小児慢性疲労症候群(CCFS)・ 筋痛性脳脊髄炎(ME)の国際診断基準

児慢性疲労症候群(CCFS)の診断基準は、まず2004年、厚生労働科研費研究班で国内の診断基準が作成されました。

その後、2005年、DS Bellにより、国際慢性疲労学会(IACFS)において小児部門小委員会が設けられ日本からは三池輝久先生が参加しました。

その結果、2006年にJournal of Chronic Fatigue Syndrome誌上でCCFSの国際診断基準案が報告され、2007年1月のマイアミにおけるIACFS総会で承認されました。

以下の診断基準は不登校外来―眠育から不登校病態を理解するに基づいています。

小児慢性疲労症候群(CCFS)・筋痛性脳脊髄炎(ME)の国際診断基準

Ⅰ.臨床的検討により説明困難な、持続的あるいは再発性の過去3カ月以上にわたる疲労であり下記の条件を満たすもの

A.進行中の労作の結果ではない
B.安静によって実質的に軽減されない
C.結果として教育的、社会的および個人の活動が以前のレベルに比べて相当な減少がある
D.少なくとも3カ月の間、持続あるいは再発する

Ⅱ.下記に示すCCFS/MEにおける古典的な症状が過去3カ月間において同時並行的に認められる (症状はおそらく疲労の発症に先だって認められる)

A.労作後倦怠感そして労作後疲労
特に激しい労作ということではなく、階段を上る、コンピューターを使う、本を読むなどの行為の中で、急速な身体疲労や認知力の疲労、労作後疲労、あるいはほかの症状が悪化するなど。回復が遅くしばしば24時間以上を要する

B.睡眠問題
疲労を回復できない睡眠、睡眠量およびリズム(質)の障害。過眠型睡眠障害(頻回の昼寝を含む)や寝つき困難、早朝覚醒あるいはまた昼夜逆転など。

C.疼痛
しばしば広範囲にわたる、および移動する疼痛(または不快感)。以下のいずれかからの少なくとも一つの症状を有する

  • ・筋筋膜および、または間接疼痛(筋筋膜疼痛は、深部痛、筋収縮、またはうずき、および痛む筋肉を含む。疼痛、こわばり、または痛みに対する過敏性は、どんな関節にでもさらに複数の関節で起こる可能性があるが、浮腫または炎症の他の徴候がない場合もある)
  • ・腹痛
  • ・頭痛(目の痛みや、眩しさ、胃痛、悪心、嘔吐または胸の痛みなどを伴うかもしれない。頭痛はしばしば、眼後方に、または頭部の後ろに局在したり、片頭痛を含む)

D.神経認識徴候
以下の項目の中から少なくとも二つの症状

  • ・記憶障害(短期に関する情報または、イベントを思い出す能力の自己申告であるか観察可能な障害)
  • ・問題点を絞り込む能力(焦点化)の低下(作業を持続するための集中力、教室内での必要なあるいは不必要な情報の選択を行うこと、あるいは読むことやコンピュータ作業、テレビ番組に集中する能力が低下している可能性がある)
  • ・的確な単語を見つけ出すことが困難。
  • ・しばしば、何が言いたかったかについて忘れる
  • ・関心のなさ、思考の鈍磨、情報を思い出せない、一度に一つのものにしか集中できない、よくないことが頭に浮かぶ。情報理解困難、思案の連続性を失う、数学または他の教育問題の困難性

E.他のカテゴリー
以下の三つのカテゴリーのうち二つからの少なくとも一つの症状を有する

  1. 自律神経症状
    神経性に引き起こされた低血圧、姿勢起立性心頻拍症、遅延型起立性低血圧、心不整脈を伴うあるいは伴わない動悸、眩暈、バランス消失、息切れ、起立位で体位不安定
  2. 神経内分泌系症状
    熱感と四股冷感、微熱と著明な日周変動、発汗、暑さや寒さに対する耐性の低下、体重の著明な変化、食欲不振または異常な食欲、ストレスによる症状の悪化
  3. 免疫性症状
    インフルエンザ様症状の繰り返し、非滲出性咽頭炎またはイガイガ感、繰り返す熱発や発汗、リンパ節痛や腫脹(通常は軽度の腫脹)、食物や臭いあるいは化学物質に対する過敏性の新しい獲得

〈解説〉
不登校診断は学校に行けないことで容易であるが、これまでに示したCCFS病態に合致するか否かが重要である。診断にあたっては、1.労作後の強い疲労と疲 労感、2.寝付き困難、過眠、昼夜逆転、不眠などの睡眠異常、3.疼痛の有無と身体の場所、4.記憶障害。集中力低下、思考の鈍麻などの神経認知症状、5.自律神経症状、神経内分泌系の症状、免疫性症状など多彩な病態を入念に評価する必要がある。CCFS診断にあたっては 意外な疾患が隠れていることもあるので慎重さを失ってはいけない。表に示すような様々な病態を否定しておかなければならない。

Ⅲ.除外すべき疾患群

A.以下に示すような慢性的な疲労状態を説明できるような活動性の疾患
1.未治療の甲状腺機能低下症
2.睡眠時無呼吸
3.ナルコレプシー
4.悪性新生物
5.白血病(leukemia)
6.完治していない肝炎
7.多発性硬化症
8.若年性関節リウマチ
9.紅斑性エリテマトーデス
10.HIV感染・AIDS
11.高度肥満(BMI>40)
12.Lyme病

B.以下に示すような、慢性的な疲労の存在を説明できる活動性の精神的な疾患群
1.小児期統合失調症または精神病性疾患
2.躁うつ病
3.活動性アルコール依存症または薬物乱用―以下のものを除く
 a.上記であっても治療に成功し解決されている場合
4.活動期の神経性食思不振症(拒食症)および過食症―以下のものを除く
 a.食行動異常であっても治療に成功し解決されている場合
5.うつ病

Ⅳ.明確な説明ができないが疲労状態を示すものであり除外する必要のないもの

1.以下のような精神医学的疾患
 a.不登校
 b.分離不安
 c.不安障害
 d.身体型障害
 e.うつ
2.その他、診断検査で確立することができない症状により定義される以下のような病態
 a.複数の食物あるいは化学物質に対する過敏症
 b.線維性筋痛症
3.その病態に関連している症状を緩和するための特定で十分の治療を受けており、その病態に対して適切な治療が知られているもの
4.その病態が慢性的な後遺症を残す前にしっかりした治療を受けているもの
5.除外疾患の存在を強く示唆するには不十分である、かけ離れた不可解な身体所見、検査、画像所見の異常を示す病態

診断チェック表(診断基準による検討後の疾患名)

Ⅰ.診断(check one)

  • ―CCFS/ME
  • ―CCFS/ME様症状(3カ月の持続以外のすべての古典的症状があてはまる)
  • ―非定形CCFS/ME(一つあるいはそれ以上の古典的症状が欠如するが3カ月以上持続する状態)
  • ―他の疾患

Ⅱ.病気の重症度および回復度

  • ―最軽度(やっと診断できる症状を満たす。特に作業・運動で起こる。普通は登校可能)
  • ―軽度(診断に必要な最低の症状の数を2-3上回る。休息中にも起こる、おそらく登校は可能)
  • ―中等度(診断に必要なさいての症状の数をいくつも上回る、中等度の症状が休息中にも見られ作業・運動で悪化する、登校不能)
  • ―重度(しばしば自宅に引きこもりあるいはベッド上生活)
  • ―部分回復(以前症状が診断基準をすべて満たしたが、現在作業・運動に伴う2-3の症状が残っているだけで登校可能)
    ―完全回復(もはや作業・運動時にも全く症状がなく登校可能)

Performance Status(PS)による小児の疲労/倦怠の程度

0. 通常の学校生活ができ、制限を受けることなく行動できる
1. 通常の学校生活ができ、授業も頭に入るがしばしば疲れを感じる
2. 通常の学校生活ができ、授業も頭に入るが心身不調のため、しばしば休息が必要
 (頭痛。腹痛、だるい、疲れる、気分不良、微熱、保健室訪問増加、遅刻増加、帰宅と同時に寝てしまう、等)
3. 心身不調あるいは何となく、週に2日以上は登校できず、自宅にて休息が必要である
 (1日/週・数日/月の休み出現、学習意欲の低下)
4. 心身不調あるいは何となく、週に2日以上は登校できず、自宅にて休息が必要である
 (休む日の増加、集中力低下や記銘力低下がみられる)
5. 全く登校できず、集中力低下や記銘力低下がみられるが、外出は可能である(特に午後、夜間)
6. 全く登校できず、集中力低下や記銘力低下がみられ、外出もできない
7. 全く登校できず、集中力低下や記銘力低下がみられ、身の回りのこともできるが日中の50%以上は就床している
8. 身の回りのこともできず、終日就床を必要とする

参考:PS-2ではCCFSを疑い、PS-3は発病と診断する。この時点で睡眠時間を1時間程前進させる治療を行うことにより、PS0-1に戻すことができるので、不登校長期化(CCFS)を予防することができる。