「芸術家は右脳人間」は間違い―自閉症の天才画家からわかる創造性における左脳の役割

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術家は右脳人間で左利きが多い。

そんな話を聞いたことがありますか。いわゆる自己啓発的な「脳科学」の本や、 マスメディアなどで人気のある話題ですが、これは最新の科学に基づくものではありません。

近年の脳科学では、自閉症の天才画家の研究などから、創造性における左脳の役割がわかってきています。そして芸術家の創造性には、左脳も右脳も重要である、という証拠が集まっています。

芸術は右半球に側性化しているという考え方が一般に流布しているが、十分な科学的根拠に基づいているわけではなく、初期の理論が作業仮説としてその後の研究に影響を及ぼしているにすぎない。(p22)

創造性=右脳 でないとしたら、実際には右脳はどんな働きを担っているのでしょうか。なぜ芸術には左脳も必要なのでしょうか。そもそも創造性とは、脳のどこの機能と関係しているのでしょうか。

芸術的才能と脳の不思議―神経心理学からの考察という本から考えてみたいと思います。

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これはどんな本?

この本は、カリフォルニア大学のダーリア・W・ザイデルによる、近年の芸術に関する脳科学の発見を集めた論文的な本です。

脳損傷が生じた画家や音楽家たちや、生まれながらに芸術的才能を持っていた自閉症の画家の例、最新の脳の画像分析の成果など、さまざまな研究を通して、脳の創造性が分析されています。

とても面白い本ですが、内容はかなり難しく、気軽に読める本ではありません。

「芸術家は右脳人間」は間違い

冒頭で述べたように、テレビなどのメディアや、芸術関係の本などで、よく芸術家は右脳タイプであるとか、右脳を鍛えれば創造性が伸びるなどと、まことしやかに語られていますが、現在の脳科学では、その説は否定されています。

言語理解や発話、書字、読みなど、脳内の局在が知られている機能と異なり、芸術表現の制御に対応する神経ネットワークの局在は知られておらず、左右どちらかの半球への側性化や特殊化も知られていない。(p22)

論理的思考は左脳、芸術的思考は右脳という考えは、ずっと以前の脳科学によるものです。

何かの活動をしているときの脳の状態を画像化するMRIなどの技術が進歩した結果、確かに言語コミュニケーションやリズムなどの一部の機能は、左脳が主な役割を担っていることが確かめられました。

しかし、芸術に関しては、特有の脳の領域はなく、音楽家であれ画家であれ、脳の広い領域を用いて創造性を働かせていることが明らかになっています。

芸術家には左利きが多く右脳を使っている証拠だ、という俗説もありますが、1995年の大規模な統計では、左利きの画家は2.8%で、一般人口の左利きの率である10%よりむしろ少ないことがわかっています。

かつては自画像から右利き、左利きかを分析していましたが、画家が鏡を使って反転させて描いていることも多いそうです。ラファエロ、ミケランジェロ、ピカソのように、以前は左利きとされていたものの、実際には右利きだとわかった人もいます。(p183-184)

自閉症の天才画家たち

芸術家の創造性に関する、右脳と左脳の役割を調べるに当たり、研究者たちがとても興味深く感じているのは、自閉症の天才画家たちの創造性です。

自閉症の中には、特定の分野で飛び抜けた才能を示す人たちがおり、一部はサヴァン症候群と呼ばれます。

そのような才能は、カレンダー計算、素数の判別などの数学的才能から、楽器演奏という音楽的才能、そして写真のような絵を描ける美術的才能までさまざまです。

この本では、自閉症の天才画家のうち、特に有名な3人の人物が取り上げられています。

1.ナディア

自閉症の天才画家として最初に報告されたのは、1977年のナディアです。

ナディアは、精神遅滞を伴う自閉症と診断され、言葉によるコミュニケーションができない少女ですが、3歳半ごろから、さまざまな角度から見た馬のスケッチを並外れたリアルさで描くことができました。

学校に通うようになって絵の訓練を集中的に受けましたが、技能が進歩することはなく、少しずつ話せるようになるとともに、むしろ絵の才能はなくなっていき、ほとんど絵を描かなくなりました。

2.EC

2003年に報告されたECは、高機能自閉症の36歳の男性で、ナディアとは違い、平均レベル下位の言語能力を持っていました。

7,8歳ごろから、いきなり上手な絵を描き出して、その後ずっと白黒で極めて写実的な絵を描いています。

彼は下描きも修正もなく、正確な模写を描けました。また以前に描いた作品を記憶だけで再現することもできます。

しかし背景がたいてい同じだったり、用紙の端の見切れている物も省かずにそのまま描いたりする特徴もありました。

技術が進歩することはほとんどありませんが、マンガの表現技法を学び、少しずつレパートリーを広げることができました。

3.スティーブン・ウィルシャー

オリヴァー・サックスが1995年に詳しく報告した画家スティーブン・ウィルシャーは、今や自閉症の天才画家の代名詞ともいえる存在です。

子ども時代から、驚異的な建物の写実絵を描いていて、そのまま大人になっても同様の絵を描き続けています。

色はほとんど使われず、モノクロのスケッチが中心の画風です。絵の細部から描き始めて、まったく修正することもなく全体のバランスの整った風景を描いてしまいます。

その点について詳しくは以下の記事で取り上げています。

絵の描き方から分かる自閉症スペクトラムの4つの特徴
アスペルガーを含め自閉症スペクトラムの芸術家は大勢います。その独特な認知特性は、絵を描くときにも表れるそうです。「芸術と脳: 絵画と文学、時間と空間の脳科学 」という本に基づいて、

自閉症の天才画家の画力はどこからくるのか

これら3人の自閉症の天才画家を比較すると、幾つかの共通点が浮かびあがります。

■言語コミュニケーション能力が限られている
■最初から高度な技能があり、その後はほとんど進歩しない
■写実的な作風
■色はあまり使わない
■下描きや修正が必要ない

これらは一見、まったく異なる性質のように思われますが、実際には、脳の機能の観点からすると、互いに密接に関連しているものだそうです。

抑制経路が働いていない

まず一つわかることは、彼らの脳には、何かたぐいまれな才能があるというより、むしろ抑制経路が働いていないということだといいます。

脳と芸術との関係を考える上でもう一つ重要な手がかりは、彼らの作品にみられる顕著な特徴で、それは高度に空間的で素晴らしい記憶力を示す、写真とも思えるような写実的な表現となっている点である.

こうした表現になる理由としては、自閉症ではない人には存在する神経ネットワークが彼らには欠如しているかあるいは十分に発達していないために、そのネットワークによる干渉を受けることがないことが考えられる.(p97)

自閉症の天才画家たちは、極めて写実的な絵を描きますが、彼らが特別な眼の機能や記憶能力を持っているわけではないようです。

最近の研究では、チンパンジーは写真記憶ができることがわかっていますが、わたしたち人間の脳には、もともと見たものを写真のように把握する能力が備わっているようです。

しかし、わたしたち見たものすべてを覚えていられないのは、受け取った視覚情報のうち、必要な部分だけを判断して、取捨選択する機能が備わっているからだと考えられています。

わたしたちにとって、普段目に入るすべてのものが大切な意味を持っているわけではありません。駅前の通りを歩くとき、あらゆる看板や通り過ぎる無数の人、落ちているゴミなどすべてに注目することはありません。

むしろ、自分の見たいものだけ、興味のあるものだけ、目的としている場所だけを見ています。これは無意識のうちに必要な情報を選り分ける機能が働いているからです。

しかし、自閉症の天才画家たちの場合は、どうやらこのシステムが働いていないようです。風景の細部の細かいところ、重要でないところまで、すべて写真を撮るように記憶していると考えられます。

自閉症の人は、パニックになったり、頭を壁に打ちつけたりすることがありますが、これは情報が取捨選択されず、そのまま全部入ってくるために、あまりの刺激に圧倒されてしまうからだという研究者もいます。

自閉症の天才画家たちは風景を正確に模写しましますが、画家が技法として用いる遠近法とは異なるそうです。技法を凝らしているわけではなく、あくまで「見たまま」を描いているということなのでしょう。

サヴァン症候群の人たちが見たままを描ける理由については以下の記事でも考えました。

なぜ自閉症・サヴァン症候群の人は精密な写実絵を描けるのか
「ヒトはなぜ絵を描くのか――芸術認知科学への招待 (岩波科学ライブラリー)」という本から、なぜ自閉症やサヴァン症候群の人の中に精密な写実画を描ける人がいるのか、写実的な絵を描くのに

「意味システム」とは何か

しばしば、言語能力と絵を描く能力は相反するものだと考えられがちです。

ナディアが学校に通い、言語能力が向上したとともに画力が失われたことも、それを裏付けているかのように思えますが、ECの例では言語能力は存在していました。

そのため、自閉症の天才画家が写真のような絵を描ける理由の一つは、言語能力の欠如ではなく、むしろその言語能力と関係している「意味システム」の不全だと言われています。

自閉症例では、大脳皮質にも問題がある可能性が示唆されている.

そのために、言語学的な意味に関係するだけでなく経験自体や経験の意味するところを貯蔵するシステムでもある“意味システム”が描くことに関係した神経システムと離断された状態にある、と考えられるのである.(p97)

「意味システム」とは何でしょうか。それは、先ほど考えた、五感から受け取った情報を、意味に基づいて取捨選択して、加工する機能だと思われます。

わたしたちが見たものすべてを記憶しているわけではないのは、どれが自分にとって大切な意味を持っていて、どれがあまり意味のない情報であるか、選別できるからです。

自閉症の天才画家たちは、見たものをそのまま描く写実的な絵は描けますが、そこにオリジナリティを込めることはありません。

意味システムは、抽象画や象徴画には不可欠なものです。見たものや記憶の素材を再構成して、本来とは異なる意味を含ませ、まとめあげなければならないからです。

自閉症のうち、言語能力に問題がない高機能自閉症やアスペルガー症候群の人たちは、冗談を真に受けてしまったり、隠喩表現の理解が難しかったりすることがありますが、それは言外の意味を感じ取る「意味システム」の働きが悪いことによるのかもしれません。

また自閉症の天才画家たちが、トレーニングによる技術の向上がないか、あるいは比較的限られているということも、やはり新しく学んだことの意味、つまり要点を把握して自分のものにすることが苦手だということを示しています。

一般に自閉症傾向を持つ人たちは、生活に新しいことを取り入れるのが難しく、興味の対象が限られていると言われています。

脳で情報が統合されていない

「意味システム」などの情報の加工が働いていないということは、自閉症の人たちの脳の中で、感覚の統合がうまくいっていないことを示唆しています。

本来ならば、五感から受け取ったさまざまな感覚が、意味によって分類され、取捨選択され、コンパクトにまとめられていくわけですが、自閉症の天才画家たちは未処理の情報をそのまま感じ取っているようです。

fMRIを用いた研究の結果から、自閉症における白質の異常に由来する不十分な繊維結合を考える理論も提唱されている(Just et al..2004).

要約すると、認知症の芸術家の場合も、自閉症の天才画家の場合も、神経システムの機能低下や発達異常の結果、健全な抑制経路による干渉が除去されて、特定の組織にある種の孤立化が生じて自由に活動する事態が生じたと考えられるのである.(p104)

自閉症の天才画家が写真のような絵を描けるのは、必要な部分だけ抜き出した形に加工されていない、未加工の、見たままの映像記憶が存在しているからです。

また写真のような絵に、ほとんど色が用いられないのは、脳の別々の部分で認識される色と形が統合されていない可能性を示唆しています。(p97)。(逆にカラフルな絵を描く自閉症の子どもの場合は形がない場合もあります)

新しい経験を技術として身につけ、自分の幅を広げることが難しいのも、経験の意味するところを統合し、まとめあげるのが難しいのだと思われます。

言語コミュニケーション能力が限られているのも、その場の雰囲気や、相手の顔の表情、話の流れなどの他の情報と、耳で聞く言葉とを統合して考えるのが難しいからでしょう。

以下の記事で触れているように、いわゆる「空気が読めない」という問題の正体は統合機能の不足だとする考え方もあります。

なぜアスペルガー症候群の人はポケモン博士になれるのに人の顔が覚えられないのか
自閉スペクトラム症(ASD)の人が持つ「細部に注目する」脳の傾向が、どのようにマニアックな記憶や顔認知と関係しているのか、という点を「顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 -

創造性における左脳の役割

ここで最初の話に戻りましょう。

こうした自閉症の画家の脳の働きが、芸術家の創造性における左脳と右脳の役割を調べる上で興味深いのはなぜでしょうか。

すでに述べたとおり、芸術の創造性は、特に左脳や右脳に偏っているわけではありませんが、言語能力は、左脳が主な役割を担っていることが判明しています。

それで、言語によるコミュニケーションが苦手な自閉症の人たちは、何らかの左脳の機能低下があるのではないか、と推測されています。

とすると、自閉症の天才画家たちの絵は、ほぼ右脳のみの創造性を表している、と解釈できます。

自閉症の視覚芸術家たちの素晴らしいグラフィック技能が主として右半球によってコントロールされているとしたら(彼らには言語技能が存在していないかあるいは極端に低いという事実から演繹して、彼らの左半球はおそらく機能不全である)、脳損傷事例から機能を推測する論理を適用すると、彼らの作品に創造性がみられない点は、左半球の機能低下により左半球の支援が欠如しているためと考えられる.(p257)

右脳は、写実や空間把握においては重要な役割を果たしていると考えられているので、芸術家の創造性の一端を担っていることは明らかです。

自閉症の天才画家たちは、正確な写実性を示しましたが、そこに意味を込め、オリジナリティを加えるという創造性は示しませんでした。

そのため、抽象絵画や象徴絵画のような、独特な解釈を必要とするオリジナリティのある絵を描く場合、そのアイデアは右脳ではなく左脳によって創造されている可能性があります。

大衆的メディアといくつかの教科書のなかでは、右半球は“創造的”と特徴づけられているが、実際にそうであることを示す十分な証拠は存在していない.

この本で説明されているように、左半球の認知力が創造性を発現させるとする説のほうが有利なように思われる.

言語の左半球への特殊化は、意味を伝達する単語の無限の組み合わせを可能にする結合システムを支える認知様式がもたらしたのである.

そうした広範な組み合わせと結合が、創造性の基盤を提供していると考えられる.

…文芸作品によって証明されているように、言語は創造性と対照をなすものではない.(p251)

左脳は言語を操る能力を持っていますが、その能力の一部は「意味システム」に依存しています。小説家は、左脳の「意味システム」によって、さまざまな概念を再構成して、創造性を示します。

実際に、脳の左半球を損傷した人の中には、見た対象の細部は理解できても、全体の意味を理解できない「同時失認」という症状が起こる場合があり、左半球が意味の統合と再構成に関わっているのは明らかなようです。(p188)

左半球の言語能力が高い小説家が示す、要点をすぐさま把握し、自分なりの考えを練り上げ、新しいものを生み出す能力は、ちょうど自閉症の天才画家の絵に不足していた部分でした。

そうすると、オリジナリティにあふれた芸術家の創造性は、右脳によるイメージや空間などの認識と、左脳による意味の把握と再構成の両方が協力して生じるものだと考えられます。

つまり、独創性は右脳の専売特許なのではなく、むしろ左脳と右脳両方が複雑に関与しあってはじめて産まれる、ということです。

創造性は脳全体に散在している

しかしながら、創造性において、左脳と右脳が協力しているといっても、どちらが何をしているのか、そう簡単に分類できるものではないようです

芸術家の中には、左脳や右脳の機能障害に見舞われた人もいます。脳損傷や病気などで、脳の一部が失われた人たちです。

この本にはそのような症例がたくさん紹介されていて、確かに脳損傷により、絵の作風が変わることもあります。

しかし興味深いのは、脳損傷に直面した画家たちは、色の用い方や細部の表現が変化することはあっても、絵の作風が変化することはほとんどなく、何より創作意欲がなくなることは決してなかった、ということです。

この本は全編を通じて、高名な芸術家は脳損傷の病因や程度にかかわらず、発症後も芸術産生を続けていくことをみてきた.

このことは芸術的才能と技能は脳内に広く散在して表象されていることを示唆している.

…成人の右半球あるいは左半球のさまざまな領域に生じた損傷は、芸術的産生の消失、劣化、あるいは消滅をもたらさなかったのである.(p260)

また一般に空間把握は右脳によると思われていますが、左脳の損傷で遠近法が破綻した画家もいます。(p36)

そもそも左半球の働きが弱いと思われる自閉症の画家の写実画も、技法としての遠近法の消失点は正確ではありませんでした。(p94)

遠近法という空間的な要素さえも、やはり左半球と右半球が協力して生み出しているものだと考えられます。(p191)

芸術的才能は、脳のどこか一部の機能によるものではなく、左半球、右半球を問わず、非常に広い領域のさまざまな機能が相互に絡みあった、複雑なネットワークによってもたらされるといえるでしょう。

また、ここまで芸術的才能における左半球の「意味システム」の役割を考えてきましたが、独創的なアスペルガーの作家たちの例を考えると、「意味システム」が創造性の源というわけでもありません。

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言語能力が限られた自閉症の天才画家の例を見ると、左半球の「意味システム」の不全は、確かにオリジナリティに影響を及ぼします。

アスペルガーの小説化たちの研究によると、自閉症傾向があると、確かに独自性は損なわれ、パッチワークのような、これまでの知識や経験を貼りあわせた作風になると言われています。

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しかし彼らの作品に独創性がないかというとそうではなく、非常にユニークなものとして愛されています。

ルイス・キャロルはほかの作家からの引用やパロディを貼りあわせて「不思議の国のアリス」を描きました。フィンセント・ファン・ゴッホは、モデルがないと絵を描けない画家でした。

しかしどちらも一流の作家です。芸術においては「空気が読めない」感覚統合の弱さもまた個性なのです。

確かに彼らの左半球の「意味システム」の働きは普通より弱めだったのかもしれませんが、そのぶん、取捨選択されず蓄積したさまざまなイメージや膨大な知識を組み合わせて、不思議で独創的なものを創り上げました。

芸術的才能にはさまざまな形があり、個々の人の左半球と右半球、脳全体のバランスによって一人ひとりまったく違う仕方で開花するといえるでしょう。

ちなみにオリジナリティのある独創性については、この本では前頭葉の抑制機能の弱さと、ドーパミンの過多が関係していることを示唆する部分があり、なんとなくADHDとの関連もうかがえます。(p258)

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今回読んだ 芸術的才能と脳の不思議―神経心理学からの考察は、非常に多くの実例を引用して、脳と芸術的才能の関係を調査している、とても面白い本です。

内容が難しいのでだれにでも勧められるものではありませんが、芸術と脳の関係に興味があり、難しい本も読める根気のある人には、他にあまり類例のない資料として読み応えのある一冊だと思います。

芸術と脳の関わりや、美的感覚とは何なのか、といった点については、まだ研究が始まったばかりなので、これからの進捗に期待したいところです。

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