体内時計のペースメーカーの一端をバソプレシンが担っている

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沢大学の三枝 理博准教授らの研究グループが、バソプレシン産生ニューロンが、体内時計のペースメーカー細胞の一部を担っているという研究報告を先日出していました。

このニュースについては、柳沢正史教授が体内時計のペースメーカー細胞を発見 の記事で、関連ニュースとして取り上げたのですが、論文の抄訳を見つけたので、再度扱います。

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バソプレシンは体内時計ペースメーカーの一部

体内時計のペースメーカー細胞については、同時期に、似たような研究報告が柳沢正史教授の研究グループから報告されていました。

そちらでは、視交叉上核のニューロメディンS産生ニューロンが概日リズムのペースメーカーの実体であり,このニューロンの細胞時計を破壊すると、概日リズムがなくなるとされています。

それに対し、金沢大学の研究グループは、ニューロメディンS産生ニューロンの一部である、バソプレシン産生ニューロンに注目しました。

マウスの実験でバソプレシン産生ニューロンだけを破壊すると、概日リズムはなくなりませんでしたが、周期が約1時間長くなったり、時差に早く適応したりと、体内時計の機能が弱まりました。

つまり、ニューロメディンS産生ニューロン全体を破壊すると体内時計が機能しなくなりますが、ニューロメディンS産生ニューロンの一部であるバソプレシン産生ニューロンだけを破壊すると、体内時計の機能が一部低下するようです。

バソプレシン産生ニューロンは体内時計の機能の一部を担っているようですが、そのほかのニューロンとも協力して体内時計を作り上げているといえます。

バソプレシンは発達障害とも関係?

以前このブログで取り上げた愛着障害に関する本によると、バソプレシンは、オキシトシンと共に、発達障害に関係しているかもしれないと説明されていました。

オキシトシンは、母親らしさを作り出すホルモンですが、バソプレシンは父親らしさを作り出すホルモンです。

オキシトシン・バソプレシンシステムの異常によって、発達障害や愛着障害の、コミュニケーション障害や心の理論の未発達が生じるのではないかと分析されています。

自閉症でバソプレシン(AVP)が低下している―愛着や睡眠リズムに関係するホルモン
自閉症でバソプレシンの低下と「心の理論」の低さが関係していました。

同時に、発達障害では、睡眠リズムが不規則になることも知られていますが、体内時計が消失するわけではありません。その原因は、もしかすると、体内時計のペースメーカーの一部であるバソプレシンに異常があるからなのかもしれません。

その点に関する推測は、こちらの記事に書いてみました。

発達障害を防ぐ「子どもとねむり」の大切さ
発達障害の原因は、赤ちゃんのときの睡眠障害にある…。最新の研究に基づいて、乳幼児期のねむりの大切さを説明している書籍「子どもとねむり」から、あまり知られていないねむりの役割を紹介し
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▼追記(2016/09/16)
バソプレシンが概日リズムと関わっているという新たな研究が金沢大学から出ていました。

脳内物質「バソプレシン」産生の神経細胞が体内時計の周期を決定-金沢大 - QLifePro 医療ニュース

体内時計が刻む1日の長さを決める細胞を発見! | 金沢大学

バソプレシンを産生する神経細胞が、体内時計の周期を決めることを明らかにしたそうです。

バソプレシ ン産生神経細胞が生み出すリズムの周期を遺伝子操作により長くすると、体内時計により制御されるマウスの行動リズムの周期も約1時間長くなった。

逆にバソ プレシン産生神経細胞のリズムの周期を短くすると、行動リズムの周期も約30分短くなったとしている。

バソプレシン神経細胞によって体内時計の一日の周期が決まるということですが、体内時計の周期は生来の朝型・夜型のみならず、概日リズム睡眠障害とも関わっていると言われています。

事実、研究報告に載せられているグラフは、概日リズム睡眠障害の一種である「非24時間型睡眠・覚醒症候群」(non-24)の睡眠リズムのグラフそのものです。

そうすると、自閉症などの発達障害と概日リズム睡眠障害は、同じバソプレシン産生細胞の機能異常という原因が絡んでいるのでは併発しやすいのではないか、という可能性が考えられるように思います。今後の研究の進展にも注目していきたいところです。

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