未成年者の飲酒は、単なる倫理的な問題ではなく、心身にさまざまな害を及ぼすというニュースがありました。
わたしはもう未成年者ではありませんが、費用や健康への影響を考えた結果、割に合わないのでお酒は飲まないことにしています。しかしときどき良かれと考える人からお酒を勧められることがあります。
喫煙と同様、お酒についても害をしっかり認識した上で、どうするかを決定しておきたいと思います。もちろんお酒は喫煙と違って良い面もありますが、興味のある内容でした。
中日新聞:お酒 軽くすすめないで! 未成年者への害、深刻:暮らし(CHUNICHI Web)
目次 ( 各項目までジャンプできます)
若い人が知っておきたい飲酒の知識
記事には、飲酒が若者に及ぼしかねない害がいくつか書かれていました。わたしが調べた内容を付け加えつつ、概観してみたいと思います。
若者の脳はまだ発育途上にある
アルコール依存症やネット依存症を治療している久里浜医療センターの樋口進院長はこう述べています。
人間の脳が成熟するのは二十歳ごろ。それまでは神経細胞が発展途上で、せっかく育った神経細胞が飲酒で死んでしまう
飲酒で神経細胞が死ぬというのは北米神経科学会(SfN)によると神経神話(つまり俗説)だそうです。
しかしエタノールは一種の神経毒ですから、脳機能が発達途上にある若者の場合は、ダメージが大きいのかもしれません。特に、妊娠している女性が少しでもアルコールを飲むと、子どもに「胎児性アルコール症候群」という破壊的な影響が及ぶ可能性があるそうです。
妊娠中の飲酒注意、胎児性アルコール症候群 [飲酒・アルコール] All About
脳の萎縮や成長の障害
特に人間らしさをつかさどる脳の前頭葉に影響する。萎縮して、無気力や記憶力の低下につながるほか、他人への配慮ができなくなる可能性も。さらには、骨の成長や生殖機能の発達の遅れも指摘されている。
アルコールの多飲によって、よく言われる肝機能障害だけでなく、脳萎縮や末梢神経障害、骨粗鬆症や大腿骨頭壊死症、貧血などありとあらゆる障害が起こることは現代の養生訓―未病を治すでも丸山勝也先生も指摘していました。
中毒・依存症になりやすい
アルコールを分解する肝臓の酵素が十分でないため、急性アルコール中毒になりやすい。飲み始めてから依存症になるまでの期間も、大人より短い
お酒に強い・弱いというのは生まれついたアルコール脱水素酵素の体質が関係しています。
白人は100%強いそうですが、日本人は45%が弱いそうです。日本ではときどき若者が一気飲みで死亡していますが、弱い体質の人は多量のアルコールを瞬時に処理することができません。
この記事では、依存症のリハビリテーションが専門の井之頭病院の菊池健院長がこう警告しています。
患者は、十代から飲み始めたケースが多い。我慢することの大切さを学ぶ子ども時代にお酒を飲むと、適量が分からず、飲む量を抑えられなくなる
同様の点についてわかりやすく書いてくださっているサイトがありました。
お酒の害をよく知っておく
結局のところ、発育途上の若者がお酒に気をつけることは必須です。たとえ大人になったとしても、お酒は節度を保って飲むことが欠かせません。
若者の飲酒については最後にこう提案されています。
頭ごなしではなく、アルコールの心身への影響を示すデータなどを準備して、毅然(きぜん)とした態度で『心配している』という思いを伝えて
若者の飲酒は、単にお酒が好きだから飲んでいる、という問題ではないかもしれません。家族の習慣や、友だちに受け入れられたいという思い、今の自分に満足できないという自尊心の欠如などが関係しているかもしれません。
「酒は百薬の長」と言われるように、お酒には良い面もありますが、当人がきちんと害を知った上でコントロールしていくことが必要だと思いました。