光の感受性障害「アーレンシンドローム」とは―まぶしさ過敏,眼精疲労,読み書き困難の隠れた原因


■いつも光がまぶしすぎる
■まばたきが多く、疲れ目になりやすい
■外出したり、蛍光灯の下で作業したりすると、疲れや頭痛が生じる
■本を読むのが苦手で、文を飛ばしたり、文字が見分けにくかったりする
■距離感をつかむのが苦手で不器用
■音や匂いなどの感覚過敏もある

なたは、こうした問題に悩まされることがありますか?

ここに挙げた、まぶしさや読み書き困難、不器用さなどの症状は、これまで、眼精疲労やディスレクシア(読み書き困難)など、別々の分野の問題とみなされてきました。

しかし、近年の発見によると、ある一つの共通の原因が関係しているかもしれません。

それは、「アーレンシンドローム」と呼ばれる光の感受性障害(Scotopic Sensitivity Syndrome:SSS)、つまり、特定の波長の光をうまく処理できない脳の認知システムの問題です。

「アーレンシンドローム」を持つ人たちは、普通の明るさのもとでもまぶしさを感じたり、文字を読むのに人一倍の集中力が求められたり、距離感をつかむのが難しかったりして、生活のさまざまな場面でストレスや困難を抱えやすくなります。

このような光の感受性障害に悩む人は、発達障害や学習障害の子どもをはじめ、一見、読み書きが得意なように思われる成績優秀な学生、さらには、偏頭痛やむち打ち、慢性疲労症候群、線維筋痛症の患者など、実にさまざまです。

興味深いことに、これらすべてのケースにおいて、色つきフィルターを用いた「アーレン法」と呼ばれる治療によって、症状を軽減できる可能性があるといいます。

「アーレンシンドローム」とはいったい何なのでしょうか。どのような特徴があり、いかにして治療できるのでしょうか。

発見者また第一人者であるヘレン・アーレンの本の待望の邦訳、アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応 から考えてみたいと思います。

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これはどんな本?

今回紹介する アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応は、1991年に、ヘレン・アーレンによって初版が書かれた、比較的古い本です。

しかしその後の20年で、「アーレンシンドローム」の医学的な根拠について多くのことが明らかになり、内容が改定され、2013年にはついに、筑波大学心理・発達相談室の熊谷恵子先生によって、日本で翻訳されました。

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近年、発達障害や学習障害(LD)、ディスレクシア(読み書き困難)といった、子どもの発達や学習に関わる問題が注目されていますが、それらの原因の一端に関わる「アーレンシンドローム」という概念は、まだほとんど知られていません。

光の感受性障害という観点から、さまざまな問題の原因を読み解いたこの本は、生まれつきにせよ、何らかの病気の二次症状にせよ、感覚過敏を抱えて生きてきた人すべてにとって、大いに参考になる良書です。

「アーレンシンドローム」とは?

まず「アーレンシンドローム」とは何かを知るために、「アーレンシンドローム」の発見の歴史を簡単にたどってみましょう。

「アーレンシンドローム」が発見されるまで

「アーレンシンドローム」を発見したヘレン・アーレンは、1980年ごろ、アメリカのある学校区の学校心理士として働いていました。

彼女は、学習障害(LD)の子どもたちを診るなか、ある事実に気づきます。LDの子どもたちの中には、時間とお金、特別支援教育、そして本人のたゆみない努力をもってしても、症状が一向に改善しない子どもたちがいたのです。

そうした子どもたちは、勉強する意欲がないとか、怠けているとみなされ、なじられていましたが、実際は、むしろ他の子どもたちよりも、高い動機づけや意志をもって努力していました。それでも悲しいことに問題は改善されていませんでした。

そんな折、1981年に、政府が大人のLDを研究するための助成金を出し、ヘレン・アーレンはその機会をとらえて、大人になってもLDが改善しない人たちが抱える未知の要因を探すべく、研究プロジェクトを立ち上げました。

対象となったのは、特別支援教育、感覚統合訓練、家庭教師、薬物療法、食事療法などありあとあらゆる方法を試しても問題が改善せず、人一倍努力して学力を保ってきた人たちです。

ヘレン・アーレンは、その人たちが文字を読むのに普通以上の努力を要し、読んでいる場所を見失ったり、意味がつかめなかったり、あまつさえ文字が動いているように見えたりして、読書に疲れを感じることに気づきました。

その人たちの問題を解決するために6ヶ月以上にわたりさまざまな試行錯誤が続けられましたが、一向に成果が見られぬまま月日が過ぎていきました。

「色を通して読む」

しかし、ついにブレイクスルーのときが訪れます。

ヘレン・アーレンがある学習障害の子どもたちと一緒に作業していたとき、たまたま一人の子どもが、赤色のフィルムで紙面を覆ったところ、文字が劇的に読みやすくなることに気づいたのです。

偶然、もう1人の子どもがその赤色のフィルムで本の紙面を覆いました。そのとき、その子どもが「ええ!」と感嘆の声を上げました。

彼女はそのとき初めて、紙面の上の文字が行ったり来たりせずにじっと動かずに見え、それらの文字を読むことができたのです。(p23)

ヘレン・アーレンはその方法を早速、研究対象の大人たちにも試してもらいました。

すると、70人中58人もの人が、劇的に文章を読むのが楽になり、長時間 本を楽しめるようになったのです。

ただ興味深いことに、必要なフィルターの色は、ひとりひとり全く違っていて、合わない色を用いると、問題が改善するどころか悪化することもありました。

研究はさらに進み、蛍光灯の影響で読みにくく感じている人がいることや、フィルターの代わりに有色レンズを使った方がよい場合があることなど、この特殊な読み書き障害の本質が次々に明らかになりました。

光の感受性障害(SSS)

こうした研究の結果、ヘレン・アーレンは、この独特な問題を光の感受性障害(Scotopic Sensitivity Syndrome:SSS)と名付けました。

SSSの男女比は同程度であり、ときに遺伝傾向がみられることもわかりました。(p61)

1985年4月にはオーストラリアで、1988年5月にはアメリカで、SSSによる読み書き困難を特集した「シックスティ・ミニッツ」という特集番組が放映されました。

「色を通して読む」ことで、これまで2-3分しか読書ができなかったような子どもや大人が、60分(シックスティ・ミニッツ)にわたり、読書を楽しめるようになったという内容は、大きな反響を呼んだそうです。

その後の年月で、SSSは発見者の名前をとって、「アーレンシンドローム」として知られるようになり、脳の画像診断技術によって、問題の原因が、視覚情報の処理過程にあることが明らかになってきました。

また有色フィルターやレンズを用いた治療法、通称「アーレン法」も、プラセボと比較した研究で、確かに効果があることが実証されました。(p xv)

そして、現在では、この視覚情報の処理異常は、学習障害の子どもだけでなく、他の様々な病気、たとえば偏頭痛や慢性疲労症候群の患者の抱える光過敏症状とも関係していることがわかってきているそうです。(p188)

「アーレンシンドローム」の4つの症状

では、自分が「アーレンシンドローム」を抱えているかどうかは、どうすればわかるのでしょうか。

冒頭で触れたように、「アーレンシンドローム」の症状は多彩です。

一見すると学習障害(LD)やディスレクシア(読み書き障害)と近しい問題に思えますが、それ以外にも様々な症状を伴いますし、中には読み書きに優れた人さえいるのです。

これから、「アーレンシンドローム」の多彩な症状をひとつひとつ見ていきますが、人によって程度の重さや、現れる症状が違う場合があることを思いに留めておいてください。

1.光過敏による まぶしさ、まばたき、目の疲れ

「アーレンシンドローム」の主な原因は、SSS、つまり光の感受性障害でした。

SSSのメカニズムはまだ詳しく解明されているわけではありませんが、おそらく、光のスペクトルの特定の波長に対する感受性の問題だと考えられています。

SSSは、あくまでも視覚認知機能、つまり脳の情報処理の問題なのでアーレンシンドロームを持つ人たちは、目の視力そのものに問題を抱えているわけではありません。

つまり、遠視や近視のために目が疲れやすいとか、斜視があるために読みにくいといった、目の機能の問題ではありません

眼科検診では異常がなかったり、視力矯正のメガネをかけても問題が解決しなかったりするため、本当の原因に気づかれにくいのです。

光の感受性障害を抱えている人たちは、眼科的な検査では異常がなくても、独特のまぶしさや、目の疲れやすさを感じることが多いようです。

わたしが初めて「アーレンシンドローム」という言葉を知ったのは、認知心理学者の山口真美先生の本、発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ (ブルーバックス) を読んだときでしたが、そこにはこう書かれていました。

瞬きを頻繁にしたり、片目だけで見る行動が、感覚過敏に基づいている可能性がある。

…中には蛍光灯の点滅が、ディスコのミラーボールの点滅のように感じると話す者もいる。

これはディスレクシアの一部であるアーレンシンドロームと呼ばれる症状の可能性が高いかもしれない。

…アーレンシンドロームでは、特定の色の色眼鏡をかけると、文章が正しく読めるようになる。

…ちなみに問題となる色は人によって異なり、どの色に問題が多く生じるという傾向もない。(p64-66)

ここでは、「アーレンシンドローム」の特徴として、まばたきを頻繁にしたり、顔をしかめて片目だけで見たりする癖が挙げられています。

そのような癖が生じるのは、蛍光灯の光をはじめ、明るい光が普通以上にまぶしく感じられ、目が疲れてしまうからです。

今回紹介しているアーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応でも、SSSを抱える人に、まぶしさやまばたきの多さといった特徴が見られることが繰り返し書かれていました。

読み疲れてしまうために、いろいろな症状が出ます。

いま、私が話してきたような見え方をするSSSのある人は、短い時間読んだだけでも、頭痛や疲れ、目がひりひりしたり涙が出たり、眠さや過度の疲れを経験します。

疲れで悩んでいる人は、読み続けるためにまばたきをしたり、目を細めたり、逆に目を大きく見開いたり、頭を横に向けたり、片目を閉じたりするなどの報告があります。(p51)

一般に、まぶしさを感じるというと、自律神経異常で瞳孔の調節異常が生じているのではないか、といわれることが多いように思います。

確かにそのような一面もあるのでしょうが、単に自律神経の異常というより、特定の波長の光の感受性の異常にあるという観点から考えるなら、より具体的な対策を講じることができます。

先天性全色盲にみられる まぶしさ

興味深いことに、単なる自律神経異常ではなく、視覚認知の問題でまぶしさやまばたきに悩まされるのは、「アーレンシンドローム」の人だけではありません。

脳神経学者オリヴァー・サックスによる色のない島へ: 脳神経科医のミクロネシア探訪記 (ハヤカワ文庫 NF 426)には、先天性全色盲という、生まれつき色が見えない、モノクロの世界に生きている人たちのエピソードが書かれています。

少数派を「障害者」と見なすと気づけないユニークな世界―全色盲,アスペルガー,トゥレットの豊かな文化
わたしたちが考えている「健常者」と「障害者」の違いは、実際には「多数派」と「少数派」の違いかもしれません。全色盲、アスペルガー、トゥレットなど、一般に障害者とみなされている人たちの

わたしたちの目には、明るい場所で色を見る錐体細胞と、暗い場所で光をとらえる杆体細胞、そして概日リズムを調節する光感受性神経節細胞の3つの視細胞があります。

先天性全色盲の人たちは、このうち、色に関わる錐体細胞が生まれつきないので、本来は暗い場所で用いる杆体細胞で、ものを見なければなりません。

それらはもともと明るい光を見るための細胞ではありませんから、先天性全色盲の人たちは、日中は激しいまぶしさや目の痛みを感じ、目を細めたり、頻繁にまばたきしたりする癖がみられます。(p36-37)

あちらこちらで、子どもたちが眩しい日の光りに目をしばたたいたり細めたりしている。そして、すこし年かさの男の子が一人、黒い布を頭に載せている。

彼らが自分と同じ全色盲だということを、クヌートは飛行機を降りて子どもたちを見た瞬間に悟ったのだ。(p58)

先天性全色盲の人たちにとって、まぶしい光をさえぎる濃い色のサングラスは外出する際の必需品です。

もちろん、「アーレンシンドローム」の人たちは、先天性全色盲の人たちとは違って、色が見えないようなことはありません。

しかし経験する症状の傾向は、まぶしさやまばたき、目の疲れだけでなく、夜の暗がりのほうが落ち着くこと、しっかり見るために紙面に目を近づけること、そして光をさえぎるサングラスが役立つことなど、似通ったところがあります。

興味深いことに、サックスの別の著書火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)によると、事故によって後天的に色覚を失い、全色盲になった画家のI氏も、同様の症状を経験しました。

そのときに助けになったのは、アーレンシンドロームと同様の色つきメガネだったといいます。

わたしたちはひとつだけ現実的な助言をすることができた。

I氏は中間的な波長の光のときモンドリアン図形をもっとも明瞭に見ることができたので、ゼキ博士がこの波長の光だけを通す緑のサングラスをかけたらどうかと提案したのだ。

とくべつのメガネがつくられ、I氏はとくに明るい光のもとではこのメガネをかけるようになった。I氏は喜んだ。

色覚を回復することはできなかったが、コントラストの状態がよくなり、形や輪郭が見やすくなったからだ。

夫人と一緒にカラーテレビを見ることもできるようになった。ダークグリーンのサングラスをかけると、カラー画面が白黒になる。(p71)

I氏の場合、問題が生じていたのは、目の視細胞そのものではなく、そこからの刺激を色として認識する視覚野のV4という領域、あるいはそこにつながる経路だったとされています。(p70)

いずれにしても、全色盲の状態では単に色が見えなくなるだけでなく、明るさへの過敏や、形の見分けにくさ、特定の光の波長への感受性の変化が生じるようです。

もしかすると、全色盲は光に含まれるほぼすべての色の波長をまぶしく感じるのに対し、「アーレンシンドローム」の人は一部の色の波長の色だけをまぶしく感じるという接点があるのかもしれません。

発達障害にみられる まぶしさとの関係

視覚認知の問題のせいで まぶしさを感じやすい人たちには、他に発達障害の子ども・大人が含まれていることがよく知られています。

たとえば、近年、アスペルガー症候群など、自閉スペクトラム症(ASD)の人たちは、大多数の人たちとは違った視覚世界を体験していることが明らかになっています。

自閉スペクトラム症の独特な視覚世界を体験できるヘッドマウントディスプレイを大阪大学が開発
自閉スペクトラム症の視覚世界を体験できる装置が開発されたそうです。

たとえばこんな視覚症状が報告されています。

{探る}自閉スペクトラム症(ASD)/特異な見え方疑似体験 砂嵐、白飛び・・・外出阻む : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

キラキラして奇麗、と思ったのもつかの間、紙吹雪は無数の白いノイズに変わった。

車のフロントガラスにまとわりつく雨粒か、大粒の砂嵐のようで前が見えにくい。

さらに、目前の世界がモノクロに変わったり、焦点がぼやけて不鮮明になったりした。

…通りがかった留学生の顔を見た。眉から下に大きな陰ができて表情が全く読み取れない。不気味に感じる。

手元の印刷物に目を向けると、余白の部分から反射する光が強すぎて、ほとんどの活字が真っ白に飛んだ。

このようなアスペルガー症候群、自閉スペクトラム症(ASD)の人たちの抱える視覚認知の問題は、単に「アーレンシンドローム」と似ているだけではなく、深い関連性があるようです。

アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応には自閉症の人たちの感覚過敏の治療に、アーレン法が役立つことが書かれていました。

視覚情報を処理する困難は自閉症でSSSもある人の約50%に影響を及ぼし、ある研究では、その割合はさらに上がっていくかもしれないことが示唆されています。

これらの人たちにとって、感覚の重荷を減らすことは機能の改善につながり、視覚に加えて、聴覚、味覚、嗅覚も改善されることになる可能性もあります。(p186)

また、自閉スペクトラム症(ASD)だけでなく、もう一つの発達障害である注意欠如多動症(ADHD)の人や、トゥレット症候群の人が抱えやすいとされるチック症状も光過敏と関係している可能性があります。

チック症状にはさまざまな衝動的な動きや言葉、癖が含まれていますが、中には、頻繁にまばたきをするという症状もみられる場合があります。

この場合、衝動性や激しいまばたきといった症状は、単にADHDの脳内物質のバランス異常によって生じているわけではなく、光過敏の二次的症状として生じているケースがあるようです。

SSSそれ自体は、視覚という感覚における学習の困難ではありません。

それよりも、ディスレクシア、算数障害、ADD(注意欠陥障害)、その他の学習の問題の一部分としても存在しているのではないかと思われています。(p33)

SSSのある多くの子どもの振る舞いはADHDに似ていますし、ADHDと合併している可能性もあるのです。(p184)

本書の推薦の言葉では、「わかっているのにできない」脳〈1〉エイメン博士が教えてくれるADDの脳の仕組みなどのADHDの著書を通して日本でもよく知られているダニエル・エイメン先生の推薦も載せられて、大勢の患者にアーレン法を紹介したと書かれています。(p i)

このように、自閉スペクトラム症やADHDの人がもつ光過敏やチック症状、それに伴う落ち着きのなさや集中力のなさはSSSが原因の一部であるかもしれず、その場合は、「アーレンシンドローム」の治療が効果を発揮するかもしれません。

また発達障害の人たちが抱える不器用さは、一般に発達性協調運動障害(DCD)と呼ばれていますが、この症状も、「アーレンシンドローム」の一部オーバーラップしている可能性があります。この点は後ほど取り上げます。

生まれつき敏感な人「HSP」

発達障害と類似しているものの、異なる概念として、生まれつきあらゆる感覚がひといちばい敏感な子どもを指す、HSP (Highly Sensitive Person:ひといちばい敏感な人)、あるいはHSC (Highly Sensitive Child:ひといちばい敏感な子)というものがあります。

これは1996年にアメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念で、日本でも著書ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)ひといちばい敏感な子が邦訳されています。

近年、北海道でHSPや愛着障害、トラウマ障害などを治療しておられる長沼睦雄先生による「敏感すぎる自分」を好きになれる本といった本も出版されており、HSPという概念が国内でも広く認知されつつあります。

それらの本によると、HSPとは、五感の感受性の強さだけでなく、他の人の顔色や感情にも過敏で、直感力が鋭いといった特徴があります。

おそらくは、ADHDの素因としての側面もあると思われますが、強い感受性を持っている反面、空気を読みすぎる過剰同調性や愛着障害のリスク要因ともなるとされています。

光の感受性障害アーレンシンドロームの原因として、生まれつきの自閉傾向が関与しているケースだけでなく、生まれつきのHSP傾向によって様々な感覚の過敏性が生じているケースもあると考えられます。

生まれつき敏感な子ども「HSP」とは? 繊細で疲れやすく創造性豊かな人たち
エレイン・N・アーロン博士が提唱した生まれつき「人一倍敏感な人」(HSP)の四つの特徴について説明しています。アスペルガー症候群やADHDと何が違うか、また慢性疲労症候群などの体調

脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線では、光や音など多くの感覚に敏感になる場合、脳の感覚伝達経路における、介在ニューロンと呼ばれる神経が関わっていることがあると指摘されています。

入力される信号のレベルが低すぎて感覚ニューロンがそれを検知できない場合、対応する介在ニューロンは、入力信号を増幅することでそのニューロンを興奮させ、発火の手助けをする。

入力される信号のレベルが高すぎる場合、対応する介在ニューロンは、感覚ニューロンの反応度を下げることでその発火を抑制する。

…脳の疾患は、この介在ニューロンに悪影響を及ぼすことが多い。

…ジェリが音や光や動きに過敏になったとき、まさにこの現象が生じていたのである。(p408)

脳の感覚伝達経路に存在する介在ニューロンは、感覚刺激の大きさを調節する役割を果たしていますが、その機能が不調だと光や音などが不必要に増幅されることがあるのでしょう。

この記述は外傷性脳損傷の人についてのものですが、もしかすると、生まれつき様々な感覚が増幅されやすい体質の人もいるのかもしれません。

続く記述では、そのような感受性が強すぎる人は、感覚に圧倒されて疲れやすいとされています。

ひとたびネットワークが「飽和」すると、入ってくる信号に処理が追いつかなくなるために、情報は取りこぼされ、個々の情報間の区別ができなくなる。

(おそらくそのために、この種の問題を抱えているほとんどのヒトが途方もない疲労を感じ、最低限のものごとを行うだけでも膨大な労力を要し、脳に過剰な負荷がかかっているという感覚を覚えるのではないだろうか)(p409)

先ほど触れた生まれつき敏感な人(HSP)は、感覚刺激が過剰なせいで疲れやすく、慢性疲労症候群との関わりも深いとされています。

そして、後ほど取り上げますが、外傷性脳損傷や慢性疲労症候群には、光の感受性障害が伴う場合があり、アーレンシンドロームと同様の処置が役立つことが知られています。

2.読み書き困難(ディスレクシア)と学習障害(LD)

「アーレンシンドローム」の人たちが抱えやすい次なる症状は、読み書き困難(ディスレクシア)や、それに伴う学習障害(LD)です。

すでに見てきたように、「アーレンシンドローム」を抱える人たちは、まぶしさや目の疲れから、本を読んだり、集中したりするのが難しい場合が少なくありません。

アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応に載せられている近年のアメリカの調査によると、ある程度の「アーレンシンドローム」は健常者の12%に見られますが、ディスレクシアの場合は65%、学習障害には46%という高い割合で光の感受性障害がみられることがわかっています。(p53)

ディスレクシアや学習障害は文化によって有病率が大きくことなるので、あくまで参考程度の数値ですが、読み書き困難を抱えている人は、「アーレンシンドローム」の可能性を疑う十分な根拠があるといえるでしょう。

本書に載せられている「アーレンシンドローム」の自己チェックリストも、主に、この読み書き困難の問題に焦点を当てたものとなっています。

1.文字や単語、行をとばしてしまいますか。

2.同じ行を繰り返し読んでしまいますか。

3.集中力が簡単に途切れたりそれたりしますか。

4.読んでいる最中に、よく休憩をとらないといけなくなりますか。

5.長く読み続けることが困難ですか。

6.読んでいると頭痛がしますか。

7.読んでいるときに目がかゆくなったり涙が出たりしますか。

8.読むと疲れを非常に感じますか。

9.読んでいるとき、まばたきをしたり、目をしばたたかせたりしますか。

10.薄暗い光の中で読書するほうが好きですか。

11.顔を本の紙面に近づけて読みますか。

12.読んでいるところを指さしながら、または何か他にマーカーを使って読みますか。

13.読む時にそわそわと落ち着きがなくなりますか。(p xix)

このチェックリストのうち、3つ以上に「はい」と答えた場合、眼科医の検査で目に異常がなければ、ディスレクシアに加えて、「アーレンシンドローム」を抱えている可能性があるそうです。

「アーレンシンドローム」を持つ人は、一般の学習環境で使われている蛍光灯の光に過敏だったり、白い紙に黒字で印刷されているようなコントラストの強い紙面を読みにくく感じたりします。

そうすると、同じところを何度も読みなおす、まっすぐ順番に読めない、読んでいるところをすぐ見失う、集中力が切れてしまって意味がつかめない、目が疲れたり頭痛がしたりする、といった症状につながります。

また、目の眼球運動がスムーズにいかないので、学校の授業で黒板の内容をノートに書き写す際、どこを見ていたかすぐ見失ってしまって、人よりも課題に時間がかかってしまうこともあります。(p50 )

文字がゆがんで見えるさまざまなパターン

「アーレンシンドローム」を抱えるディスレクシアの人たちは、単にまぶしさや目の疲れを感じたりするだけでなく、独特の不思議な文字の見え方のせいで苦しんでいる場合が少なくありません。

以下のイメージは、本書の説明を参考に作った、さまざまな異常な見え方のパターンです。

注意すべき点として、以下の画像を見たからといって、「アーレンシンドローム」を持つディスレクシアの当事者が、自分の問題に気づけるとは限りません。

当事者は、最初からそのような見え方を経験していて、普通の見え方を知らないため、このブログの文章そのものも、異常な見え方をしているはずです。そして、だれもが皆そう見えていて、それが普通なのだと思い込んでいる場合もあります。

そうした人たちが本当の意味で、普通の見え方を経験するには、専門家の指導のもと、自分に適した色フィルターを 見つける必要があります。

また、以下のイメージは静止画ですが、実際には絶え間なくゆらめいていたり、そのときの体調や読んでいる文章の認知しやすさによって変化したりするため、あくまで参考程度のものと思ってください。

■洗浄現象
白い部分がまぶしすぎて文字の一部を消してしまう。(p38)

洗浄現象

■光背現象
光がネオン効果を生じさせて重なる。(p40)

光背現象

■リバー現象 
文字が流れて動き出す。(p42)

リバー現象

■オーバーラップ現象
文字が重なる。(p44) 

オーバーラップ現象

■回転現象
文字が回転する。(p45)

回転現象

■シェイキー現象
文字が揺れる。(p47)

シェイキー現象

■ぼやけ現象
文字がぼやける。(p48)

ぼやけ現象

■シーソー現象 
文字が上下に動く。(p49)

シーソー現象

■トンネル現象
一度に見える範囲が狭い。(p46、50)

さきほどの山口真美先生による、発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ (ブルーバックス) では、このような異常な見え方をする「アーレンシンドローム」のディスレクシアの原因について、こう考察されていました。

アーレンシンドロームの問題は、錐体細胞の色を吸収する仕組みと、外側膝状体の色を伝達する仕組みの混乱にあると考えられる。

すなわち、小細胞に伝達されるはずの色が、動きの信号に混同されて伝わってしまうのだ。

たとえば白い紙を見たとき、すべての周波数の色が錐体細胞に飛び込んでくる。

カラーフィルターや色眼鏡を使うと、あるいは茶色っぽい紙に変えただけで、特定の周波数の色だけをカットできる。

そこで、特定の周波数の色だけが、誤まって動きの信号として大細胞に伝わっているのではないかと考えられるのである。(p66)

この説明によると、「アーレンシンドローム」を持つ人は、視覚情報が動きに関わる信号と混線しているのかもしれません。

もちろん、同じ「アーレンシンドローム」でも、人によって見え方はさまざまに異なりますが、特定の色の波長で、視細胞の情報処理のプロセスに異常が生じていることは、多くの場合において共通しているのでしょう。

やる気のなさや怠けではない

「アーレンシンドローム」を持つディスレクシアの人たちが、文字が動くなど異常な見え方に悩まされることは、単に読み書きが難しくなるだけでなく、二次的な問題も生じさせます。

あなたは、先ほどの「アーレンシンドローム」のディスレクシアの人たちが日々経験している異常な見え方のイメージを見たとき、どう感じたでしょうか?

きっと頭痛がしたり、めまいがしたり、読む気そのものが失せたりしたことでしょう。

重い「アーレンシンドローム」を抱えたディスレクシアの人は、身の回りのあらゆる文章が、教科書から黒板の文字、テストのプリントに至るまで、このような読むのに苦痛を伴う見え方になってしまっているのです。

すべての文章がそのように見えていたら、たとえ学習意欲があっても、特別支援教育を受けていても問題が改善しないのは当然です。

SSSの場合には、読む練習、ドリル学習に多くの時間をさいても、より効果的に早く読めるようになったり、誤りなく読解することができるようになったりすることはないのです。(p5)

よかれと思って診断されたディスレクシアや学習障害(LD)といった名前が足かせとなって、問題の本質を覆い隠してしまい、効果のない特別支援教育を受け続けてしまうこともあるでしょう。

残念なことではありますが、一度ディスレクシアと分類されてしまうと、そうした人々は教育システムのなかで適切な支援がなされずに、SSSの検査を受けるまで、重度の読み困難をずっと抱え続けることになります。(p103)

むしろ、丁寧な指導を受けているのに、読み書き困難がほとんど改善しないせいで、逆効果になってしまうことさえあります。

なぜ、自分はこんなにも努力しているのに、まわりの子どもたちと同じようにできず、だれも自分の努力を認めてくれないのか、と途方にくれて、自尊心を打ち砕かれてしまうかもしれません。

もしSSSがあっても気づかれないままでいるならば、勉強はものすごくたいへんで、本当の理由を誰も知らないし、当然、改善もなされないということになります。

SSSがある学習障害の子どもは、自らの懸命な努力の末にできたものの成果をビリビリと引き裂いてゴミ同然に教師が扱うのをどうすることもできずに黙って見ているしかない状態なのです。(p96)

その結果として、学校社会から脱落して不登校になったり、ストレスのせいで体調を崩したり、刺激を求めて非行に走ったりしてしまう子どもも少なくないのではないでしょうか。

いまだに根強い誤解がはびこっていますが、こちらのウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事で書かれているとおり、勉強ができないのは知能が低いせいだ、とする関連付けは正しくありません。

IQテストの不都合な真実 - WSJ はてなブックマーク - IQテストの不都合な真実 - WSJ

 マグリュー氏によれば最も正確なIQテストで高い点数を取る生徒は、学業テストでも優秀な成績を収める傾向があるという。ただしどんなに詳しいIQテストであっても、学業の面での成績を4割から5割程度の精度でしか予測できないという。

 「心理学ではその確率は高いと言える。ただ、要は勉強の出来の5割から6割は知能とは関係ない部分で決まるということだ」とマグリュー氏は話す。

しかし残念ながら、勉強のできない子どもたちは「あほ」「ばか」呼ばわりされ、知能が劣っているとみなされ、他の子どもたちと比較しする学校教育によって自信を打ち砕かれ、自分でも、わたしは頭が悪いのだ、と思うようになってしまいます。

そうした子どもたちにとって、もし問題の本質が、能力や知能ではなく、「アーレンシンドローム」による文字の見え方にある、ということがわかったなら、劇的に人生が変わる可能性があります。

それは、小説家アーネスト・ヘミングウェイの孫娘である、女優のマーゴ・ヘミングウェイの語った次の言葉からはっきりとわかります。

「ヘミングウェイ家に育ちながら文字を読めないというのは、まったく悲惨なことです。

ディスレクシアであるがゆえに、私は台本を読んだり覚えたりすることがうまくできず恐怖でした。

有色フィルターを使えば、文字が紙面上を動き回ることがなくなるので、今は私も勢いよく読むことができます」 (p99)

マーゴ・ヘミングウェイは大人になってから「アーレンシンドローム」であることがわかり、自分を子どものころからずっと苦しめていたコンプレックスの正体を知ることができました。

残念ながらマーゴ・ヘミングウェイは、アルコール依存症や双極性障害のため、1996年に自殺してしまいました。

もしも、彼女がまだ学生のころに、「アーレンシンドローム」だと診断され、有色フィルターを処方されていれば、精神疾患を抱えるほどに自尊心が打ち砕かれてしまうようなことはなかったのではないか、と思わずにはいられません。

ギフテッド 天才の育て方 (ヒューマンケアブックス)によると、このような、特定の色の周波数が原因とみられるディスレクシアの問題は、すでに英国などでは色つきレンズを用いて支援されているようです。

前述のC君の例でもすでに述べたことではあるが、白の紙に黒のインクという一般的な印刷は、コントラストが強すぎて非常に読みにくく、例えば薄い青やピンクの色がついていると一挙に読みやすくなる。

これは薄い色のついたメガネを着用するのと同じである。ドナのように色のついためがねの着用は、さらに個々に合う色の選択が、いっそうの見やすさを確保する。

英国においてそのような配慮が実際に行われている場合があることは、紹介した。翻って我が国ではこのような配慮が行われた例は聞かない。(p83)

前に読んだ LDを活かして生きよう―LD教授(パパ)のチャレンジでは、英国ではディスレクシアは障害ではなく、たとえば(科学的に正しい話ではないとはいえ)日本の血液型くらいの認識で、個性として受け入れられているとも書かれていました。

藤堂 日本で血液型ってよくいわれるじゃないですか。イギリスでは、あれに近い感じの社会的な扱いですね。

ディスレクシアっていうひとつの個性みたいな。だから、それは障がいっていうよりも、プラスマイナスを含めたものとして扱われている。(p105)

上野 イギリスのデザイン関係の学校に行ったら、校長さんがね、六割はそういう子だよって。日本よりはもっと広くとらえられているんだろうけど。(p105)

日本と違って、ディスレクシアが個性のように受け入れられている背景には、それが知能の障害ではなく、色つきレンズなどの支援で改善されうる認知の違いにすぎない、ということがよく知られているからなのかもしれません。

読み書きが得意な人でも

こうして、「アーレンシンドローム」とディスレクシア、または学習障害(LD)の関連性を考えてみると、両者は深いつながりをもっていることに気づきます。

しかし、注意しなければならないのは、ディスレクシアと診断されるほどの読み書きの異常がなく、学習障害とみなされるほどの成績の問題がない人にも、「アーレンシンドローム」が存在するという事実です。

むしろ、さきほどの「アーレンシンドローム」の発見の歴史に登場した、最初期の研究の対象となっていた大人たちは、意外にも学校ではトップクラスの成績を収めていた人たちだったのです。

彼らは同学年の人たちよりも、2倍も3倍も勉強していた人たちであったので、成績はトップクラスでした。

学校で勉強を続けるためには、彼らは、他の人が1時間もかけずに読めるところを3時間もかかって読まなければなりませんでした。

彼らは、勉強により多くの時間を重ねられるように、自分の勉強のやり方を工夫し、作り上げなればなりませんでした。(p18)

このような人たちの場合、確かに光の感受性障害による「アーレンシンドローム」を抱えていて、勉強に困難を感じていましたが、工夫や才能によってその困難を克服する方法を見つけていました。

最近のニュースでは、学校ではトップクラスの成績ながら、横書きの英語の文章など、特定の場面でのみ読み書き困難が出るという症状が、アーレンシンドロームの遮光レンズで改善した例もありました。

井上眼科病院の若倉雅登先生が、「発達障害と眼科」というテーマの第10回心療眼科研究会で発表した内容のようです。

視覚系に問題ないのに、うまく読み書きできない…発達障害の可能性 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

私たちのグループは、学年の成績トップクラスにいる女子高生が、英語の長文問題に限ってとても手間取ってしまうという症例を提示しました。

 調べると、行を間違えたり、次の行の文字列や隙間が気になるなど、縦書きの読み書きではほとんど起こらない能率低下が生じました。ある種の遮光レンズを用いると、多少改善する不思議な現象もありした。これも、一種の学習障害に分類されます。

歴史を振り返っても、レオナルド・ダ・ヴィンチや、トーマス・エジソン、アルベルト・アインシュタインといった偉人たちの中に、学習障害(LD)やディスレクシアの傾向を持っていた人が少なくないことはよく知られています。

LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害) (講談社+α新書)という本では、LDとディスレクシアの専門家である上野一彦先生が、ディスレクシアだったと思われる偉人たちの名前を列挙しています。

その中には、信じがたく思えるかもしれませんが、「名探偵ポワロ」シリーズのアガサ・クリスティーや「不思議の国のアリス」のルイス・キャロル、「ガープの世界」のジョン・アーヴィングといった、名だたる作家たちさえ名を連ねています。

無論、これら偉人たちの抱えたディスレクシアの原因が「アーレンシンドローム」にあったかどうかは定かではありません。

しかし、一つ確かなのは、読み書き困難を抱える人の中には、たゆみない努力でそれを補って克服しているかのように見える人が含まれているということです。

研究には、読みと学習の問題があるとわかった子どもから何ひとつ特定の読みや学習に問題のない子どもや才能のある学生まで、アーレン法によって効果が表れる子どもがいることが報告されてきています。

それらのなかには、本当は学習にとても時間をかけているために、表面的にはすばらしい読みのスキルをもっているように思われる子どももいます。(p178)

しかし、たとえ読み書き困難をある程度克服しているとしても、もし問題の本質が単なる学習障害や読み書き困難にあったのではないとしたら、事情は変わってきます。

これら才能ある人たちは、読むのが苦手なことへの対策として、、飛ばし読みやオーディオブックサービス、タイプライターを活用して読み書きの苦手さは補えるかもしれませんが、おおもとにある光過敏はそのままです。

「アーレンシンドローム」の症状の一部であるディスレクシアは目立たくなっても、まぶしさからくる眼精疲労や、感覚過敏、不器用さなどの問題は依然として当人たちの生活上のストレスをもたらしていることでしょう。

ですから、たとえ読み書き困難が目立たないとしても、「アーレンシンドローム」が存在しているなら、それに気づいて対処する価値は大いにあります。

彼らは賢いので、自分の絶え間ない努力で読みの弱さをカバーすることができます。

しかし、もし彼らがSSSの対処法を受けたとしたら、彼らの苦しみは随分と楽になるでしょう。(p120)

少なくとも、読み書き困難のために、人の2倍も3倍も時間をかけて学校の勉強に打ち込んだり、睡眠時間を削って努力したりする必要がなくなるので、体調面、精神面での健康向上も見込めるはずです。

なお、ここでは、光の感受性障害によって紙面がうまく見えずディスレクシア症状が出るケースについて考えましたが、輻輳不全(ふくそうふぜん)など、検査では気づかれにくい目の運動機能の障害によっても似たような症状が現れるケースがあります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

視力検査でわからない3つの視機能異常とは?―発達障害やディスレクシアに多い「見る力」の弱さ
ADHDやディスレクシアとみなされている症状は、じつは「見る力」つまり視知覚認知機能が原因で生じていることがあります。この記事では、隠れ斜視、輻輳不全、サッケードの弱さの3つを扱い

3.空間感覚や距離感がつかめない

続いて取り上げる「アーレンシンドローム」の症状は、一見、意外に思えるものかもしれません。

それは、先ほど少し触れた、自閉スペクトラム症などの発達障害の人にみられる不器用さ、「発達性協調運動障害」(DCD)と関係しています。

「アーレンシンドローム」を抱える人は、発達障害があるかないかにかかわらず、空間感覚や距離感をつかむのが苦手で、何をやっても不器用でうまくいかない、という場合があります。

SSSのある人はまた、すべての物体が実際の距離よりも少しだけ遠くにあると認知しています。

そのため、スペースが余分にあると思ってしまい、物にはぶつからないで歩けると思っていても、テーブル、ドア、壁等によくぶつかってしまいます。

SSSのある人のなかには、3次元を知覚することに困難がある人もいます。彼らの世界はいわば、すべては2次元により成り立つ「絵本現象」というような状態ですらあるのです。(p121)

なぜ「アーレンシンドローム」があると、単にまぶしさや読み書き困難だけでなく、空間感覚の問題まで生じてしまうのでしょうか。

簡単にいえば、わたしたちが空間を把握するとき、位置関係や距離感をつかむのに用いている主な感覚は目を通して見る視覚である、ということに尽きます。

「アーレンシンドローム」は光の感受性障害、つまり視覚認知機能の異常でした。

さきほどから説明しているように、「アーレンシンドローム」があると、子どものころからずっと、本の文字など、目に見える光景が他の人たちと違っている可能性があります。

また、アーレンシンドロームだけでなく、先ほど出てきた両眼視機能の問題、輻輳不全によって、一時的に立体視がうまくいかない場面がある可能性もあります。

そうした違いは文字にのみとどまらず、まわりを見回す際にも、やはり視覚認知の問題が生じていて、特に距離感などの空間把握に影響するようです。

色認知の障害で立体感が把握できない

この点を詳しく説明しているのは、発達障害の室内設計家 岡南さんによる天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)や、先ほど少し引用した杉山登志郎先生との共著ギフテッド 天才の育て方 (ヒューマンケアブックス)です。

この本については、以下の記事で感想をまとめていますが、「アーレンシンドローム」という文脈から再度考えてみると、非常に意義深い情報が散りばめられています。

アスペルガーの2つのタイプ「天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル」
天才建築家アントニオ・ガウディと、写真家にして童話作家ルイス・キャロル。あなたは自分がどちらに似ていると思いますか? わたしたちはだれしも、この正反対の二人のどちらかに似ています。

この2冊の本は、どちらも発達障害者の認知の特殊性を説明しているものですが、特に聴覚優位の人について説明した部分で、有名な自閉スペクトラム症(ASD)の当事者、ドナ・ウィリアムズのエピソードが引用されています。

ドナ・ウィリアムズは、 ドナの結婚―自閉症だったわたしへという著者の中で、こんな不思議な経験を話しています。

突然、目を落としていたページの文字が、まるで違って見えた。

…これまでわたしは、世界にはさまざまな深さと奥行きがあって、自分が動くことでそれを感じることができると習ってきたが、実際にそうした深さや奥行きの変化を感じたことは、一度もなかった。

それが今はただ目をやるだけで、そうと実感できる。(p72)

このエピソードは、ドナ・ウィリアムズが、はじめて色つきレンズと偏光フィルターを組み合わせたメガネをかけたときの感動をつづったものです。特に色つきレンズについての部分は「アーレンシンドローム」の治療に用いられるレンズと似たものとみなせるでしょう。

そのような色つきメガネをかけてみた結果、ドナ・ウィリアムズは、不思議なことを2つ経験しました。

まず一つ目は、本のページの文字がまるで違って見えたこと。これは色の波長が補正されて「アーレンシンドローム」によるディスレクシアが改善したことを意味しています。

これについて、ギフテッド 天才の育て方 (ヒューマンケアブックス)にはこう説明されています。

ドナの示す視覚認知の問題が、色つきのめがねと偏光フィルターの組み合わせで是正ができることに注目してほしい。

これは、明暗領域を限定し、その分、拾いを密にしていることによると考えられる。(P79)

ドナのように色のついためがねの着用は、さらに個々に合う色の選択が、いっそうの見やすさを確保する。(P83)

しかし注目に価するのは二つ目の点です。記述によると、ドナ・ウィリアムズは、色つきメガネをかけることで、世界の奥行きと深さ、という空間認知が改善して、立体感を感じられるようになったのです。これはどういうことでしょうか。

こんな興味深い説明が載せられています。

壁と天井の境界線を成立させるものとは、光の当たり方によって生じる二つの面の明度差である。

もしもこの明度差の認知ができない場合には、パースラインの認知ができないということになるのだ。(p73-74)

少し難しいですが、パースラインとは、ものの奥行きや立体感を示す線のことです。学生のころの美術の授業で、透視図法によって奥行きのある絵を描いたときのことを思い出してみるとわかりやすいかもしれません。

あなたはトリックアートと呼ばれるだまし絵(トロンプルイユ)を見たことがあるでしょうか?

トリックアートは、平面に描かれた絵ですが、極めて緻密で立体的な色使いで描かれているので、あたかも三次元のもののように飛び出したり引っ込んだりして見えます。

ものの立体感は、微妙な明るさの変化が描き出すパースラインによって決まり、明暗のわずかな違いが繊細に描写されているほど、リアルな奥行きが感じられます。

では、もしそうした色の明暗を見分ける力が弱いとどうなるのでしょうか。わずかな色の違いが醸し出す立体感がつかみにくいので、三次元の世界に生きていても、なんとなく平べったく見えてしまい、距離感がつかめません。

「アーレンシンドローム」のある人は、まぶしさに過敏なので、コントラストが強すぎて、すべてのものが明るいか暗いかのどちらかになってしまい、わずかな色の明暗を見分けるのが苦手です。

すると、奥行きなどの立体感がつかみにくくなり、次のような特殊な認知が生じます。

物の「奥行き」が見えていないとするなら、空間そのもののボリューム感が異なるということにほかならない。

物が多くひしめき合っている空間でも、奥行きのない見かけだけを意識するなら、狭さを感じないということが生じる。

と同時に、自分に向いた面しか見えていないということにもなる。

奥行きが認知できなければ、体が触れて落としたり、倒したりすることにもなるが、本人にはそうした感覚が事前に持てないのである。(p76)

明るさ過敏のせいで、微妙な明暗をつかみにくく、立体的な空間認知がおおざっぱになって、距離を見誤ってしまった結果、物を落としたり倒したりして、不器用だと言われてしまうのです。

また、ドナ・ウィリアムズはドナの結婚―自閉症だったわたしへの中で、色付きレンズを用いたことで、もう一つ、三つ目の不思議な体験をしました。

そこにはイアンの顔があった。目が、鼻が、口が、あごが、ひとつのつながりの中に、同じくらいのインパクトを持って存在していた。(p234)

ドナ・ウィリアムズは、色付きメガネをかけることで、他の人の顔をひとつのまとまりとして認識できるようになりました。

人間の顔というのは明暗の凹凸によって作り出される立体的なものなので、明暗の認知の弱い人たちは、人の顔を見分けるのが難しい、「相貌失認」と呼ばれる症状を抱えることがあるようです。

「相貌失認」もまた自閉スペクトラム症(ASD)などに伴いやすい症状の一つですが、もし原因が光の感受性障害にあるのだとしたら、「アーレン法」によって症状が改善する可能性があります。

人の顔が覚えられない「相貌失認」の4人の有名人とその対処方法―記憶力のせいではない
人の顔が覚えられない、何度会っても見分けられない。それは10人に1人が抱える相貌失認(失顔症)かもしれません。ルイス・キャロル、ソロモン・シェレシェフスキー、オリヴァー・サックスな

興味深いことに、天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)によると、このような立体感覚のつかみにくさは、視覚野の色を認識する領域であるV4の機能不全にあるのではないかとされています。(p157)

お気づきのとおり、これは火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)に出てきた、全色盲のI氏と同じ部位の問題です。

そうすると、アーレンシンドロームと全色盲にはある程度の関連性があり、視細胞から視覚野までの視覚処理の異常が、程度や種類の差こそあれ、同じような問題を生じさせている可能性がありそうです。

なお、ドナ・ウィリアムズは、色つきレンズを偏光フィルターと組み合わせて用いたと書かれていました。

この偏光フィルターは、アーレンシンドロームとはまた異なるもので、乱反射光をカットすることで、まぶしさを抑える効果があり、大阪市立大学の研究によって、疲労改善効果も認められています。

後ほど、慢性疲労症候群との関わりのところで改めて取り上げます。

距離感をつかみにくい人の日常

ところで、ゲームの世界では、テレビ画面という平面の映像の中で、立体的な空間を歩きまわるアクションを楽しむことがあります。

テレビの二次元の平面的な画面でも、空間認識を伴う立体的なゲームは遊ぶことができますが、それでも多くの人は奥行きの距離感がつかみづらいといわれています。

任天堂の社長が訊く「スーパーマリオ25周年」 によると、そうした問題は、テレビのような平面の画面ではなく、三次元の立体視ができる画面で見ると、非常にわかりやすくなり、より難しいアクションもできるようになるそうです。

小泉 僕はこれまでずっと3Dマリオをつくってきましたが、そもそも3Dは、空中に浮いてるものを取ったり、乗ったりすること自体が難しかったんです。

でもニンテンドー3DSで距離感がひと目でわかるようになれば、いままで遊びにくかった、空に浮かぶ足場をジャンプで乗り継いで、落ちたらゲームオーバーになるみたいな緊張感あるステージを、積極的につくれそうに感じています。

「アーレンシンドローム」のせいで、距離感のつかみにくい人は、あたかも、三次元空間の難易度の高いアクションを、二次元の平面のテレビ画面でプレイしているかのようなものです。

確かに、大まかな位置関係は把握できますし、簡単な動作であれば、それほど苦労はしないでしょう。経験とともに遠近感もつかみやすくなります。

しかしそれでも、微妙な距離感の誤差が生じてしまうため、先ほどアーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応から引用したとおり、「すべての物体が実際の距離よりも少しだけ遠くにあると認知」してしまうのです。

続く部分では、さらに詳しくこう説明されています。

SSSのある人のなかには、物を取ったり置いたりすることが難しい人もいます。

彼らはテーブルなどに物を置くときに、いつ手を離したらよいかよくわかっていないかもしれません。

コップを取ろうとしても、コップに手をぶつけてしまったりもします。

彼らは育ってきた過程のなかで、ミルクをこぼしたり、コップやバケツをひっくり返したりと、その不器用さのためにどんなにか怒鳴られたことでしょう。(p121)

先ほどの任天堂のマリオの例でいうと、ゲームの場合は、たとえ距離感を見誤ってちょっと物にぶつかっても痛くありませんし、足を踏み外してもコンティニューできます。

しかし現実ではコップの距離感を見誤ったら飲み物をぶちまけてしまいますし、足を踏み外したら転んで怪我をしてしまいます。

「アーレンシンドローム」の人たちの抱える不器用さは、ゲームの中ではなく現実世界での問題だからこそ深刻であり、問題の原因に気づいて治療する価値があるのです。

4.その他の身体症状

「アーレンシンドローム」の一連の症状には、さまざまな身体症状が伴う場合もあります。

「アーレンシンドローム」がもたらす光過敏や読み書き困難は、それそのものが大きなストレスとなるので、目の疲れなどの眼精疲労や、頭痛などを生じさせます。

「アーレンシンドローム」の人たちにとって「読書はむしろ肉体労働に近い」とまで書かれています。(p67)

常にまぶしさや視覚認知のストレスを経験していると、普通よりも疲労がたまりやすかったり、体が緊張して肩こりなどの慢性疼痛が生じたり、ストレスから自律神経異常につながったりするかもしれません。

また先ほど触れたように、チック症状や衝動性、多動性のような行動異常も伴う場合があるでしょう。

「アーレンシンドローム」を持つ人は、視覚以外の感覚過敏も持っていることが多く、視覚の過敏性に対処することで、他の症状も緩和する傾向があるそうです。

私たちの研究によると、アーレンシンドロームのある人は、視覚の過敏性だけでなく、聴覚や触覚など他の感覚過敏も多くもち合わせている人が多いです。

視覚の過敏性が和らぐことで他の感覚過敏性も和らぐという傾向があります。(p196 ※熊谷恵子先生の執筆部分)

さらに覚えておきたい点として、さまざまな病気に伴うSSS症状を緩和することで、その病気そのものの症状を緩和できる可能性があります。

以下に幾つかの例を挙げてみましょう。

偏頭痛は青色の光への光過敏?

まず、「アーレンシンドローム」は、ある種の偏頭痛との関係性が指摘されています。

偏頭痛を特定の光の波長に対する光過敏による症状とみなして「アーレンシンドローム」の観点から治療すると、頭痛だけでなく不眠やめまい、疲労といった身体症状が改善することがわかっているそうです。

さまざまな国の医師からの報告によると、アーレン法は頭痛、腹痛、不眠、偏頭痛、めまい、疲労といった身体的な症状に効果を与えることも示唆されています。(p187)

最近のニュースでも、偏頭痛は特定の色の光に関する光過敏であることを示唆する研究が報道されていました。

偏頭痛治療に「光」、緑色の光で痛みが約20%軽減 - QLifePro 医療ニュース はてなブックマーク - 偏頭痛治療に「光」、緑色の光で痛みが約20%軽減 - QLifePro 医療ニュース

米ボストンの研究で、偏頭痛患者69人にさまざまな色の光を当てた結果、青色の光では頭痛が悪化したのに対し、狭スペクトルの弱い緑色の光を当てると、光過敏性が有意に軽減することがわかった。

一部の症例では、この緑色の光により偏頭痛の痛みも約 20%軽減することが明らかにされた。

この研究では、偏頭痛の人には、まさに「アーレンシンドローム」のように、特定の色の波長に対する光過敏がみられるとされています。

特に、青い波長の光(ブルーライト)で頭痛が悪化し、緑色の波長では軽減されたと書かれています。

偏頭痛発作の80%以上は光過敏性に関連して悪化するため、患者の多くは暗所を求めて仕事、家族、日常生活から離れることになる」と説明している。

ここで説明されているような、光を避けて暗所を求めて移動するような特徴は、すでに見たとおり「アーレンシンドローム」の患者と共通しています。

この結果を受けて、現在開発中であるという治療法も、やはり「アーレンシンドローム」の場合とよく似ています。

Burstein氏は現在、狭帯域の緑色の光を低強度で発光する低価格の電球や、緑色の光以外を遮断できるサングラスの開発に取り組んでいる。

電球の光を調整するのは、「アーレンシンドローム」の人たちが蛍光灯の光に敏感で、柔らかい光の電球のほうが症状が和らぐのと通じるものがあります。

緑の波長だけを通すメガネを用いるのは、すでに紹介した火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)の中に出てくる全色盲の画家のI氏が、中間的な波長の色だけを通す緑のメガネを着用していたのとよく似ています。

しかしながら、偏頭痛の人の中にも、青色以外の光に過敏性を持つ人がいるかもしれません。詳細な点は、今後の研究を待つ必要がありそうです。

 脳脊髄液減少症の光過敏も軽減?

光過敏を抱えることで知られている病気の中には、交通事故のむち打ちや頭部外傷後の後遺症があります。

この場合は後天的な二次症状としての光過敏性ですが、「アーレンシンドローム」の有色フィルターで症状を緩和できるそうです。

時どき起きる些細な転倒も含めて、頭部外傷を経験したことのある人は、意識レベルの変化、頭痛、光の過敏性、読みの困難を経験しているかもしれません。

…発作、協調性の運動不全、頭痛、活動性のめまい、疲労、そしてふるえのような異常な動きは有色フィルターを装着することで改善されることがあります。(p185)

この本ではこうした頭部外傷の後遺症によるSSS症状が、むち打ち、脳震盪などと関連して挙げられています。詳しくはこちらの補足はご覧ください。

慢性疲労症候群や線維筋痛症が和らぐ?

本書の最後のページには、やはり光過敏のSSS症状が現れる病気として、慢性疲労症候群(CFS)線維筋痛症(FM)といった病気が挙げられています。

研究的には、さまざまな病気や症状と結びついているSSSに似た症状に関するアーレン法の効果研究がちょうど始まったところです。

自己免疫性の病気、糖尿病、慢性疲労症候群、線維筋痛症またはトゥレット症候群のある人たちがもつSSS症状が一部軽減できるようです。(p188)

また、こちらの記事では、井上眼科医院の若倉雅登先生が、過度の光過敏に線維筋痛症が合併するケースがあと述べています。

線維筋痛症と「眩しさ」 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

私がこの病気に注目しているのは、眼球そのものに問題はなくても、 眩 しさや目の痛みのために目を開けて見ることができない 眼球使用困難症候群 の重症例に、しばしば体の痛みが起き、線維筋痛症と診断されている例があるからです。

…皆、終日、弱い光でも目から入ることを拒絶せざるを得ない生活をしている、重症な方々です。

部屋を暗くして両眼を閉じ、それだけでは足りずにアイマスクや遮光眼鏡をかけ、外光が入る部屋ではカーテンや帽子が欠かせない、という状態です。

文中に出てくる眼球使用困難症候群とは、以前の記事によると、「眼球は正常なのに、強烈な 眩 しさのために目を開けられない、目を開けると強い痛みが出て開け続けられない」といった症状を表す造語のようです。

もちろん、光過敏のSSS症状がこれらの病気の原因というわけではなく、たいていのケースでは、脳脊髄液減少症と同様、病気がもたらす二次症状のひとつとして光過敏が生じているのでしょう。

しかし、病気そのものがもたらす疲労や痛みとは別に、光過敏がストレスを増し加え、交感神経を刺激し、外出しにくさにつながって、結果として病気の症状を強めてしまっていることがあるかもしれません。

あるいはもともと、発達障害やその他の生まれつきの傾向として、光過敏を含めた感覚の過敏性をもっていて、そのせいで疲労やストレスを貯めこみやすく、慢性疲労症候群や線維筋痛症の発症につながった人もいるかもしれません。

若倉先生は、線維筋痛症、化学物質過敏症、慢性疲労症候群などと、光過敏症の共通点として、「いずれも感覚系が過敏な状態にあり、感覚をコントロールする神経機構に不調が存在するという共通項」があると述べています。

いずれにしても、生まれつきであろうと、二次症状であろうと、特定の光の波長に対する過敏性が生じているのなら、色つきフィルターを用いることで、認知機能の負荷が軽減され、症状がいくらか緩和される可能性があるかもしれません。

また、慢性疲労症候群と似た病態である化学物質過敏症(CS)においても同様の症状がみられるようです。

脳障害で「眩しい」「眼痛」…障害者と認定されない理由 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

感覚と運動の調和を乱す、脳に起因する中枢性の 羞明(じゅうめい) や眼痛はどういう場合に起こりやすいのでしょうか。

 私の外来では最も多いのは、6月中に本コラムで取り上げた、 眼瞼(がんけん) けいれんの自覚症状 としてのものです)。

 ほかに、 頭頸(とうけい) 部外傷後遺症、化学物質過敏症、神経薬物の中毒や副作用、何らかの精神疾患が誘因や原因になっているものもみられます。

 こういう症状についての知識が乏しいために、正しい診断に至らず、異常なし、自律神経失調症、心因性疾患、詐病の疑いなどと、雑な診断をされている例をみると、同じ医師としてとてもがっかりします。

化学物質過敏症(CS)患者のまぶしさの場合も、もしかすると、光の感受性障害としての対策によって、まぶしさや他の感覚過敏が軽減されるかもしれません。

乱反射光のまぶしさをカットする「抗疲労レンズ」

また、慢性疲労症候群をはじめ、疲労についての詳しい研究で知られる大阪市立大学では、色つきレンズとは異なる方法で、疲労の軽減が可能なレンズの研究もしていました。

それは、先ほどドナ・ウィリアムズの話のところでチラッと出ていた偏光レンズです。

大阪市立大学では特にTALEXというメーカーと共同研究して疲労改善効果を確かめており、「抗疲労レンズ」と呼んでいるようです。

医学研究科・井上教授が監修の運転疲労に対する抗疲労レンズの効果の実証実験 — 大阪市立大学

この度、「疲労☆バスターズ」会員企業のタレックス光学工業株式会社の商品「ザ・レンズTALEX」は、地面の照り返しや反射光などを除去するレンズで、大阪市立大学大学院医学研究科 井上正康教授との共同研究により疲労軽減効果があると動物実験の結果(参考資料(PDF))が出たことから、大阪市交通局との企業間マッチングの一環として実証実験を実施するものです。

この偏光レンズ、または抗疲労レンズとは、光の方向を揃えて、照り返しのような乱反射する光を除去することで、まぶしさを軽減するものです。

マウスを用いた動物実験では、このレンズによって、ストレスホルモンであるコルチゾールが低下し、人間でも主観疲労が低下するなど、一定の疲労改善効果が見られているといいます。

TRUEVIEW®|タレックス|TALEX

「マウスにさまざまな確度から光を照射すると血中のストレスホルモンは一気に上昇。行動量も激減し、強く疲労することが判ります。一方、トゥルービューにより乱反射光を遮断したところ、ストレスホルモンの血中レベルと行動量が著明に改善されることが判りました。」

と語る井上教授は、「この様な結果はある程度予測していましたが、トゥルービューの疲労予防効果は顕著であり、目を酷使する日常生活での疲労やそれによる作業低下などを予防できる可能性がある」とコメントされています。

TALEXでは、この偏光フィルターによる抗疲労レンズを、さまざまな色と組み合わせてスポーツやアウトドア用サングラスとして販売しているようです。

アーレンシンドロームによるまぶしさの軽減は特定の色の波長をカットすることによるものですが、偏光フィルターは乱反射光をカットするという別のメカニズムに基づいています。

どちらが自分の疲労に効果があるのか、あるいは両方併用するとよいのかは確かめてみる必要があるでしょう。

概日リズム睡眠障害も光感受性と関係?

最後に、この本に書かれている内容ではありませんが、概日リズム睡眠障害との関連を推察しておきたいと思います。

ここまで見たとおり、どうやら、「アーレンシンドローム」の問題は、目の視細胞の神経伝達のプロセスの異常にあるようです。

目の視細胞には先ほど触れたとおり、3つの種類があります。

それは、色などを見分ける錐体細胞、明暗に敏感な桿体細胞、そして今世紀に入って存在が確かめられ、第三の視細胞として話題になった、概日リズムの調節に関わるipRGC細胞です。

ipRGC細胞、つまり光感受性神経節細胞は、その名の通り、光の感受性に関わっていて、光による概日リズムの調整や、暗所での光の認知に関係しているとされていますが、詳しいことはまだわかっていません。

はっきりしたことは何もいえませんが、「アーレンシンドローム」のような光の感受性障害に、錐体細胞や桿体細胞の感受性のみならず、この第三の視細胞の感受性も関係しているとするなら、概日リズム睡眠障害のなりやすさとも関係があるのかもしれません。

近年では、睡眠リズムがずれる睡眠相後退症候群(DSPS)や非24時間型睡眠覚醒障害(non-24)、そして冬季うつ病、すなわち季節性情動障害(SAD)などの病気には、光の感受性の個人差が関係しているらしいとされています。

最近の基礎生物学研究所の研究によれば、動物実験レベルで、光や色の感受性が季節変動することがわかっており、季節性情動障害の原因と関わっているのではないか、とされています。

メダカの色覚、季節で変化 冬季うつ病の解明つながる?:朝日新聞デジタル

色覚が季節で変わるのはヒトでも報告されている。基生研の吉村崇客員教授(動物生理学)は「光の感受性が下がって、気分の沈みが起こるのではないか」と指摘し、「さらに研究を進めれば、冬季のうつ病の原因が理解できるかもしれない」と話した。

光の感受性や色の感受性は固定的ではなく、季節に合わせて柔軟に変動する性質を持っているようです。季節に応じて光の感受性を調節することで、適切な概日リズムが維持され、夏でも冬でもパフォーマンスを維持することができます。

この適応能力は、ちょうど電波時計が時刻合わせをするように、まわりの環境からの刺激に反応して、自動的に調整されているのが正常です。たとえば概日リズムを調節する刺激は「ツァイトゲーバー」(時を与えるものの意)と呼ばれます。

しかし、その能力が故障したり、あるいは刺激に過敏に反応しすぎたりすると、常に光や色の感受性が不安定なアーレンシンドロームになるのではないか、と推測することもできます。

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)などの発達障害の人は、「アーレンシンドローム」をはじめ、複数の感覚過敏を伴いやすく、しかも概日リズム睡眠障害にもなりやすいと言われています。

すでに概日リズム睡眠障害を防ぐためにブルーライトをカットするアプリやメガネが広く普及していますが、「アーレンシンドローム」の原因とのオーバーラップがあるのかもしれません。

「アーレン法」ー自分だけの色のフィルターを見つける

終わりに「アーレンシンドローム」の治療法である、有色フィルターを用いた「アーレン法」について考えましょう。

有色フィルターを用いると、多彩なSSS症状が緩和されるという点はすでに見たとおりですが、気をつけなければならないのは、人によって、どの色がふさわしいかが千差万別である、ということです。

ディスレクシアの対策を説明した本などを読むと、しばしば、アーレン法に似た対策について書かれている場合がありますが、残念ながら正確さを欠くことが少なくありません。

必要な色はひとりひとり異なる

たとえば、怠けてなんかない! セカンドシーズンあきらめない―読む・書く・記憶するのが苦手なLDの人たちの学び方・働き方は、ディスレクシアに関する優れた本ですが、有色フィルターを用いた治療についてはこう説明されています。

オックスフォード大学のジョン・シュタイン博士らは、ディスレクシアの人たちに青もしくは黄色のカラーフィルターを文章の上に乗せることで読みやすくなることを科学的に証明している。

ただ、私が取材するかぎり、日本人の子どもたちには暖色系(オレンジやピンクなど)のほうが読みやすいという子もいる。(P150)

ここでは、特定の色のフィルターが多くの人に有効であるかのように書かれていますが、これは、「アーレンシンドローム」の実情と異なっています。

アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応にはこう説明されています。

多くのレンズ会社の専門家はレンズに色をつける腕はもっています。彼らは魅力的な色を提示したり、あなたの好きな色を選ばせてもくれるでしょう。

彼らはさらにこう言うのです。

「もし蛍光灯の光に問題をもっているとすれば、ピンクが一番よい」と。

あなたが他に何も学んでいないのなら、SSSのあるすべての人に共通の色はないということに気づかないでしょう。各個人が本当に必要なのは、その人それぞれに最適な色なのです。(p154」

ある人にフイットした色が、別の人のSSSにも役立つケースは非常にまれで、むしろ、一人ひとり微妙に異なる色選びを経てはじめて、ふさわしい色のレンズが見つかることを覚えておく必要があります。

特に問題なのは、特定の色を勧められて効果がなかった結果、有色フィルターを試しても意味がないと思い込んで、自分が「アーレンシンドローム」であるという可能性を見限ってしまうことです。

色のわずかな変化でさえ大きな違いをもたらすことがあります。

対処法であるアーレン法を理解していない人から有色フィルムを受け取ることは、その人にプラスになる成果を上げられないことがあります。

…色に関する他の可能性もあるのに、色が役に立たないと失望して、その対処法を経験しないようにしてしまうことになったら、その人にとっても非常に不利益だと思います。(p146)

実際にアーレンシンドロームのスクリーニングでは、すぐに適した色が見つかるということはほとんどなく、数時間ないしは数日かけてフィッティングすることがあるようです。

フィルムの色=レンズの色ではない

またしばしば勘違いされる点として、その人に適したフィルムの色はその人に適したレンズの色とは異なる、という点があります。

フィルムとは、本のページの上に重ねるカラーセロファンのようなもので、レンズとは有色フィルターをはめた色つきメガネのことです。

たとえば、先ほどから引用している発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ (ブルーバックス) は日本でも数少ない「アーレンシンドローム」に言及している優れた本ですが、次のように書かれている部分があります。

アーレンシンドロームでは、特定の色の色眼鏡をかけると、文章が正しく読めるようになる。

眼鏡と同じ色の透明シートを紙の上に置くだけでも、よみは改善される。(p65)

ここでは、メガネと同じ色の透明シートが役立つとされていますが、これもまた、「アーレンシンドローム」の実情とはそぐわない点のようです。

アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応にはこう説明されています。

おもしろいことに、フィルターで一番機能する色は、その人にとって一番機能した有色フィルムの色とは異なるのです。

…フィルターにフィルムの色と同じ色をつけることが支援になることはなく、たとえ同じ色を使用しても、おそらく見え方のゆがみは持続し、さらに悪くなっていくこともあるかもしれません。(p152-153)

その人に適したメガネのレンズの色と、透明フィルムの色とが異なるのはなぜか、という疑問に対する答えははっきりとはわかっていないそうです。

しかし、この本では、メガネは視界の色すべてを補正するのに対し、フィルムは紙面の色しか補正しないことが関係しているのではないかとされています。

わたしたちの脳は不思議なもので、特定の色のフィルターがかかった視界でも、以下のサイトで説明されているとおり、色の恒常性 という現象によって、無意識のうちに色が補正されることがよく知られています。

たとえば、自分のお気に入りのカバンを蛍光灯の下で見るときと、白熱電球の下で見るとき、あるいはトンネルの中のナトリウムランプの下で見るときとでは、全然違う色になっているはずですが、意識しない限り、同じ色にみえるので、違和感を感じません。

視界全体に、特定の色のフィルターがかかるとき、わたしたちの脳は、いつも見えている色と同じであるかのように錯覚させます。

色つきフィルターをつけたメガネで視界を見ると、本当は色が大きく変化しているはずなのに、違和感がすぐになくなります。

一方で、透明のフィルムシートを本の上に載せれば、明らかにそこだけ違った色になります。

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)には色彩恒常についてこう書かれていました。

ヘルムホルツは「色彩の恒常性」を強く意識していた。照明の波長が大きく変化しても、ものの色は同じだと感じるからこそ、ものを認識することができるし、なにを見ているのか知ることができる。

たとえば、リンゴが反射する光の波長は、照明によって大きく変化するが、いつも赤だと感じられる。

したがって単純に波長を色に置き換えているだけではないのはたしかだ。(p62)

単にものの色を補正するだけのフィルムシートと、照明全体の色を変える色つきフィルターのメガネとでは、脳の色の認知に決定的な違いを及ぼしますから、たとえ同じ色であっても、見え方が大きく異なるのでしょう。

専門家の助けが必要

このように、「アーレンシンドローム」の治療のために「アーレン法」のレンズを選ぶ際は、ディスレクシアや発達障害の専門家でさえ理解が不十分なことが多く、生半可な知識で色探しをすると失敗する危険がつきまといます。

これらの知識をすべて頭に入れたうえで、自分で適した色をみつけようとしても、単に好きな色や、リラックスできる色を、誤って効果がある色だと思い込んで選んでしまうかもしれません。

また、そもそも本当に「アーレンシンドローム」なのかどうか、という点についても、自己診断は危険であり、素人判断を下すと、別の原因を見逃してしまう可能性もあります。

また、「アーレンシンドローム」の対処法は、色つきレンズだけでなく、蛍光灯を変えたり、パソコンの明るさを調節したり、さまざまな感覚過敏への対策を試みたりと、多岐にわたるものであるということも覚えておく必要があります。

それで、「アーレンシンドローム」の可能性を疑っているとしたら、できるかぎり正式な専門家の支援のもとで、的確な診断をあおぎ、本当にフィットする色探しをすることが勧められています。

現在のところ、日本国内では「アーレンシンドローム」に詳しい専門家は非常に限られていますが、今回紹介したアーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応の訳者である熊谷恵子先生の心理・発達教育相談室 « 筑波大学附属学校教育局 では、専門的な相談を受け付けているようです。

熊谷恵子先生は、アーレンセンターでアーレン診断士のスキルを身につけ、日本国内の研究の先駆者として、豊富な経験とスキルを持っておられるようです。

共感覚エッセイノベル:エクストリーム極彩色(千住のり子) - カクヨム では、フリーライターの千住のり子さんが、ご自身のアーレンシンドロームや共感覚、そして筑波大学での検査の体験談をエッセイ形式で公開しておられます。

 またCiNii 論文 -  遮光レンズ眼鏡装用で改善した, Irlen症候群と考えられる読字障害の1例によると、京都大学医学部附属病院小児科で、アーレンシンドロームが扱われたケースがあるようです。

本症例では, 遮光レンズ眼鏡非装用下では全く本が読めない状態から, 遮光レンズ眼鏡装用下では年齢相応の読字能力を示し, 何らかの光学的な情報処理の異常が読字に影響を与えていると推察された.

そのほか、アーレン診断士の資格を取得しているかは不明ですが、こちらのツイートによると和歌山の小児科のクリニックの生馬医院でアーレンのスクリーニングキットを導入しているそうです。

この記事の中で何度か論説を引用した若倉雅登先生が担当する、井上眼科病院の神経眼科、心療眼科を主とした予約制の特別外来でも、光過敏による学習障害に対して理解があるのではないかと思います。

ところで、上の京大の論文では、これまでアーレンシンドロームについて、「[遮光レンズ眼鏡による治療の]効果には懐疑的な意見も多くIrlen症候群の存在自体にも議論」があったことが書かれています。

それもそのはず、これまで発達障害者の感覚異常は、長い間、「気にしすぎ」や「心因性」としてみなされてきました。感覚に大きな個人差があるなどと考える研究者はとても少なかったのです。

しかし近年では、本文中でも紹介したとおり、多方面から発達障害者の認知の特殊性に関する研究が進んでいます。

発達障害とは、何かが欠如している「障害」ではなく、生まれつきの独特な感覚認知のせいで異なる発達を遂げた「少数派」であるとみなされ始めています。

今はまだ専門家も少ない状態ですが、今後、おもに自閉スペクトラム症など発達障害の当事者研究の場を中心に「アーレンシンドローム」の概念が再評価され、日本でも浸透していくのではないかと思います。

そして偏頭痛の光過敏の研究が示すとおり、その他の病気に伴う感覚過敏症状とのオーバーラップも、今後、研究者によって明らかにされていことでしょう。

今回おもに参考にしたアーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応は、日本国内初の「アーレンシンドローム」の本として、非常に重要な意義を持っています。

まぶしさなどの光過敏に悩んできた人はもちろん、ディスレクシアや学習障害(LD)を抱えて苦労を重ねてきた人やその家族は、ぜひ読んでみる価値のある一冊です。

▼学習障害・ディスレクシアについて
学習障害(LD)やディスレクシアについてはこちらの記事もご覧ください。

LD(学習障害/限局性学習症)とディスレクシアの特徴ー親子でできる10のアドバイス+役立つリンク集
LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)の子どもたちの特徴、役立つアドバイス、役立つリンク集についてまとめています。
はてなブックマーク - LD(学習障害/限局性学習症)とディスレクシアの特徴ー親子でできる10のアドバイス+役立つリンク集 | いつも空が見えるから

 
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