その不登校ーもしかして小児慢性疲労症候群?

小児慢性疲労症候群(CCFS)3_thumb[5]の「不登校」は、本当に単なる「怠け」「仮病」「学校嫌い」「こころの問題」「親の育て方のせい」でしょうか。もしかすると深刻な中枢神経の病気、小児慢性疲労症候群(CCFS)かもしれません。

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小児慢性疲労症候群(CCFS)とは

「それまで元気に過ごしていた子どもたちの日常生活が、じわじわとあるいは突然に50%以上障害されてしまう、難解で悲劇的な現代病」

小児慢性疲労症候群(CCFS;Childfood Chronic Fatigue Syndrome)は、国際診断基準によって診断される深刻な病気です。日本では平成13-15年度の厚生労働科学研究費補助金研究班兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センターを中心に研究されてきました。

特に思春期の子どもに発症し、次のような症状が色濃く表れます。

◆極度の疲労
日常生活のちょっとした動作で疲れ果て、なかなか回復しない。

◆過眠型睡眠障害
なかなか寝つけず、朝起きられない概日リズム睡眠障害(睡眠覚醒スケジュール障害)。
総睡眠時間は10時間を超える。
典型例は睡眠相後退症候群(DSPS)と呼ばれる。

疼痛
頭痛、腹痛、眼痛、関節痛など。
場合によっては若年性線維筋痛症を併発する。

認知機能障害
集中力や記憶力が低下し、何も頭に入らない。
テレビや本を「見る」ことはできても「理解する」ことができない。
同時に2つ以上の情報処理ができず、大勢の人に対応できない。

さまざまな不定愁訴
起立性調節障害(OD)などの自律神経の障害、
ホルモン分泌が混乱する内分泌機能の障害、
インフルエンザや風邪のような症状が慢性的になる免疫機能の障害。

(不登校外来ー眠育から不登校病態を理解するp28,34,73,86などに基づく)

具体的な診断基準はこちらをご覧ください。

小児慢性疲労症候群(CCFS)・ 筋痛性脳脊髄炎(ME)の国際診断基準
小児慢性疲労症候群(CCFS)の診断基準は、まず2004年、厚生労働科研費研究班で国内の診断基準が作成されました。 その後、2005年、DS Bellにより、国際慢性疲労学会(I

CCFS は成人の慢性疲労症候群(CFS)に比べて、睡眠リズム障害との関連が指摘されています。

また思春期に発症し、心の底では学校に行きたいと思っているのに、「不登校」「仮病」のレッテルを貼られてしまうという若者ならではの苦悩もつきものです。

このブログでは小児慢性疲労症候群(CCFS)についてさまざまな内容を書いています。以下は詳しい記事へのリンク集になっています。各項目は、+マークをクリックで展開します。

どんな病気か
CCFSとはどんな概念なのか詳しく解説しています。

子どもの慢性疲労症候群(CCFS)とは (1)どんな病気か?
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小児慢性疲労症候群(CCFS)とは (2)12の症状
小児慢性疲労症候群(CCFS)の症状の12の特徴を取り上げています。不登校の子どもたちの身体を調べたところ、どのような医学的な問題が明らかになったのでしょうか。これは一連の記事の2
小児慢性疲労症候群(CCFS)とは (3)10の原因と診断の流れ
小児慢性疲労症候群(CCFS)の10の原因と、診断の流れについてまとめています。CCFSを引き起こす現代の教育制度のいびつさとは何でしょうか。CCFSはどのように診断されますか。こ
小児慢性疲労症候群(CCFS)とは (4)典型的な発症パターン
小児慢性疲労症候群(CCFS)の典型的な発症パターンについてまとめています。CCFSはどのような経緯で発症し、悪化しますか。これは一連の記事の4番目です
小児慢性疲労症候群(CCFS)とは (5)治療法ーそれぞれの立場でできること
小児慢性疲労症候群(CCFS)の治療のために、当人、家族、医療関係者ができることをまとめています。子どもたちがCCFSを乗り越えるにはどうしたらよいでしょうか。これは、一連の記事の
【Q&A】よくある質問とその答え
耳慣れない概念を理解するのに役立つのはFAQ形式に整理された情報です。このブログでも、小児慢性疲労症候群についてのFAQを用意することにしました。医療の専門家ではないわたしが不確か
随伴する症状について
CCFSに伴いやすい、睡眠障害・起立性調節障害・気質特性についての解説です。

夜眠れず朝起きられない「睡眠相後退症候群(DSPS)」にどう対処するか(1)DSPSとは
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睡眠リズムがどんどんずれていく非24時間型睡眠覚醒症候群(non-24)の原因と治療法まとめ
同じ時刻に眠ることができず、睡眠時間帯が毎日遅れてゆく。時差ぼけ症状に苦しみ、社会生活に大きな支障が生じる。そしてときには慢性疲労症候群(CFS)と診断される。数ある睡眠障害の中で
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治療法
おもな治療法を取り上げています。

慢性疲労症候群(CFS)を診断できる病院を探すなら
医師に直接取材した情報をもとに書かれているドクターズガイドの慢性疲労症候群(CFS)の関係が、非常に充実しています。診察できる病院を探すのに便利です。
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役立つ情報
■コミュニケーションに役立つアドバイス

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■関連図書

子どものCFS研究の原点「学校過労死―不登校状態の子供の身体には何が起こっているか」
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昼夜逆転を伴う難治性の不登校「フクロウ症候群」の原因は何か―対処する7つのアドバイス
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発達障害や慢性疲労症候群と関わる「子どもの夜ふかし脳への脅威」
昨日発刊された三池輝久先生の新刊「子どもの夜ふかし 脳への脅威 」を読みました。慢性的な睡眠不足と発達障害、慢性疲労症候群はどのようにかかわっているのでしょうか。

■CCFSに関係するニュース報道

その不登校ーもしかして小児慢性疲労症候群?
その「不登校」は、本当に単なる「怠け」「こころの問題」「親の育て方のせい」でしょうか。もしかすると深刻な中枢神経の病気、小児慢性疲労症候群(CCFS)かもしれません。
闘病の経験談
若年発症のCFSに関する闘病記や治療例を紹介しています。

あまり知られていない優れたCFSの本(4)トンネル
もし将来の夢に期待をふくらませている学生時代に、病気によって突然日常が崩壊したら、どう感じるでしょうか。若くして発症するCFSには、独特の葛藤や苦悩がつきものです。このエントリでは
「産んでくれてありがとう」からCFSの方の闘病記
子どもの闘病は、ときに自分自身が闘病するより、辛く耐えがたいものとなります。「産んでくれてありがとう―笑顔で生きる2歳児から高校生までの難病の子どもたち」は、そのような難病のもとで
【アーカイブから】「小児慢性疲労症候群 入院治療で生体リズム回復」 
小児慢性疲労症候群(CCFS)の70%は回復します。希望を持たせてくれる明るい例として、通学できない状態から回復した18歳の高校生の方の経験談を紹介しています。また、わたしがCCF
「CFSがわたしに与えたもの」―中学生で発症した慢性疲労症候群の経験談
子どものころからCFSを患っておられる、御田村陽子さんという方による、「CFSがわたしに与えたもの」という手記を見つけたので読んでみました。
【まとめ】リハビリケア新時代 脳からの挑戦3 子どもの脳からのSOS(小児慢性疲労症候群)
NHKハートネットTV 「リハビリ・ケア新時代 脳からの挑戦」。第三回は、兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センターによる、子どもの睡眠障害の治療についての
【クローズアップ現代 まとめ】「不登校12万人のかげで ~広がる子どもの睡眠障害~」
2015/01/08に放送されたNHKクローズアップ現代「不登校12万人のかげで ~広がる子どもの睡眠障害~」のまとめです。子どもの概日リズム睡眠障害に関する、兵庫県立リハビリテー
関連する病気
関連する病気、間違われやすい病気について解説しています。

小児慢性疲労症候群(CCFS)と起立性調節障害(OD)ー何が違うか
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子どもの慢性痛、若年性線維筋痛症とはどんな病気なのでしょうか。どんな治療法が可能でしょうか。東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センターの宮前 多佳子先生による「小児の線維筋痛症」
慢性疲労症候群とうつ病の14の違い―見分けるための類似点と相違点
慢性疲労症候群とうつ病の違いをわかりやすく説明しています。3つの類似点と14の相違点をさまざまな資料から解説します。
頭痛で学校に行けない子どもの脳脊髄液減少症―よく似た起立性調節障害(OD)と区別するポイントとは?
不登校の一因である子どもの脳脊髄液減少症についてまとめました。同じ起立性頭痛を特色とする起立性調節障害(OD)と見分けるポイントや、LUP testと呼ばれる検査方法、治療法につい
化学物質から子どもを守る「知っていますか? シックスクール」の3つのポイント
しばしば子どもの不登校にもつながるシックスクールとは何でしょうか。なぜ子どものほうが大人より危険なのでしょうか。発症した子どもとその家族は、どのように対応できますか。3月に発刊され
いろいろな雑記
小児慢性疲労症候群(CCFS)に関係するコラムです。

子どもの慢性疲労症候群(18歳以下発症のCCFS)はどこまで治るか
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不登校・慢性疲労症候群の子どもが不幸にも「自分は怠けているのだろうか」という考えに陥ってしまうときの3つの原因と役立つ考え方のアドバイスについて書いています。
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