2017年の気になる本のリスト

2017年発刊の、わたしが関心を惹かれた本の一覧です。

気になる本のリストですので、内容を確認していないものも多分に含まれます。新しい情報を見つけ次第、リストを更新・追加していきます。

昨2016年のリストはこちら。

2016年の気になる本のリスト
2016年発刊の、わたしが関心を惹かれた本の一覧です。 気になる本のリストですので、内容を確認していないものも多分に含まれます。翌2017年のリストはこちら。 2016年の

2017年の気になる本

■6/26 IRIS GRACE 小さなモネ 自閉症の少女と子猫の奇跡(仮)
…すてきな絵を描くことで一躍有名になったASDのアイリスちゃんについての本

■5/26 自閉症のうた
…自閉スペクトラム症の当事者また作家である東田直樹さんの新作

■5/25 保健室 2017年6月号 NO.190
…「思春期のうつ」特集。友田先生による「子どものPTSD ストレス・トラウマ・うつ・虐待など」ほか収録

■5/22 愛着関係とメンタライジングによるトラウマ治療: 素朴で古い療法のすすめ
…愛着トラウマとPTSD・解離性障害などトラウマ障害についての最新の治験や治療についての本

■5/20 必ず眠れるとっておきの秘訣! 最新の睡眠科学が証明する~今までの睡眠本では眠れない人へ
…オレキシンの発見者であり、国際統合睡眠医科学研究所の櫻井武先生の新刊

■5/20 不眠症治療のパラダイムシフト―ライフスタイル改善と効果的な薬物療法
…睡眠研究の三島和夫先生の新刊

■5/17 自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実 (ブルーバックス)
…「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラーなどを受賞した自閉症についてのノンフィクション。序文で故オリヴァー・サックスが推薦しているのだとか。

(誤訳問題が指摘されていました。スティーブ・シルバーマン『自閉症の世界』の翻訳について - サイコドクターにょろり旅 )

■5/8 子どもの敏感さに困ったら読む本: 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方
…長沼先生のHSC(人いちばい敏感な子ども)の本

■5/1 慢性疼痛とオピオイド依存症の患者マネジメント

■4/19 寝ても寝ても疲れがとれない人のための スッキリした朝に変わる睡眠の本
…東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身先生による睡眠の質の向上についての本

■4/15 心を操る寄生生物 : 感情から文化・社会まで
…微生物が脳の神経系に及ぼす影響についての神経寄生生物学の研究

■4/12 アスピーガールの心と体を守る性のルール
…アスペルガー女性が性被害から身を守るためのアドバイス

4/8 自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く
…自閉症の子どもは方言をしゃべらないという噂の真偽を調査した本

■4/7 解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病 (電子版)
2012年の本の電子版

■4/6 睡眠の教科書――睡眠専門医が教える快眠メソッド
…睡眠障害の第一人者アリゾナ・プレスコットバレー睡眠障害センターのロバート・ローゼンバーグによる解説。

PTSDの睡眠障害と、ADHDの睡眠障害についての部分が非常に興味深かったです。PTSDでは、睡眠時無呼吸症候群によってREM睡眠が中断し、トラウマ処理に失敗していることが多く、CPAP治療で不安や悪夢が改善するそうです。

またADHDではこのブログでも書いていたことですが、睡眠不足との区別がつきにくく、大人になってからのADHDの多くは睡眠障害の誤診だとされていました。多い睡眠障害としては睡眠時無呼吸症候群のほか、ナルコレプシー、レストレスレッグスなどだそうです。近年ではそもそも睡眠障害がADHDの兆候だとする説もあるとのこと。

興味深いことに、不眠症の疾病素質のところで、遺伝的な敏感さが挙げられていて、エレイン・アーロンの『ささいなことでもすぐに「動揺」してしまうあなたへ』が推奨されています。これからの睡眠専門医には、発達障害の理解だけでなくHSPの知識も必要だと言えそうです。(p80)

■3/25 閉じこめられた僕 難病ALSが教えてくれた生きる勇気
…50歳でALSと診断された著者が眼の動きによって書いた闘病記。発売一週間後の3/31に逝去された。

■3/24 コミックエッセイ 敏感過ぎる自分に困っています
…長沼先生によるHSPのコミックエッセイ

■3/15 改訂 起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応改訂 起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック
…起立性調節障害(OD)の第一人者田中英高先生の著書の改訂版

■3/15 情動とトラウマ: ―制御の仕組みと治療・対応―
…児童思春期~成人期におけるトラウマ治療についての解説

■3/1 新版 よくわかる境界性パーソナリティ障害 (こころのクスリBOOKS)
…帝京大学医学部附属病院メンタルヘルス科の林直樹教授によるBPDの本

イラスト入りの大判でたいへん読みやすく、本人や家族が境界性パーソナリティ障害の特徴を把握するのにうってつけの本です。

境界性パーソナリティ障害の人がいわゆる「人格」の障害を負っているのではなく、さまざまな理由から認知が歪んでしまって、周囲を困らせるような行動を取ってしまうのだ、ということが筋道立てて説明されています。

ダイアナ元王妃やマリリン・モンロー、作家のスザンナ・ケイセンや太宰治など、境界性パーソナリティ障害と闘った著名人の例も紹介されていて、ときには深刻な結果になる反面、うまく乗り越えて繊細さを活かしていくこともできる、という生きた事例を学べます。

近年 境界性パーソナリティ障害を専門に扱う治療法として注目されている弁証法的行動療法(DBT)やメンタライゼーション療法(MBT)がしっかり紹介されているほか、リストカットへの家族の対応など詳しく説明されていて、実践的な内容に感じました。

■2/28 線維筋痛症を自分で治す本
…ハートメディカル代表による中医学をベースとした線維筋痛症へのアプローチ

■2/25 ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)
…SNSの炎上などで悪い評判がネット上に刻まれ、トラウマを負った人たちの実情と、救済策を取材した本

ものすごく恐ろしくて、生生しくてショックで、しかしあまりに身近で考えさせられる本でした。最近 読んだ本の中でも特に現実味があって価値があると感じました。事例の中には、このブログで紹介した本の著者もいて、他人事とは思えません。

ごく普通にSNSをやっていただけの人が、ちょっと悪趣味なジョークを飛ばしただけで、またたく間に公開羞恥刑にされ、人生が破壊される。Google検索などの上位が埋められるので、検索されるとすぐわかって、リアル社会でも仕事がなくなる。何より罵詈雑言を浴びせられて深刻なPTSDになる。

なぜその人だったのかもよくわからず、運の悪い事故や通り魔的なものかもしれない。しかし、その公開羞恥刑に加わるのはごく普通の人たちで、SNSは同じような層が寄り合いやすいせいで、炎上が拡大しやすい、という話です。

心理学的な話題としても、フィリップ・ジンバルドーの有名すぎる「スタンフォード監獄実験」は、実は結果を読み違えている、という洞察や、なぜ炎上した女性がこれほど性暴力的な憎しみを向けられるのか、終わりのほうの「公に恥をかかせる」というのがどれほど人間を打ちのめし、再起不能にさせてしまうかといった部分はハッとさせられました。

特に恥の病理については凶悪犯罪のおおもとには、幼少期の耐えきれない恥による感情のシャットダウン(つまり解離)があり、そうしてゾンビのようになった犯罪者たちは刑務所でさらに非人道的な扱いを受ける、というこの世の地獄のような状況を垣間見ました。また現代の裁判所でリアルに公開羞恥刑のような尋問が行われていて、それによって性犯罪の被害者が自殺した例などは思わず絶句します。

あとがきによると、この本の原題は「だから君は公開羞恥刑に遭った」であり、もともとは単に「恥」というタイトルにしようかとも考えていたそうです。解離は恥と非常に関わりが深く、耐えきれない恥が感情をシャットダウンするともいえるので、意外にもこのブログと大変関わりの深い本でした。

最後は、「忘れられる権利」の必要性と、すでにそれを実行してGoogleの検索結果を操作しようとするエキスパートたちの取り組みが紹介されています。Amazonレビューで、「全ネットユーザーの必読書」と書いている方がいましたが、たしかにそうかもしれません。

「ツイッターは、かつては何気なく、深く考えずに自分の考えをつぶやくことのできる場所だった。ところが今では、常に不安を感じながら、慎重に物を言わねばならない場に変わってしまった」という言葉が印象的でした。

著者のTEDもありました。

ジョン・ロンソン: ネット炎上が起きるとき | TED Talk | TED.com

なぜ耐えがたい恥は人を生ける屍にしてしまうのか―「公開羞恥刑」と解離の深いつながり
公衆の面前で恥をかかせるという刑罰「公開羞恥刑」。現代のいじめやSNSの炎上、子ども虐待などが、いかに公開羞恥刑のようにして人を辱め、その結果、被害者の心を殺害し、解離させてしまう

■1/27 COCORA 自閉症を生きた少女 1 小学校 篇COCORA 自閉症を生きた少女 2 思春期 篇
…自閉症スペクトラム障害の著者による自伝的小説。杉山登志郎先生推薦。

■1/25 自閉症と感覚過敏―特有な世界はなぜ生まれ、どう支援すべきか?
…福井大学の熊谷高幸先生による自閉症の感覚世界の考察

感想:自閉症のさまざまな症状の根本にあるのが感覚過敏である、という最近の理解を、当事者の自伝やアンケート結果からわかりやすく説明した本。

注意の切り替えの難しさ、こだわり、コミュニケーションの苦手さ、自己刺激的行動など、一見つながりがわかりにくい自閉スペクトラム症の症状が、感覚過敏というひとつのキーワードによってどう結びつくかが丁寧に説明されています。

とても読みやすくわかりやすい反面、裏づけ実験などへの言及がほとんどなく、主観に基づいているので、専門家の本というより、ネットの個人ブログの考察のような印象も。感覚過敏にまつわる様々な話題をおおまかに把握するのに良い本でした。

■1/24 親に壊された心の治し方 「育ちの傷」を癒やす方法がわかる本 (こころライブラリー)
…自らも虐待のサバイバーであり博士号も持つ著者による自尊感情回復プログラム「SEP」の本

■1/20 新装版 不安でたまらない人たちへ: やっかいで病的な癖を治す
…強迫性障害(OCDの専門家シュウォーツ教授による行動療法「四段階方式」についての本の新装版

■1/19 うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち
…自身の体験やうつ病からの脱出した人たちへの取材から書かれた、うつ病のドキュメンタリーコミック。

■1/21 解離の舞台―症状構造と治療
…解離の専門家、柴山雅俊先生による、解離の症状や自閉スペクトラム症との鑑別、治療方法などを解説した本。(出版社による目次)

感想:「解離の構造」と似ている部分も多いですが、近年の話題を取り入れて、より具体的になっているように思います。 ■解離の自己イメージと色 ■解離型自閉スペクトラム症 ■無秩序型愛着と過剰同調性、解離人格のつながり などは新しく興味深い内容でした

定型発達の解離性障害と、解離型ASDの類似点や違いについて詳しく書かれていて参考になりました。 ASDの人のICは、定型発達のICと幾分異なっていて、身につける仮面のような役割を持っていることが多い、という部分は、前にブログで考察したとおりで安心しました。

テーブルテクニック(自我状態療法)やブラインドテクニック、マインドフルネス、グラウンディングなどの技法も簡単に紹介されていて、具体的にどんな場面で役立つのか理解が深まった気がします。特に過剰同調性と色の考察が面白かったです。

「解離型自閉症スペクトラム障害」の7つの特徴―究極の少数派としての居場所のなさ
解離症状が強く出る解離型自閉症スペクトラム障害(解離型ASD)の人たちの7つの症状と、社会の少数派として生きることから来る安心できる居場所のなさという原因について書いています。