解離性障害をもっとよく知る10のポイント―発達障害や愛着障害,空想の友だちとの関係など

記憶が失われる、自分が自分でないように思える、現実感がなくなる、さまざまな幻聴が聞こえ、視界に黒い影が見える、だれかの気配を感じる、自分の中に他人がいる、 次々に別の人格が出てくる…。

うした症状は「解離性障害」として知られています。有名な記憶喪失(解離性健忘)や、多重人格(解離性同一性障害)も、この「解離性障害」と呼ばれる病気の一つです。

解離性障害はしばしば子ども虐待や性犯罪のようなおぞましい事件の被害者が発症する極めて異常な病気だと説明されることがあります。確かに悲惨なトラウマ経験の結果、解離性障害になる人もいます。

しかし、実際には、解離性障害の原因はもっとさまざまであり、目立ったトラウマ体験がない、ごく普通と思える家庭の子どもが発症することもあります。またADHDやアスペルガー症候群といった発達障害が関係していることもあります。

さらに、意外に思えるかもしれませんが、解離性障害は決して異常な病気ではなく、たとえさまざまな解離症状があっても、病気とはみなされず、ごく普通に暮らしている場合もあります。

頻繁な離人感や、空想の友だち現象、さらには複数の人格が自分のうちに存在するという強い解離症状があっても、それをうまくコントロールして社会に適応している「マイノリティ」な人たちもいるのです。

この記事ではこころのりんしょうa・la・carte 第28巻2号〈特集〉解離性障害という本やその他の資料から、解離性障害の原因や実態をもっとよく知るのに役立つ10のポイントをまとめてみました。

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なぜ「脳は空より広い」のか―実はコンピュータとは全然違うダイナミックな脳の魅力に迫る

静かな畑と生垣を楽しんでいたとき、目に入った―牛だ!

しかし、動物の生態に対する新たなエーデルマン的視点で見ると輝いている。

脳がたえずあらゆる知覚と動きをマッピングしている牛、カテゴリー化とマッピング、一次意識という奇跡の過程ではち切れそうな、エーデルマンの牛だ。

「なんてすばらしい動物なんだ!」と、私は心のなかで思った。「これまでこんな目で牛を見たことはなかった」(p441)

れは、脳神経科医オリヴァー・サックスによる、道程:オリヴァー・サックス自伝の中で、ひときわ感動的に綴られている体験の一つです。

オリヴァー・サックスは、ある日、田舎をドライブしていて、一頭の牛を見かけました。それはただの牛です。ほとんどの人が何の気にも留めないごく普通の牛です。

ところがサックスはちょうど、二、三週間前に、ノーベル賞生物学者、ジェラルド・エーデルマンから、刺激に満ちた脳のメカニズムの仮説「神経細胞群選択説」(TNGS)について聞かされ、いたく感動したところでした。

TNGSの視点から、そのごくありふれた一頭の牛を見たとき、サックスは、その牛の脳で生じている驚くべき世界に思いを馳せ、畏怖の念を禁じ得なかったのです。

エーデルマンが提唱した画期的な脳の仕組み「神経細胞群選択説」(TNGS)とは何でしょうか。人間の脳がコンピュータよりも、もっと柔軟ですばらしいと言えるのはなぜでしょうか。

わたしたちが「私」を意識できるのはどうしてでしょうか。「私」が二つ以上ある、解離性同一症(DID)の人の脳では何が起こっているのでしょうか。

ジェラルド・エーデルマンの著書脳は空より広いか―「私」という現象を考えるから考えてみたいと思います。

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なぜ人は死の間際に「走馬灯」を見るのか―解離として考える臨死体験のメカニズム

恐れも、後悔も、混乱も、苦痛もなかった。たとえば、火事のさなかのような、ゆるやかな死の危険に伴いうる、身のすくむような恐怖は、誰一人として感じなかった。

思考の働きは通常の速さや激しさの100倍にもなった。客観的な明晰さをもって、出来事とその結果を眺めることができた。

時間は止まっていた。次いで、しばしば、自分の全過去が突然蘇ってきて、落下している者は最後に壮麗な音楽を聞く。(p328)

の間際に、これまでの人生のさまざまな思い出が映像として見える体験は、わたしたちがよく知っているとおり、日本では「走馬灯」と呼ばれてきました。

これは世界中のほとんどの地域の人が経験しうるもので、1928年、イギリスの神経学者S・A・キニア・ウィルソンによって「パノラマ記憶」(パノラマ体験、パノラマ視現象とも言われる)と命名されました。(p321)

人が死の間際に経験する現象には、ほかにも「あの世」や「三途の川」などの美しい風景を見たというものや、魂が抜け出たかのように感じる「体外離脱」などがあり、非常に多くの類似した報告があります。

たいていこれらの臨死体験は、オカルトやスピリチュアルなものとされがちですが、実際にはこのブログで何度も取り上げてきた脳の防衛機制「解離」と密接に関連した生物学的現象だと思われます。

そういえるのは、死に瀕した人が誰でもこの現象を経験するわけではないという事実、そして死に瀕さなくても、解離性障害てんかんの患者が非常に似通った経験をしているという事実があるからです。

この記事では、なぜ年をとると時間の経つのが速くなるのか 記憶と時間の心理学などの本を参考に、「走馬灯」をはじめとする臨死体験の正体を探ってみたいと思います。

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雑誌「心身医学」2016年No5で特集「線維筋痛症の心身相関と全人的理解」

4/25に発売された雑誌「心身医学 」56巻5号で「線維筋痛症の心身相関と全人的理解」が特集され、線維筋痛症の専門家の村上正人先生岡 寛先生らが執筆しておられました。

雑誌を販売しているオンライン書店Fujisanから目次の一部を引用します。

心身医学の最新号 | Fujisan.co.jpの雑誌・定期購読 はてなブックマーク - 心身医学の最新号 | Fujisan.co.jpの雑誌・定期購読

■特集
第56回日本心身医学会総会ならびに学術講演会
会長講演 新しい時代に求められる心身医学とは・・・村上正人
特別講演 高齢化社会の生き方と支え方・・・長谷川和夫
シンポジウム/線維筋痛症の心身相関と全人的理解
司会のことば・・・細井昌子・仙波恵美子
線維筋痛症の痛みはどうして起こるのか・・・仙波恵美子
線維筋痛症のマネジメント・・・岡 寛
線維筋痛症患者が求める全人的医療とは-こじれた痛みと悩み・・・橋本裕子
線維筋痛症患者における心理的支援の再構築と臨床実践への取り組み・・・金 外淑・他
線維筋痛症の心身相関と全人的アプローチのための病態メカニズムの理解・・・細井昌子・他

線維筋痛症の身体的な苦痛だけでなく、心理的な苦しみや、心身両面に問題に対するケアなどが扱われているようです。

【5/27発売】「教育と医学」2016年6月号で小児慢性疲労症候群が特集されます

2016年5月27日発売の月刊「教育と医学」2016年6月号で小児慢性疲労症候群(CCFS)が扱われます。価格は税込740円です。

6月号の2つの特集のうち、特集2のほうで小児慢性疲労症候群が扱われ、三池輝久先生、倉恒弘彦先生、水野敬先生による計3つの記事が収録されているそうです。

慶應義塾大学出版会 | 教育と医学 第64巻6号 通巻756号 | 特集1・「チーム学校」の可能性を考える/特集2・疲れやすい子ども(小児慢性疲労症候群)の理解と対応

[特集2]朝は起きられなくて夜は元気、そのため学校に行けなくなるといった子どもは珍しくなくなっています。

また、最近は「慢性疲労症候群」という病気が注目され、不登校の原因ともなっているようです。

今、解明が進められてきている慢性疲労症候群について、症状や対応の仕方を解説します。

特集2・疲れやすい子ども(小児慢性疲労症候群)の理解と対応
小児慢性疲労症候群とは………三池輝久
疲れやすさと慢性疲労症候群(CFS)………倉恒弘彦
疫学や脳科学からみる小児慢性疲労症候群………水野 敬

教育関係者の方や、疲れやすい子どもの問題に関心のある方は読んでみるといいかもしれません。Amazonでも予約開始されていました。

▼追記(2016/05/28)
感想を書きました。

脳は絶望的状況で空想の他者を創り出す―サードマン,イマジナリーフレンド,愛する故人との対話
絶望的状況でサードマンに導かれ奇跡の生還を遂げる人、孤独な環境でイマジナリーフレンドと出会い勇気を得る子ども、亡くなった愛する故人と想像上の対話をして慰めを得る家族…。これらの現象