自閉症でバソプレシン(AVP)が低下している―愛着や睡眠リズムに関係するホルモン

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閉症で、バソプレシン(AVP:アルギニンバソプレシン)というホルモンが低下していることが報告されていました。

自閉症の子であるホルモンの不足が問題に、他人との共感能力を低下させる
米国スタンフォード大学からの報告│Medエッジ

スタンフォード大学の研究によると、3歳~12歳の子ども159人を対象に調査したところ、

■自閉症の子ども
血液中(脳脊髄液中)のバソプレシンの濃度が低いと「心の理論」の能力も低かった

■定型発達の子ども
血液中(脳脊髄液中)のバソプレシンの濃度が低くても「心の理論」には関係なかった

ということがわかったそうです。バソプレシンの低下そのものが「心の理論」、つまり相手の気持ちを想像する共感力に影響しているわけではないものの、自閉症スペクトラム(ASD)では何らかの理由でバソプレシンが低下しているようです。

バソプレシンとオキシトシン―二大愛着ホルモン

バソプレシンは、利尿作用や血管収縮に関わるホルモンであると考えられていました。しかし近年の研究から、愛着形成睡眠リズムに関係するということがわかってきています。

発達障害と似て非なる「愛着崩壊 子どもを愛せない大人たち」
急増する、ADHDや自閉症スペクトラム、境界性パーソナリティ障害などを結びつける鍵は“愛着”である。「愛着崩壊子どもを愛せない大人たち (角川選書)」をもとに、愛着障害とは何か、発
体内時計のペースメーカーの一端をバソプレシンが担っている
バソプレシン産生ニューロンは概日リズムの調整に役だっているそうです。

つまり、自閉症の共感性の低下や、睡眠リズム異常に、脳内のバソプレシン受容体の分布異常が関わっているのかもしれません。

同様に、従来、出産・授乳を調節するホルモンとされていたオキシトシン(OXT)も、共感性に関わるホルモンとして注目を浴びるようになり、バソプレシンとともに、二大愛着ホルモンとして知られているそうです。

オキシトシンは、鼻から噴霧することで、自閉スペクトラム症(ASD)のコミュニケーション能力の治療に役立てられるのではないか、と研究や臨床が進められています。今回のニュースではバソプレシンも治療に使えるのではないかと書かれています。

自閉症スペクトラムのコミュニケーション障害がオキシトシンで改善
オキシトシン点鼻で対人障害が改善したそうです。

いずれにしても、まだ実用段階には入っていないようですが、より効果の高いオキシトシンなども開発されているようなので、いずれ、有効な治療法として活用されるようになるのかもしれません。

自閉症の人たちに、バソプレシンとオキシトシンに関する何らかのホルモンバランスの変化が見られることは事実なので、それが、色々な困り事とどのように関係しているのか、研究が進んでほしいと思います。

バソプレシンとオキシトシンの自閉症や愛着との関連性は、日本では福井大学の友田明美先生の研究グループなどが研究しています。

福井大学子どものこころの発達研究センター:Age2企画_2 はてなブックマーク - 福井大学子どものこころの発達研究センター:Age2企画_2

広汎性発達障害(特にアスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラム)におけるオキシトシンおよびバソプレシン受容体の遺伝子多型と社会性との関連に関する研究

 従来、オキシトシ(OXT)は出産・授乳を調節するホルモンであり、またバソプレシン(AVP)は利尿作用の低下や血管収縮に作用するホルモンであるとされてきました。

しかし近年、両者は“愛情”や“信頼”など社会性の形成にも関わるホルモンであることが明らかになってきています。

さらに、これらのホルモンが社会的なコミュニケーションに問題を抱える自閉症スペクトラムとも関連があることが分かってきました。

私たちは、オキシトシンやバソプレシンなど向社会的な行動(prosocial behavior)や人間関係の構築に関与するとされるホルモンに注目し、遺伝的多型が生み出すホルモン受容体(OXTRやAVPR1a)の差異による「ホルモンの働きにくさ」という遺伝的要因と、「社会性」という行動的要因の関連性について検討する研究を、長崎大学神経機能学分野、中国ハルビン医科大学児童思春期科と共同で行っています。

 今回のニュースでは、定型発達の人では、たとえバソプレシンが少なくても、「心の理論」の発達に影響が出たりすることはないということもわかりましたが、「ホルモンの少なさ」ではなく「ホルモンの働きにくさ」が関係しているのかもしれませんね。

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