多発性硬化症(MS)の原因にはエプスタイン・バーウイルスや遺伝的なビタミンD欠乏が関係

発性硬化症(MS)についてのニュースがいくつかあったので、まとめておきます。

原因として、エプスタイン・バーウイルスや、遺伝的ビタミンD欠乏が関係しているというニュースと、小児患者で定期的な運動が効果的だったというニュースです。

多発性硬化症(MS)は視神経や脊髄の神経線維を覆うカバーであるミエリンが炎症で壊れ、電気信号がもれることで生じる病気で、若い人によく見られます。わたしの知り合いにも多発性硬化症の人がいます。

症状は多彩ですが、そのうちの一つに極度の疲労があり、外国では、慢性疲労症候群とよく似ている病気の一つに挙げられることもあります。

CFSと似ている外見では分からない難病 多発性硬化症(MS)
海外でときおり慢性疲労症候群(CFS)と比較される多発性硬化症(MS)について、最近のニュース記事をまとめています。

エプスタイン・バーウイルスが関係

大阪大学とハーバード大学によると、免疫疾患のモデルマウスでは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)が作り出すたんぱく質(LMP2A)によって、異常な免疫細胞が増え、その一部が自分の体の組織を攻撃していることが確認されたそうです。

エプスタイン・バーウイルスは幼少期に感染して、成人の9割以上が感染していますが、ほとんどは無症状か軽症です。

しかし、「全身性エリテマトーデス」や「多発性硬化症」などの自己免疫疾患を引き起こすこともあるとされていて、今回の実験では、それが確証されました。

この前読んだ寄生虫なき病では、感染する時期の問題ではないかとされていましたね。

つまり、子どものころの柔軟な免疫機構がエプスタイン・バーウイルスに接すると、免疫寛容のため問題が起こりませんが、成長してから初めてエプスタイン・バーウイルスに出会うと、対処法が分からず、自己免疫疾患になるのではないかと。

エプスタイン・バーウイルスは慢性疲労症候群との関係が疑われることもありました。

成人の9割感染「EBウイルス」、免疫疾患起こす原因たんぱく特定 : 医療ニュース : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞) はてなブックマーク - 成人の9割感染「EBウイルス」、免疫疾患起こす原因たんぱく特定 : 医療ニュース : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)

ほとんどの成人が感染している「EBウイルス」、重い免疫疾患を起こすウイルスタンパク質を特定 | バイオの杜

はてなブックマーク - ほとんどの成人が感染している「EBウイルス」、重い免疫疾患を起こすウイルスタンパク質を特定 | バイオの杜免疫疾患の原因たんぱく特定、阪大と米チーム : ニュース : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) はてなブックマーク - 免疫疾患の原因たんぱく特定、阪大と米チーム : ニュース : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

【坂口至徳の科学の現場を歩く】誰もが感染ヘルペス…EBウイルスの因子を解明 阪大、自己免疫疾患の治療に道(1/2ページ) - 産経WEST はてなブックマーク - 【坂口至徳の科学の現場を歩く】誰もが感染ヘルペス…EBウイルスの因子を解明 阪大、自己免疫疾患の治療に道(1/2ページ) - 産経WEST

ビタミンDが少ないと発症しやすい?

別のニュースでは、カナダ・マギル大学によると、多発性硬化症の患者1万4498人と健康な人2万4091人のデータを照らし合わせる大規模解析で、ビタミンDの量が遺伝的に欠乏していると多発性硬化症の発症率が二倍になることが明らかになったそうです。

これまでの研究では、室内で過ごすことが多かったりして、太陽光を浴びる機会が少ないと、ビタミンDの欠乏が生じ、多発性硬化症が引き起こされるという見方もありました。

しかし今回の研究では、多発性硬化症に先立つビタミンDの欠乏が、生活習慣の問題ではなく、遺伝的な問題だとわかったそうです。

もともと遺伝的にビタミンDが欠乏している人が、サプリメントなどでビタミンDを補うことで多発性硬化症の発症を抑えられるのかどうかは、今後の臨床試験の結果待ちとのこと。

ビタミンD欠乏で多発性硬化症のリスク増、遺伝学研究で確認 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News はてなブックマーク - ビタミンD欠乏で多発性硬化症のリスク増、遺伝学研究で確認 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

子どもの多発性硬化症には運動が効果的

最後に、全文は読めなかったのですが、米国神経学会(AAN)によると、定期的に運動をしている子どもの多発性硬化症(MS)患者では疾患活動性が低いという研究も出ていました。

小児MSでは運動が疾患活動性を抑制【米国神経学会】 T2領域小さく再発も少ない│m3.com

多発性硬化症の原因や発症メカニズムが早く明らかになって、効果的な治療法が見つかってほしいですね。

多発性硬化症は、落語家の林家こん平さんが闘病しておられることで有名です。

なぜアスペルガーの人は尊大で怒りやすく見えるのか―人格障害との違い

スペルガー症候群の人が尊大に見えたり、突発的に激しく怒ったりする理由について、解離などに詳しい精神科医の岡野憲一郎先生がブログで解説しておられました。興味深かったので紹介します。

岡野憲一郎のブログ: 自己愛(ナル)な人(推敲 11/50) はてなブックマーク - 岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist: 自己愛(ナル)な人(推敲 11/50)

岡野憲一郎のブログ: 自己愛(ナル)な人(推敲 12/50) はてなブックマーク - 岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist: 自己愛(ナル)な人(推敲 12/50)

天才の秘密 アスペルガー症候群と芸術的独創性のような本で、過去のアスペルガーの天才たちについて読むと、かなりの頻度で「自己愛傾向」や、「聞く耳を持たない頑固さ」、そして「意見されたときに激しく怒る」といった傾向について書かれています。

たとえばアスペルガーだったと思われる作曲家のエリック・サティは、最も質の高い生き方を目指す妥協のない人で、些細なことにもカッとなり、激怒したと言われています。(p222)

こうした特徴のため、アスペルガーの人たちは、ときに「尊大だ」「ナルシストだ」と言われますが、その理由について考察されています。

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【9/1】子どもの発達・愛着についての新刊「発達科学ハンドブック 8 脳の発達科学」―発達心理学者と脳科学者による本

どもの発達・愛着などについて、発達心理学者・脳科学者が共同執筆している新刊発達科学ハンドブック 8 脳の発達科学が2015/9/1に発売されます。

近年、脳を画像で可視化できるようになったことにより、従来、理論にもとづいて展開されていた発達心理学と、脳を解析する脳科学との間の溝が埋まってきました。そのため、両分野の専門家を集めて橋渡しし、脳機能の全般にわたる解説を試みた本として出版されるようです。

このブログでも馴染み深い研究者の方々が執筆されています。たとえば…

第1章 胎児期と新生児期―――― 小西行郎
赤ちゃん学の専門家で、子どもの睡眠についても造詣の深い、子どもの睡眠と発達医療センターの小西行郎先生が第一章の胎児期の解説を担当。

小西行郎先生が子どもの睡眠と発達医療センター長に
この4月から子どもの睡眠と発達医療センター長が小西先生になり、三池先生は特命参与の立場になりました。

第2章 幼児期から児童期―――― 森口佑介
発達心理学者として、このブログでは特にイマジナリーフレンド研究で名前を挙げさせていただいている上越教育大学の森口佑介先生が、第二章の幼児の脳機能についての解説を担当。

子どもにしか見えない空想の友達? イマジナリーフレンドの7つの特徴に関する日本の研究
子どもが目に見えない空想の友達と遊んでいるのを見て驚いたことがありますか? 森口佑介先生の著書「おさなごころを科学する」から、子ども特有の興味深い現象イマジナリーフレンドについてま

第23章 愛着と虐待―――― 友田明美
子どもの慢性疲労症候群や、虐待と愛着障害についての研究で、このブログでも再三取り上げさせていただいている福井大学の友田明美先生が愛着と虐待についての第23章を担当。

だれも知らなかった「いやされない傷 児童虐待と傷ついていく脳」(2011年新版)
子どもの虐待は、近年注目を浴びるようになって来ました。しかし、虐待が脳という“器質”にいやされない傷を残すことを知っている人はどれだけいるでしょうか。友田明美先生の著書「いやされな

そのほか、

第26章 注意欠陥・多動性障害(注意欠陥・多動症,ADHD)―――― 榊原洋一

第27章 自閉症スペクトラム障害(自閉スペクトラム症)―――― 米田英嗣

といった部分で、発達障害も詳しく扱われています。

発達障害の章を執筆されている、お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 榊原研究室の榊原洋一先生が序章も書かれているので、中心となって編纂しておられる模様。

出版社による公式ウェブページはこちら。目次や序章の第一節が読めます。

発達科学ハンドブック8 脳の発達科学│新曜社 はてなブックマーク - 脳の発達科学

価格設定は高めの専門書ですが、とても興味深そうな一冊です。

自閉症の動物学者テンプル・グランディンのTED「世の中には いろいろなタイプの脳が必要だ」まとめ

NHKスーパープレゼンテーションで、自閉症スペクトラム(ASD)の有名人、テンプル・グランディン(Temple Grandin)のTED「世の中には いろいろなタイプの脳が必要だ」(The world needs all kind of minds)が放映されていました。

2015/6/17(水)に放送されましたが、先日8/19(水)にも再放送があり、今日8/23(日)の深夜(日付変更後)の24:45~25:10にも放映されるそうです。

公式ウェブサイトで、動画が公開されていたので、それを参考に内容をまとめてみました。

NHK for School:NHK | 番組紹介 | スーパープレゼンテーション「テンプル・グランディン 自閉症を語る」 (6/17ほか) はてなブックマーク - NHK for School:NHK | 番組紹介 | スーパープレゼンテーション「テンプル・グランディン 自閉症を語る」 (6/17ほか)

6月17日放送 | これまでの放送 | スーパープレゼンテーション|Eテレ NHKオンライン はてなブックマーク - 6月17日放送 | これまでの放送 | スーパープレゼンテーション|Eテレ NHKオンライン

以下の内容は、書き言葉として、わかりやすく表現を調整している部分もあり、放送の字幕に忠実ではありません。省略したり補ったりしている部分もあります。一部、話の順番を入れ替えて整理しているところもあります。

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かゆすぎるアトピーなどの不快感を脳の電気刺激(tDCS)で抑制

経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)でかゆみ感覚を抑制できることがわかったそうです。

非侵襲的大脳皮質刺激により痒み知覚が抑制される ~経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)を用いた検討 - 生理学研究所 はてなブックマーク - 非侵襲的大脳皮質刺激により痒み知覚が抑制される ~経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)を用いた検討 - 生理学研究所

経頭蓋直流電気刺激法による非侵襲的大脳皮質刺激で痒み知覚を抑制-NIPS - QLifePro 医療ニュース

電気刺激でかゆさが和らぐ

自然科学研究機構 生理学研究所(NIPS)の研究によると、経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)によって、脳の大脳皮質感覚運動野を電気で刺激することによって、従来言われていた痛みだけでなく、かゆみも減少することがわかりました。

経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)は、頭に電極をつけて、脳を刺激する、痛みや手術の必要がない電気刺激療法です。

tDCSを15分間行うと、ヒスタミン刺激に対する、かゆみの程度が減少し、さらにかゆく感じる時間も短縮することが判明したそうです。

アトピー性皮膚炎など、慢性的なかゆみに悩まされる患者は、かゆさのため皮膚をかきむしり、より皮膚状態が悪化するという悪循環が生じています。

脳の電気刺激によってかゆみを抑制することは、そのような患者にとって役立つ治療手段になるかもしれません。

経頭蓋磁気刺激(TMS)経頭蓋直流電気刺激(tDCS)といった手段は、日本ではまだ実際の治療ではほとんど使われていませんが、より効果の高い方法が研究されて、さまざまな病気に役立てられるようになってほしいと思います。

電気刺激については、2013年に経頭蓋パルス電気刺激法(tPCS)というより効果の高い方法が開発されているそうです。

アトピー性皮膚炎については、皮膚の細菌バランスが原因のひとつとなっていることが、最近報道されていましたね。

アトピー性皮膚炎は皮膚の細菌バランス異常が一因、抗生物質が効く?
アトピー性皮膚炎は細菌の異常繁殖で起こるそうです。