自閉症や慢性疲労症候群の脳の炎症は細菌などの不在がもたらした?―寄生虫療法・糞便移植で治療

ジョンソン夫妻は、ローレンスが熱を出すたびに興奮状態や自傷行為といった自閉症の最も激しい症状が和らぐことに気づいていた。

彼らは半ば冗談のように、「ローレンスの病気を治すため、わざと病気にするというのはどうかな」と話し合ったものだった

(ちなみに、多くの自閉症児の親が同じような現象を体験している。数年後、ジョンズ・ホプキンス大学の研究者グループがこの現象を正式に調査することになった)(p311)

閉症児の不思議な特徴のひとつに、熱が出ると症状が和らぐ、というのがあります。この現象は、わたしも複数の書籍で読んだことがありますが、理由はよくわかっていませんでした。

ところが、寄生虫なき病という本を読むと、その現象こそ、自閉症の原因やメカニズムを解き明かす鍵になる、ということがわかりました。

自閉症の研究者が見出したのは、寄生虫や腸内細菌叢と、脳の慢性炎症などの免疫異常が絡み合っているという事実でした。

これらは、自己免疫疾患やアレルギー、慢性疲労症候群など、他の多くの病気と関わっている可能性さえあるのです。

世界の見え方が変わる本、寄生虫なき病を、自閉症を軸に簡単に紹介しますが、ぜひとも自分で読んでほしい一冊です。(ちょっとわかりにくかったのでタイトル変えました。)

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光トポグラフィーによる前頭前野の脳血流の検査でADHDを80%判定できる

治医科大の門田行史講師らの研究によると、脳血流を測定すればADHDを8割の精度で判別できるそうです。

ADHD、脳血流から判定 診断精度8割 中大など開発 - ニュース - アピタル(医療・健康) はてなブックマーク - ADHD、脳血流から判定 診断精度8割 中大など開発 - ニュース - アピタル(医療・健康)

[医学部] 光トポを用いたADHDの客観的診断法の基礎を確立多施設の大規模による検証へ|2015年度|研究情報|お知らせ|自治医科大学

光トポグラフィを用いたADHDの客観的診断方法の基礎を確立-自治医大 - QLifePro 医療ニュース はてなブックマーク - 光トポグラフィを用いたADHDの客観的診断方法の基礎を確立-自治医大 - QLifePro 医療ニュース

ADHDを脳血流測定で判別する新技術 NHKニュース はてなブックマーク - ADHDを脳血流測定で判別する新技術 NHKニュース

ADHDの原因の一つは、行動を制御するのに使われる、脳の前頭前野の血流不足だと言われています。

実験では、ADHDの子ども30人、定型発達の子ども30人に、指定された画像が現れた時だけスイッチを押すゲームをさせました。

脳の血流に起きる変化を光トポグラフィーで測定すると、定型発達の子どもはゲームをした時に前頭前野の血流が増えるのに対して、ADHDの子の80%はほとんど変化がなかったそうです。

現時点では80%の精度ということで物足りない印象がありますが、精度が上がれば診断補助ツールにもなりうるとのこと。

この研究チームは昨年も、薬を服用するADHDの子供ら約50人に、同じ実験をしたところ、光トポグラフィーの測定で、脳の前頭前野や頭頂葉で血流が増えていることがわかり、薬の効果が確認できた、ということを発表していました。

ADHD薬の効果、脳の血流で正確に把握 自治医大と中央大  :日本経済新聞 はてなブックマーク - ADHD薬の効果、脳の血流で正確に把握 自治医大と中央大  :日本経済新聞

光トポグラフィー(NIRS)とは、、身体に害のない近赤外光を使用して脳の血流量の変化パターンを可視化する装置です。すでにうつ病、躁うつ病、統合失調症を見分けるのに使われています。

うつ病・躁うつ病・統合失調症を見分ける光トポグラフィ検査
光トポグラフィ検査はうつ病・躁うつ病、統合失調症を6-8割の確率で見分けられるそうです

ADHDを脳画像で診断する、というのは、すでに10年以上前から、アメリカのダニエル・エイメン先生らが試みていることですが、ようやく時代が追いついてきたのかもしれませんね。

脳血流に明らかな違いがあるという事実は、ADHDがときには医療介入が必要な現実の問題であることを如実に物語っています。

脳画像診断が明らかにした「わかっているのにできない」脳
ダニエル・エイメン博士のADHDの本「わかっていてもできない脳」から、ADHDは決して怠けではなく、脳画像診断で異常がわかることを説明しています。

抗がん剤のリツキシマブで慢性疲労症候群(CFS)の症状が緩解―ノルウェーの研究

前から、抗がん剤のリツキシマブが慢性疲労症候群(CFS)に効果があるとしてノルウェーで研究されているという情報がありましたが、最近の進展に関するニュースが翻訳されていました。

【科学ニュース】抗体の消滅で慢性疲労症候群が緩解 | お知らせ | 科学検定 はてなブックマーク - 【科学ニュース】抗体の消滅で慢性疲労症候群が緩解 | お知らせ | 科学検定

Antibody wipeout found to relieve chronic fatigue syndrome - health - 01 July 2015 - New Scientist

リツキシマブでCFSが長期間緩解

CFSの症状がある29人を含む最新の研究では、リツキシマブを繰り返し投与したところ、リツキシマブの服用開始から4~6カ月後に緩解し始め、対象患者18人のうち11人は、3年たってもまだ緩解期で、一部は5年後の今でも症状が出ていないそうです。

この成果からすると、CFS患者の少なくとも一部は、(感染症などが原因で)、体内に破壊的な自己抗体が生じることが原因なのかもしれないと書かれています。

現在、対照群を伴う150人規模の研究が進行中だそうです。

詳しい体験談は元記事をご覧ください。

日本でも用いられている抗がん剤

リツキシマブは、日本ではリツキサンという名前で、抗がん剤として使用されています。

今のところ適応があるのは悪性リンパ腫で、2013年1月には、自己免疫性疾患である「発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症;GPA)」と「顕微鏡的多発血管炎(MPA)」(いずれもANCA関連血管炎)、2014年8月には、腎臓の病気である「難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)」に対しても効能が追加されたそうです。

こうした異なる分野の薬が慢性疲労症候群に効果があることが発見されたのは意外に思えます。そもそも、ノルウェーでリツキシマブが注目されたのは、がん治療を受けたCFS患者の改善したという偶然からでした。

今回の記事では、アメリカの専門医のナンシー・クリマス(Nancy Klimas)氏などもノルウェーの研究に注目していると書かれているので、治験の結果によっては各国も動くのかもしれません。続報が気になります。

リツキシマブの慢性疲労症候群に対する効果については、戸田克広先生のブログでも、以前に紹介されていたのでリンクを貼っておきます。

慢性疲労症候群での生物製剤の効果 : 腰痛、肩こりから慢性広範痛症、線維筋痛症へ           ー中枢性過敏症候群ー  戸田克広 はてなブックマーク - 慢性疲労症候群での生物製剤の効果 : 腰痛、肩こりから慢性広範痛症、線維筋痛症へ           ー中枢性過敏症候群ー  戸田克広

ADHDの治療に効果のある薬のまとめ(適応外処方も含む)

ADHD(注意欠如・多動症/注意欠陥・多動性障害)の治療に使われる薬は、日本国内で適応があるのは、現時点(2015年)ではコンサータとストラテラの2つだけです。

しかし経験ある医師たちは、適応外処方といった方法も用いつつ、そのほかのいろいろな薬もADHDに効果があることに気づいています。また諸外国では、さらに多くの薬がADHDの適応を取得しています。

それで、インターネット上の医療情報に関するサイトを調べて、ADHDに効果があると言われる薬を集めてみました。それぞれ、参照元のサイトからの引用も含めて、なぜADHDに効果があるのか、という点も説明しています。

わたしは専門家ではないので、医療情報として活用する際は、必ずリンク先の元情報を参照し、他の文献なども詳しく調べてください。また自分で薬を選んだりせず、必ず医師の指示に従ってください。

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関西テレビの指定難病の特集でレット症候群と線維筋痛症が扱われました

2015/06/30の関西テレビ 「ゆうがたLIVEワンダー」で、『「指定難病」 306疾病に拡大で』という特集が扱われ、指定難病になったレット症候群と、指定難病にならなかった線維筋痛症について当事者の声が伝えられました。

公式ウェブサイトで、報道内容を写真付きで読むことができます。

17時台の特集/2015年6月30日放送のバックナンバー | ゆうがたLIVE ワンダー | 関西テレビ放送 KTV はてなブックマーク - 17時台の特集/2015年6月30日放送のバックナンバー | ゆうがたLIVE ワンダー | 関西テレビ放送 KTV

■7歳の谷岡紗帆ちゃんはレット症候群(RTT)という神経系の発達障害のため、歩いたり、物をうまく掴んだり、話をしたりすることができなくなりました。患者数5000人のレット症候群は7月から指定難病になり、医療費の助成を受けられるようになるそうです。

■大阪府の尾下葉子さんは、10年前まで小学校の教師をしていましたが、ある日、激しい痛みが全身を襲うようになり、線維筋痛症(FM,)と診断されました。全国に200万人いるといわれる線維筋痛症は「患者の人口が多い」などの理由で指定難病から外されました。

今回の難病政策の見直しによって、指定された難病の数は56から306にまで大幅増加しましたが、患者数によって区切られたり、病名がつかない人がないがしろにされたりといったことから、必要としている人に十分支援が届いていないという問題が指摘されています。

完璧な制度などないといえばそれまでですが、今まさに苦しんでいて生活が逼迫している人にとっては、どうしても社会的な援助は必要なので、何かしらの対策が進んでほしいところです。

それぞれの患者や家族のコメントについても書かれているので、詳しくは上記リンク先を参照してください。