慢性疲労症候群(CFS)は背外側前頭前野などの疲労を予測するメカニズムの異常と関係?


阪市立大学の疲労研究で、将来の疲労の程度を予測する脳のメカニズムが発見されたとのニュースがありました。慢性疲労症候群(CFS)などの病態に深く関わっている可能性があるそうです。

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将来の疲労の程度を予測する脳のメカニズムを発見 — 大阪市立大学

将来の疲労の程度を予測する脳のメカニズムを発見│プレスリリース(PDF)

疲れを「予測」する脳の仕組み発見 大阪市立大:朝日新聞デジタル はてなブックマーク - 疲れを「予測」する脳の仕組み発見 大阪市立大:朝日新聞デジタル

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大阪市立大と理研、将来の疲労の程度を予測する脳のメカニズムを発見 将来の疲労の程度を予測する脳のメカニズムを発見│日経プレスリリース

将来の疲労を予測できる脳のメカニズムを発見 - 日経テクノロジーオンライン

日常疲労の程度が高い人ほど背外側前頭前野がより強く活動-大阪市大 - QLifePro 医療ニュース

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脳の3つの部分が疲労の予測に関わっている

この研究では、平均21.9歳の健康な男性16名を対象に、逆ストループ課題という認知に負荷のかかる課題をしてもらい、脳活動を計測したそうです。

逆ストループ課題とは、たとえば「赤」と書かれているのに文字の色が青色になっているような、文字の意味と色とが一致しないような単語を用いるものです。

たとえば「赤」という漢字の意味する色を答えるよう指示した場合、文字色は青色なので、回答者は判断するのに思考力を要します。

実験では逆ストループ課題を行なっているときに、その時点から1時間後の疲労の程度を予測するために、超伝導量子干渉計(SQUID)という装置で脳の活動を計測したそうです。

また、別の日に、ストループ課題の途中で、その時点での疲労の程度を自己評価してもらう実験も行われました。

すると以下のような点がわかったそうです。

■脳の右大脳半球の縁上回、背外側前頭前野、前頭極の3つの部位が将来の疲労の予測に関わっている

■日常、疲労を強く感じている人ほど右側の背外側前頭前野がより強く活動している

縁上回(ブロードマン脳地図40野)は脳の頭頂葉に存在する領域で、言語機能のほか、疲労感の記憶にも関わっているそうです。

背外側前頭前野(9野・46野)は前頭葉に存在する領域で、実行機能など、さまざまな認知機能に深く関わっているそうです。

前頭極(10野)は前頭葉の最も前に位置している領域で、将来の予測や計画に関わっているといわれています。

これらの3つの領域は、いずれも未来のできごとを想像する働きと関係していることがすでにわかっており、今回の研究から、 疲労感の予測にも関係していることが明らかになりました。

慢性疲労症候群(CFS)は背外側前頭前野が減少

この研究にはどんな意義があるのでしょうか。

まず、もし将来の疲労の程度を予測できるようになれば、必要以上にやりすぎて過労に陥ったり、逆に作業効率を落としすぎて能率を低下させたりすることを避けられるとされています。

2004 年に文部科学省疲労研究班が成人男女2742名を対象とした調査では、日本の約40%もの人が半年以上続く慢性疲労に悩んでいるという結果が出たそうです。

また、今回の研究は、健康な男性を対象としたものでしたが、異常な疲労感が延々と続く病気である慢性疲労症候群(CFS)の原因とも関連する実験結果かもしれないと書かれていました。

これらの結果から、 将来の疲労の程度を予測に関わる脳部位が明らかになりました。

さらに、日常の疲労の程度が強かった者ほど右側の背外側前頭前野(9 野)がより活動していることから、将来の疲労の程度を予測する脳のメカニズムが疲労の病態に深く関わっていると考えられます。

慢性疲労症候群では右側の背外側前頭前野(9 野)の体積が健常者に比較して減少している事が報告されており、今回の研究からは因果関係を明らかにすることはできないものの、疲労の程度の強い者に観察された背外側前頭前野の強い活動が同部位の障害をもたらす可能性を考えることができます。

異常な疲労を感じる原因には、未来を予測する背外側前頭前野(DLPFC)などのメカニズムの異常が関わっていて、その部分が酷使された結果、縮んでしまったのかもしれません。

なお、背外側前頭前野はうつ病のメカニズムにも関係しているとして注目されていました。

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本当のところ、うつ病の原因は何なのでしょうか。抗うつ薬が効かない場合も治療できるのでしょうか。書籍「NHKスペシャル ここまで来た! うつ病治療」では、脳科学により解き明かされてき

腰痛などの慢性疼痛のメカニズムにも関係しているそうです。

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これまで疲労は、主観的でつかみどころのないものと考えられてきました。今でも、疲れくらい、やる気次第で克服できるものだと考える人さえいます。

しかし近年の研究から、疲労はれっきとした脳のメカニズムの一部であり、休息を促すアラームである、ということがわかってきました。

将来の疲労を予測するメカニズムという新しい観点から、なぜ疲労のアラームに気づかず過労に陥ってしまう人がいるのか、なぜ常に疲労のアラームが鳴りっぱなしになってしまうようなことが生じるのか、といった点が解明されていくことを期待したいです。

大阪市大の疲労研究の成果については、つい先日発売された大阪市立大学医学部疲労医学講座の梶本修身教授の本にも書かれているのでぜひご覧ください。

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慢性疲労症候群