障害者総合支援法は筋痛性脳脊髄炎(ME)を救済するか


10/21付の朝日新聞デジタルに、障害者総合支援法の「制度の谷間」に関する記事が掲載されました。ME(筋痛性脳脊髄炎)患者として岡本寿美子さんの話が掲載されています。

朝日新聞デジタル:難病支援、実態で決めて 病名での線引きに危機感

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障害者総合支援法

障害者総合支援法“障害者自立支援法”を改正し、来年4月に施行される新しい制度です。

今の“障害者自立支援法”は身体・知的・精神障害者が対象であるのに対し、障害者総合支援法では、障害者の定義に初めて難病が加わります。

これは患者団体などの働きかけの成果ですが、対象となる難病は、「政令で定める疾病」に限られるという問題もあります。筋痛性脳脊髄炎(ME)も「診断が難しい」といった理由で対象に入らない見通しだそうです。

MEの患者の岡本寿美子さんは、症状が重く、ほぼ寝たきりで、 福祉サービスを受けようとしても、「制度に合致しない」と拒まれ続けました。患者会の支援で、ようやく障害者手帳の申請が認められましたが、たいへんな苦労を伴いました。

今回のニュースでは、こうした病名による格差に焦点が当てられています。

筋痛性脳脊髄炎(ME)と慢性疲労症候群(CFS)

このニュースで興味深く感じたのは、以下のように書かれていた部分です。

宇都宮市の岡本寿美子さん(56)は筋痛性脳脊髄(せきずい)炎を患い20年以上になる。慢性疲労症候群とも呼ばれるこの難病は…

筋痛性脳脊髄炎(ME)という病名が主で、慢性疲労症候群(CFS)は副として紹介されています。MEへの病名変更を求める患者会の努力が報道関係者に認められているということかもしれません。

わたしは2007年ごろ、慢性疲労症候群という名前に疑問を感じて、当時の担当医に、「イギリスやカナダで用いられているMEのような病名に変更されることはないのですか」と尋ねたことがありました。

しかし、そのころはまだ患者会の運動もなかったからか、「患者さんに必ずしも脳の炎症がないことが分かったからね、病気の原因がはっきりしないと病名変更は難しいと思うよ」という返事が返ってきたのみでした。

平成23年度の研究報告を見ると、以下のように書かれているので、その指針は現在でも変わっていないようです。

「我々のCFS患者に対してME診断基準を用いて診断した場合には大半が除外となる可能性が高い。

…臨床研究の中で病因が明らかになってきたサブグループを順次CFSという病名から卒業させて、その病因に基づいた客観的な臨床検査による診断名を与えて対応してゆくことが、最終的にCFSという病名の解消につながる」

しかし、今回のように、報道関係者によって、筋痛性脳脊髄炎という名前が使われるようになるなら、慢性疲労症候群という病名の解消に追い風となるかもしれません。

筋痛性脳脊髄炎がクローズアップされればされるほど、それに当てはまらない患者を区別する必要が生じるからです。

今後、慢性疲労症候群(CFS)という病名に隠れた脳脊髄液減少症や化学物質過敏症、低血糖症の患者が明らかになるのは、もちろん必要なことです。

加えて、慢性疲労症候群(CFS)の範疇に属する患者それぞれにも、具体的な治療につながる適切な病名が与えられるなら、それに越したことはありません。

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