CFS研究班の平成24年度の研究報告。「発病前から併存疾患をもつCFS」(D群)が追加

性疲労症候群の研究班の平成24年度 総括・分担研究報告書が掲載されていました。CFS患者の実態調査について書かれているようです。

また、ホームページそのものもリニューアルされていて、トップページに「慢性疲労症候群(CFS)診断基準(平成25年3月改訂)の解説」が載せられています。

生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業(神経・筋疾患分野)「慢性疲労症候群の実態調査と客観的診断法の検証と普及」研究班 | 平成22年度厚生労働科学研究障害者対策総合研究事業(精神の障害/神経・筋疾患分野)

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改善しているのは半数。1/4はPS7以上

重症度が高い患者は、痛みとの併発例が多く認められること、就業状況や独居率は低く、自立した生活を営めていない実態が明らかとなった

…外来受診し、適切な医療が行われることにより、改善がみられるものが約半数認められたが、残り半数近くがCFSに対する治療を受けていても回復がみられず、約1/4の患者では現在もPS7以上の状態が続いており、社会的な支援が必要であることが確認された。

治療によって改善している人は半数ほど、PS2以下まで改善して休むことなく学校や会社に通うことができている人は、医師の評価では7.5%だそうです。

残り半数は回復せず、1/4はPS7以上だと書かれています。重症者は痛みが強い、抗酸化力が低下しているなどの特徴があるそうです。

追記:ホームページ先頭の図によると、「日常生活に著しい支障が出るレベル」は3万人?ほどで、平成25年度は、重症CFSのバイオマーカー、CFSのバイオマーカーを明らかにし、CFSの難病指定等を後押しするようです。

PS(パフォーマンス・ステータス)の自己評価

評価は0-9の段階に分かれており、CFS患者においては0-2を軽快群、3-5を中等度群、6以上を重症群と定義している。

…各PS評価において患者評価が専門医師の評価と一致しない割合は30-77%となり、約55%の対象者において患者評価と専門医師の評価で乖離が認められた。特にPS5、6、7の評価は、7割近い対象者で乖離が認められた

以前から薄々と感じていたことですが、PS値は実際より軽く見積もってしまう人と重く見積もってしまう人がいるようです。わたしも、PS6だと思っているとき、市大では5だと言われたことがありました。そのため今は軽めに判断してPS4と考えています。

知り合いの中にも、疲労検査の結果ではわたしより重症なのに、PSは2と述べている人や、毎日外出して活動しているのにPS7に丸をつけている人もいました。もちろんこれらは嘘をついているという意味ではなく、その人の感覚としてそれくらいに感じられるのだと思います。

かといってPSが有用でないかといえばそうではなく、5つの補助的検査と併用した場合は精度が向上し、CFSと診断されるCFを減らせるとわかったそうです。

CFS D群の追加

気分障害(双極性障害、精神病性うつ病を除く)、身体表現性障害、不安障害、線維筋痛症、過敏性腸症候群など機能性身体症候群に含まれる病態については、

これまでの診断基準ではCFSの発病前より認められる場合は除外されていたが、CFSの病因・病態の層別解析を進める目的にて「発病前から併存疾患(病態)をもつCFS(D群)」として包含されることとなった。

…A群(併存疾患をもたないCFS)、B群(経過中に併存疾患をもつCFS)、C群(発病と同時に併存疾患をもつCFS)、D群(発病前から併存疾患をもつCFS)の4群に分類する。

これまでⅠ群、Ⅱ群、Ⅲ群と呼ばれていたのは、A群,B群,C群になりましたが、さらにD群が追加されたようです。タイプ分けが進めば、もう少し研究が進むのかもしれません。

ホームページのトップによると、平成25年度からは重症(PS6以上)のCFS、脳内部位に炎症がみられるCFSのバイオマーカーの特定を進めると書かれています。そういえば5月に知り合いがPET検査の話をしていました。

さらっと斜め読みして興味深いところを抜き出しただけですが、さらに研究が進展することを望みます。

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