人生に「死んだ時間」などない―病気や逆境をクリエイティブに乗り越えた人たちから学べること

構内放送が1時間の遅れを告げた。周囲にいた人々は不平を漏らしたり、駅員を怒鳴りつけたりした。1時間の空白。何もすることのない、言わば死んだ時間。

しかし息子にとって死んだ時間などというものはなかった。スケッチブックを取り出すと、怒る客たちの姿を描き始めた。(p111)

なたは今、病気や障害、ひどい環境などの逆境に直面していますか?

自分ではどうしようもない状況に置かれると、やりきれない気持ちになるかもしれません。

望ましい環境なら発揮できたはずの才能や、達成できたかもしれない夢について考えると、自分は、人生の多くの時間を無駄にしている「死んだ時間」を過ごしていると思うかもしれません。

そんなとき、自分ではどうにもできない様々な逆境に直面し、それでもなお、その中で創意工夫を働かせて自分の運命を乗り越えた人たちについて知ると、少し見方が変わるかもしれません。

この記事では、「クリエイティブ」の処方箋―行き詰まったときこそ効く発想のアイデア86という本から、人生最悪の逆境に陥っても決してあきらめず、むしろクリエイティブな発想でそれを乗り越え、さらに成長していった人たちについて考えたいと思います。

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いつも時間がない人の処方箋―常に手術室が足りない病院が実践したたった一つのこと

ズーリ州の救急病院、セント・ジョンズ地域医療センターは、手術室の問題を抱えていました。

32の手術室で年間3万件の外科出術が行われていて、急患が出ると午前二時に手術するほどでした。

この のっぴきならない状況は、常に予定に追われて、「いつも時間がない人」の場合とよく似ています。

この病院の場合、手術室が足りない状況を打開するためにできる選択肢は、以下のうちどれでしょうか。

    A.手術室を増設する

    B.残業を増やす

    C.その他

このうち、A.やB.の選択肢は、「時間がない人」の場合は、重要でない予定や睡眠時間などを削って、さらに働く時間を増やすことに相当するでしょう。

しかし、セント・ジョンズ病院が選んだたった一つの解決策は、だれもが予想だにしない第三の選択肢だったのです。

いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学という本を紹介したいと思います。

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解離性障害は脳の一部だけ眠る睡眠障害かもしれない―覚醒と夢のはざまの考察

したがって解離の病態は覚醒を夢の方向に引き寄せ、夢を覚醒の方向へ引き寄せていると考えられる。

入眠時体験において解離の病態はもっとも顕著に現れる。(161)

近、さまざまな本を読んでいて、漠然と気になっていたことがありました。それは、解離性障害が、ある種の睡眠障害と酷似していることでした。

起きている間に別人格に切り替わる解離性同一性障害と、眠るとともに別の人格のように行動するノンレムパラソムニア

寝入りばなに入眠時幻覚を見るナルコレプシーと、起きながら幻視を見る解離性障害。

さらには睡眠不足の子どもがADHDに似る多動症状と、解離傾向の強い子どもがやはりADHDに似る反応性愛着障害

こうしたさまざまな睡眠障害と解離の共通点を探していくうちに、解離性障害とは脳の一部が眠る、ローカルスリープの睡眠障害ではないか?という着想を持ちました。

こうした理論が他にあるのかどうか詳しく知りませんが、冒頭に挙げた解離の構造―私の変容と“むすび”の治療論の柴山雅俊先生の言葉をはじめ、さまざまな専門家の文献が、そのような考えを示唆しているように思います。

この記事では、<眠り>をめぐるミステリー―睡眠の不思議から脳を読み解く (NHK出版新書)など幾つかの本を参照しつつ、睡眠障害として考える解離のメカニズムを、あくまで個人の推測の範囲内でまとめてみたいと思います。

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いつも「今年こそ本気出す」と言っては新年の目標を達成できない3つの理由

何よりもしてはいけないのが、新年の抱負をリストアップすることだ。(p55)

日は2016年1月1日。

毎年元旦になると、一年の目標や抱負をリストアップする人もいるでしょう。ほとんどの人は一年の目標をリストアップしたりブログに書いたりするのが大好きです。

しかし、年末になるころには、すっかり目標を忘れていたことに気づいて後悔し、「来年こそ本気だす!」と決意して、また新しい年を迎えるかもしれません。そうして毎年毎年、同じような目標を立てては挫折を繰り返します。

なぜ新年の目標をリストアップすると達成できないことが多いのでしょうか。目標や抱負を達成可能なものにするには何が役立つでしょうか。

意志力について長年研究してきた、ロイ・バウマイスター博士による、WILLPOWER 意志力の科学という本から3つの理由を考えてみたいと思います。

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ネガティブシンキング恐怖症―何でもポジティブに!と考える人の落とし穴

■怒りや恐怖を感じるのは健康に悪い
■人前で悲しみを見せるのは恥ずかしいことだ
■何でもポジティブに受け流せるようにならなければならない
■ネガティブ思考は百害あって一利なし!

向きに、ポジティブに、積極的に。

このようなアドバイスは、テレビを見ていても、本を読んでいても、呪文のように繰り返し唱えられているのを目にします。

怒り、悲しみ、恐怖といったネガティブな思考は、いつも悪者にされ、病気の原因、ストレスのもとと言われて槍玉に挙げられています。

しかし、近年の心理学研究によると、そのような「ポジティブシンキング」礼賛には、大きな落とし穴があります。むしろそれは「ネガティブシンキング恐怖症」とも呼ぶべき心の病理です。

なぜ何でもポジティブに対処しようとする態度は危険なのでしょうか。ネガティブシンキングは万病の元ではないのでしょうか。 脳科学は人格を変えられるか?などの本から考えたいと思います。

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