アスペルガーは「共感性がない」わけではない―実は定型発達者も同じだった

スペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の人は、「共感性がない」

これまで、幾度となく繰り返し見た言葉です。アスペルガーをはじめ、自閉症と共感性のなさは、たいていの場合セットで語られてきました。

しかし、このブログで何度か過去にも取り上げてきたとおり、近年の研究では、どうもそれは正しくないということがわかってきています。

これまでの研究は、すべて定型発達者の観点から見れば、アスペルガーの人たちは共感性がない、というものでした。それはあたかも地球から見れば、太陽が地球のまわりを動いているように見えるのと同じです。

しかしちょうど宇宙から太陽と地球をを眺めるかのように、より公平な観点から定型発達者と自閉スペクトラム症(ASD)の人たちを見ればどうなるでしょうか。

発達科学ハンドブック 8 脳の発達科学という本には、とても興味深い最新の研究について書かれていました。

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小児慢性疲労症候群(CCFS)は高学年になるほど治りにくい―予防や早期治療が大切

児慢性疲労症候群(CCFS)と睡眠障害についてのニュース記事が3つ掲載されていました。(※16/01/26にニューズウィーク誌の記事を追加しました)

ひとつ目の日経新聞の記事では、CCFSがどんな病気で、原因や治療はどうするか、という点について、二つ目のエコノミックニュースでは、三池輝久先生の眠育の取り組みについて紹介されています。

そして3つ目のニューズウィーク誌の記事では、10代の慢性疲労症候群がアメリカで増加していることが書かれています。

慢性疲労、子供も注意 その夜更かし…不登校の原因かも 専門医受診/睡眠習慣改善を :日本経済新聞 はてなブックマーク - 慢性疲労、子供も注意 その夜更かし…不登校の原因かも 専門医受診/睡眠習慣改善を :日本経済新聞

欠席減少の鍵は「眠育」子どものスマホ依存が深刻化│EconomicNews(エコノミックニュース)

アメリカの10代の50人に1人は「慢性疲労症候群」 | カルチャー&ライフ | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト はてなブックマーク - アメリカの10代の50人に1人は「慢性疲労症候群」 | カルチャー&ライフ | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

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心的外傷後成長(PTG)とは―逆境で人間的に深みを増す人たちの5つの特徴

ただ、本文でも繰り返し触れられているが、過酷な体験をした人が単純にPTGの道を歩みはじめるわけではない。

もがき苦しみながら、行きつもどりつし、揺れ動きながら、PTSDとPTGが併存するような形で進んでいくことも多い。(pii)

ラウマ経験によってひどい後遺症を負ってしまう人たちを意味する概念、つまり心的外傷後ストレス障害(PTSD)という言葉は、今ではほとんどの人が知っている有名な言葉になりました。

その一方で、あまり知られていない言葉があります。それは心的外傷後成長(PTG)。逆境を通して、人間的に成長し、深みを増す人たちを指す言葉です。

逆境を通して成長するという考えは、今まさに苦しみのさなかにいる人たちにとって、受け入れがたいものかもしれません。まるで苦しみや悲しみを望ましいものとして扱っているかに思えるからです。

しかしこれから考えていくように、心的外傷後成長(PTG)は、苦しみを正当化するものではありません。心の弱い人はPTSDになり、心の強い人はPTGになるという単純なものでも決してありません。

PTGとは、どのような状況で生じるものなのか、PTGを経験する人たちには、どんな5つの特徴があるのか。

悲しみから人が成長するとき―PTGや、冒頭に引用したPTG 心的外傷後成長―トラウマを超えてという本から考えてみたいと思います。

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ダーウィンも気をつけた「アインシュテルング効果」とは? 人は自分の意見の裏づけばかり探してしまう

アインシュテルング効果の真の危うさは、まさにここにある。

自分が偏見なしに考えていると信じていても、新しいアイデアを刺激する可能性のある事柄から自分の脳が選択的に注意をそらしていることにまるで気づいていない可能性があるのだ。

自分がすでに抱いている結論や仮説と一致しないデータは、無視されるか捨てられてしまう。(p47)

なたは、自分は偏見がなく、おおらかな人間だと思いますか?

わたしたちの大半は、自分は人の意見をよく聞き、柔軟な考え方をしているほうだ、と思っているかもしれません。

ところが実際には、だれもが自分の考えに固執し、新しいアイデアや価値観を退ける、という根深い傾向を持っています。

無意識のうちにわたしたちの見方を左右しているその傾向は、「アインシュテルング効果」と呼ばれていて、医療・裁判・科学など、さまざまな分野で、いえ、それどころか、わたしたちの日常生活でも、頻繁に偏った見方を生んでいます。

アインシュテルング効果とは何でしょうか。わたしたちは知らず知らずのうちにどんな偏った見方をしているのでしょうか。ダーウィンはどのようにしてそれに対処していたのでしょうか。

日経 サイエンス 2014年 05月号 [雑誌]ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)などから考えてみたいと思います。

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「芸術家は右脳人間」は間違い―自閉症の天才画家からわかる創造性における左脳の役割

術家は右脳人間で左利きが多い。

そんな話を聞いたことがありますか。いわゆる自己啓発的な「脳科学」の本や、 マスメディアなどで人気のある話題ですが、これは最新の科学に基づくものではありません。

近年の脳科学では、自閉症の天才画家の研究などから、創造性における左脳の役割がわかってきています。そして芸術家の創造性には、左脳も右脳も重要である、という証拠が集まっています。

芸術は右半球に側性化しているという考え方が一般に流布しているが、十分な科学的根拠に基づいているわけではなく、初期の理論が作業仮説としてその後の研究に影響を及ぼしているにすぎない。(p22)

創造性=右脳 でないとしたら、実際には右脳はどんな働きを担っているのでしょうか。なぜ芸術には左脳も必要なのでしょうか。そもそも創造性とは、脳のどこの機能と関係しているのでしょうか。

芸術的才能と脳の不思議―神経心理学からの考察という本から考えてみたいと思います。

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