痙攣性発声障害(SD)―声が出にくくなる見た目でわかりにくい病気

攣性発声障害(SD)の野島那津子さんという方が、SDをはじめ、筋痛性脳脊髄炎や線維筋痛症といった、見た目ではわからず、原因不明で、誤解されやすい病気の患者について調査しているというニュースがありました。

発声障害:低い認知度 病気と闘いながら大阪大院生研究中 - 毎日新聞 はてなブックマーク - 発声障害:低い認知度 病気と闘いながら大阪大院生研究中 - 毎日新聞

SDは、声を出そうとすると自分の意志と無関係に、声帯が異常な動き方をしてしまう病気たそうです。そのため声が出なかったり、出にくかったりします。

声帯には見た目の異常がなく、医師にもほとんど知られていないため、「精神的なもの」と言われたり、コミュニケーション障害が生じたり、いじめの対象になったり、診断にたどり着くのが難しかったりします。

治療はボツリヌムトキシンという毒素の注射や、手術、言語聴覚士による音声訓練などが行われているそうです。

「SDCP発声障害患者会」という患者団体があり、痙攣性発声障害をはじめとする発声障害の患者や家族の交流や、発声障害の啓発活動をされているそうです。

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野島さんは、患者また大学院生としてSD患者の実態調査をし、論文を発表したそうです。

また、SDと同様、見た目にわかりにくい病気である筋痛性脳脊髄炎や線維筋痛症についても調査して、同じ疾患でも環境や症状の重さによって悩みも違うことが分かってきたと書かれています。

そのことは筋痛性脳脊髄炎の会のサイトで過去に報告されていました

この記事を読むまで、わたしもSDという病気があることは知りませんでした。一見、わかりやすそうな病気であるのに、検査で異常が見られないなど、慢性疲労症候群と重なる部分もあると思いました。

世の中には人間の体の機能の数だけ病気や障害があり、それらをすべて知るのは医師ですら不可能だと思います。

しかし、見た目でわかりにくい症状を抱えている人と会ったなら、軽率に判断するのではなく、情報を調べたり、当人の声によく耳を傾けたりして、理解しようとする姿勢が大切だな、と思いました。

小説家の約5割はイマジナリーフレンドを覚えている―文学的創造性と空想世界のつながり

マージョリー・テイラーは、子どもが空想の人物を生み出す能力と、大人が反事実からできている架空の世界を創作する能力、つまり小説家や劇作家、シナリオライター、役者、映画監督がもつような能力には関連性があることに気づきました。(p92)

のブログでは、創造性の源について、いろいろな情報を調べてきました。これまでは、解離という脳の機能や、子ども時代の環境が関係しているのではないか、という側面を紹介してきましたが、今回取り上げるのは、少しおもしろい切り口です。

というのは、子ども時代の空想の友だち、つまりイマジナリーフレンド(IF)やイマジナリーコンパニオン(IC)と呼ばれる現象と関わっているかもしれないというのです。

イマジナリーフレンドとは、主に子どもに見られるとても興味深い現象で、この哲学する赤ちゃん (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)という本によるとこう説明されています。

とりわけ興味深いのが、「空想の友だち」と呼ばれる架空の存在が出てくるごっこ遊びで、実に奇妙ではありますが、人間特有の社会性と情緒がベースにある知的な遊びです。(p72)

この幼児期の能力が、大人がファンタジーやフィクションを創作する能力と関係しているというのはどういうわけでしょうか。子どものイマジナリーフレンドには、どんな特徴があるのでしょうか。

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ADHD、コンサータが効くかどうかが服用前にわかる技術

意欠如多動症(ADHD)の治療薬として、コンサータやストラテラは子どもも大人も使えるようになりましたが、特にコンサータは、副作用やリタリン乱用の問題から、気軽に処方されるような薬ではないのが現状です。

そのコンサータ(メチルフェニデート)について、東京大学の石井礼花助教らの研究グループは、光トポグラフィー検査によって、効くかどうかを内服前に予測できる可能性があることを発見したそうです。

ADHDの薬物治療効果を内服前に予測できる可能性―東大 | サイエンス - 財経新聞 はてなブックマーク - ADHDの薬物治療効果を内服前に予測できる可能性―東大 | サイエンス - 財経新聞

ADHDの薬物治療効果を予測する客観的な指標の開発へ-東大 - QLifePro 医療ニュース はてなブックマーク - ADHDの薬物治療効果を予測する客観的な指標の開発へ-東大 - QLifePro 医療ニュース

実験ではメチルフェニデートを飲んだことがないADHDの子ども22人と、1カ月以上内服していたADHDの子ども8人を対象に、光トポグラフィーを用いた脳機能評価を行ったそうです。

その結果、内服前と1回内服後の左下前頭回の信号変化によって長期的なメチルフェニデートの効果を予測できる可能性がわかりました。

実験結果についてはさらに検討を重ねる必要があるとされていますし、今回の結果は子ども限定ですが、あらかじめコンサータが効くかどうかがわかれば、患者側としても治療しやすいなと思いました。

多重人格やイマジナリーフレンドは必ず人格を統合し、治療する必要があるのか

重人格、つまり解離性同一性障害(DID)は、明らかに異常な精神状態だ、と考える人は大勢います。明確な病気であり、もしDIDであることが分かったなら、人格を統合するためにあらゆる努力を払う必要があるというわけです。

同様に、DIDと比較されやすい大人のイマジナリーフレンド(IF)(イマジナリーコンパニオン)も、病理的であると考える人がいます。DIDとIFは別物である、というのが大方の研究者の見解ですが、それでも大人になってまで想像上の友人を持つのは普通ではない、と考えるのです。

ところが、解離の専門家の中には、解離性同一性障害を扱うにあたり、すべての例を治療する必要はないのではないか、と唱える人もいます。そう述べるのは岡野憲一郎先生ですが、その主張にはもっともな理由があります。

彼は主に多重人格の場合について述べているのですが、その説明はイマジナリーフレンドの場合にも当てはまります。多重人格やイマジナリーフレンドは必ず治療し、人格を統合すべきものなのでしょうか。

当事者が悩むことも多いこの問題について、解離性障害―多重人格の理解と治療という本から、岡野先生の意見を紹介したいと思います。 続きを読む

自閉スペクトラム症の独特な視覚世界を体験できるヘッドマウントディスプレイを大阪大学が開発

閉スペクトラム症の独特の視覚世界を体験できる装置を、大阪大学大学院の長井志江特任准教授が開発し、大阪・梅田のグランフロント大阪で「自閉スペクトラム症の視覚世界を体験」という講演会が行われたそうです。

「自閉スペクトラム症」を体験 - NHK 関西 NEWS WEB はてなブックマーク - 「自閉スペクトラム症」を体験 - NHK 関西 NEWS WEB

大きな眼鏡のような装置をつける体験会が開かれ、近くで大きな音がすると、視界がぼやけたり白黒の状態になったりしたあと砂嵐のように見える状況が体験できたと書かれています。

長井特任准教授は、「視覚だけでなく、音の聞こえかたや物に触れたときの感覚も特有なので、さらに理解を深めてもらいたい」と話しました。

このヘッドマウントディスプレイ型の体験装置について解説した記事によると、自閉スペクトラム症の次のような3つの視覚特性を体験できるそうです。

自閉スペクトラム症の視覚世界を探る――ヘッドマウントディスプレイ型知覚体験シミュレータ / 長井志江 / 認知発達ロボティクス | SYNODOS -シノドス- はてなブックマーク - 自閉スペクトラム症の視覚世界を探る――ヘッドマウントディスプレイ型知覚体験シミュレータ / 長井志江 / 認知発達ロボティクス | SYNODOS -シノドス-

■コントラスト強調
瞳孔調整能力の弱さのため光がまぶしい。たとえばスキー場などの明るい場所では、明るさがさらに強調されコントラストがきつく見える

■無彩色化
視覚信号を統合するのが困難なので、駅のホームでの電車の通過など、激しい動きを伴う場面を見ると、視界の中心のカラーの映像と、周辺視野の無彩色・不鮮明な映像が混ざる。

■砂嵐状ノイズ
動きや音の変化が激しいときに、視界に砂嵐状のノイズが混ざる。無彩色化が動きの大きさと関係していたのに対し、砂嵐状ノイズは変化と関係している。偏頭痛でもvisual snow と呼ばれる類似したノイズが生じるため、似た脳の活動が生じている可能性がある。

うるさい場所では視界に砂嵐のようなノイズが出る。偏頭痛でも見られる

こちらの記事でも詳しい例が紹介されていました。

{探る}自閉スペクトラム症(ASD)/特異な見え方疑似体験 砂嵐、白飛び・・・外出阻む : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

通りがかった留学生の顔を見た。眉から下に大きな陰ができて表情が全く読み取れない。不気味に感じる。

手元の印刷物に目を向けると、余白の部分から反射する光が強すぎて、ほとんどの活字が真っ白に飛んだ。

瞳孔の収縮に時間がかかり、余計にまぶしく感じるのだという。窓の外の景色も日陰しか見えなかった。

 「新たな刺激がなくなって落ち着けば、視覚症状が消えて次第にきれいに見えてきます。家でじっとしているASDの人がいるのは、社会性の問題ではなく、刺激を避けるためかもしれません」

自閉症の人の独特の感覚世界は、これまでなかなか理解されないことが多かったですが、こうして視覚で体験できる装置などが開発されると、わかってもらいやすくなりそうですね。

ADHDや統合失調症の世界を体験できるビデオについても、以前ブログで取り上げました。そちらはWeb上で体験もできるので、ぜひご覧ください。

統合失調症とAD/HDの感覚世界を味わえるバーチャル体験動画
統合失調症とADHDを擬似体験できる動画の紹介です。

今回の装置の研究・開発をされた長井志江さんのウェブサイトはこちらです。国旗アイコンで言語は切り替え可能なようです。

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