空気を読みすぎて疲れ果てる人たち「過剰同調性」とは何か

嫌われないように相手に合わせる。相手が喋っている内容から、その人の考え方を読み取って、それをもとにしてその人が好むようなことをいう。嫌われるのも、怒らせるのも、議論になるのも怖い。(p139)

つまり家族の雰囲気や学校という場での緊張感、雰囲気、空気などを読んで、トラブルにならないように自己犠牲的に周囲に合わせようとする。

以上のような特徴を「過剰同調性」と名づける。(p83)

今、「空気がよめない」人、いわゆるKYという問題がよく取り上げられます。場にそぐわないことを話したり、おこなったりして、ひんしゅくを買う人たちです。

しかし一方で、子どものときから、周囲に合わせすぎ、気を使いすぎて、「空気を読みすぎる」人たちもいます。

その傾向は「過剰同調性」と呼ばれ、ストレスの多い子ども時代を過ごした人にみられるそうです。中には、解離性障害や解離性同一性障害(多重人格)につながる素因となってしまう人さえいます。

自分を押し殺した「いい子」「いい人」は、慢性疲労症候群線維筋痛症など、さまざまな難病と関わっている可能性もあります。また意外にも、真逆とも思えるアスペルガー症候群とも関連している場合があります。

解離の構造―私の変容と“むすび”の治療論という本や、他の書籍から、空気を読みすぎる「過剰同調性」とは何か、ということについて調べてみました。

▼追記:
この記事を書いて以降、さまざまなサイトで過剰同調性についてまとめられ、過剰適応の同義語のように独り歩きしはじめていますが、あくまで冒頭で引用したとおり解離の専門家による用語であることにご留意ください。

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子どもの睡眠と発達医療センター、睡眠障害で入院する子どもの2/3が自閉スペクトラム症

庫県立リハビリテーション中央病院、子どもの睡眠と発達医療センターについてニュースになっていました。

子どもの睡眠障害増加 糖尿病、発達障害と関連も:暮らし:中日新聞(CHUNICHI Web) はてなブックマーク - 子どもの睡眠障害増加 糖尿病、発達障害と関連も:暮らし:中日新聞(CHUNICHI Web)

記事の中では、「早寝早起き朝ごはん」をしようと努力してもできない子どもたちのことが書かれています。

そうした子どもたちは、塾通いや部活などで疲弊しているためにそうなってしまっていて、努力の不足ではありません。

小西行郎先生によると、

「眠りの核となる午後十一時~午前三時の時間帯に、しっかりと睡眠が取れていない」

「規則的な生活を習慣づければ治るレベルではなく、治療が必要な子も出てきた」

と指摘されています。

記事では子どもの睡眠障害を予防するためのチェックポイントとして、

■遅刻が増える
■午前中ボーっとして集中できない
■すぐにカッとなる
■体重、身長の伸びに変化
■部活の記録が伸び悩む
■頭痛・腹痛や保健室利用が増える
■授業中の居眠り

→通常の学校生活ができるが、不調で休養を要する状態

■微熱がある
■帰宅と同時に眠ってしまう
■月曜日などになんとなく休む

→危険信号。早めに専門医に相談を

(兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センター「子どもたちの疲労と生活リズム」をもとに作成)

というリストが設けられています。

そういえば、わたしが倒れる前も、しばらく、微熱が続いたり、帰宅と同時に眠ってしまったり、週の半ばにあまりに疲れて休まざるを得ないようになっていたのを思い出しました。

また気になる情報として、こうした睡眠障害は、糖尿病や発達障害とも関係しているという、報告も書かれています。

なんと

■同センターのこれまでの調査によると、入院患者の約三分の二が、広汎性発達障害の症状を総称した自閉症スペクトラム障害。

■25%が糖尿病予備軍とされる境界型糖尿病で、インスリンの分泌パターンに異常が見られている。

というデータがあるそうです。

同センターに入院している患者の一部は小児慢性疲労症候群(CCFS)なので、このデータからすると、小児慢性疲労症候群の患者には自閉スペクトラム症が多いことになるかもしれません。

慢性疲労症候群の子ども(CCFS)には発達障害が多い?
小児慢性疲労症候群にはやASD(自閉スペクトラム症/アスペルガー症候群)やADHD(注意欠如多動症)が併発しやすいという最新の研究を、「いま、小児科医に必要な実践臨床小児睡眠医学」

また、子どもの不定愁訴の背景に自閉スペクトラム症が見られるというのは、若年性線維筋痛症の素因として、しばしば自閉スペクトラム症が見られるとされていた最近の見解とも似ている気がします。

子供の体の慢性的な痛み「若年性線維筋痛症(JFM)」とは? 原因と治療法
子どもの慢性痛、若年性線維筋痛症とはどんな病気なのでしょうか。どんな治療法が可能でしょうか。東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センターの宮前 多佳子先生による「小児の線維筋痛症」

また糖尿病に関しては、最近も、糖尿病と睡眠障害が密接に関連しているというニュースがありました。

大阪市立大の稲葉雅章教授らのチームによると、糖尿病患者に起きやすい睡眠障害を治療することで、糖尿病そのものが改善したそうです。

稲葉教授はこう述べています。

「糖尿病と睡眠障害は密接に関連しており、両方を治療することが重要かもしれない」

これらの情報から考えると、慢性疲労症候群や睡眠障害を抱えている若い人や、子どものころにそれらを発症した人は、素因としての血糖値の問題や自閉スペクトラム症について考えてみる必要がありそうです。

なぜ自閉症・サヴァン症候群の人は精密な写実絵を描けるのか

スティーヴン・ウィルシャーはサヴァン症候群です。彼はヘリコプターで30分から1時間程度、街並みを俯瞰するだけで、その後数日にわたって、その街並みを再現する見事なペン画を描くことができます。

自閉症の子どもナディアは、言葉が話せませんでした。しかし5歳のとき、見事な馬の写実的な絵を描くことができました。(どちらもリンクをクリックすれば絵が見られます)

こうした例から分かる通り、自閉症の人は、ときに細部まで精緻な写実的な絵を描くことができる場合があります。もちろん全員がそうではありませんが、中には際立った能力を持つ人たちがいます。その人たちはサヴァン症候群と呼ばれます。

一方、サヴァン症候群ほど抜きん出てはいなくても、自閉症の人の中には、絵を描くのが得意な人が大勢います。

こうした人たちが精緻で写実的な絵を描ける理由はどこにあるのでしょうか。 ヒトはなぜ絵を描くのか――芸術認知科学への招待 (岩波科学ライブラリー)という本にその手がかりが載せられていました。

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70%の人が絵を描くのが嫌いになってしまう5つの理由―もう一度好きになるには?

18~25歳までの男女355名を対象に2003年に試みたアンケート結果では、「絵を描くことが好きですか」の質問に、「嫌い」と「今は好きだけど嫌いになったことがある」と答えた人を合わせると47%という結果が出ています。

これはまだ少ないほうで、ほかの調査では70%以上が「嫌いである」という結果が出ています。将来、保育者や教員となる養成大学の学生を対象にした調査においても、同様の数字がでています。(p91)

の調査結果を見て、驚く人もいれば、納得する人もいるでしょう。絵を描くのが嫌いな人にとっては、さもありなんといった数字です。

しかし絵を描くことが好きな人、あるいは、のびのびと絵を描く子どもたちを知っている人は不思議に思うでしょう。なぜ子どものころはだれでも絵を楽しく描いているのに、学校を卒業するころには嫌いになっているのでしょうか。

これは単なる年齢による好みの変化とは考えられません。これから見ていきますが、学生時代に経験した、大人との関わりによって、ある子どもたちはトラウマを抱えるようになるのです。

子どもたちから絵を描く想像力を奪ってしまう原因は何なのでしょうか。再び絵を好きになるにはどうすればいいのでしょうか。 子どもが絵を描くときという本を紹介したいと思います。

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クリエイティブな人は精神障害を抱えやすい―天才たちは悪魔に魂を売ったのか

悪魔に魂を売る見返りにクリエイティブな才能を手に入れるというモチーフは、主要な文学作品にたびたび登場する。その代表例がファウスト博士の物語である。

…この物語の基本的なテーマは、人間は道徳的判断や品位を捨て去れば、偉大な業績を成し遂げたり満足を手に入れたりできるが、それには必ず代償が伴う、というものだ。(p141)

リエイティブな人が「悪魔に魂を売った」とまで言われてきた背景には、彼らの持つ精神的な異常さがあります。

天才とみなされてきた芸術家たちは、統合失調症やうつ病など、精神障害を抱えることが、一般の人に比較してとても多いとされています。

またそうした人の中には、薬物、アルコール、喫煙、性的行動などの依存症を抱えている人も多くいます。そうした刺激物を利用して、創造性を発揮しているのではないか、と一般に考えられています。

創造的な人は、人間として道を踏み外したことの引き換えとして創造性を手に入れたのでしょうか。それとも、彼らは苦悩からの逃げ道として、道徳を投げ出さざるを得なかったのでしょうか。

世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方という本から、創造性のダークな一面について、またそれに陥らない方法について考えます。

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