ初頭効果と親近効果は一回ずつですが、こまめに休憩をとればそのたびに初頭効果と親近効果が生じ、記憶が深まります。

こまめに休憩をとるには、ポモドーロテクニックを応用するとよいでしょう。

今すぐできる「ポモドーロ・テクニック」あなたを自由にする時間管理術の4つのメリット
「アジャイルな時間管理術ポモドーロテクニック入門」を読んだ書評です。ポモドーロテクニックとは何か、どんなメリットがあるのか解説しています。

イメージをふくらませる p78

別の方法として、イメージをふくらませることも役立ちます。本書では、記憶に残りやすくするために、イメージをふくらませる12の方法が書かれています。

たとえば、「動きのあるイメージ」「誇張したイメージ」「こっけいなイメージ」などを思い描くと記憶に残りやすいものです。

具体的にはどうするのでしょうか。

イチゴとテーブル、ニンジンと羽毛、サンマとネコといった脈絡のないものを覚えるとしましょう。そのときには…

1.巨大なイチゴがテーブルのどまんなかに載っていて、テーブルはミシミシ音を立てている

2.真っ赤な羽毛がびっしり生えた新種のニンジン

3.サンマがネコをくわえてドヤ顔で泳ぎ去っていく

などのイメージを働かせると、一瞬で覚えられます。3番目は、ネコがサンマを~ではないことがポイントです。即座にイメージをふくらませる訓練をしておけば、人の名前を覚えるなど、ちょっとした場面に重宝します。

記憶術については、本書の「子どもたち」の一冊である以下の本にも、たいへん分かりやすく書かれています。

読書術によって深まる豊かな心

読書は大切だと言われていても、読み始めると眠くなり、頭に入らない、と感じて読書嫌いになってしまう人は少なくありません。しかしそれは、多くの場合、読み方を知らないからにすぎません。

たとえば、多くの人は読書について次のような誤解をしています。

「速く読むときちんと理解できない」

☓間違い
速く読むほど、リズムと流れが生じ、容易に意味がつかめる。しかも目が疲れず、退屈しない。(p192)

「前から順に読まなければならない」

☓間違い
ジグソーパズルを組み立てるときは、左上から順番に、などと考えたりしない。分かる場所から埋めていけば、難しいピースもスムーズにはめこめる。同様に読書も、分かりやすいところや、まとめなどの大事なところから読めば、理解が早い。(p227)

「指をそえて読むのは幼稚だ」

☓間違い
指やペンなどのガイドを使って読むことはとても大切。なぜなら、ガイドがあれば、目の焦点が定まりやすいから。たとえば視線を円を描くように動かすのは難しいが、指で円を描いてそれを目で追えば、楽に視線を移動できる。(p195)

具体的な読書テクニックは、本書のほか、本書の「子どもたち」の一冊である以下の本にも分かりやすく書かれています。

ノート術によって高まる創造の力

読書とノートは新しい知識を得るのに、切り離せないセットです。アイザック・ニュートンは、ノートを取らないでは本を読めなかったと言われています。

この本では、“脳のスイスアーミーナイフ”とも呼ばれるマインドマップの使い方が外観されています。(p251)

このエントリのはじめにも、わたしがこの本をまとめたマインドマップを掲載しています。マインドマップは、書いた本人以外は見てもよくわからないかもしれません。しかし当人にとっては、非常に分かりやすいノートなのです。

マインドマップが、脳を最大限に働かせるといえるのはなぜか、という点については以下の一連のエントリをご覧ください。

ストレスフリーのノート術「マインドマップ」―5つのメリットとかき方のステップ
トニー・ブザン氏が開発した効果的なノート術、「マインドマップ」について紹介しています。マインドマップのなりたち、5つのメリットやかき方のステップについて書いています。

マインドマップについては、本書の「子どもたち」の一冊である以下の本にも分かりやすく書かれています。

Use Your Head!

「あなたは脳を効果的に使っていますか?」

そう尋ねられて「もちろん!」と自信をもって答えられる人はどれだけいるでしょうか。多くの人は、それほど自分の脳、自分の能力にコンプレックスを抱いています。

しかし、そのコンプレックスは、「脳の使い方」を誰からも教わらなかったがために抱いているものなのです。効果的な記憶術、読書術、ノート術を学んで当てはめるなら、きっと、自分で自分の脳をしっかり使っているという実感が湧くことでしょう。

わたしは、脳を働かせるという点では、病気のため、周りの人よりハンディを負っていることを自覚しています。かなりの間、わたしは読書も記憶もできず、劣等感に苛まれていました。

しかし、トニー・ブザンの一連の書籍との出会いで、記憶し、読書し、創造する喜びを取り戻すことができました。ですから、これらの本を自信をもっておすすめしたいと思います。そして声を大にして、このメッセージを伝えたいと思います。“Use Your Head!”

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