【Q&A】よくある質問とその答え

QA_thumb2慣れない概念を理解するのに役立つのはFAQ形式に整理された情報です。このブログでも、小児慢性疲労症候群についてのFAQを用意することにしました。

医療の専門家ではないわたしが不確かなことを書くわけにはいかないので、このFAQでは現代の養生訓―未病を治す不登校外来―眠育から不登校病態を理解するの2冊の書籍から、適切な部分をそのまま用いています。

著作物から長文を抜き出すのは望ましくありませんが、上記の理由からこのページに限りご容赦いただければと思います。


Q.小児慢性疲労症候群(CCFS)とは何ですか?  

A. 約10数年前までは、不登校に陥った子どもたちは、さまざまな中枢神経症状(記銘力低下とともに学習意欲の低下など)を持っているにも関わらず、医学生理学的な検討がなされてきませんでした。

子どもたちは学校に行けなくなると、「学校嫌い」という情緒的なレッテルが貼られたのです。

ですが、そのような患児たちの中には、慢性疲労症候群(CFS)にきわめて類似した病態を持つ患者群がいることが分かってきました。

以前なら疲労困憊した子どもたちに対して、簡単に「心の問題」「家庭の子育ての問題」「生き方の選択」など科学的根拠に乏しい解釈がなされていましたが、今やそういった考えでは済まされない時代に向かいつつあるのです。

…大部分のCCFSは「…高次脳(皮質)機能低下による思考混乱、学習意欲および学習機能低下、さらに極めて回復の遅い疲労に伴う日常生活の破綻」であり「病的状態」と言わざるを得ません。 (p208-209)

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Q.不登校は心の持ちようではないのでしょうか?

A. 文部科学省によれば、「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義されています。

簡単に言えば、明らかな疾患が認められないにもかかわらず年間30日以上学校を欠席してしまう状態を指すのです。この定義にあるように、確固たる背景を見い出せず、心の持ちようによる問題であろう(病気ではない)と解釈されているということです。

この事実はこれまでの不登校理解における医学領域の関与がほとんどなかったために一般の人たち(家族・保護者など)あるいは心理学関係者による解釈が先行定着していることを示しています。

しかし、現在このことが本来の不登校病態理解を著しく損ねる結果となり、文部科学省や学校現場における不登校対策が著しく適切さを欠くものになってしまっていることは否めません。

こういった子どもたちの多くは、朝起きができず過眠型睡眠障害を患っており、奇妙な疲労感、易疲労性、何が起こっているか自らも理解できない状態となり、さらに記銘力低下とともに学習意欲が消失するため学校社会から離脱せざるを得なくなっているのです。(p208)

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Q.CCFSの原因は何ですか?

A. 不登校状態と小児慢性疲労症候群(CCFS)の関係から、私たちはウイルスとの関係をほとんど考えずに、彼らの症状に合わせた臨床的検査をおこなった結果、慢性的な睡眠欠乏との関係を強く示唆する結果を得ています。  (p208-209)

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Q.不登校は体の問題であって、心の問題ではないということですか?

A.心理的な背景はもちろん無視できません。

不安や怒りを背景としたストレスのなかで頑張っているうちに脳の興奮性が高くなり、“脳の休養のための睡眠”の質が低下することにより最終的には睡眠欠乏の蓄積状態となって脳機能が疲労・低下し、日常生活が障害されるのです。 (p135)

 

子どもたちはストレスを過度に受けたときに身体症状を訴えることがあります。

…こういった場合、背景にあるストレスを考慮にいれながら心身両面の治療を専門とする小児科医への早期の受診が必要です。

わが子のことを「情ない/弱い子ども」とか「精神病ではないか」とくれぐれも誤解しないでください。 (p204)

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Q.ほとんどの子どもは学校社会で問題を抱えないので、原因は当人の心の弱さや各家庭ではないでしょうか?

A. 不登校状態の子どもたちに対する心理的な検討の結果には、確かに共通するものが認められることがあるようです。

しかし、このことは不登校状態にある子どもたちの傾向としてコメントできますが、認められる共通の問題が不登校の一因だとして結論するわけにはいかないのです。

…家庭の環境、学校での立場、本人の性格、睡眠に対する資質、睡眠時間短縮に対する耐性、などなど表面ではみえない条件の違いがたくさんあるのが当然ですから、皆同じ条件などありえません。

…1日の学校生活でエネルギーを使い果たし、意欲回復に時間がかかる子もいるでしょう。宿題に取りかかるだけで時間を要し、楽天的な子は「叱られてもいいや、宿題はしない!」ですませることができても、気まじめな子ほどほっておけないので、終わらせるのが夜中になってしまうこともあるでしょう。

…子どもたちは共通して睡眠時間を削って生活していますが誰一人として同じ環境はないはずです。 (p138-139)

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Q.思春期にありがちな自律神経失調症ではないでしょうか?

A. 自律神経症状は、…一般的には不登校状態に陥り家にこもる状態では比較的認めにくくなり、時には消失してしまいます。

典型的な不登校期状態の子どもたちと自律神経失調症状との関連を調査すると、不思議なことに関係がないという結果になることがあります。

しかし、学校社会に復帰しようとする気持ちが現れ、実際に復帰を試みる状態では再び自律神経症状が出現しはじめます。

私たちは、不登校状態には生命維持装置としての視床下部を中心とした脳の働き(自律神経機能だけでなく体温調節機能やホルモン分泌機能)が重要であることを学びました。 (p136)

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Q.起立性調節障害(OD)ではないでしょうか?

A. 中学生の5%に慢性頭痛があると言われています。慢性的な頭痛による不眠のために疲労しており、また起床困難につながり、学校生活にも支障を来すことにもなります。

…起立性調節障害は、起立試験(10分間安静臥床後、血圧、脈拍数、心電図を記録し、引き続いて10分間起立した後、起立位で同様の記録を行う)にて比較的容易に診断できます。

…CCFSでは慢性的な睡眠欠乏状態があり、次に生体リズム混乱を伴う長時間睡眠(10時間)が起こる経過が重要です。 (p205-206,209)

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Q.不登校になる前に、睡眠に問題があったようには見えません

A. 生活リズムに問題がなかったとされる症例でも、いったん不登校状態に至ると生活リズムがずれてしまいます。

生活歴史を振り返るとずっと前から学校に出かけることの大変さを感じている場合が多く、朝起きるのが大変でもっと寝ていたかったのにいつも起こされて休むことが許されなかったと感じていたりするものです。

親や先生の言葉は絶対だと従う気まじめさゆえに、頑張りを続けてきた人たちが時にこのような反応をみせることがあると考えています。 (p136)

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Q.朝起きができず学校に行けなくなった子どもを起こすべきですか?

A. 朝、無理に起こすのは全く効果がありません。この時期は起こさず起きてくるまで待ってください。おそらく10-16時間程度眠ってしまうでしょう。

運がよければ1-2週間ほどで元気が回復し、再登校することもあるでしょう。このときご家族全員で協力して早めに休むようにしてください。

しかし、一般的にはこの状態に陥るといかにあがいても登校は難しくなります。医療が必要ですが、本人は何が起こっているか理解できず非常に疲労していますので、何も手が出せないのが現状です。

なるべく早く不登校専門医療機関を訪ねてください。 (p138)

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Q.登校刺激はしないほうがよいのでしょうか?

A. 不登校状態はその経過において状態は常に均一ではありません。発病から回復までの過程がありますからその過程に従った理解が必要です。

発病初期の過睡眠期での登校刺激は絶対に不可です。…典型的な不登校状態でも登校刺激は控えるべきだと考えています。

学校社会復帰意志の芽生え期頃になると適切な登校刺激がむしろ必要になってくると思われます。この不登校状態の時期をよく観察したうえで適切な登校刺激を積極的にすべきでしょう。 (p141)

※詳しくはp122を参照してください。

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Q.学校に行かないほうが良いということですか?

A. 現在の日本の学校教育に賛成しない人は多いかもしれませんが、学校が必要ないという人は少ないと思います。

学校復帰にはいくつかの条件が必要になりますが、特に学ぶ力の脳機能が回復しないままクラスに出席することを優先する(このような復帰への試みが主流になっている)のは問題があると考えています。 (p142)

生活リズムが整わないまま高校に進学しても、結局登校を持続できません。…ここでは高校卒業にこだわらず、まず自分の生活リズムに従って無理をせずに生活することを考えてください。

そして、中学校の勉強をもう一度おさらいして高卒認定試験を受けてみてください。どうしても不安な方は通信制の高校に移籍しておくことも一つの方法です。

高卒認定試験に合格したら上級学校に向けて予備校や塾で試験勉強をしていただきますが無理に朝起きしなければならない生活は避けてください。 (p143)

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Q.どのように治療するのですか?

A. 長時間睡眠は睡眠時間の割には心身の疲労回復が起こらず、起床と同時に疲労感を覚えるほどで、つまり睡眠の質向上に成功すれば、睡眠時間短縮と疲労回復がなされると考えられます。

軽症の時期にはメラトニンの眠前服用は睡眠時間を前進させ、生活リズムの改善に有効ですが、いったん生活リズムが交代したまま固定すると改善は困難となります。

この場合は超短期型の睡眠剤や中期型の睡眠剤などを合わせて用います。ときにビタミンB12大量療法が有効である場合もあります。

難治例の場合は、カウンセリングや睡眠治療も含めたさまざまなアプローチが必要です。併存する心理的緊張・不安・うつ状態やさまざまな精神的問題に関して抗不安薬や抗うつ薬が必要になります。

そのほか塩酸クロニジンなどの高血圧改善剤は交感神経興奮を抑えることにより、睡眠リズム改善に効果的です。

…このほか、高照度光治療は5000ルクスの光を朝から照射し、朝方にずれ込んでいるメラトニン分泌を抑制して、すっきりと目が覚める生活リズムを取り戻す治療法です。 (p210)

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Q.家族は子どもたちとどう向き合うべきでしょうか?

A. 不登校状態では、学校に行けない自分が悪いのであり「先生に申し訳ない、クラスメイトに何て説明しようか、両親に悪い」と自分を責めています。(p140)

…決して見過ごしてよい状態ではありませんが、苦言というより健康状態を心配するという観点から説得してみてください。

…日常「あなたがどのような状態であっても私たちが見捨てたりすることはありえない。なぜなら大事な子だから。自分たちの命をかけても守り通す」と言ってあげてください。 (p141)

 さまざまな不定愁訴を持つ子どもたちが周囲の理解不足から「仮病」「学校嫌い」と誤解される状況はあまりに過酷です。小児の健康を見守る上で、子どもたちの訴えに丁寧に耳を傾ける姿勢が求められているのです。

また不登校、すなわち「持続する疲労感などの不定愁訴のため登校しない、あるいはしたくともできない状態にある」場合、心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因などなど、想像される背景がどのようなものであれ、その結果引き起こされた不登校状態は周囲にいる大人たちが真剣に取り組まなければならない現代の新しい「病態」であり、とうてい「健康状態」ではあり得ません。 (p210-211)

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現代の養生訓―未病を治すはCFSに詳しい橋本信也先生が編集し、複数の医療関係者がさまざまな健康問題について解説している本です。子どもの健康について友田先生が10ページほど(p202-211)書いておられ、CCFSについて分かりやすく整理されています。

不登校外来―眠育から不登校病態を理解するはCCFSの専門書です。保護者にも分かりやすく書かれており、巻末には、より詳細なQ&Aも掲載されています。CCFSについてさらに詳しいことを調べたい場合はこちらの書籍をおすすめします。