50人に1人! 人の顔が覚えられない相貌失認が解明される


の顔が覚えられない相貌失認(失顔症)の仕組みを世界で初めて解明したというニュースがありました。

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生理学研究所、正常な顔認識に必要な脳内ネットワークを解明│日経プレスリリース

他人の顔認識の仕組み解明 脳機能障害治療に道-北海道新聞[暮らし・話題]

顔を物として処理してしまう

神経認知科学者の松吉大輔・東大助教授らによる、成人男女20人を対象とした研究では、約200人の倒立した顔写真を見せ、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で脳の活動を測定したそうです。

人間は、顔が逆さまになっていると、それを正確に認知する事が大変困難になり、「倒立顔効果」として知られているそうです。

正立顔と倒立顔を認知する時の脳活動の相違を比較したところ、正立顔の場合には、物体認識に関わる脳部位が抑制される一方、倒立顔ではこの抑制が行われていませんでした。つまり、「顔を物として処理してしまう」状態になっていたのです。

正しく顔を認識するには、顔認識に不要な部位を抑制して、必要な部位だけを活動させるようにすることが必要であることがわかりました。

顔をうまく認識できない人の問題は、顔認識に必要な部分が働いていないことではなく、顔認識に不要な部分を制御できていないことなのではないか、ということを示す研究だといえます。

50人に1人!

相貌失認は、顔認識部位を病気や事故で失ったことが原因となるだけでなく、50人に1人の割合で先天的に発症することが知られています。実に全人口の2%もの割合です。

有名なところでは、作家のルイス・キャロルは相貌失認の問題を抱えていたことをこのブログでも取り上げました。

アスペルガー症候群の聴覚優位タイプには、文字を使った学習が得意な一方で、相貌失認になるケースが多いのです。

天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)では、その原因について、明度の認識が大雑把で、立体がうまく見えていないのではないか、という点が挙げられていましたが、それはあくまで推測でした。

アスペルガーの2つのタイプ「天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル」
天才建築家アントニオ・ガウディと、写真家にして童話作家ルイス・キャロル。あなたは自分がどちらに似ていると思いますか? わたしたちはだれしも、この正反対の二人のどちらかに似ています。

今回の研究では、脳機能の測定も行われているので、ある程度信ぴょう性があります。

しかし、相貌失認の人を対象としたわけではなく、正常な人が倒立顔に対してどう反応するかを調べた研究であるようなので、相貌失認の人でも同じ脳機能の問題が生じていると断定するのは早計かもしれません。

また、すべての相貌失認が同じメカニズムなのかどうか、という点もまだはっきりとしていないといえるでしょう。

また、相貌失認の有名人にはもう一人、神経学者のオリヴァー・サックスもいます。オリヴァー・サックスの相貌失認についてはこちらの記事で取り上げました。

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かくいうわたしも、完全な相貌失認(何回会っても覚えられない)ではないのですが、人の顔を覚えるには1年以上付き合わないと難しい場合があります。

人を顔ではなく場所で覚える、つまり、どのような場面で会ったなら、たぶんこの人だ、という覚え方をしているので、いつもと違う場所で出くわすと、知人かどうかもわからないことがけっこうあります。

結局のところメカニズムがわかったところで、相貌失認の人は、手がかりを利用して見分ける、だれか信頼できる人と一緒に行動する、といったいつもの対策をするしかないのですが、こうして新たな発見があるのは興味深いことです。

相貌失認の人の生活の大変さについては、上記二冊の本に詳しいので、興味のある人はご覧ください。

▼相貌失認の詳しい解説
相貌失認について、原因や症状、対処法などの詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。

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