PTSDと解離の11の違い―実は脳科学的には正反対のトラウマ反応だった

21世紀に入って大規模なテロ行為や、自然災害が増えるにつれ、ニュースなどでよく見聞きするようになった言葉のひとつに、PTSD、すなわち心的外傷後ストレス障害という病名があります。

PTSDは、突然恐ろしい出来事や犯罪行為に巻き込まれた後、神経が高ぶって敏感になり、繰り返すトラウマ記憶のフラッシュバックに悩まされる脳の機能障害です。

一方で、近年、PTSDほどではないものの、比較的よく知られるようになった病気として、解離性障害というものがあります。解離性障害は、現実感がなくなったり、記憶が失われたり、ときには別の人格が現れたりする病気です。

解離性障害は、PTSDをもたらす災害などのトラウマとは別に、子ども虐待に伴いやすいものとして、知られるようになりました。しかし近年では、一見それほどトラウマ経験がないような環境で育った人にも発症することもわかってきました。

PTSDと解離性障害は、どちらも、トラウマの後遺症として生じやすい病気ですが、なぜ、ある人はPTSDとしてフラッシュバックに苦しめられ、別の人は解離性障害として現実感の薄れる感覚に苦しめられるのでしょうか

解離新時代―脳科学,愛着,精神分析との融合には、そのヒントとなる次のような説明があります。

ところで解離において右脳で起きていることを知るためには、心的外傷後ストレス障害(以下PTSDと記載する)の右脳で起きていることを理解する必要がある。

解離とPTSDは、ともに心的なトラウマに対する心ないしは脳の反応といえるが、そこではおおむね逆のことが起きているものとして説明し、理解するのが最近の傾向である。(p19)

PTSDと解離は、ストレスに対する、脳の反応としては「おおむね逆のこと」だったのです。

この記事では、幾つかの本に基づいて、PTSDと解離が、どんな正反対の特徴を持っているか考えます。

そして、それぞれが、これまで別の分野の問題と思われていたADHDや愛着障害と、どのように密接に結びついているかを考察して、近年増えてきたとされるこれらの問題の全体像を明らかにしたいと思います。

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イマジナリーフレンド(IF)「私の中の他人」をめぐる更なる4つの考察

たしの中にいる他人。心の中に別の人がいる。存在を感じるだけでなく、完全に第三者的な思考を持っていて、友人のように会話することもできる。

そのような感覚を感じることがありますか?

ある人たちは、そのような話を聞くと、何か病的な印象を受けるかもしれません。おそらく、頭の中に声が聞こえるという統合失調症や、心が多くの別人に分かれる多重人格、すなわち解離性同一性障害(DID)を思い浮かべるのでしょう。

しかし、「豹変する心」の現象学―精神科臨床の現場からという本で、そうした病気を専門とする大饗(おおあえ)広之先生ははっきりと、次のように述べています。

たとえば「頭のなかにもう一人の自分がいる」と訴える人がいても、もはやわれわれは彼をすぐさま病的と決めつけるわけにはいかない。

彼らに統合失調症や多重人格などという診断は当てはまらないし、それどころか、その訴えをすぐに「症状」とみなすことさえできない。

信じられないかもしれないが、そういった軽微な人格の複数化が潜在的にはかなりの勢いで拡がっているのである。(p3)

ここでは、そうした現象は、必ずしも「病的」ではなく統合失調症や多重人格の診断は当てはまらず、むしろ意外なほど多くの人が経験しているかもしれない、と書かれています。

この現象は医学的にはイマジナリーコンパニオン(IC:想像上の仲間)、より日常的にはイマジナリーフレンド(IF:空想の友だち)と呼ばれる現象で、いまだ多くの謎に包まれています。

このブログでは、1年半前に、IFについての詳しい考察を書きました。当時は、わたしの知識の及ぶ範囲としては、書けることはすべて網羅したと考えていました。

しかしそれ以降読んだ多くの本、たとえば先ほど挙げた大饗広之先生の「豹変する心」の現象学―精神科臨床の現場からや、岡野憲一郎先生の解離新時代―脳科学,愛着,精神分析との融合、アリソン・ゴプニック先生の哲学する赤ちゃん (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)などを通して、より理解が深まったので、改めて考察をまとめることにしました。

こうした軽微な人格の多重化の原因は何なのでしょぅか。本当に病的でないとみなしても大丈夫なのでしょうか。解離性障害や発達障害との関わりはあるのでしょうか。4つの観点から考えてみたいと思います。

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軽度外傷性脳損傷や脳脊髄液減少症で生じる光過敏などの視覚機能障害

の記事は以下の記事の補足です。

光の感受性障害「アーレンシンドローム」とは―まぶしさ過敏,眼精疲労,読み書き困難の隠れた原因
まぶしさや目のまばたき、眼精疲労、ディスレクシア、学習障害、空間認識障害などの原因となりうる、光の感受性障害「アーレンシンドローム」についてまとめています。偏頭痛や慢性疲労症候群や

本文では、発達障害や学習障害などに伴う、先天的な光の感受性障害について取り上げましたが、やはり「アーレンシンドローム」と同様の光過敏を抱えることで知られている病気の中に、頭部外傷や脳震盪、むち打ちの後遺症があります。

脳脊髄液減少症を知っていますか―Dr.篠永の診断・治療・アドバイスなどの本で説明されているとおり、従来、むち打ち後の後遺症や、軽度外傷性脳損傷とみなされてきた病態の多くは、脳脊髄液減少症だった可能性があります。

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光の感受性障害「アーレンシンドローム」とは―まぶしさ過敏,眼精疲労,読み書き困難の隠れた原因

■いつも光がまぶしすぎる
■まばたきが多く、疲れ目になりやすい
■外出したり、蛍光灯の下で作業したりすると、疲れや頭痛が生じる
■本を読むのが苦手で、文を飛ばしたり、文字が見分けにくかったりする
■距離感をつかむのが苦手で不器用
■音や匂いなどの感覚過敏もある

なたは、こうした問題に悩まされることがありますか?

ここに挙げた、まぶしさや読み書き困難、不器用さなどの症状は、これまで、眼精疲労やディスレクシア(読み書き困難)など、別々の分野の問題とみなされてきました。

しかし、近年の発見によると、ある一つの共通の原因が関係しているかもしれません。

それは、「アーレンシンドローム」と呼ばれる光の感受性障害(Scotopic Sensitivity Syndrome:SSS)、つまり、特定の波長の光をうまく処理できない脳の認知システムの問題です。

「アーレンシンドローム」を持つ人たちは、普通の明るさのもとでもまぶしさを感じたり、文字を読むのに人一倍の集中力が求められたり、距離感をつかむのが難しかったりして、生活のさまざまな場面でストレスや困難を抱えやすくなります。

このような光の感受性障害に悩む人は、発達障害や学習障害の子どもをはじめ、一見、読み書きが得意なように思われる成績優秀な学生、さらには、偏頭痛やむち打ち、慢性疲労症候群、線維筋痛症の患者など、実にさまざまです。

興味深いことに、これらすべてのケースにおいて、色つきフィルターを用いた「アーレン法」と呼ばれる治療によって、症状を軽減できる可能性があるといいます。

「アーレンシンドローム」とはいったい何なのでしょうか。どのような特徴があり、いかにして治療できるのでしょうか。

発見者また第一人者であるヘレン・アーレンの本の待望の邦訳、アーレンシンドローム: 「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応 から考えてみたいと思います。

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慢性疲労症候群では腸内細菌の多様性が低下(コーネル大学の研究)―自己免疫性の脳の慢性炎症の原因?

性疲労症候群(ME/CFS)の患者の腸内細菌を調査し、患者を約83%の確率で見分けられる異常が発見されたという米国コーネル大学のルドビク・ジロトー博士(Ludovic Giloteaux)らの研究結果が、6月23日に雑誌「Microbiome」に発表されたそうです。

研究を統括したのは、微生物学者のモリーン・ハンソン教授(Maureen Hanson | Department of Molecular Biology and Genetics)だそうです。

Indicator of chronic fatigue syndrome found in gut bacteria | Cornell Chronicle はてなブックマーク - Indicator of chronic fatigue syndrome found in gut bacteria | Cornell Chronicle

慢性疲労症候群は脳でなく腸と関係か :世界の最新健康・栄養ニュース

慢性疲労症候群の診断は腸で | 美容経済新聞

慢性疲労症候群は健常人と比較すると腸内細菌叢が変化している : 腰痛、肩こりから慢性広範痛症、線維筋痛症へ           ー中枢性過敏症候群ー  戸田克広

その疲労、本当に肉体的な疲れが原因ですか?腸内細菌叢の乱れが慢性疲労を引き起こしているかも?

いくら休んでも疲れが取れない... 慢性疲労症候群は腸内環境の異常が原因か? : Aging Style(エイジングスタイル)

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