NHKきょうの健康についてのエントリでお伝えしたように、線維筋痛症(FMS)の患者の8-9割は女性と言われています。しかしこれは男性の線維筋痛症が非常に少ないわけではなく、診断されていないだけだとする調査結果が掲載されました。
男性の線維筋痛症の多くが正しく診断されていない(2013.1.10掲載)
正しく診断されている男性は20人に1人
米メイヨー・クリニックの研究グループにより、次の2つの点が明らかになりました。
1.正しく診断されているのはたった1/6
「21歳以上の6.4%に線維筋痛症がみられるが、正しく診断されているのは1.1%にとどまる」そうです。
2.正しく診断されている男性はたった1/20
さらにその内訳について「男性では、線維筋痛症の症状のある人は診断されている数の20倍であるのに対し、女性では症状のある人は診断数の3倍である」ことも明らかにされました。
この点について、研究の筆頭著者であるメイヨークリニック、線維筋痛・慢性疲労クリニック院長のAnn Vincent氏は、「医療従事者は、筋骨格痛や疲労のある男性患者を目の前にしても、この診断を思いつかないのかもしれない」と述べています。
これはアメリカでの調査なので、日本の実態とは異なるのではないかと思います。日本の場合、線維筋痛症(FMS)は海外以上に認知されていませんから、男女とも正しく診断されていない率は跳ね上がるかもしれません。
さらに、日本特有の気質として、男性は痛みを堪えるものだと考えられていた経緯があるので、年配の方を中心に診断されていない男性が多いかもしれないとも思います。
線維筋痛症の患者の8-9割は女性、という統計にこだわらず、線維筋痛症を疑う男性は積極的に専門機関を受診したほうがよいかもしれません。ほかの病気と診断されたとしても、その陰に線維筋痛症が隠れている可能性があります。
また線維筋痛症自体、日本の医学界に受け入れられ始めたのは最近です。今後、もっと一般的な病名になることを期待して、このブログでも引き続き線維筋痛症を紹介していきたいと思います。