軽度外傷性脳損傷や脳脊髄液減少症で生じる光過敏などの視覚機能障害


の記事は以下の記事の補足です。

光の感受性障害「アーレンシンドローム」とは―まぶしさ過敏,眼精疲労,読み書き困難の隠れた原因
まぶしさや目のまばたき、眼精疲労、ディスレクシア、学習障害、空間認識障害などの原因となりうる、光の感受性障害「アーレンシンドローム」についてまとめています。偏頭痛や慢性疲労症候群や

本文では、発達障害や学習障害などに伴う、先天的な光の感受性障害について取り上げましたが、やはり「アーレンシンドローム」と同様の光過敏を抱えることで知られている病気の中に、頭部外傷や脳震盪、むち打ちの後遺症があります。

脳脊髄液減少症を知っていますか―Dr.篠永の診断・治療・アドバイスなどの本で説明されているとおり、従来、むち打ち後の後遺症や、軽度外傷性脳損傷とみなされてきた病態の多くは、脳脊髄液減少症だった可能性があります。

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脳脊髄液減少症の視覚・聴覚機能異常

脳脊髄液減少症では、髄液減少により、脳の視神経や聴神経が引っ張られることで、視覚や聴覚の異常も生じます。

脳脊髄液減少症によるめまい【特徴的な所見が少なく,診断には造影MRIなどが必要】|Web医事新報|日本医事新報社

頭痛以外にもいろいろな症状(めまい,耳鳴り,視機能障害,倦怠,易疲労感など)を呈し,不定愁訴の集まりのような状態を示す。その中でめまいやふらつきを訴えることも多い。

回転性めまいを訴えることはなく,ほとんどはふらつきである。

特徴的な眼振はないが,ocular flutter(持続時間が短く速い水平性の振子様運動)によく似た自律性の異常眼球運動をみることもある。起立時や仰臥位での眼振の変化はない。

光過敏を訴え,瞬きも多いため,丁寧にゆっくり観察することが大切である。この異常眼球運動は安静や補液によって消失したことはなく,自験例はすべてブラッドパッチを施行している。

ほかの平衡機能検査でも特徴的な所見はなく,異常を示さないことが多い。

聴覚症状としては、髄液圧が低下することで、メニエール病に似た難聴、耳鳴り、めまい、音がこもる耳閉感、聴覚過敏、そのほかの不定愁訴がみられます。

視覚症状としては、ものが二重に見える複視、かすみ、光過敏、まばたきの多さ、異常な眼球運動など、眼科検診ではわからない問題が生じることがあります。

脳脊髄液減少症の視機能障害については井上眼科医院の山上明子先生らの報告を受けて専門医の高橋浩一先生らも注目し始めているようです 。

脳脊髄液減少症と視機能 - Dr.高橋浩一のブログ はてなブックマーク - 脳脊髄液減少症と視機能 - Dr.高橋浩一のブログ

2016年1月と2月のニュースでは、先ほども紹介した井上眼科病院の若倉雅登先生が、脳脊髄液減少症には視覚認知機能の症状が伴うことを説明していました。

「ぼやけて見える」には2種類の原因…テレビ番組で大反響 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

 この人の訴えは、「ものがぼやけて見える」「まぶしい」というものですが、正常とか、疲れ目と片付けられていました。確かに、視力は正常ですし、眼球に異常は見当たりません。

脳脊髄液減少症、「保険金目当て」「心因性」と解釈されてきたが… : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

古くから頭頸部外傷後に、ピントが合いにくくなったり、動いているものが見にくい、あるいは尋常でないまぶしさを感じたりする症例があることが知られていました(その一部は本症かもしれません)。しかし、多くの眼科医は、今でもこれを心因性としているのです。

もちろん、脳脊髄液減少症の根本治療のためには、今年4月に保険適用されたブラッドパッチ療法などの専門医療を受けるべきですが、なかなか改善しない例や、症状が残る場合もあると言われています。

色つきメガネやPTSD治療も

上記記事の中で、若倉先生は、脳脊髄液減少症の症状の中で、視覚に関係した症状はかなり多いにもかかわらず、十分な研究がなされていないことを危惧しています。

多彩な症状の中で、視覚に関する症状はかなり多いと思われます。

しかし、多くの眼科医は脳脊髄液減少症に種々の視覚異常症状があることを認識していませんし、本症の研究者にも視覚系の専門家が含まれていないので、そうした症状の解明はほとんど行われていないのです。

そして、脳脊髄液減少症は、髄液漏れだけが問題なのではなく、脳の損傷による認知機能の問題が生じていて、それが髄液漏れによって悪化している可能性にも注目する必要があると説明しています。

あるいは、外傷性のトラウマ後遺症として、交感神経優位状態の、いわゆるPTSDの身体反応のループが生じている可能性もあります。

PTSDとは、外傷の瞬間の交感神経優位の「闘争・逃走」反応が未完了のまま持続してしまう状態ですが、交通事故の瞬間の筋緊張が持続している状態のなので慢性疼痛などの症状が現れますし、危機の瞬間の脳の興奮そのままの感覚過敏状態が持続します。

脳脊髄液減少症の治療によって回復しない場合、髄液漏れとは別に、身体的なPTSD症状を併発していた可能性もあるでしょう。

PTSDは「心の傷」ではなく脳の炎症を伴う病気―トラウマ記憶の治療法をめぐる最近の研究
PTSDに脳の炎症が発見され薬物療法の臨床試験が計画されていることなど、最近のPTSDやトラウマ記憶の治療についてのニュースをまとめました。

アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応 によれば、あまりに症状が強い場合や、治療後も症状が残ってしまう場合は、色付きレンズ・偏光レンズなどを用いたメガネが役立つかもしれません。

時どき起きる些細な転倒も含めて、頭部外傷を経験したことのある人は、意識レベルの変化、頭痛、光の過敏性、読みの困難を経験しているかもしれません。

…発作、協調性の運動不全、頭痛、活動性のめまい、疲労、そしてふるえのような異常な動きは有色フィルターを装着することで改善されることがあります。(p185)

もし脳脊髄液減少症の治療をしても認知機能の問題が十分改善しない場合があれば、こうした特殊な色つきメガネや偏光レンズを試してみる価値があるかもしれません。

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子どもの脳脊髄液減少症