理解できない症状をすぐ精神ストレスと決めつけてはならないーむずむず脚の発見者エクボム博士の警告

カール・エクボムは、患者の訴える奇妙な症状からはまだまだ学ぶべきものが多くある、患者の訴えや苦痛には原因が見つからないからといって医師はただちに精神ストレスと結論してはならないと、この論文の最後で警告している。(p37)

ール・エクボム博士は、1945年、今日「むずむず脚症候群」(レストレスレッグス症候群:RLS)として知られる病気の疾患概念を初めて提唱した医者でした。

その研究を通して、彼が強く実感したのは、患者が理解しにくい症状を訴えても精神ストレスとただちに:結論してはならないということでした。

当時からもう70年が経ちましたが、依然として、患者が訴えるいろいろな症状を頭ごなしに「気のせい」「精神的なもの」「ストレスが原因」「心因性」とみなして取り合わない医者は少なくないように思います。

この記事では、むずむず脚のカラクリ-ウィリス・エクボム病の登場という本から、心因性と考えられてなかなか理解されなかったり、病名がもとで誤解されたりした「レストレスレッグス症候群」の歴史を見てみたいと思います。

レストレスレッグス症候群の物語は、慢性疲労症候群(CFS)など、心因性とみなされやすい病気、病名ゆえに軽く見られたりしやすい病気とも関連していると思います。

続きを読む

なぜアスペルガー症候群の人はポケモン博士になれるのに人の顔が覚えられないのか

実際に自閉症の子どもたちは顔を見なかったり、特に顔を学習するのが苦手だったりすると言われている。

それが証拠に、夢中になれるポケモンなら覚えられるというデータがある。

顔を見たときに活動するはずの脳活動が、ポケモンを見たときに観察されることもある。(p152)

れは、顔を忘れるフツーの人、瞬時に覚える一流の人 - 「読顔術」で心を見抜く (中公新書ラクレ)という本に載せられている興味深い実験のデータです。

アスペルガー症候群など、現在では自閉スペクトラム症(ASD)として区分されているタイプの人たちは、不思議な特徴を示すことがあります。

ここでは、ポケモンが例として挙げられていますが、そのような子どもたちは、虫博士、鉄道博士、漢字博士など、限られた領域の膨大な種類のものに博識になることが少なくありません。

しかし、その一方で、人の顔を区別して覚えることには、苦手意識を持っている自閉症圏の人が多くいます。

これは単に、ポケモンには興味があり、人の顔には興味がないといったレベルの問題なのでしょうか。それとも、もっと複雑な事情があるのでしょうか。複数の専門家の本を参考に調べてみたいと思います。

続きを読む

解離性障害と芸術的創造性ー空想世界の絵・幻想的な詩・感性豊かな小説を生み出すもの

解離のある人は、現実との境がわからなくなるほど、空想の世界に深く浸る傾向があります。

たとえば、解離性障害の患者さんは豊かな想像力ゆえに文章や絵画、演劇などの芸術分野が得意で、活躍している人もいます。小さいときから作文が得意だったりします。(p61)

れは、 解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病 (健康ライブラリーイラスト版)に書かれている、柴山雅俊先生による、解離性障害の患者たちの印象です。

芸術、特に絵画、小説、詩、演劇などの分野では、豊かな想像力や感受性が求められます。ときにはファンタジーや幻想世界を作り上げたり、そこに没入したりする能力も求められるかもしれません。

そうした豊かな空想力は、解離という脳の機能と密接に関連していると考えられています。解離と聞くと、とかく病的なものと考えがちですが、実は芸術を創造する才能に、大きな役割を果たしています。

解離が芸術的創造性を生み出すのはなぜでしょうか。解離はどのようにして、絵画や作文、詩作、演劇といった芸術の表現に寄与するのでしょうか。一般に創造性と結びつけられることの多い統合失調症や発達障害と、どのように関係しているのでしょうか。

続きを読む

多発性硬化症で血液脳関門を超えて脳や脊髄に炎症が起こるメカニズムが明らかに

京大学科学技術振興機構(JST)の研究によると、神経難病、多発性硬化症(MS)において、免疫細胞が脳や脊髄の中枢神経組織に侵入し、炎症が生じる仕組みが明らかにされたそうです。

共同発表:神経難病が起こる仕組みを解明~多発性硬化症の新しい治療法に道~ はてなブックマーク - 共同発表:神経難病が起こる仕組みを解明~多発性硬化症の新しい治療法に道~

根治療法ない多発性硬化症に新たな治療法の道-東大 - QLifePro 医療ニュース はてなブックマーク - 根治療法ない多発性硬化症に新たな治療法の道-東大 - QLifePro 医療ニュース

続きを読む

自閉スペクトラム症の興奮性の治療薬としてエビリファイの承認申請

達障害の精神神経症状などにしばしば用いられている薬、エビリファイ(アリピプラゾール)について、「小児期の自閉性障害に伴う興奮性」の効能を追加するため国内販売承認申請が行われたそうです。

大塚製薬 抗精神病薬「エビリファイ」 「小児期の自閉性障害に伴う興奮性」の効能を追加するため国内販売承認申請 |大塚製薬 はてなブックマーク - 大塚製薬 抗精神病薬「エビリファイ」 「小児期の自閉性障害に伴う興奮性」の効能を追加するため国内販売承認申請 |大塚製薬

 エビリファイは、大塚製薬が開発した非定型抗精神病薬で、ドーパミンの量を安定させ、過剰なら抑制し、低下しているなら増加させるという作用から、ドーパミンスタビライザーと呼ばれています。

自閉スペクトラム症(ASD)の場合、興奮性の行動障害にはドーパミン神経系が関わっているとされていて、抗ドーパミン作用を持つ抗精神病薬が有効だそうです。

抗ドーパミン作用を持つ抗精神病薬としては、先日リスパダール(リスペリドン)も、自閉症への適応を取得していました。

エビリファイも、すでに米国で2009年に自閉性障害に伴う興奮性の承認を受けています。

日本での臨床試験では、行動障害(かんしゃく、攻撃性、自傷行為など)がある自閉スペクトラム症(ASD)の子ども(6~17歳)を対象に、すでにエビリファイの有効性と安全性が証明されているそうです。

エビリファイは、すでに、統合失調症、双極性障害、うつ病・うつ状態に対する効能が承認されていますが、今回さらに自閉症への適応が加わる見通しです。

ASDやADHDなど、発達障害への薬物療法について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

精神科の薬の大量処方・薬漬けで悪化しないために知っておきたい誤診例&少量処方の大切さ
杉山登志郎先生の「発達障害の薬物療法」に基づき、統合失調症・うつ病・双極性障害と誤診されやすい発達障害とトラウマ関連障害の治療と少量処方の意義についてまとめています。
ADHDの治療に効果のある薬のまとめ(適応外処方も含む)
ADHDの治療に用いられている薬をまとめました。中枢神経刺激薬、NRI、SNRI、DNRI、α2アドレナリン受容体作動薬など、それぞれ参照リンク付きで解説しています。

 ▼追記
その後、2016年2月に正式にリスパダールの「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」の適応追加承認が取得されました。

抗精神病剤「リスパダール®」小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応追加承認取得|ヤンセンファーマ株式会社のプレスリリース はてなブックマーク - 抗精神病剤「リスパダール®」小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応追加承認取得|ヤンセンファーマ株式会社のプレスリリース

 また2016年9月に、エビリファイも「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」の追加承認を取得しました。

抗精神病薬「エビリファイ」  小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応追加承認 |大塚製薬 はてなブックマーク - 抗精神病薬「エビリファイ」  小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応追加承認 |大塚製薬