心的外傷後成長(PTG)とは―逆境で人間的に深みを増す人たちの5つの特徴

ただ、本文でも繰り返し触れられているが、過酷な体験をした人が単純にPTGの道を歩みはじめるわけではない。

もがき苦しみながら、行きつもどりつし、揺れ動きながら、PTSDとPTGが併存するような形で進んでいくことも多い。(pii)

ラウマ経験によってひどい後遺症を負ってしまう人たちを意味する概念、つまり心的外傷後ストレス障害(PTSD)という言葉は、今ではほとんどの人が知っている有名な言葉になりました。

その一方で、あまり知られていない言葉があります。それは心的外傷後成長(PTG)。逆境を通して、人間的に成長し、深みを増す人たちを指す言葉です。

逆境を通して成長するという考えは、今まさに苦しみのさなかにいる人たちにとって、受け入れがたいものかもしれません。まるで苦しみや悲しみを望ましいものとして扱っているかに思えるからです。

しかしこれから考えていくように、心的外傷後成長(PTG)は、苦しみを正当化するものではありません。心の弱い人はPTSDになり、心の強い人はPTGになるという単純なものでも決してありません。

PTGとは、どのような状況で生じるものなのか、PTGを経験する人たちには、どんな5つの特徴があるのか。

悲しみから人が成長するとき―PTGや、冒頭に引用したPTG 心的外傷後成長―トラウマを超えてという本から考えてみたいと思います。

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ダーウィンも気をつけた「アインシュテルング効果」とは? 人は自分の意見の裏づけばかり探してしまう

アインシュテルング効果の真の危うさは、まさにここにある。

自分が偏見なしに考えていると信じていても、新しいアイデアを刺激する可能性のある事柄から自分の脳が選択的に注意をそらしていることにまるで気づいていない可能性があるのだ。

自分がすでに抱いている結論や仮説と一致しないデータは、無視されるか捨てられてしまう。(p47)

なたは、自分は偏見がなく、おおらかな人間だと思いますか?

わたしたちの大半は、自分は人の意見をよく聞き、柔軟な考え方をしているほうだ、と思っているかもしれません。

ところが実際には、だれもが自分の考えに固執し、新しいアイデアや価値観を退ける、という根深い傾向を持っています。

無意識のうちにわたしたちの見方を左右しているその傾向は、「アインシュテルング効果」と呼ばれていて、医療・裁判・科学など、さまざまな分野で、いえ、それどころか、わたしたちの日常生活でも、頻繁に偏った見方を生んでいます。

アインシュテルング効果とは何でしょうか。わたしたちは知らず知らずのうちにどんな偏った見方をしているのでしょうか。ダーウィンはどのようにしてそれに対処していたのでしょうか。

日経 サイエンス 2014年 05月号 [雑誌]ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)などから考えてみたいと思います。

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脳脊髄液減少症の治療法ブラッドパッチがついに保険適用に

2016年1月14日の厚生労働省の先進医療会議において、脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)の代表的な治療法であるブラッドパッチ療法を保険適用すべきだと判断されたというニュースがありました。

近々開かれる中央社会保険医療協議会で正式に承認される見通しだということです。(追記:1/20に承認されました)

クローズアップ2016:髄液漏れ治療法、保険適用へ 患者ら悲願達成 医学研究前進の10年 - 毎日新聞 はてなブックマーク - クローズアップ2016:髄液漏れ治療法、保険適用へ 患者ら悲願達成 医学研究前進の10年 - 毎日新聞

髄液漏れ:治療法ブラッドパッチ、保険適用と結論…厚労省 - 毎日新聞 はてなブックマーク - 髄液漏れ:治療法ブラッドパッチ、保険適用と結論…厚労省 - 毎日新聞

髄液漏れ:保険適用へ 中医協、近く承認 - 毎日新聞

脳脊髄液減少症の治療法 保険適用へ|日テレNEWS24 はてなブックマーク - 脳脊髄液減少症の治療法 保険適用へ|日テレNEWS24

髄液漏れ:中医協、保険適用決定 患者ら「ようやく」喜び - 毎日新聞 はてなブックマーク - 髄液漏れ:中医協、保険適用決定 患者ら「ようやく」喜び - 毎日新聞

髄液漏れ:保険適用決定 患者ら「ようやくたどり着いた」 - 毎日新聞 はてなブックマーク - 髄液漏れ:保険適用決定 患者ら「ようやくたどり着いた」 - 毎日新聞

脳脊髄液減少症の治療…自己血注入法 保険適用へ : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

これによって、患者の金銭的負担が減るだけでなく、ついに国の医療保険の対象となる病気として認められることになります。交通事故後の後遺症をめぐる一部の裁判にも影響が出るかもしれません。

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「芸術家は右脳人間」は間違い―自閉症の天才画家からわかる創造性における左脳の役割

術家は右脳人間で左利きが多い。

そんな話を聞いたことがありますか。いわゆる自己啓発的な「脳科学」の本や、 マスメディアなどで人気のある話題ですが、これは最新の科学に基づくものではありません。

近年の脳科学では、自閉症の天才画家の研究などから、創造性における左脳の役割がわかってきています。そして芸術家の創造性には、左脳も右脳も重要である、という証拠が集まっています。

芸術は右半球に側性化しているという考え方が一般に流布しているが、十分な科学的根拠に基づいているわけではなく、初期の理論が作業仮説としてその後の研究に影響を及ぼしているにすぎない。(p22)

創造性=右脳 でないとしたら、実際には右脳はどんな働きを担っているのでしょうか。なぜ芸術には左脳も必要なのでしょうか。そもそも創造性とは、脳のどこの機能と関係しているのでしょうか。

芸術的才能と脳の不思議―神経心理学からの考察という本から考えてみたいと思います。

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子ども時代の慢性的なトラウマ経験がもたらす5つの後遺症と5つの治療法

サクラの生育歴は、子ども虐待の臨床に従事した経験がある者なら、これだけで直ちに性的虐待の既往と重度の解離性障害を強く疑う所見に満ちている。

今日、このような症例が子どもも大人も「統合失調症」「双極性障害」「境界性人格障害」などと誤診をされ、延々と精神科の治療を受けているという場面にしばしば出会う。(p124)

しい気分の浮き沈みや慢性的なうつ状態、幻覚、対人関係の不安定さや依存症。

こうした症状は、精神科では、双極性障害や統合失調症、パーソナリティ障害と診断され、大量の薬物治療につながることがしばしばです。

しかし、何度薬を変えても、いくら薬の量を増やしてもよくならず、むしろ悪くなるばかりで、より悲惨な状態になってしまうことがあります。

近年の研究では、こうしたケースは、一見、統合失調症や双極性障害のような有名な精神疾患に思えるかもしれませんが、実際には似て非なるもの、つまり発達障害やトラウマと関係していると考えられるようになっています。

発達障害はなぜトラウマを抱えやすいのか、双極性障害や統合失調症と間違われやすいどんな5つの後遺症が生じるか、どんな5つの治療法が役立つか、という点を、講座 子ども虐待への新たなケア (学研のヒューマンケアブックス)という本を参考にまとめてみました。

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