いろいろな勉強法が世の中にはあふれていますが、本当に、脳の働きに沿った勉強法とはどんなものなのでしょうか。
何も知らずに錆びたのこぎりで木を切り続けても、労力が無駄になり、疲れ果てるだけで、何も得られません。同じように勉強法や脳の働きを知らず、無理やり知識を詰め込もうとしてもそのほとんどが無駄になります。
脳という“刃物”を切れ味鋭く保つために、マインドマップ勉強法 脳を飛躍的にパワーアップする技術を見てみましょう。
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これはどんな本?
マインドマップ勉強法 脳を飛躍的にパワーアップする技術はイギリスの教育家、トニー・ブザンが推奨するマインドマップ有機的学習法について書かれた書籍です。「有機的」とは「脳にとって自然」を意味します。(p173)
内容は類書と重複する部分が多く、同じ一冊にまとめられた書籍としてはトニー・ブザン 頭がよくなる本 日本語第4版のほうが新しく読みやすいかもしれません。そちらの書評は以下をご覧ください。
あるいは、個人的にはマインドマップ超入門 (トニー・ブザン天才養成講座) (トニー・ブザン天才養成講座 1)から始まる三部作が読みやすさの点で突出していると思います。
このマインドマップ勉強法 脳を飛躍的にパワーアップする技術の優れた点は、p2-15の解説にあります。要点やマインドマップ例がカラーページに簡潔にまとめられています。
ジグソーパズル式に読む
ノートをマインドマップで取るのはもはや当然として、わたしにとって一番役に立っているのは、「ジグソーパズル式に読む」という部分です。(p6)
つまり、最初に全体図(目次や副見出し)を見て、写真読みで既視感をつけ、理解できるところから順にピースを当てはめていき、わかりにくい部分は後回しにする、という読書法です。(p6)
p61には、類書にも登場するエピソードですが、オックスフォード大学のある学生が、4ヶ月もの間500ページもの難解なテキストと格闘した話が出てきます。
450ページまで来たころには絶望感を感じ始め、最後の章に到達したとき唖然とします。なんと最後の章は全体のまとめだったのです。最初にそこを読んでいればどんなにか楽だったことでしょう。
わたしは、脳をフル回転させ、一分間に何ページ、という速読術は自分には合わないと思っています。
わずか1時間で10万円稼ぐというような「うまい話」には必ず裏があるように、わずか数十分で一冊まるごと読める、というのも話がうますぎると感じます。
しかしジグソーパズル式読書で、大事そうなところに見当をつけて読めば、時間も体力も節約できます。「本を読むときにも、講師の話を聞くときのように、つまらないことを言ったら聞き流し、例を並べ立てたときには必要なものを選べばいい」のです。(p62)
どうやって買い物をしますか?
例えで考えてみましょう。
わたしたちは普段、買い物をするとき、すべての売り場を順路にそって、逐一見て回ったりするでしょうか。まったくもって無駄なことです。しかし多くの人は、読書するとき、最初のページから順にすべてを読もうとするのです。
では、解決策として、同じ順路を全速力で駆けずり回って、デパートの売り場全体を短時間で見てまわることには意味があるでしょうか。わずかな時間ですべてを読めると喧伝する速読術はまさにそのようなものです。
だれでも分かることですが、最も賢いのは、まず売り場の地図を見て、目当てのものが売っている場所だけに行き、時間も労力も節約することです。ジグソーパズル式読書法は、それと同じです。ここでいう地図とは目次、副見出し、そしてマインドマップです。
脳に沿った「有機的な」学習法とは、負担のかからない“抗疲労”学習法でもあります。本書でも「休憩を取らずに2時間以上学び続けると記憶量が50%を下回ってしまう」などと書かれていますが、寝食を削ってあくせく勉強するより、もっと効率のよい学び方があるのです。(p111)
学生が「時代遅れの勉強法」で体を壊す前に、「マインドマップ勉強法」について教えてもらうなら、どんなにか良いだろうと思います。トニー・ブザンが述べる次の言葉はまったくもってそのとおりだと思います。(p44)
本、数学の公式、試験などで、あれこれ学べと責め立てる前に、最も効果的な「学び方」を教えることが先決だ。
読むときの目の動き方、記憶法、思考法、学習効率を上げる方法、適切なノート法、問題解決法、あらゆる科目で能力を最大限に生かすための方法などを学ぶ必用があるのだ。
…知識は詰め込まれるものでも教えこまれるものでもない。自分のペースで学び、必要なときだけ助けを求めたり、支持を仰いだりすればいいのだ。(p46)