「かびんのつま」医学的にまだわかっていなくても確かに存在する化学物質過敏症

日新聞の漫画偏愛主義で、あきやまひできさんの「かびんのつま」が紹介されていました。

妻の闘病支える実録漫画 かびんのつま(あきやまひでき):朝日新聞デジタル

タイトルは「花瓶の妻」、ではなく「過敏の妻」である。

わたしとしては、「過敏」という表現と、「花瓶」のようにもろくて大切に扱わなくてはいけない、ということを掛けあわせているのかなぁと思っていました。

ネット上では「化学物質過敏症? 家族の問題も抱えてるようだし、メンタルの問題なんじゃないの?」という批判をいくつか見た。「医学的に証明されていない」という表現もあった。

 だが私は「証明されていないから」という主張には賛同しかねる。

…医療の常識なんて数年で変わってしまう。

わたしもこの表現には同意です。

第一に、医学的によくわかっていないことが多いからといって、苦しみを否定するのは心ないことです。本人が苦しんでいることは事実なのですから。

第二に、メンタルの問題と身体の問題を分けるのは科学的ではありません。デカルトの心身二元論はもう時代遅れです。神経免疫内分泌学では、精神面のストレスが身体的な病気を招きやすくなることもわかっています。

第三に、医学的によくわかっていないという点は、一昔前のリウマチやパーキンソン病などについても言われていたことです。数十年もすれば、研究が進んでもっとよくわかっていると思います。

先日のニュースで、微量な電磁波でさえ、鳥の大事な能力を無効化しうるというのがありました。

基準値の100分の1程度の電磁波が渡り鳥の最重要機能を無力化しうる
微弱な電磁波がもたらす害について取り上げられていました。

わずかな量の化学物質が免疫系に影響を及ぼす場合があるとしても、まったく不思議ではないくらい生物の身体は精巧にできていると思います。人によって、許容範囲に違いはありますが、化学物質に相当敏感な人がいるのはありうることです。

化学物質過敏症(CS)を否定している人や医師はおそらく、CSの患者に実際に会ったことがないか、その生活を身近で見たことのない人たちだと思います。

何百人も患者を見てきた医師や、同じ境遇の人たちと出会ってきた患者の方は、この病気が確かに存在するということを肌で感じています。

検査に使われる機器の技術が向上して、今まで詐病だと言われていた病気も、実際に病変があることが知られるようになってきました。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)と脳内炎症の関連が解明される
CFSに脳内炎症が広く関わっていることがわかったそうです。

原因物質まで解明されるのはまだ先かもしれませんが、いずれきっと、理解される日が来るに違いありません。

「かびんのつま」(1)に関するこのブログの書評は以下をご覧ください。

かびんのつま(1)感想 化学物質過敏症(CS)の妻と漫画家の愛に満ちた闘病記
漫画家あきやまひできさんが化学物質過敏症・電磁波過敏症(CS・ES)の奥さんとの闘病記録を描いたマンガ「かびんのつま」を読みました。その感想です。
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