なぜアスペルガー症候群の人はポケモン博士になれるのに人の顔が覚えられないのか


実際に自閉症の子どもたちは顔を見なかったり、特に顔を学習するのが苦手だったりすると言われている。

それが証拠に、夢中になれるポケモンなら覚えられるというデータがある。

顔を見たときに活動するはずの脳活動が、ポケモンを見たときに観察されることもある。(p152)

れは、顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 - 「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ)という本に載せられている興味深い実験のデータです。

アスペルガー症候群など、現在では自閉スペクトラム症(ASD)として区分されているタイプの人たちは、不思議な特徴を示すことがあります。

ここでは、ポケモンが例として挙げられていますが、そのような子どもたちは、虫博士、鉄道博士、漢字博士など、限られた領域の膨大な種類のものに博識になることが少なくありません。

しかし、その一方で、人の顔を区別して覚えることには、苦手意識を持っている自閉症圏の人が多くいます。

これは単に、ポケモンには興味があり、人の顔には興味がないといったレベルの問題なのでしょうか。それとも、もっと複雑な事情があるのでしょうか。複数の専門家の本を参考に調べてみたいと思います。

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これはどんな本?

この本は、「顔学」の専門家、中央大学の山口真美教授による、顔認知に関わるさまざまな話題を多方面から解説したわかりやすい本です。

顔を全然覚えられない相貌失認の人や、顔を瞬時に覚える超認識者(スーパーレコグナイザー)まで、顔認知の仕組みや、記憶方法など、いろいろな実験や実例を挙げて授業形式で説明してくれています。

顔を覚えるのが苦手なのはなぜ?

アスペルガー症候群(DSM-5では自閉スペクトラム症:ASDに統一)の領域の人たちの中には、顔を覚えるのが苦手、という人がかなりの割合でいるようです。

その点は、顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 - 「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ)の中でこう言及されています。

一方、自閉症の方は、顔を見つける検出能力からして低かった。

繰り返すが、この力は新生児でも備わり、先天性白内障でも後から追いつけるものであるにもかかわらず、である。

つまり、顔を見て学習することの問題ではなく、ほんとうに生まれつき苦手な人が存在するのだ。(p148)

一般に、定型発達の人たちは、顔を覚えることにそれほど苦労せず、日常の活動の一部として自然にこなしているように思います。しかし自閉スペクトラム症の人たちにとって、それはたいそう骨の折れる作業です。

自閉症の子どもたちは、しばしば「人の顔を見ない」とか、「視線を合わせられない」と言われます。そのような問題の背景には、顔を見つける検出能力の低さが存在していて、顔の覚えにくさにもつながっているようです。

顔を見分ける、顔を記憶するということには、あるホルモンの量も影響しているようです。 愛着崩壊子どもを愛せない大人たち (角川選書)という本にはこうあります。

そして、この「見覚えがある」という顔の認知に関係しているのがオキシトシンなのである。

ある実験では、オキシトシンまたはプラセボを投与した後に、顔写真を数十枚見せる。

翌日別の数十枚の顔写真と混ぜたものを魅せて、見覚えがあるかどうかを答えてもらう。

すると、オキシトシンを投与された人では、より正確に見分けられたのである。(p121-122)

ここでは、「オキシトシン」というホルモンの量が、顔の覚えやすさと関係している、という実験結果が載せられています。

オキシトシンは「共感性」「社会性」などと関係するホルモンです。近年自閉スペクトラム症(ASD)ではオキシトシンが不足していることが注目されていて、オキシトシンの点鼻スプレーで症状が和らぐのでは?という臨床研究が行われています。

オキシトシン経鼻剤で自閉スペクトラム症(ASD)の前頭前野とコミュニケーション能力が改善(臨床研究)

このように、アスペルガー症候群の人の顔の覚えにくさには、一つには、自閉症特有のオキシトシンの不足が関係しているようです。しかし、さらに別の理由も関わっていることを示す興味深い実験結果があります。

部分を見るか全体を見るか

自閉スペクトラム症の人たちは、生涯のどの時点から、顔の覚えにくさを経験しているのでしょうか。

顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 - 「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ)には、赤ちゃんの顔認知について調べた興味深い研究が載せられています。特に、視力について調べた実験では、次のような点がわかったそうです。

つまり、自閉症特有の見方は、逆説的にも見えるが、通常より視力がよいことにありそうだ。

これが顔全体よりも部分に注目しがちな見方を生み出し、顔認知を阻害している可能性がある。(p149)

自閉症傾向を持つ子ども(ここではASDの人の弟や妹)について調べたところ、その子たちは、一般の子どもたちに比べて、「通常より視力がよい」ことが明らかになりました。

ここでいう「視力がよい」とは、本来、まだぼんやりとしか見えていないはずの乳幼児期に、やけにはっきりとものが見えている、ということを意味しています。

一方で赤ちゃんは生まれてから生後6ヶ月程度まで、遠くを見ても近くを見てもピンとの合わない、解像度の悪い顔を見続ける。(p150)

本来なら、赤ちゃんは、最初からものがはっきり見えているわけではなく、最初は、お母さんやお父さんの顔も、ぼんやりとしか見えていないのだそうです。ところが自閉症傾向のある人たちは、最初からはっきりと顔を見ているようです。

この違いは、成長とともにどんな結果をもたらすのでしょうか。

発達性相貌失認

定型発達の乳幼児が、視覚の発達とともに、どのように顔認知を習得していくのかがこう書かれています。

なんとなくの全体を見ない限りは顔を区別できない。そしてなんとなくの全体ならば、むしろ表情に注目することになる。

この全体を見るという力は、たくさんの顔を区別するための方略として、大人になってからも発揮される。(p150)

定型発達の乳幼児は、最初はぼんやりとした輪郭しか見えていないので、まず「おおまかに全体を見る」ことを学びます。顔全体の印象に注目して、表情や感情を読み取る能力を発達させていき、徐々に細部も見えるようになっていくのです。

ところが自閉症傾向を持つ赤ちゃんの場合、最初から顔の細部が見えているので、「おおまかに全体を見る」という能力を発達させる機会がないのではないか、と思われます。

このような、本来、顔の見分け方を学ぶべき乳幼児期に顔を見分けるシステムが発達しなかったために、その後ずっと顔を見分けるのが苦手になってしまう状態は、「発達性相貌失認」と呼ばれています。

細部が見えすぎるとどうなるか

細部が見えすぎて全体が見えない、という問題は、顔認知にどのような影響をもたらすのでしょうか。

一つには、最初から細部が見えすぎると、顔の一つ一つのパーツといった細部に注目して顔を見分けるようになり、顔全体をおおまかに見たり、顔全体の表情に注目したり、といった能力が発達しないかもしれません。

また、この本では、自閉症特有の目を合わせられない問題も、細部が見えすぎることによるのではないか、とされています。

つまり、目が刺激として強すぎるため、目がある顔をしっかりと注視できない。あるいは、目が離せないくらいに注目してしまう可能性もある。(p150)

目は顔の中でも、特にコントラストがきつくて、強いインパクトを持つ部分ですが、細部が見え過ぎると、目を見たときの刺激が強すぎて、注視できなくなる可能性があるとされています。

「細部が見えすぎる」という問題は、自閉スペクトラム症の特徴の一つとしてしばしば指摘されるもので、たとえば絵を描く際にも、如実に反映されると言われています。

芸術と脳: 絵画と文学、時間と空間の脳科学 (阪大リーブル)では、普通の人は、「森」(全体)を描いたあとに「木」(細部)を描くといった順序があるのに対し、自閉スペクトラム症の人の場合は、「木」(細部)から描き始めて「森」(全体)を描くような特徴があるとされていました。(詳しくはこちら)

臨床描画研究〈17〉特集 発達障害と臨床描画の中でも、アスペルガー症候群の子どもたちの絵の特徴の一つに、細部を異様に描き込む、という点が見られることが指摘されています。

天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)という本では、顔が覚えられない相貌失認を伴うアスペルガー症候群だったとされる作家ルイス・キャロルの絵が紹介されていて、細部を描き込むあまり、全体のバランスが悪くなっていると評されています。

アスペルガーの2つのタイプ「天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル」
天才建築家アントニオ・ガウディと、写真家にして童話作家ルイス・キャロル。あなたは自分がどちらに似ていると思いますか? わたしたちはだれしも、この正反対の二人のどちらかに似ています。

ポケモンと人の顔はまったく違う

このように、アスペルガー症候群の人が顔を見分けるのが苦手になる背景には、「細部に注目する」という脳の特性が関係しているようです。

しかし、アスペルガー症候群の人は、顔が見分られないのとは対照的に、ポケモンや鉄道、虫、漢字など、ある種の分野で博士やマニアと呼ばれるほどに類まれな記憶力を示す、というのは冒頭で引用した記述のとおりです。

なぜ、人の顔は覚えられないのに、マニアックな知識は記憶できるのでしょうか。

顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 - 「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ)には、それらの違いがこう書かれています。

顔を覚えるコツは、英単語や化学記号の暗記の場合とは違う。

顔を記憶する際には、脳の特殊な部位が活動する。

この活動を利用しない限りは、顔は有効に頭に入ってこないのである。そしてこの脳の活動は、情動が担っている。(p156)

この説明によると、そもそも、人の顔と、英単語などの知識とは、覚えるのにまったく違う能力を必要とするものである、ということがうかがえます。

偉大な記憶力の持ち主も顔は覚えられなかった

そのことを例証しているのが、スルーできない脳―自閉は情報の便秘ですという本で紹介されている、シィー氏のエピソードです。

シィー氏は完璧な視覚記憶と想起を駆使して記憶術の見世物で生計を立てていたにもかかわらず、解像度の高すぎる記憶が災いして、身近な知人の顔を覚えることができなかった。(p424)

シィー氏は、本名をソロモン・シェレシェフスキーといい、記憶に関する古典的名作偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 (岩波現代文庫)に記載されている、実在した人物ですが、彼は、あらゆることを記憶できる超絶記憶力で後世に名を残しました。

しかし人の顔はなぜか全然覚えることができませんでした。その理由を語ったシェレシェフスキー自身の言葉が、次のように引用されています。

彼が曰く、「人の顔はこのように不安定です。人の気持の状態や、どういう時に会うかに依存して、しょっちゅう変わり、そのニュアンスはめちゃくちゃになります。したがって、大変覚えにくいのです」(p119)

シェレシェフスキーの言葉によると、人の顔は、とても独特な要因を備えているがゆえに、記憶するのが難しいのです。それは、その時々で変化するということでした。

シェレシェフスキーと同様、類まれな記憶力をもつサヴァンまたアスペルガーのダニエル・タメットも、 天才が語る サヴァン、アスペルガー、共感覚の世界の中で、さまざまに変化する人の顔が覚えられないと述べています。

ぼくの場合は、人の顔を覚えるのに大変な苦労をしている。何年もつきあっている人の顔ですら覚えられないのだ。

人の顔の複雑さについてちょっと考えてみてほしい。

細かな部分がそれぞれ違っているばかりか、表情は一瞬たりとも固定しないで、絶え間なく動いている。(p77)

人の顔は「表情は一瞬たりとも固定しないで、絶え間なく動いている」ので、正確すぎる記憶力には適していないのです。

顔は「全体」を見ないと見分けられない

単純に考えて、わたしたちが人の顔を見るとき、まったく同じ顔を見る、という場面はそうそうありません。

まず見る角度が違えば、形も変わります。光の方向や程度が変われば、顔の凹凸の印象も変化します。何より、顔には30以上の表情筋があるので、そのときの感情や気分によって、ありとあらゆる表情に姿を変えます。

人の顔とは摩訶不思議なものであり、一人の人間の顔だけとってもあまりにパターンが多すぎて、細部だけに注目して特徴を覚えるというのは非常に難しいのです。

人の顔を見分けるには、そのときどきで変化する細部ではなく、全体の印象をとらえる必要があります。

それはちょうど、海の風景のようです。刻一刻と移り変わる水面の一部という「細部」に注目しても、特徴を覚えることができません。海だけでなく、砂浜や周囲の崖といった風景全体に注目してはじめて、その場所を見分けられるようになります。

さらに、顔を見分けるには、英単語などを暗記する部分とは違う脳の箇所(扁桃体、上側頭溝、紡錘状回顔領域など)を使うとも書かれていました。その部分は感情・情動の影響によって働きます。(p140)

顔を記憶するには、表情全体から感情を感じとって、共感することにより、脳の顔領域を働かせる必要があるのです。

ですから、顔が覚えられない問題には、すでに触れた共感のホルモン、オキシトシンの不足も関わっているといえるでしょう。

▼顔が覚えらない理由
顔認知の問題には、ここで挙げた要素以外にも複数のものが関わっていると考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。

人の顔が覚えられない「相貌失認」の4人の有名人とその対処方法―記憶力のせいではない
人の顔が覚えられない、何度会っても見分けられない。それは10人に1人が抱える相貌失認(失顔症)かもしれません。ルイス・キャロル、ソロモン・シェレシェフスキー、オリヴァー・サックスな

721種類のポケモンを覚えるには?

このようなわけで、ポケモン博士になるのと、人の顔を記憶するのとでは、さまざまに異なる要素が関係していると考えられます。

人の顔を見分ける場合は、刻一刻と変化する表情を同じものだと見分ける必要があるので、全体をおおまかに見る能力が求められます。

スルーできない脳―自閉は情報の便秘ですにこう書かれているとおりです。

適度に解像度が低く、おおざっぱだと、パターンが抽出しやすい。細部が少々違っていたって、そこに目をとらわれず、「だいたい同じ」と気づく。(p118)

しかしポケモン博士になる場合は話が別です。初代は151種、現在では721種(2015年12月現在)それぞれの形や特徴を記憶する必要があります。

この場合は細部に注目する能力が役立ちます。細かい違いを分類し、区別し、見分けることが必要なのです。

そのため、自閉スペクトラム症の人たちの中には、非常に物知り、博学で、歩く図鑑、生き字引、数字の記憶に長けた人などが大勢います。

そうした図鑑や漢字、数字などの分野では、刻々と移ろい変わるような曖昧さはなく、はっきりと細部を区別して暗記することが可能だからです。

ポケットモンスターとアスペルガー症候群

今回は、アスペルガーの◯◯博士の一例として、ポケットモンスターというゲームソフトに言及しました。

ポケモンは、全世界の多くの人たちに親しまれている普遍的な名作ゲームですが、よくよく考えると、アスペルガー症候群に人にとって親しみやすいものでもあるようです。

自身も顔が覚えられないと述べるアスペルガー症候群のダニエル・タメットによる 天才が語る サヴァン、アスペルガー、共感覚の世界では、ポケモンの作者の田尻智さんという人について、次のような文脈で名前が出ています。

有名な「アスペルガーの人」には、カリフォルニア大学バークリー校の数学者で、栄誉あるフィールズ賞(数学界のノーベル賞と言われている)の受賞者リチャード・ボーチャーズ、ノーベル経済学賞を受賞したヴァーノン・スミス、ファイル転送用プロトコル(訳注・インターネット上でファイルをダウンロードする際の取り決め)であるビットトレンドを開発したブラム・コーエン、人類学者で霊長類学者ドーン・プリンス・ヒューズ博士、『ポケットモンスター』の作者田尻智などがいる。(p31)

アスペルガー症候群の天才・偉人は多いですが、そのうちの一人として、ポケモンの作者も認知されているようです。

ポケモンには、図鑑のようなコレクター性、数字やナンバーといった要素、ロールプレイング性、繰り返しやりこめるゲーム性などが備わっていますが、こうした特徴は、アスペルガー傾向のある人が楽しみやすいものかもしれません。

ASDの人たちは、コレクター要素に加えて、ロールプレイングを好む傾向があることがわかっていますし、常に変化する新しさよりも繰り返しやり込める奥深さに親しみやすいと言われています。

もちろん、ポケモンは普遍的な娯楽であり、アスペルガーの人だけでなく、さまざまな背景の人に訴える魅力を持っていることは間違いありません。ポケモン好きな人が皆、自閉症傾向を持っているというわけではありません。

「空気が読めない」本当の理由?

ここまで、細部に注目する傾向と、全体をおおまかに見る能力がどのように、さまざまなタイプの記憶力と関わっているかについて考えてきました。

しかしこの「細部」と「全体」の傾向は、自閉症の他の特徴、「空気が読めない」ことにも影響を及ぼしている可能性があります。

顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 - 「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ)には、こんな実験が紹介されていました。

相手の感情や文脈がわかっているのかを調べるため、映画を見たときの感情的な評価を、自閉症者に尋ねた研究もある。

映画の登場人物の感情を尋ねると、シーンごとの感情は正しく理解されていることがわかった。

それぞれの場面の感情は理解できないわけではなく、正しく判断できていたのである。(p164)

自閉スペクトラム症(ASD)の人たちは、しばしば「空気が読めない」と言われますが、この実験では、シーンごとの感情は正しく理解していることがわかりました。共感性がないわけではないのです。

統合機能の弱さ

では「空気が読めない」ことの正体とは何なのでしょうか。

問題はその先にあった。場面ごとの感情の浮き沈みを流れとして解釈することに困難があったのだ。

物事を断片で理解する人にとって、その場の空気を読むとか、文脈を読むということはとても難しい作業であろう。統合することが難しいとは、なかなか理解されないところがある。(p164)

「空気が読めない」問題の本質は、場面ごとの感情がわからないことではなく、それぞれの感情はわかっても、全体としての流れを把握できないことにあったのです。

たとえば、アスペルガー症候群の人は、冗談を真に受けてしまったり、皮肉がわからず傷ついてしまったりします。

冗談や皮肉を言う人は、その場の雰囲気の流れの中で判断して、軽い意味合いでそう述べるのでしょう。

しかしアスペルガー症候群の人は、それまでの流れ全体の中でその言葉を解釈するのではなく、独立した言葉、断片としてそれを受け取るので、真に受けて本気にしてしまうのかもしれません。

この場合も、その一瞬の言葉や感情という「断片」あるいは「細部」に注目して、流れという「全体」が見えないことが問題になっているといえます。

「空気が読めない」とは、細部に注目して、全体が見えないこと、すなわち断片情報をまとめあげる統合機能が弱いことを示しているのかもしれません。

もちろん、自閉スペクトラム症(ASD)の症状にはさまざまな側面がありますが、「情報の統合機能の弱さ」という観点から解釈することは、一面の理解を与えてくれるでしょう。

わたしの身近なポケモン博士

最後に…、今回の記事をまとめようと思ったのには、わたしの身近なポケモン博士の存在がありました。

わたし自身は、ポケモンについてはほとんどわからないのですが、わたしの友人にはポケモン博士がいて、ものすごい深さまでゲームをやりこんでいて、時々その話を聞かせてくれます。

その人は、非常に濃いアスペルガー症候群の人で数学の天才なので、今回の本を読んだとき、とてもしっくりきて興味深く感じました。

わたし自身は、とてもおおざっぱな記憶力のため、細部を覚えることはできません。だからこそ、こうしてブログに情報をまとめることで、備忘録としています。

すぐに忘れていくので、自分のブログを確認しないと過去のことは思い出せません。特に詳細な数字などは覚えられたためしがありません。

絵を描くときも、非常におおまかなアタリを取って、徐々に全体から塗っていき、最後にちょこっと細部を描き込むくらいです。

そして、わたしの得意なことは、断片的な情報をこのブログのようにひとつに集めてまとめあげることなのです。

そのようなわけで、自分とは違うタイプの人の脳の働きについて学べたこの本はとてもおもしろい一冊でした。

もちろん、自閉症の研究はまだまだ仮説段階なので、この記事の内容がどの程度理にかなっているのかは不明です。

しかしながら、顔を覚えるのが苦手な人、認知科学が好きな人には、顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 - 「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ)はぜひおすすめしたい一冊です。

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ASD(自閉スペクトラム症) / 視機能障害