三池輝久先生の子どもの睡眠障害や慢性疲労症候群の新刊「いま、小児科医に必要な 実践臨床小児睡眠医学」

庫県立リハビリテーション中央病院子どもの睡眠と発達医療センターの三池輝久先生、小西行郎先生、中井昭夫先生らによる、子どもの概日リズム睡眠障害や慢性疲労症候群(CCFS)について解説した最新の書籍が出版されました。

タイトルは、いま、小児科医に必要な実践臨床小児睡眠医学という書名で、以前の不登校外来―眠育から不登校病態を理解すると同じく診断と治療社から出ています。

出版社による内容紹介は以下のとおりです。

診断と治療社 | 書籍詳細:いま、小児科医に必要な 実践臨床小児睡眠医学 はてなブックマーク - 診断と治療社 | 書籍詳細:いま、小児科医に必要な 実践臨床小児睡眠医学

子どもの睡眠問題は普遍的であり,小児科医の日常診療で数多く認められる.不規則な夜型生活は生体リズムに異変を生じさせ,脳のバランスを崩し睡眠問題に発展する.

この現代型の健康被害予防のため,新生児期からの生活リズムに目を向けることの重要性が高まっている.

本書は子どもたちの生活リズム・生体リズム形成に中心的な役割を果たす睡眠・覚醒リズムに注目し,睡眠問題の本質に触れながら,臨床で実践できる知識を網羅した.

若い小児科医の方たちを対象に、子どもの睡眠障害を教えるセミナーを開催することになり、そのテキストとして本書が用意されたそうです。

目次によると、第II章では、「4 不登校と睡眠障害・小児慢性疲労症候群」という項目が見られるので、子どもの慢性疲労症候群も扱われているようです。

また、第III章では、「1 睡眠障害と自閉症スペクトラム障害」「6 発達障害当事者の困りごととしての睡眠問題」として、発達障害との関わりも取り上げられています。

発達障害と睡眠障害との関連は、三池先生のこれまでの著書では(乳幼児期のものを除いて)あまり語られてこなかった話題なので興味深そうです。

医学書の部類なので価格は高めですが、子どもの睡眠障害・発達障害・慢性疲労症候群などに関心にある方は、読んでみるといいかもしれません。

小児慢性疲労症候群については先日も兵庫県立リハビリテーション中央病院や理化学研究所が共同で、研究成果を発表していました。

小児慢性疲労症候群(CCFS)の子どもは脳の情報処理で過活動が生じていることが判明
小児慢性疲労症候群(CCFS)の子どもの脳機能に関する理化学研究所の研究

本当の「無条件の愛」は「無制限の愛」ではない―バランスのとれた愛着関係は包むことと区切ること

「無条件の愛」とは果たして何なのでしょうか。

前回の記事で、わたしは「条件付きの愛」「無条件の愛」の違いについて書きました。その内容についてある方に話したところ、「わたしは無条件の愛というのがよくわからない」という答えが返ってきました。

その方のお父さんは厳格で愛を示せない人でしたが、逆にお母さんは、どんなときも見捨てず、ひたすら父親に、子どもに尽くし続ける人だったといいます。そのお母さんの愛が「無条件の愛」なのだとしたら、自分にはとても無理だと言っておられました。

わたしがそのときに感じたのは、それは本当の意味での「無条件の愛」だったのだろうか? ということでした。

「無条件の愛」は、親が子どもに与えられる最善の贈り物、友が友と結ぶ強力な絆の源、そして自分が自分に注ぐことのできる貴重な思いやりです。

しかし「無条件の愛」という言葉だけが一人歩きして、別の意味を帯びてしまうとしたら、それは望まない結果をもたらすものとなるでしょう。

この記事では、慢性疲労症候群や愛着、解離などの研究者の複数の本から引用しながら、本当の無条件の愛とは何なのか、そして 良かれと思いながら悪い結果を呼び込んでしまう愛とはどんなものなのか、という点を考えます。

 

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いつも頑張っていないと自分には価値がないと感じてしまう人へ―原因は「完璧主義」「まじめさ」ではない

■自分の価値を、できたこと、達成したことの量などでしか測れない
■「ほどほど」ができず、いつも100%全力を尽くしている
■体が悲鳴を上げているとわかっていても、頑張り続けないといけないと感じる
■全力を尽くしていないと、怠けているような気がして自分を責めてしまう
■休むことや遊ぶことに罪悪感を感じる
■自分では嫌だと思うことでも、周りの人や親の期待に応えないといけないと感じる

なたはこのように感じることがありますか?

限界を超えて頑張りつづけてしまう人の中には、頑張り続けていないと自分には価値がない、という思いに縛られている人がいます。

そうした人は、息抜きが苦手で、休むことに罪悪感を感じることも多く、ストレスや過労が引き金となって病気になる場合さえあります。

こうした問題を抱える人は、世の中では、「完璧主義」とか「まじめすぎる」と言われたりします。そして「もっと気楽に」「肩の力を抜いて」「リラックスしよう」などと、なんの役に立たないアドバイスが送られることが多いのではないでしょうか。

それらの人は、リラックスする必要があることくらいわかっているのです。それでも切迫感や追い立てられる思いに駆り立てられて、立ち止まって心と体を休めることができないのです。

そのおおもとの原因はどこにあるのでしょうか。表面をなでるようなアドバイスではなくて、本当に心休まる場所を見出すにはどうすればいいのでしょうか。この記事では、愛着と安全基地という概念に解決の糸口を見出したいと思います。

 

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精神科の薬の大量処方・薬漬けで悪化しないために知っておきたい誤診例&少量処方の大切さ

なぜ多剤・大量処方になるのか。

…通常の服薬量で無効だからである。それで薬の足し算が起きてしまう。数においても量においても。

ではなぜ無効なのか。それは診断が誤っていて、薬理効果外の使用をしているからである。(p10)

れは、発達障害や愛着障害に詳しい杉山登志郎先生の著書発達障害の薬物療法-ASD・ADHD・複雑性PTSDへの少量処方からの引用です。

昨今、精神科の薬の大量処方・多剤処方による「薬漬け」が問題になっています。その背後には発達障害や愛着障害を、統合失調症・うつ病・双極性障害などと誤診していることが関係していると杉山先生は述べています。

診断が間違っていると薬が効きません。薬が効かないと、たいていの場合、どんどん量を増やしていって大量処方になります。しかし、正しい診断ができれば、薬はごく少量で十分なのだそうです。

この記事では、なぜ発達障害や愛着障害が他の精神疾患と誤診されやすいのか、それらに「少量処方」が必要なのはなぜか、という点を、この本から簡単に紹介したいと思います。

 

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統合失調症と解離性障害の6つの違い―幻聴だけで誤診されがち

一般人のイメージでは、声の幻聴は統合失調症とほぼ同義語である―声が聞こえる人の大半は統合失調症ではないので、これは大きな誤解だ。(p76)

れは、有名な脳神経科医、オリヴァー・サックス先生の見てしまう人びと:幻覚の脳科学という本からの引用です。

日本でもアメリカでも、精神科医の中には、今だに、患者に幻聴があると知ると、安易に統合失調症と診断してしまう人が少なくないようです。

しかしオリヴァー・サックス先生の言葉が示すように、幻聴がある人の大半は統合失調症ではありません。

幻聴を伴い、統合失調症と間違われやすいものの代表例は、解離性障害とアスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)だと言われています。

この記事では、特に、統合失調症と解離性障害の違いについて、解離の専門家の本を参考にまとめてみました。アスペルガー症候群との違いについても少しだけ取り上げています。

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