【10/29】ハートネットTV リハビリケア新時代 反響編まとめ(子どもの睡眠障害)

児慢性疲労症候群(CCFS)について扱われた、ハートネットTVの反響編が放送されました。今回の部分では、慢性疲労症候群ではなく、睡眠障害がメインでしたが、内容をまとめておこうと思います。前回については以下のまとめをご覧ください。

【まとめ】リハビリケア新時代 脳からの挑戦3 子どもの脳からのSOS(小児慢性疲労症候群)
NHKハートネットTV 「リハビリ・ケア新時代 脳からの挑戦」。第三回は、兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センターによる、子どもの睡眠障害の治療についての

詳しくは続きからどうぞ。視聴しながらリアルタイムで書いたので、細かい表現は正確ではありません

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今回のシリーズでは、脳科学の発達が介護やリハビリを変えようとしていることを紹介した。脳の発達に深刻な影響を与えるという子どもの睡眠の乱れについて、関心が特に高かったという。

■勉強と部活で睡眠が乱れたミナミさん

兵庫県立子どもの睡眠と発達医療センター。国内でも数少ない、子どもの睡眠に特化した病院。全国から、眠りの悩みを持つ子どもたちが集まってきている。

中学3年生の男の子「だんだんに起きられなくなっていって、いつの間にか、ほぼずっと寝てる感じになって、学校にも行けていない状態」

集まる子どもの多くが、睡眠により不登校状態に陥っている。

中学二年生のミナミさん。中学に入ってまもなく、朝起きられなくなって不登校に。「寝た感じがない」

病院ではミナミさんの全身を脳波や血液などさまざまな角度から調査。夜寝るときに下がるはずの体温が下がらず、一日中同じ状態だとわかった。

田島世貴先生「夜に体温が下がりきっている時間が短いから、しっかり寝ている時間は1-2時間しかない」

体温やホルモンの調節など、本来ある身体のリズムが失われていた。診断は概日リズム睡眠障害。ミナミさんの睡眠は日中寝て夜は起きるというパターンに。

リズムが崩れたきっかけは、一生懸命夜遅くまで勉強したり、朝部活に出たりする中、疲れがたまったこと。

ミナミさん「勉強が難しくなって、宿題も多くなって、部活とかで朝練で早く出ることになってけっこうしんどかった」

失われた身体のリズムを戻すために二ヶ月にわたる入院治療を行った。光をつかった治療も。朝強い光を当てることで、目覚めのホルモンを出し、体内時計を戻す。

ミナミさん「早く退院して、勉強も追いついて、ちゃんど学校に行けるようにしたい」

睡眠に問題を抱え、この病院に来る子どもたちは年間のべ3800人。医師は危機感を募らせている。

小西行郎先生「明らかに増えている実感。一般の人の子どもの睡眠障害に対する考え方は非常に軽い」

コメンテーターの話。

スポーツと勉強の両立にアップアップする。決して怠けではなくみんな頑張り屋。小学生の74%中学生の85%がもっとゆっくりしたいと思っている。マイペースの子はこのような問題には陥らない。子どもは全力投球なので大変。親の期待に答えようという気持ちもある。

こうした睡眠のリズムが乱れると眼に見えないところで悪影響が出ていることもわかってきた。脳の血流を調べると、脳の前頭葉の血流が滞って、集中力や判断力が低下することがわかっている。

睡眠は家族しか見られないから、ほかの人は理解できない。睡眠は世間で軽んじられすぎている。

■スマートフォンの使いすぎで睡眠が乱れたサトシさん

中学二年生のサトシくん「朝早くは起きても眠い」

母親「起こしても全然起きない。会話をしたことも覚えていない」

TwitterとLINEとYouTubeを10時間を超えてやっていた。深夜3時ごろまで。やめられない。睡眠が乱れ、遅刻したり休む日が増えてきた。

サトシくん「時間をかけて治していきたい」

夜には一切電子機器を使わないと決心。9時には布団に入るように。

効果は少しずつ現れ、朝7時に目が覚めるようになってきた。

サトシくん「学校に行き始めて、毎日楽しい。学校に行きたかった」

学校に行きたいのに行けないのは辛い。自分の意志で起きられないので。

お母さん「スマホをやめるように親から言っても、うるさいと言って聞いてくれなかったが、病院で先生から指導されて、子どもが納得できたことがよかった。日々ケンカで一気にはやめられなかったので、9時には母親にスマホをわたすというルールからはじめた。毎日早く寝なさいと言っている。親子の会話が増えて、本人も明るくなった」

三池輝久先生「ブルーライトは、よる寝る前は要注意。メラトニンのホルモン分泌を抑えられ、眠れなくなってしまう。夕方以降のパソコン・スマホなどの使用はなるべく避けましょう」

■地域や学校での眠育

福井県若狭では、学校で睡眠の学習「眠育」が行われている。子どもたちは朝の会で、睡眠時間を記録。生活リズムが崩れそうな児童をいち早く発見するのが狙い。

子ども「自分の生活リズムがわかって、悪いところを治そうと思えるのでけっこういい」「睡眠表をやると、早く寝たほうがいいと思える」

この取組をはじめたのは前田勉さん、小学校の元校長。不登校になる子どもが目立っていたので、生活リズムを調査。すると、睡眠が乱れがちであるとわかった。土日に平日より2時間以上寝ているのはSOSの現れ。おうちの人も子ども自身も気づいてほしい。

地域の2000人の児童の睡眠表をチェックし、コメントをつけて返している。

保護者の協力も大事なので、講演会を開いている。幼少期からの取り組みが大切だと訴え続けている。講演を聞いて生活パターンを変えた森口さん。自営業のため、食事が8時過ぎ。子どもが寝るのは10時になっていた。大人の生活に子どもを合わせてしまう。

睡眠の大切さを聞いて。夜、店は家族が交代で守ることに。食事は7時に済ませ、子どもが早く寝られるように。子ども「好きじゃない授業のときは眠いけど、それ以外は眠くない」

学校や家庭が連携して、子どもの睡眠リズムを守ろうという眠育。この小学校では、かつて、全国平均の4倍以上の子どもが中学進学後に不登校になっていたが、一昨年には0になった。

子どもの睡眠に関して、文部科学省で、今月20日、子どもの生活習慣についての検討委員会が開かれた。議論の中心は睡眠のリズム。今後睡眠と不登校の関係について2万人を対象に調査する。(ここで映った説明資料の中に、日常生活の破綻として、慢性疲労症候群や慢性的時差ボケの名前が出てきています)

 

今回の部分では、純粋に睡眠障害について扱った内容になっていて、慢性疲労症候群については触れられませんでした。子どもの慢性疲労症候群はもちろん、睡眠だけが原因ではありませんし、それについて特集しようとすると、別の番組が必要になるので仕方がないと思います。

この番組で取り上げられた文部科学省の調査については、ニュースになっていました。

文部科学省が子どもの不登校と睡眠の調査に乗り出す。三池輝久先生も参加
文部科学省の「子供の生活習慣検討委員会」で子供の睡眠と不登校について取り上げられたそうです。

また、子どもの睡眠と発達医療センターの田島世貴医師が関わるプロジェクトとして、「睡眠と疲労の見える化」を目指す、ニンテンドーのQOL事業がニュースになっていました。子どもたちに身近なニンテンドーだからこそ、睡眠障害の予防に広く取り組んでほしいですね。

任天堂が「疲労と睡眠の見える化」に挑戦―渡辺先生や倉恒先生と協力!
ニンテンドーが、「疲労と睡眠」のQOL事業において、疲労の専門家と協力するそうです。

「眠育」の今後の展開にも期待したいところです。

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子どもの慢性疲労 / 概日リズム睡眠障害